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説明プリーズ

 そんな会話をぼつぼつと続けつつ、学校への道を歩いていく。

 当然、学校が近付くにつれて、生徒の数も増えていく。

 いくつもの視線が集まるのは、決して気のせいではない。

 そうだよね。

 付きあってもいないのに、男女二人きりで登校ってあんまりしないよね。

 分かってるよ。

 分かってるけど、生温かい視線が痛い。

 いっそ「付き合ってるの!?」と聞いてくれれば、否定することもできるのに。


 結局、学校に着くまでの道のりで、朧先輩と真理奈先輩の姿を見ることはなかった。

 昨日のやり取りから考えると、佐藤先輩が何か行動に出たのかも知れないな。

 それだけ佐藤先輩は理子先輩のこと真剣に好きなんだろう。

 この何カ月か、佐藤先輩のことを見てきたけど、理子先輩の前では常に紳士的だったし、手をつなぐことすらしていなかったように思う。

 上手くいってほしいような、やっぱり上手くいってほしくないような、複雑な心境ではあるけれど。

 一番大事なのは、理子先輩の気持ちだ。


 そんなことを考えながら校門をくぐると。

 校舎の方から全力で走ってくる男子の姿が目に入った。


「と~おさぁかく~ん」


 なぜだろう。

 言葉のお尻に音符マークが見えるような気がするのは。

 やたらテンション高く突進してきたのは、眼鏡をかけた背の高い男子生徒だった。

 眼鏡男子は強引に桃坂先輩の肩に腕を回してくっついた。

 あー。素晴らしい身長差ですね。

 朝からたわむれる男子。

 一部の女子には非常に美味しい状況ですね。


「うわ。なんだよ。朝から鬱陶しいんだけど」

「やっぱやってくれるね~桃坂くんは! なんだかんだ言って学校のこと考えてくれてるんだよねっ。いや俺のこと考えてくれてるのか? そんなことはどーでもいいけど、きみ、名前は?」


 機関銃のようにしゃべっていた眼鏡男子に急に話を振られて驚いた。

 私がフリーズしているのに一向に構わず、彼はひとりでしゃべり続ける。


「一年生だよね。ああ、よく一之瀬さんと一緒にいる子だよね。成程きみか~。桃坂が構ってる子って」

「おい。ちょっと待てよ」

「ま、いいや。顔も分かったし、クラスも名前も調べればすぐわかるだろうし。じゃ、桃坂のベスパコンの相手は彼女でけってーしましたー。はい、拍手ー。ぱふぱふ」

「ちょ。勝手なことばっか言ってんじゃねえ。聞けよ。こら。真鍋!」

「うんうん。ミニマムカップル。いいねぇ。盛り上がるねぇ。じゃ、当日よろしくね~」

「まなべーーーー!!!」


「……」


 行っちゃったよ。

 ふたりとも。


 ダッシュで走り去る眼鏡男子を追いかけて、桃坂先輩の後ろ姿もあっという間に見えなくなった。


 てか私、一言もしゃべってないんですけど。

 なに言ってるか全然理解できなかったし。

 で、あの人、結局誰だったんですか?

 

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