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28.ダンジョン探索中

 俺とアネットは第二階層のロックゴーレムを撃破し、第三階層へと進む。

 第三階層は細い通路が張り巡らされた、迷路のような階層だった。


「ゴウ、オレが先行して索敵する。できるだけ敵に遭遇した方がいいか?」

「そうだな、できるだけ色々なモンスターから盗んでみたいから、敵のいる方へ進んで欲しいかな」

「分かった。……こっちだ」


 アネットが耳をぴょこぴょこさせ、僅かな音も聞き漏らさないようにしている。

 流石はワーウルフといったところかな……でも、耳が動いてるのはかわいいな、ちょっと触ってみたい。


「……いるぞ!」


 アネットが足を止める。通路の先にいたのは……。


「リザードソルジャーか」

「剣と盾を持ってるな、この狭い場所じゃ二人だと戦い辛そうだけど……」

「よし、オレが先に行くから隙を見て盗んでくれ」

「分かった、気を付けて」


 アネットはリザードソルジャーに向かって一直線に駆け出す。

 リザードソルジャーは突撃してくるアネットに対して剣を振り上げ、そのまま勢いよく振り下ろす。


「そんな遅い攻撃が当たるかよ!」


 アネットは横へと跳んで回避し、そのまま壁を蹴ってリザードソルジャーの上を抜け、背後へと着地する。

 そのまま流れるように後ろからリザードソルジャーの右腕を切り裂く。

 リザードソルジャーは悲鳴を上げ、持っていた武器を落としてしまう。


「今だゴウ!」

「ああ!」


 俺はその隙を突いてレアドロップを盗み出す。

 それを確認したアネットはリザードソルジャーにトドメを刺す。


「ゴウに比べりゃ手応えのないヤツだったな」

「ははは……アネットが強いんだよ」


 アネットもレベルが高いから、この程度の相手では苦戦はしないのだろう。

 流石にロックゴーレムみたいな守備力の高い敵は相性が悪いけど、そこまで武装していないリザードソルジャーは格好の獲物だ。


「そういえばレアドロップはなんだったんだ?ロックゴーレムのやつも」

「ああ、俺は鑑定を持ってないから、帰ってからクズハさんに確認するよ」

「鑑定効果を持つアイテムがあれば楽なのにな」

「確かに……クズハさんに作れないか聞いてみようかな」


 アネットのいう事は一理ある。

 魔法の袋があるとはいえ、無制限にアイテムを持ち歩けるわけではない。

 それに、力の丸薬みたいな即使いたいものはすぐに使えば、持ち運ぶ数に余裕ができる。


「さて、このフロアにはあとどれだけリザードソルジャーがいるかな」

「そうだな……近くだとざっと五匹ぐらいか」

「よし、それじゃ順に狩っていこう」

「分かった、索敵は任せてくれ」


 俺たちは次の獲物へと向かっていった。




**********




「ふう、結構狩ったな」

「そうだなあ……まさか最終的に三十匹狩るなんて」


 魔法の袋の中にかなりのアイテムが貯まっている。

 一匹ごとにノーマルドロップ二個、レアドロップが一個手に入るから百八十、魔法の袋が三百まで入るからリザードソルジャーだけで半分以上埋まり、ミミックのも合わせると既に二百五十を超えている。


「どうする?一旦退くか?」

「そうだな……袋にはちょっとだけ余裕があるし、第四階層をちょっとだけ見てから帰ろうか」

「よし、それじゃあ進むか」


 俺たちは階段を降り、第四階層へと進む。

 そして部屋に入ると、出口が閉ざされる。


「ロックゴーレムと同じ仕掛けか」

「……となると、同じぐらいの大きさのモンスターが相手かな」


 今までにも何回か見た、闘技場タイプの地形。

 こういう場合は大物を倒すと扉が開くのがセオリーだ。


「……来たぞ」


 闘技場の格子が開く。

 そこから現れたのは……。


「サイクロプスか!」


 サイクロプス。ゲームでもよく見る一つ目の巨人だ。

 その巨体から繰り出される力は、並大抵の人間では太刀打ちできないような破壊力を持つ。


「アネット、サイクロプスとミノタウロス、どっちが脅威か分かる?」

「それはもちろんミノタウロスだ。サイクロプスはタウロスよりは強いが、ミノタウロスに比べれば大人と子供ぐらいの違いだな」

「そうか、それなら楽勝だな」

「は?楽勝って……」

「それじゃあ任せて欲しい」


 俺はそう言うと、ミノタウロスと戦った時と同様に一気に間合いを詰め、そのまま背後に回る。

 そして、両足を滅多切りにし、サイクロプスを床に這いつくばらせる。

 次に武器を持つ手を切り、反撃の芽を潰す。


 あとはドロップ品を回収してトドメだ。

 ……ん?このレアドロップはまさか……。


「ははっ、マジかよ……サイクロプスがまるで子供……いや赤ん坊扱いだ」

「ちょっとミノタウロスと戦ったことがあってね……同じような敵の対策は充分にできてるんだ」

「しかもそれで本気を出してないんだろ?まったく、ゴウには驚かされっぱなしだ」


 アネットが俺の使っていない方のダガーを見ながら話す。

 ……そういえばアネットはこれの攻撃力を知ってたな、床も破壊するぐらいの……。


「そうだ、もしよければアネットの武器も、このダガーを作ったドワーフに作ってもらう?」

「んー……オレは自前の爪で戦ってるからな……でも、ロックゴーレムみたいなやつを相手にするならあった方がいいのかもな」

「属性も付与できるみたいだし、物理攻撃が効きづらい相手にもよさそうだね」

「属性付与までできるのか!?……ゴウの知り合いも凄いやつが多いな」


 ……確かに。あのダガーの威力は普通の鍛冶師じゃ作れそうにないよな……。


「じゃあ今日はこの辺で切り上げて、ドワーフの所に行ってみる?」

「ああ、よければ一緒に行ってみたいな」

「よし、それじゃ帰還しよう」


 こうして俺たちは一旦北のダンジョンから脱出することにした。

 帰り道はアネットが全ての道を覚えていたので楽々だったのだが……まさかマッピングを頭で全部できるなんて……。

 アネットもアネットで凄いなと思うのだった。




**********




「おお、帰ったか。それでは鑑定してやろう」


 ダンジョンを出て森に向かい、ドワーフの長と共にアネットの武器を設計した後、俺たちは拠点に戻ってクズハさんに手に入れたアイテムの鑑定をしてもらう。

 気になるのは……サイクロプスから手に入れたアレだな。


「ふむ、リザードソルジャーのノーマルドロップはリザードの鱗じゃな。盾などに付与すると強度が上がるぞ。レアドロップの方は……無の水晶か。使うとお互いの補助魔法や実の効果を撃ち消す空間を発生させるものじゃな」


 つまり完全なステータスだけでの殴り合いになるのか。カンストの多い俺にはもってこいかもしれないけど、力は限りなく弱いからそこが問題だな……。


「ロックゴーレムのノーマルドロップは鉄壁の実、レアドロップは……ほう、硬化の指輪か。これは石の指輪よりも効果が高く、守備力を+25するものじゃな。石の指輪と同時に装備することもできるぞ」


 ノーマルドロップで一つだけとはいえ鉄壁の実を落とすのか……結構稼げそうだな。

 そして石の指輪と硬化の指輪を同時に装備すれば守備が+45されるのか……これはかなり硬くなるぞ。


「最後はサイクロプスか。ノーマルドロップはEX(エクストラ)ポーション、レアドロップは……喜べゴウ。体力の丸薬じゃ」


 ――よし!

 思わずガッツポーズをする。

 手に入れた時から見たことない色の丸薬だと思っていたが、これが体力の丸薬だったのか。

 一番良いのは攻撃だったんだけど、体力も低めではあるので確実に手に入る敵が判明したのは重畳だ。

 ……問題は一匹しか出ないので一日一個、他の冒険者が倒してたらゼロということもあるが、この先何回もあのダンジョンに潜ることになるだろうし、手に入る個数はそれなりに多いはず。


「じゃあ今日はお祝いにパーッとやっちゃいましょうか」

「ほう、今日はゴウの奢りじゃな?」

「お、オレもいいのか?」

「もちろん。後で皆で好きな物を買い出しに行きましょう」

「くふふ、久々に酒でも飲むか……」

「オレは肉がいいな……ゴウの焼く肉は美味しくていくらでも食べられる」


 こうして、それぞれのご馳走を用意するために皆で村に向かうのだった。




 結局夜遅くまで火を囲んで少人数の宴会を行い、そのせいで翌日は昼まで全員が寝ていたのだが……。

 まあ、たまにはこういう日もいいだろう。アネットとも大分打ち解けてきたし。

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