10 ペット加入。
わたしと晴香の前には木の上から猫が舞い降りる。
するとその猫は口を開いた。
「貴様ら、何をしにこんな奥地に来たんじゃ?」
「え?……ああ、わたしたちは……っておい!なんかナチュラルに話しかけてきたから普通に答えそうになっちゃったんですけどー?なんで猫から女の人の声すんの!?」
わたしが言うと、その猫は鼻で笑い
「状況把握がおそいの。」
と言う。
あ?
ペット風情で。
という気持ちを抑えつつ言う。
「で、なんで?」
「そんなものわしにもわからんな。猫だっていうのに人間の言葉が生まれつき宿って生まれとるんじゃ。それでいて猫後はわからん。そのうえ、不死ときた。神様というのも残酷なことをしたもんじゃな。」
そんな猫の言葉を聞き、いやな予感がするのは私だけだろうか?
「それはたいへんでしたね。」
晴香はそう言いながら肘でわたしをつついてくる。
うん、だいたい予想着いた!
どうせわたしの前の神が、「猫に人間の脳あげたらどーなるんだろー?はははは。」みたいなノリでやったに違いない。あの神、マジ使えねー。それどころか問題しか生まねーなおい。
まぁ、同じ神のやったことだし、償ってやるか!
「んじゃ、わたしたちと一緒に住まない?ペット欲しかったし。」
わたしの提案に
「貴様の家に住むのか、まぁ悪くない。ただペットじゃないからな!」
とのことらしい。
と、まあそんなこんなで家に一匹ペットを迎えることにした。
帰宅!
「ふっふっふ、わたしがその気になれば家に帰るなど造作もないこと!」
そう、さっき猫と出会ってから約十秒。
神をなめるなよ!
「ああ、そういえば愛美、帰宅部でしたしね。帰るのも早いわけですね。」
そう晴香は言う。
「そうそう、前世では帰宅部部長として『音速の帰宅神』と呼ばれたわたしだからね!」
「確かに、帰ろうとして愛美の席を見るとつい五秒前に授業が終わったにもかかわらず、そこにはもう姿はありませんでしたよね。」
なんて前世の話をしていると、
「貴様ら、いったい何なのじゃ」
と猫が。
わたしは躊躇なく
「え?異世界から転生してきただけの転生人だけど?」
と言う。
猫は若干驚いたものの
「長年生きていると、面白いこともあるもんじゃのう。」
と言った。
こうして日常に新たにペットが加わったのであったとさ。
ペットっていいですよね。
家族が増えるっていうかなんて言うか。
まぁ、私の家ではペット禁止ですが。




