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という事で、ただいま床に正座し、深々と頭を下げ謝礼の意を伝えております。


「御面倒をおかけしました。ありがとうございます」


目の前には細かい刺繍の施されたソファで寛ぐ花嫁さん…もとい、お姫様?と、綺麗な姿勢で傍に控えるメイドさん。

いや、もう、もの凄く堂に入ったコスプレですな!二人とも美人さんだから違和感無いよ!

お姫様は可愛らしいって言うのがぴったりだけど。ゆるふわに結い上げられた金髪とぱっちりした青い目は、楚々とした淡い水色のふんわりしたドレスによく似合っていると思います。それにしても細い腰だな!欧米風の顔立ちは日本人よりも年嵩に見られるって言うから、十五・六かな?ちょっと物足りない胸は発展途上って感じでそこがまた可愛らしい。床に正座する私を見てパチクリする様がまた可愛い!

メイドさんは、これぞメイド!って言う感じで落ち着いた美人さん。栗色の髪に白のヘッドドレスって似合いますね!ぱっと見ただけだけど、濃い青の瞳に長い睫毛が素敵な、プロポーション抜群のお姉さま?年の頃は…うん、なんか背筋を悪寒が走った。ハタチ過ぎた乙女の年齢は不詳にしとこうかな…。


「あの…。何故、床にお座りに…?」


戸惑った様子で首を傾げるお姫様。

いくらふかふかの絨毯の上とはいえ、ソファとか椅子があるのに床に座るのは妙だと思うよね、うん。

だがしかし!日本人としては、畳じゃ無いとはいえ頭を下げるのには正座が正しい姿だと私は思うんだ!……悪戯をするたびに正座で叱られた記憶が懐かしいなあ……あ、ちょっと、目から水が。


「(膀胱的に)危ないところを助けていただきましたし、御手数をおかけいたしましたので最大限の謝辞を示しております」

「まあ…。でも、床はあまり座っていい所じゃないと思うの。どうぞ椅子に御掛けになって?」

「ありがとうございます」


にっこり、と勧められては固辞するのも失礼というものだろう。

ありがたくお姫様の向かいのソファに座らせていただくと、タイミングを見計らったように目の前にお茶が置かれました。うむ。良い香りです。


「ところで」

「はい?」


 ソファに私が落ち着いたところで、徐にお姫様が首を傾げて不思議そうな顔で私に話しかけてくる。同じように首を傾げて私も問い返すが、お姫様の様に可愛くないのは確かだな。


「あなたのお顔を拝見したことが無いのですけれど、どなたでしたかしら?」

「あー…。私もお会いしたことは無いかと思います」

「初対面でいらっしゃる?」

「記憶に間違いがなければ、はい。初めてお会いすると思います」

「まあ…?」


そりゃあ、首を傾げたくもなるだろう。

いきなり見知らぬ女がトイレ貸してくれって部屋に飛び込んだ訳だし。


「申し遅れました。私、笹倉都と申します」

「サアクラミャーコ?」


ミャーコって!猫かいな!まあ、都って発音しにくいしなあ。


「ミヤコ、です」

「ミァコ」

「ミ・ヤ・コ」

「ミ・ア・コ…」

「はあ。まあ、いいです。もう、何でも…」


無理らしい。なんとなく懸命なのは判るけど、慣れないと日本語の発音は外国の人には厳しいと聞いたことがあるし、そこまで正しい呼び方にこだわってる訳でもないしね!


「あまり聞いた事の無いお名前ね?ミァコ、わたくしはマリエル・レイン・クラレンスというの」

「…長いお名前ですね」

「そう?」


お姫様のような女の子には、やっぱりお姫様のような可愛い名前がついてたよ。

それよりも、もの凄く気になる事があるんだ。今更って感じだけど、これはちょっとほっとけない気がする。

いやあ。自宅のトイレの筈が、この豪華な部屋だったってのも納得出来ないおかしな事態なんだけども。

何気なく窓の外に目を向けたら、ねえ?


「あの、私も一個、質問してもいいですか?」

「はい、どうぞ?」

「ここって、どこですか?」


綺麗に整えられた庭からこっちを見てる男の人の腰にあるのって、ゲームとか映画に出てくるような剣にしか見えないんだけども!


銃刀法違反にはならんのか、これ?

ってか、ここ、もしかしなくても日本じゃない可能性が大っぽい!?


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