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何とか6月中に更新できました。

 時間はビアンカとグローワの二人がスケルトンと遭遇する少し前まで遡る。


「おいおい、なんだよそれはよぉ!」


 目の前にいたのは可哀想な自分の為に使い潰される消耗品だったはずだ、それが突然だ。そう突然黒い『ナニカ』を体から噴出させ近くにいた魔術師の女を飲み込んだ。


 そのまま黒いナニカはこちらに目標を定めたのか、人の腕のようなものを伸ばしてくる。


「だから何なんだよ!それはよ!」


 声を荒げると同時に闘気を身体に身に纏う。闘気とは魔力と異なり生物が持つ生命力を戦いへと使う技術である。魔力と違い使い切ってしまうと生命活動そのものに影響が出てしまうため、使い過ぎて探索者の中にはそのまま死亡するものもいるが。


「こちとら十人前の認定もちだぜ!何だが知らんがぶった斬る!」


 すぐさま剣を構えすぐさま臨戦体制へとなる。片手には先ほど使った金属製の腕輪を構えるが先程とは違う存在だ。効果があるとは思えない。よって対処方法は武力による制圧を行う。


 生命力を闘気へ変換することで身体能力は格段に上昇する。上級者は物体にそのまま纏わせることで剣であれば切れ味や頑強性も上げることができるが、どうやらこの男はそのまでの技量を持たないらしい。


 ただ、それができたとしても一瞬で飲み込まれたのなら意味をなさないのだが。


 ※ ※ ※


 魔術とは空気中にある魔力を体内に取り込み保有魔力へと変換したのちに真言を唱え魔術として世界へと行使する。魔術の真言はどの色であろうが共通の言葉を使う限り効果は同じものとなる、もちろん特色を持つ真言を唱えるのであれば効果は別となる。


 しかし黒には他の魔術と共通する真言は存在しない。黒とは負なる特徴を持つため生命に対しマイナス方面の反応を起こす。よってこの場に黒の魔術を全身に纏う存在というものは生物にとって生命を脅かすのだ。


 生きるという正の方向とは逆向きなのだ、ただの生物に取り扱える代物では本来ない。しかし例外というものは存在する、それがこの彼だった。


「ああ、あああああ、、、あああ、、あああ!!!あ!あ!」


 声にならない声、意味伝わないただのうめき声。身体中に感じるのは黒魔術によるダメージ、ではない。


 先ほどの男が使ったものは『受刑者の首輪』本当の使い方は犯罪を行なったものに対し着用させることで、設定された行動例えば指定人物との一定上の距離を取るようにといった制限をかけ破れば痛みを与え再犯を防ぐためにの物品である。それを間違った使い方をしたため刑罰として受ける身体的負傷を先に受けてしまった。


 今は飲み込まれた男も痛みを受けながら何かをされる予想はできなかっただろう。人間は一定上の痛みに対して抵抗を行うことは稀である。しかもこの首輪による痛みは荒ごとに慣れている並大抵の探索者ですら従順になってしまうほどであるのは経験でわかっていた。


 しかしその痛みが彼の黒魔術の才能を開花させる呼び水となったのはある種の運命であったのだろう。


「あああ、あ、あ、あ、あ、あ、!!!!」


 痛みにより発現した黒魔術、本来は指向性を持ち定められた効果を発揮次第消えるものだが今現れているのは思考性を持たない魔力の塊だ。


「あ、あああ、!あ!ああ!」


 腕お振るい黒い魔力の周囲へと薪散らず。魔力触れた木々は一瞬で生命力を霧散させ葉は枯れた。


「うああああ、ああ、ううう」


 彼はただ痛みから逃れるために魔力を噴出させてるに過ぎない。ただの人であればそのまま自分の黒の魔力によって肉体が死へと向かうため、すぐに痛みを感じない死体へと変わることができたのだがなまじ才能があったため痛みを感じながら、決して傷は癒やされることはなく地獄が続く。


「あああああああ!!!!!!!!!」


 それは生物としての本能が察知したのかそれともまた別の何かによるものか、彼はほど近いところに別の生物の気配を感じ取った。


 彼は魔力を纏いながらその生物へと向かった。痛みをどうにかして欲しいからなのか、それとも黒の魔力によって正なる魔力を感知したからなのか。


 運命というものによる悪戯なのか、もしくは人の望みによる必然なのか。


 二人は出会う。

来月は更新頻度を上げていきたいですね。

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