おじいと夜の蝶、再び!
おじいさんの浮気騒動が一段落したと思いきや、あの夜の蝶ナナミが再び村に現れる!
数週間の静けさが村を包んでいた。
おじいさんとおばあさんは、まるで何事もなかったかのように畑仕事に精を出し、飼い猫のタマもようやく押入れから出てきて、日向ぼっこを楽しんでいた。
「おじい、今日は静かだのぅ。」
「んだなぁ…やっぱ平和が一番だべ。」
おばあさんも、おじいさんの筋肉騒動が落ち着いたことで、少しは機嫌を取り戻した様子だった。
だが――。
「おじいさ~ん♡」
突如、村の静寂を破る甘ったるい声が響き渡る。
振り返ると、そこには見覚えのあるピンク髪の女性――ナナミが立っていた。
「ナ、ナナミン!?」
おじいさんの顔がみるみる赤くなり、おばあさんの顔色はみるみる青くなった。
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ナナミはウインクしながら、おじいさんに駆け寄る。
「もう、私のこと忘れちゃったの?おじいさんの筋肉が忘れられなくて、また来ちゃった♡お店にも来てくれないしぃ~。」
おばあさんの握るクワがギシギシと音を立てる。
「おめぇ、何しに来たんだべ!」
ナナミは涼しい顔で答える。
「都会の生活費が高すぎて、もう少し田舎でお金稼ごうと思ってさ♡ でも、おじいさんの筋肉と一緒なら、どこでも頑張れそうな気がしてきたの♡それにね――**彼氏とは別れたの。」
その瞬間、おばあさんのクワが畑に深く突き刺さった。
「おめぇ、おじいをどこ連れてくつもりだぁ!?おじい、どうすっぺ!」
おじいさんは頭をかきながらも、まんざらでもない表情で答える。
「お、おらは筋肉の付き合いだけだっちゃ…。」
バキッ――!
おばあさんの額に青筋が浮かび、クワが畑にさらに深く突き刺さった。
村中に再び怒号が響き渡った。
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ナナミの再登場に、村人たちも黙っていなかった。
「なぁ、あのナナミって都会から出稼ぎに来てるって話、ほんとか?」
「いやいや、あいつ、もともと田舎出身で、地元のスナックで働いでんだってよ。」
「それなのに、なんでこんな村さ何度も来るんだべ?」
「ナナミ、彼氏と別れたって言ってだげど、本当が?」
「いやぁ、週末になると都会さ消えるらしいぞ。あれ、絶対会ってるべ!」
「あの口のうまさだ、何言っても信用ならんど!」
「…どっちにしろ怪しいべ!あの夜の蝶、絶対なんか企んでる!!」
村の寄り合いではナナミ対策会議が開かれ、村人たちは一致団結しておじいさんを守る(フリをする)。
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一方、ナナミは全く動じることなく、おじいさんにべったり。
「おじいさんの筋肉なら、都会でもきっとスターになれるよ♡一緒に行こう?私、応援するからさ♡」
おじいさんの目がキラリと光る。
「筋肉フェス!?それはすげぇなぁ…。」
おばあさんがすかさずツッコミを入れる。
「おめぇ、遺産狙われてんの気づけや!!」
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しかし、事態は思わぬ方向へ。
ナナミの元彼氏が再び村に現れたのだ。
「ナナミ!!俺は別れない!どんだけ年上好きでも俺は負けない!!」
元彼氏はナナミに詰め寄るが、ナナミはケロッとした顔で答える。
「しつこい、おじいさんの筋肉は唯一無二なの♡あんたのヒョロヒョロな腕じゃ、物足りないのよ!」
元彼氏はショックのあまり膝から崩れ落ち、村人たちは大爆笑。
「おじいさん、筋肉で勝ったべ!」
「いやいや、筋肉だけじゃダメだっぺ!」
「おばあさん、しっかりしろよ!」
おばあさんはため息をつきながらも、クワを構え直す。
「おじい、おめぇの筋肉より大事なもんがあるべさ!」
おじいさんは一瞬考え込み、そしてニコッと笑った。
「んだな、おばあ、おめぇが一番大事だべ。」
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ナナミはしばらくおじいさんに粘っていたが、最終的に村の団結力とおばあさんの圧に屈して去っていった。
「たまには田舎の空気もいいもんね。でも、目的は…もちろんおじいさん♡でも、今日はこのへんで勘弁してあげる!」
ナナミが去った後、おばあさんはおじいさんの肩を叩いた。
「次は筋肉じゃなくて、畑仕事でおらを喜ばせろや。」
おじいさんは照れくさそうに笑い、再び平和な日常が戻った――かと思いきや、数日後、またもやポケットから「ナナミン♡」のメッセージが見つかるのだった。