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結論から言いましょう。
借りたトイレに紙は備わっていませんでした。というか、こちらのトイレは紙を使用しないそうです。では、使用後どうするのか…?まさか、そのまま!?とか青褪めたら(だって、これでも一応女ですもの!)部屋に居たメイドさんが魔法で綺麗にしてくださいました…。
魔法ですよ、魔法!
何ですかそれー!?って叫びましたよ。
以下メイドさんとのやり取り。
お借りしたトイレの中からあたふたと助けを呼び、来てくれたのはこのおトイレに案内してくれたメイドさんでした。
「どうかされましたか?」
精神的にも膀胱の容量的にも追い詰められていたせいでしょうか、紺色のロングスカートに白いエプロンとしか記憶に残っていません。人間余裕って必要ですね。しかし、今現在も私には余裕などありません。
「か、紙が無いのですがっ!?」
「紙、でございますか?」
ドア越しに不思議そうな声で訊き返されました。何だか首を傾げているような気配がします!もしかしたら紙で後始末をする習慣が無いとか!?だとしたらナニをどうやって説明すれば!?
「あの!えっと、終わった後拭くものが欲しいです!」
「ございません」
あっさりきっぱり返されて、その意味を理解するまでぽかんとしていたのは内緒です。
え、ないってどゆこと!?
「えええ!?じゃあ、どうすればっ!?」
「洗って乾かせばよろしいのでは…?」
そっか、ウォシュレットか、なるほど。と、きょろきょろ周囲を見回しても、洗浄ボタンなんか見当たりゃしませんよ?
我が家のおトイレとは違い、広めの個室にぽつねんと置かれた椅子型の便器には私のお尻がどっかり載ってますが、それ以外、何にも無い…。一応、右手側に棚があって洗面器の様なものが置かれているけど、まさかそれで流せと?――っていうか、その洗面器の様なものの中、空っぽだし!!
「どうやって!?」
「…洗浄の魔法はお出来にならない?」
「何ですか、それー!?出来ませんよ~~!(涙目)」
「…では、わたくしが個室ごと洗浄いたしますので、そのままじっとしていて下さいまし」
個室ごと洗浄って!?
まさか洗濯機みたいに、部屋の中で水流が渦を巻くとかじゃないよね!?さすがに死ねるよ!?つか、お尻丸出しで死にたくないぞ!?
でもここで下着を上げたら本末転倒!?
あわわ、と下着に手を掛け上げるべきかそのままでいるべきか迷う私…うん、間抜け過ぎる。
そして広いおトイレは洗濯機にはなりませんでした。
ふわん、と温かいそよ風にお尻を撫でられた?と思ったら、「終わりました」とメイドさんの声がして。
あら、びっくり。
すっきり爽快、下着まで綺麗!
魔法ってすごいね!
相変わらず品がない…。
1話少し手直ししました。ほとんど変わってませんが。