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第3部 第1話【就職】

 西暦1994年のある日の昼頃、私は就職した土木会社に向かっていた。


 


 

 長野県の全寮制の高校に受験に行ったものの、やはり勉強をまともにできる状態ではなかったことが響いたか、合格することはできなかった。私の不合格を知って教育センターのクリスチャンの先生は、『メシアくんより全然できない子でも高校行ってるのにね……』とつぶやいた。


 


 

 もしも勉強を落ち着いてできる環境と経済力があったなら、私の頭なら超エリート校も余裕だったことだろう。悔しさと屈辱感に襲われざるをえなかったが、土木会社に就職した日から気持ちをきりかえて生きていくことにしていた。


 


 

 会社につくと、車で宴会場のようなところに移動。そこには私と同い年くらいの少年たちが大勢待っていた。きっと私と同じく中卒で就職した子たちなのだろう。ちなみに8割がヤンキーで、あとの2割がいじめられっこ系という感じだった(笑)


 


 

 私はそこでおこなわれたカラオケで氷室京介の【ディア・アルジャーノン】を披露した。するとあまりのうまさに場を完全に白けさせてしまった。


 


 

 最後の記念撮影のとき、私のうたった【ディア・アルジャーノン】にしびれまくったと思われるいじめられっこ系の少年が、そばで輝くような目で私を見つめていたのを覚えている。彼はあのあとヤンキーだらけの土木会社でうまくやれたのだろうか?


 


 

 ━━しかし、数日後、私は就職したばかりの土木会社を首にされてしまう。理由は自己紹介のときに『将来は歌手になりたい』といってしまったからだ。


 


 

 そんな目的があるようでは仕事のほうがおろそかになってしまう、よってうちの会社はやめてもらう━━かくして私は職安に向かうことになった。


 


 

 仕事の絶対条件は住み込みが可能であること。父の酒に酔った独り言地獄から1日でも早く抜け出したかったからだ。


 


 

 ようやく見つかったのが建設会社。学歴も中卒でOKだという。


 


 

 それから1週間後、私はその建設会社に就職し、社会人としての新たな日々がスタートすることになるのであった。

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