表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

ナナミのタマ奪還作戦!

おじいさんはタマを奪い返そうと手を伸ばしかけたが、タマがナナミの腕の中でゴロゴロと喉を鳴らし始めると、その手がピタリと止まった。


「……タマ、まさか、おめぇ……ナナミンのこと気に入ったんか?」


おばあさんはクワを地面に突き立て、キッとナナミを睨んだ。


「ナナミ、さっきはーい言ったべ!それでタマになんかしたら承知しねぇど!」


ナナミはクスクスと笑いながら、タマを軽く持ち上げた。


「家族ならもっと大事にしなきゃ。おじいさん、筋トレばっかりしてる暇があったら、タマちゃんの毛並み整えてあげなきゃダメじゃん♡」


おじいさんの顔が赤くなり、口ごもりながらも反論した。


「お、おら、ちゃんと毛づくろいしとるわい!」


ナナミがタマの背中の少し絡まった毛を指差すと、おじいさんは一瞬固まり、それからバツが悪そうに視線を逸らした。


「そ、そ、それは……タマが外で遊んできたからだべ!」


おばあさんは腕を組んでため息をつく。

「おじい、ナナミに言われとる場合じゃねぇぞ。おめぇ、タマより筋肉ばっかり可愛がってんじゃねぇか。」


その時、タマが突然ナナミの腕の中からスルリと抜け出し、ヒョイとおばあさんの足元に駆け寄った。おばあさんはしゃがんでタマを抱き上げ、優しく撫でると、タマは満足げに「ニャア」と一声。


ナナミは唇を尖らせた。


「タマちゃん、ツンデレなのね…。でも諦めないわよ!」


おばあさんはクワを肩に担ぎ直し、にやりと笑った。


「諦めろや、ナナミ。おめぇにタマもおじいも渡さねぇど。」


ナナミは一歩前に出て、挑戦的な目でおばあさんを見つめた。


「なら、勝負する?どっちがタマちゃんを幸せにできるか♡」


おじいさんはその提案に目を丸くした。


「なんだって!?タマを巡って勝負だぁ?」


おばあさんはしばらく考え込んだ後、クワをギシギシと鳴らしながら頷いた。


「いいべ。タマがどっちを選ぶか、試してみっぺ!」



---


数日後、村の広場


村人たちが集まり、タマを巡る「大決戦」が開かれることになった。おばちゃんたちやスナックのママも集まり、広場はちょっとしたお祭り騒ぎ。


「タマのための勝負だなんて、ナナミもおばあも気合い入ってるな!」

「どっちが勝っても、タマのやつが一番迷惑してんじゃねぇか?ほら、あの顔!」

タマが遠くから冷めた目で見ている。


「それにしても、おじいさんもまんざらでもなさそうだべ!」


村人たちはざわめきながら見守る中、ナナミとおばあさんはタマの前に並んだ。


ナナミはピカピカの高級キャットフードと、おしゃれな猫用おもちゃを取り出し、タマの前に差し出した。


「タマちゃん、こっちに来たら、毎日ごちそうとおしゃれな首輪つけてあげる♡スナックで看板猫としてモデルデビューだってできるのよ!」


一方、おばあさんは手作りの魚の干物と、ふわふわの座布団をタマの前に置いた。


「タマ、こっちに来たら、毎日おらが撫でてやっから。ここが一番落ち着くだろ?」


村人たちは固唾を飲んで見守る中、タマは一瞬ナナミの高級キャットフードに鼻を近づけたが……次の瞬間、くるっと向きを変えて、おばあさんの膝の上に飛び乗った。


「ニャア!」


おばあさんは満足げにタマを撫でながら、勝ち誇ったようにナナミを見つめた。


「ほらな、タマは、ここが一番好きなんだべ!」


ナナミはがっくりと肩を落としながらも、すぐに笑顔を取り戻して言った。


「まぁ、今回は譲ってあげる。でも、また来るから覚悟しておいてね♡」


おじいさんは大きく笑いながらナナミの肩を叩いた。


「おめぇ、ほんとにしつこいな。でも、まぁ、また来てもいいぞ。タマもおらも待ってるからな!」


おばあさんはその言葉に眉をひそめたが、タマを撫でながら微笑んだ。


「おじい、タマもいいけど、おらのことも忘れんなや。」


「んだんだ、おばあ、おめぇが一番だべ!」


ナナミはその様子を見て、ふと空を見上げた。


「ふふ、やっぱりこの村、油断できないわね。でも、それが面白いの。またタマに会いに来るから、待っててね♡」


こうして、ナナミのタマ争奪戦は一時休戦となったが、村の人々の心には、しっかりとナナミの存在が刻み込まれていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ