ミゼーリア
【第52回フリーワンライ】
お題:
ミゼーリア
フリーワンライ企画概要
http://privatter.net/p/271257
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
彼が目を開けて最初に見たのは、漆喰様の高い天井だった。
「目が覚めたかい」
見知らぬ若い女だった。彼女はアニータと名乗った。
「驚いたよ。仕事場の前でいきなり倒れてんだもの」
「すまない。たぶん貧血だ……ここは?」
ベッドから起き上がり、ぐるりと見回す。木材を基調にした家具の目立つ室内だった。
「あたしん家。仕事場はここの一階ね。デリカやってんだ」
(デリカ)
口に出さずに繰り返した。総菜屋だ。そう言えば倒れる前に匂いを嗅いだ気がする。弾ける肉の脂、チーズがとろける濃厚な香り。
知らず腹を押さえた彼に、アニータが食器を差し出した。どろっとした米にたっぷりチーズがかかっている。コンソメの匂いが食欲をそそった。
「食べなよ。リゾットなら消化にいいだろうから」
遠慮が口をついて出る前に、先に手が出てしまった。照れ笑いしながら礼を言って受け取る。
リゾットを口にしつつ、身の上を明かした。自分は画家であること。イタリアへは取材に来たこと。旅費が底を突いてしまったこと。
未完成ですがワンライの時間内でちょっと書き上げられなさそうなんで、とりあえずここまで。
後日追記出来れば。