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封戦機構《リミット・アリーナ》  作者: Y.M
第1シーズン

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25/25

「未確定のまま」

《未定義存在:再評価》

《保留権限:継続承認》


 その表示が出た瞬間、世界は完全には壊れなかった。


 ただし、完全にも戻らなかった。


 “決まらないまま安定する”という、ありえない状態だけが残る。


 空間は白でも黒でもない。


 教室でも、第0層でも、第3層でもない。


 それら全部が一瞬だけ重なって、そして分離せずに止まっている。


 佐倉 恒一はそこに立っていた。


 隣には少年がいる。


 そして、空間の奥には生成核の気配も、仕様の圧も、上位観測の視線も——まだ残っている。


 だが、どれも“確定できない”。


「……終わったのか?」


 佐倉の問いに、少年はすぐには答えない。


 少しだけ空を見上げてから言う。


「終わってない」


「でも、決まってもいない」


「それってどういう——」


 言いかけた瞬間、空間がわずかに揺れる。


《世界状態:未確定安定》


 その表示は、今までのどれとも違う。


 削除でもない。保留でもない。観測でもない。


 ただ、“そういう状態として存在する”という宣言。


 少年は静かに続ける。


「お前がやったのはな」


「世界を止めたんじゃない」


「“決める側を止めた”んだ」


 佐倉はゆっくり息を吐く。


(やっぱり……そういうことか)


 空間の奥で、生成核がわずかに動く。


 だが以前のような圧はない。


 仕様も観測も、互いに干渉しながらも“確定に至らない”。


《再定義プロセス:停止中》

《上位観測:保留中》

《生成核:未決定状態維持》


 少年が小さく笑う。


「見ろよ」


「全部“止まってる”のに、崩れてない」


 佐倉はその言葉を聞いて、少しだけ視線を上げる。


「じゃあ……これからどうなる」


 少年は肩をすくめる。


「さあな」


「普通なら、どっかでどれかが勝つ」


「でも今は違う」


「“未確定のまま続く世界”になった」


 その瞬間だった。


 空間の奥に、わずかな“割れ目”が生まれる。


 それは攻撃でも干渉でもない。


 ただ、遠くから“別の視線”が一瞬だけ覗くような感覚。


《外部接続:検知》

《未登録干渉源:複数》


 佐倉 恒一はそれを見て、息を止める。


(まだ……あるのか)


 少年もそれを見ている。


 だが驚いてはいない。


「ほらな」


「終わるわけないだろ、これ」


 割れ目の向こうには、ほんの一瞬だけ“別の世界”が見える。


 似ているようで、違う構造。


 同じように“未確定”を抱えた世界。


 そして、その奥から——


 誰かがこちらを見ている。


《接続待機領域:検出》


 佐倉は無意識に一歩前に出る。


「おい……あれは何だ」


 少年は少しだけ目を細める。


「さあな」


「でも多分、“同じことしてるやつら”だ」


 空間が静かになる。


 仕様も、観測も、生成も、全部が一瞬だけ止まる。


 そして最後の表示が出る。


《シーズン1終了:未確定安定世界》

《シーズン2接続準備:外部未確定領域》


 佐倉 恒一はそれを見て、ゆっくり息を吐く。


(結局、終わってないじゃねぇか)


 少年が横で言う。


「まあいいだろ」


「“決まってない”ってのは、そういうことだ」


 空間の割れ目は、まだ開いたままだ。


 向こう側の視線も、まだ消えていない。


 佐倉は最後に一度だけ、それを見上げる。


「……次はそっちか」


 誰も答えない。


 ただ、世界は“未確定のまま続いていく”。

これで第1シーズンは終了です。面白かったでしょうか。第2シーズンも出す予定(いつ出すかは未定)なので楽しみにしていてください。面白かったら、ブックマークと高評価してくれるとうれしいです。

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