7話
さて、巨大な土地の拠点に新たに手に入れた家。
迷い家ってたしか妖怪の一種?だったような気もするが大丈夫だと思いたい。
主人が俺になってるしな。
ゴロウもチビ助もなんの驚きの素振り見せず2匹で平然とじゃれ合っております。
見ていていやさますなぁ。
モンスターだけどね!
君たちにとってはどうでもいい事なんだろうね。
まだ、家を確認しただけなので時間はある。
とりあえず、朝の和食をいただきますか。
そこで、気が付いた。
ゴロウとチビ助の分がない。
「おーい、迷い家さんや。すまんがこの2匹にも何か出してあげてくれ」
すると、朝食を食べる畳の上に霧みたいなものが立ち込めてゴロウとチビ助の朝飯が器と共に現われた。
ゴロウには、生の鮭と木の実。
普通のクマやないかーい。
チビ助のご飯は、ドッグフード。
お前は犬か!?狼の要素どこ行った?
でも2匹とも美味しそうに食べております。
モンスターも生物。
あまり生態はかわないのかな?
そして、俺も朝食に手を付ける。
うん、マジうまい。
炊き立ての白米に塩サバかな?超絶に合う。
味噌汁も出汁が効いていてとてもおいしゅうございます。
朝食を食べたら、やっぱりデザートの桃をたべようかね。
あれ、うまいんだよ。
外にでて、もぎたての桃をパクリ。
うむ、やはりうまい。
ゴロウとチビ助にもおすわけしているとハナもこちらにやって来たので、ハナにもあげる。
ハナも最初は匂いを嗅いでいたが俺達が食べているの見て食べだした。
よほど、うまかったのかおねだりしてくる。
黒狼のリーダーハナは進化して更に体が大きくなっているので、おねだりで押しつぶされそうになるから辞めてくれ、マジで。
「分かったから、もう一つ上げるからじゃれて来るな。マジきついから!」
何とかハナを落ち着かせて、桃をもぎ取ってあげる。
てか、その巨体なら自分で採れるよな?
何故に俺にせがむ?
まぁ、一応は飼い主認定されてるのかな?
他の黒狼たちは桃には興味を示さない。
この違いはなんだ?
欲しければあげるのに。
今日もハナ達黒狼の集団は狩りに出かけるのかな?
皆、モンスターハウスから出てくる。
だが、黒狼たちはそこらへんで、日向ぼっこしたりして狩りに行く気配がない。
そういえば、モンスターハウスの中を見た事ないな。
と、言う事でモンスターハウスの中を拝見。
中には、狼たちが群れで暮らせるように大きな作りになっていて、寝床には、クッションらしき物まであるし、水を飲める小さな池?そして、何か大きな箱があって、中を見るとドッグフードらしき粒がちらほら残っている。
お前らも食べたんかーい!
だから狩りにいかなかったのか。
黒狼たちよ、野生が失われていくぞ。
いいのかお前達?モンスターだろ?生肉探しにいけよ!
動かないと太るよ?
まぁ、まだ若い個体らしき黒狼たちは走り回ったりしてるからいいのかな。
しばらく、俺もみんなと日向ぼっこして、外にいると一斉に黒狼たちがうなりだした。
ゴロウもチビ助も皆、一定方向を睨みつけている。
「えっ何々!?どしたの皆!?」
俺は皆のただならぬ雰囲気を感じて、気功による生命探知を試みた。
すると、信じられない数の生命体がこちらに向かってくるの感じた。
数的に向こうがかなり有利な状況だ。
どうする?
黒狼たちの雰囲気からして、敵の可能性が高い。
黒狼たちと一緒になって勝てるか?
俺の気功もどこまで通用するかわからん。
なんせ、実戦なんてしたこと無いからな。
もうすぐ、会敵するという時だった。
別の方角からももの凄いスピードでこちらに向かってくる生命体を確認できた。
これじゃあ、逃げようがない。
迷い家なら姿を隠せるが、しかしもう黒狼たちもやる気なのか臨戦態勢だ。
そして、敵対存在と思われるモンスター達は同時に現れた。
一方はどう見てもアリさんですな、ただしかなりでかい。
しかも先頭にいる3体のアリは完全な人型。
見た目はアリだけど。
そしてもう一方は空中でホバリングしてるハチ。
こちらも先頭にいる3体は人型でもちろん見た目はハチ。
2種類の昆虫さん達、今日は帰って下さい。
切実に思います。
「アリにハチ共か、そのような大群を引き連れて何のようだ?ここは王のいる場所ぞ!」
そう威厳を感じさせる声が聞こえた方を見るとハナだった。
お前喋れたんかーい。
もっと早くコミュニケーションとれたよね?
話し相手になってくれてよかったのよ?
話す相手がいるって大事なんよ?
ゴロウとチビ助には癒されてたけど話せる事って結構重要なんだよ?
俺の頭が少しメダ〇ニを感じてる間に話は進む。
「ちっ。狼たちはやはり鼻が効くな。先に取り入っているとはな」
先頭の真ん中にいるアリも喋ったよ。
声からしてオスだろうか?
人型だから、他と違うのかな?
後ろのでっかいアリ達はギーギー騒いでるし。
特殊個体かな?
「まさか、新たな王が人間とはな。まぁいい。我らが女王がお待ちだ。付いて来い人間」
アリの隊長格がそういうと、今度は空中でホバリングしてるハチの隊長各が喋りだした。
「待ってもらうか、若きナイトのアントよ。我らも新たな王をお迎えに上がったのだ。おいそれとそちらについて行かれては困るのだよ」
ハチさんの隊長は声からするにメスだな。
そして、やはりハチ集団の前にいる3体は人型なハチさんだ。
やはり隊長格なのだろう。
てか、さっきから王って呼んでるけど、俺の事か?
ハナもそんな事を言ってたし。
喋れるモンスターって知性を持っているって事だよな?
この状況やばくない?
一応、ハナ達はこちらの仲間側だが、他の2勢力はどうなのか分からない。
「ハチごときに何ができる?貴様らの巣の下に穴を開けてやってもいいんだぞ?」
「地べたをはいずるアリごときが言うじゃないか。そちらこそ一生巣穴から出てこれなくしてやろうか?」
「「今ここで殺してやる!」」
なんか、アリとハチは仲がよろしく無いみたいだ。
両軍ともにらみ合いが始まっております。
おいて置かれている俺たちは傍観しておけばいいかな?
勝手につぶし合ってくれるならこちらの被害も少なくて済みそうだが、ここで暴れては建物や命樹が有るので困るのだが?
「両者共々、いい加減にせよ!王の前であるぞ!」
「黒狼ごときが我らの軍勢の前で勝てると思うてか!?」
アリの隊長格が怒鳴る。
「まて、貴様。以前とは力が増している?何をした!?」
今度はハチの隊長格が怒鳴る。
「ふん、しれた事よ。王の寵愛を受け、我が一族は新たな種に進化した。王の側近として、ヘルハウンドスロープとでも言うべきかな?」
おー!やっぱり進化したのか。
それより、ハナさんや、寵愛とかいい加減な言葉を使うのは辞めようか、俺は手を出してないからね?
それとスロープってライカンスロープ的な事かな?
「あー、その、ハナ?寵愛とかの言葉使いは辞めようね?恥ずかしいし、変な誤解を生むからさ。ね?それと喋れるならもっと早く話して欲しかったかなぁって」
「申し訳ありません。我が子とそこのレッドベアーの幼体も言葉が上手く喋れぬにも関わらず。王は随分と嬉しそうにしておりましたので、余計な言葉はかけてならぬと思っておりました」
あれ?気を使わせてたのか。
それは何というか可愛い子供と言ってもいいペットが喋るより無邪気に遊んで懐いてくれる方が可愛いと思うんだよ。
モンスターだけどね。
「そっか、それは何かごめんな。って!寵愛の部分はスルーなの!?」
「いえ、王が謝る事はありません。それより、この狼藉者達をいかがいたしますか?今の我らであればすぐにでも始末できますが?」
やっぱ、スルーですか、そうですか。
「いくら、進化したからといってこのキラーアントの軍勢を相手に勝てると思っているのか?黒狼の長よ」
「その通りだ。我らもキラビーの軍勢もいるのだぞ?」
「力量の差も分からぬ若輩者たちの戯言など聞くにあたいせん!」
おいおい、ここで戦うのは辞めて欲しいんだけど!
俺の願いはかなわず、三つ巴の戦いが始まった。
こえーよ!
拠点
迷い家
ゴブリン兵士(封印中)
命樹(仙丹の桃)
ゴロウ(レッドベアーの幼体?)
黒狼集団(リーダー、ハナ)
支配地 虚構の大森林
主人公
精神耐性
気功