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34.冒険者ランクアップ

「ふむ、ランクを上げて受けられる依頼を増やしたい、と」

「討伐系なら三人でやればすぐだし、採取系もゴウのスキルなら楽勝だろ?盗める相手がいれば、だけど」


 ランクCのウィッチで対呪のアイテムが手に入ったんだ。今までもレベルが高い相手ほど良い装備やアイテムが手に入る傾向にあったし、より強いモンスターと戦う方がいいものが手に入ると思う。

 ……ゲームでも後半ほどいいものが手に入るしね。


「しかし、それでは目立ちたくないというゴウの考えに反するがいいのか?」

「それは……あの侍の人に実力を看破されたようにいつかはバレる時が来ると思いますし。侍の人にキマイラ討伐を先を越されたように、強いモンスターと戦える機会が減ります……それはレアドロップの入手機会も減るという事です」

「下手をすれば一生戦えなくなるという可能性もあるってことか」

「もしそれが解呪のアイテムを持っていたらということを考えると、やっぱりランクを上げて高難度の依頼を受けられるようになった方がいいと思います」


 最初はこの世界で平穏に生活できればいいやぐらいに考えてたけど、ティアの魔力の件をこのスキルで解決したように、盗むスキルで助けられる人がいるなら助けてあげたい。

 ましてや、それが身近な人なら。


「……すまぬのう、ゴウ。ワシのせいで……」

「いえ、悪いのはクズハさんに呪いをかけたモンスターのせいですよ。……それにしても、呪いをかけた本人が死ねば、呪いは解けそうなものですが……」


 リッチ戦のとき、クズハさんが『おった』と言っていたので、おそらくクズハさんに呪いをかけたモンスターはもうこの世にはいないと思っていたのだが。


「いや、あやつは自分の命と引き換えにワシに呪いをかけたのじゃよ。対価が大きければ大きいほど呪いは強くなる……カースは当時の魔王四天王じゃったのじゃよ」


 当時の最高戦力である四天王の命を対価にしてまでクズハさんに呪いをかけたのか……。

 いったいなぜそこまでして呪いを……?


「……ワシは生まれつき魔力が強くてな。限界突破をせずとも魔力が765まで上がると鑑定された。それは魔王の魔力にも匹敵する者に育つ可能性があるとされ、魔王討伐の冒険者候補にも挙がったぐらいじゃ」

「確かに初期でそれなら、魔力に絞って限界突破すれば……魔王の魔力がどれだけかは分かりませんが」

「うむ、しかし魔王はそれを恐れたのか刺客を差し向けてきた。それがカースだったのじゃ。仲間と共闘して撃退はできたのじゃが……絶命する瞬間にワシに呪いをかけたのじゃ。……それが当初からの狙いじゃったのじゃろう」


 リッチも俺の魔力と盗んだリッチの魔力……510と765を足して「魔王様よりも……」と言っていたので、1000より上ぐらいか。

 魔力を一段階突破した時点で1020となると、確かに魔王に匹敵する。それを阻止するのが狙いだったのか。クズハさんを倒せればよし、倒せなくても呪いをかければ魔王に届かなくなるからよし、という二段構えの策……しかし、自分の命を犠牲にしてまで魔王に尽くすとは……これも人間とモンスターの考え方の違いなんだろうか。


「まあ、今更過ぎたことを悔いていてもしょうがない。呪いを解く希望があるなら、ゴウ、お主の決断に従おう」

「オレももっと強くなりたいし、ゴウの役に立ちたいから問題ないぞ」

「ありがとう、それじゃ早速依頼をこなしていきましょう」




**********




 二週間ほどして。

 他の冒険者がやらないようなランクに見合っていない難易度の依頼や、報酬がしょっぱくて誰も受けないような依頼をこなしながら、D→C→Bランクへと順調に昇格できた。

 ちなみに、パーティーの場合はその中で一番ランクの高い冒険者にパーティーランクが合わせられるとのこと。クズハさんは今は冒険者を引退して錬金術師なので、俺のランクがパーティーランクになるわけだ。

 その頃にはギルド内ではちょっとした有名人となり、女二人を侍らせた冒険者として……ってちょっと待って、なんでそんな扱いなんだよ!?確かに二人とも美人だけどさあ……。


 ……さておき、Bランクに昇格できたので早速ゴールドゴーレムの討伐に赴き、あっさりと撃破に成功したのだった。


「ふーむ、これは『(きん)のなる木』じゃな」


 『(かね)のなる木』じゃなくて『(きん)のなる木』なのか。ややこしい。


「これを植えておくと、一日一回少量の金が生るようじゃな。どういう理屈かは分からぬが……ただ、錬金術の素材として金を使う物もあるからありがたいのう」


 へー、錬金術で金を使うのか……それだとかなりの出費になるから、少量でも確保できるのは嬉しいところだ。


「それにしても、やはり予想通り強いモンスターほど良いアイテムを持つ傾向にありますね」

「そうじゃな……しかしスライムが丸薬を持つように例外もおる。強いモンスターだけでなく、様々なモンスターから盗むのが重要じゃな」

「ここら辺のモンスターはあらかた狩ったし、そろそろ次の町に進むか?」

「そうじゃのう……この辺はダンジョンもないそうじゃし、更に西に進むとするか」


 ここから更に西、か。

 もしドラゴンが侵攻してきているのなら、そのうちかち合うのだろうか。


 そういえば最近まったく『盗む』のスキルレベルが上がらない。

 これが上限なのか、それとも何か条件が必要なのか。

 レベルまで盗めるようになったのでそれだけでもかなりの強さなのだが、まだまだ先があるのではないかと思ってはいる。どんな効果になるのかは予想もできないけど。


「さて、それじゃ町に戻ったら荷物をまとめて更に西へ向かいましょうか」


 俺たちは町への帰路についた。




**********




「……ん?あれは……?」


 町が見えてきたころ、遠くに何かモンスターがいるのが見えた。

 ……おかしい、普通なら見えるはずがない。

 町がまだ小さく見える距離なのに、モンスターも見える。ということは……。


「クズハさん、あれだけ巨大なモンスター、いるんですか?」

「マウントゴーレム、か……?」

「マウントゴーレム?なんだそりゃ」

「その名の通り山のように大きいゴーレムじゃな……その巨大さから討伐ランクはA以上と言われる」


 そんなモンスターが町に!?一歩で家も何もかも壊れてしまうじゃないか!

 Aランクの冒険者ならオボロさんがいると思うが……今も町にいるかどうかは分からない。


「急ぎましょう!」

「ちと勿体ないが疾風の実を食べておけ、これで少しは早く着く」

「へぇ、そんな使い方もあるのか……まあゴウが盗めるからならではだな」


 俺たちは疾風の実を使い、急いで町へと戻ることにしたのだった。

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