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別れ

卒業してから母校に訪れ

一度だけ辻川先生に会うことができた。

その時は「今はだいぶ楽なんや」と言っていた。

まだ入退院を繰り返したりしていたようだったが、前よりは元気そうだと思った。


あれから先生とは一度も会っていない…

高校を無事に卒業して大学に進学して試験一週間前に入った日に連絡がきた。

私は授業中なのに大泣きした。

友達に心配されても何も言えなかった。

声が出なかった。ただただ、涙を流すだけだった。

授業が終わってから先輩に部活を休むことを伝えて

急いで家に帰ってスーツに着替えた。

色んな知人に連絡を取ってから場所を確認し

母に通夜が行われている場所へと送ってもらった。


通夜には沢山の人がいた。

受付で学校関係者のところに自身の名前を書き

席へと案内してもらった…

授業中に頭が痛くなるほど泣いたのに

私はまたボロボロと泣いた。

声をあげないようにハンカチで口元を抑えながら…

焼香をし先生のご親族の方々へ頭を下げ元いた席へと戻る

段々と見知った顔を見つけた。


通夜が終わり…

当時の担任と会った瞬間に少しだけ落ち着いていた涙が

また溢れだし何も言えなかった…

担任は優しく背中をさすってくれた。

少し落ち着いてから担任と辻川先生に会いに行った。


最後に見た先生の顔は…


まるで昼寝でもしているかのように安らかだった…


涙が止まらない

自分の中で色んなものがぐるぐると回り続ける。

今までの思い出…


初めて先生と会った日のこと

初めての授業…

遠足に合宿…

千羽鶴を皆で折ったこと…

卒業式…


四年以上前のことでも、昨日のことのように思い出した。

私は落ち着いてから母の待つ場所へと向かい話をした。


母の話では、母校に教育実習に行った兄が辻川先生に会った際に

「もう辞めたんや

俺はもう長くないんや」

と先生は言っていたらしい…



もし…

今でも先生に…私の言葉が届くのなら

ただ一言…たった一言でいいから

「ありがとう」と伝えたい。


辻川先生

たくさんのことを教えてくれて

たくさんの思い出を作らせてくれて

ありがとうございます

ゆっくりお休み下さい

また、会える日がくることを願っています。

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