第十二話 心の声
20数年前平和に過ごしていた平穏の日々は突如として破られた。
邪神を復活せんと目論む大魔司教ガリウスが自ら配下と共に、私達を襲撃したのだ。
理由は明白。かつて邪神を倒した聖騎士の従者の末裔であり、その霊剣である三鈷剣の護り手だからである。
母は不意を付かれたとは云え稀代の天才召喚士だった。
配下の者共を纏めて召喚獣キマイラが豪炎で焼き尽くした。
しかし、ガリウスには歯が立たず最終的に母は眼の前で殺され、三鈷剣と洞窟に呪いをかけた。
三鈷剣を手にした者の肉を腐らせ、洞窟の入口を異界に飛ばし外界との接触を完全に閉ざしたのである。
ところがガリウスにとって思いがけない事が起こった。
ローゼの母であるシーマは最後の力を振り絞り最大魔法「絆魂魔法」でローゼを護った。
ローゼから放たれた魔法はガリウスの肉体を雲散霧消させたがシーマはそこで力尽きた。
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『何くよくよ考えてんだよ』
え?私の心に雄一が語りかけてきた。
え?!
え?!
どうして?
キモい!
『分かんねーけど、お前の声が聞こえるんだよ』
こいつ《雄一》、心の中で話す時はフランクじゃん!
『説明するわ』
霊体の女性が私達に声を投げかける。
見覚えのある優しげな顔立ちだ。
「セシア・・どういう事なんだ」
雄一はどうやら、この霊体の女性とは面識があるようだ。
「ローゼ。始めまして。私はセシア。私はかつて邪神を討ち滅ぼした伝説の召喚士であなたの先祖になるわ」
こ、この人自分で伝説の召喚士って言ってる!
あまりに真顔で説明してくるので思わず心の中でツッコんでしまった。
『おいおい。聞こえてるぞ。
いーじゃねーか。言わせてやりゃ』
雄一がデリカシーも無く割って入ってくる。
『あのアホって誰だよ!』
わー。心の中が丸聞こえやだー。
要約すると、これは召喚したローゼと雄一の魂の絆が繋がれた為。
魂と魂が繋がっている為、周波数を合わせればお互いに意思の疎通が出来るらしい。
そして、この時に雄一を異世界マーラの地に召喚したのは実は私だったと双方が知る事となった。
そして、私が死ねば雄一は死ぬこととなる。
大魔司教ガリウスは間違いなく、この事実に気づいている。
刺客を送り込んでもくるだろう。
否応でも聖騎士は召喚士を守らなくてはならない。
そして聖騎士は召喚士が死なない限り死ねない不死となるのだ。
まじ?!
続く
ハリー・ポッターみたい。
召喚士と聖騎士の関係はサザンアイズみたいなかんじですかね。




