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閉めたドアを見つめること暫し。

考えたところで解決策は出てこないので、現状把握のために再度ドアを開けてみた。

……。

バタン。カチャ。

…………。

よっしゃあああああ!いつものトイレだ!お帰り、我が家のトイレ!

嬉しさのあまりいそいそと便器を磨いて掃除しまくったのは、やましい気持からじゃないからね!?

まあ、出来ればこれからは家出しないでね?お願いだから、行方不明にならないでクダサイ。いやもうほんと切実に。

トイレがピカピカになったので満足し、外を見たら真っ暗だった。

時計を見たらもう20時。向こうはまだ明るかったけどなあ。これも時差と言うのか?

とりあえず遅い夕飯を作って食べ、お風呂に入って――念の為もう一度トイレのドアを開けて異常がないことを確認してから寝た。

翌日。

昨日の出来事が夢であったかのように、いつもと変わらない一日を終え帰宅する。

今日は帰りがけにコーヒーも飲まなかったし、向こうでトイレも済ませてきた!昨日と同じ轍は踏むものか!と意気込んでみたが、そもそもあんな妙なことそうそう起きないよね~。

それよりもさっさとお風呂に入らねば。

今日は色々あって、そこはかとなく匂うのだ。はっきり言えば臭い。職場でシャワーは浴びたが、それでも匂いは取り切れなかったらしい。まあ、しっかりシャンプーした訳じゃないし仕方ないけど。

そんなことを考えながらやや緊張気味に玄関の扉をくぐり、何事も無い様子にほっと肩の力を抜く。

見慣れた狭い廊下。古ぼけた壁。

いつもと変わらない事が、こんなに安心出来るなんて初めて知ったよ。

恐る恐るトイレも開けてみた。……よし!うちのトイレだ!

荷物を片付け、お湯を溜める為にお風呂場へ向かう。

この時の私ははっきり言って気分が良かった。自宅に変化はなく、便座も家出していなかったので安堵し鼻歌交じりに、もしかしたらスキップまで踏んでいたかもしれない。

そして、お風呂場のドアをからりと開けて。

……。

…………。

カラカラ……タン。

ええと。……うちから一番近い銭湯ってどこだっけな……?

お風呂場から目を背けて、現実逃避を図ってみる。むしろ、お風呂場が現実から逃避している。

ええい、何がどうしてこうなったッ!?

うちのお風呂場には、きらびやかな天蓋付きキングサイズベッドなんて必要ありませんよ!


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