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 探索者なんてクソッタレな生活、望んでやる奴は頭のどっかがおかしくなっている奴だ。

 

 少なくとも、深層と言われる場所に鼻歌まじりでいける実力があるならどっかの国に士官して働いた方が安定するし、命のやりとりもモンスターなんて探索する度に神経をすり減らす奴らの相手をするよりも人間の方がよっぽどマシだ。


 木の板を何枚か重ねただけの粗悪な盾、切れ味の悪くなったナタ。着ている服は革製の服ではあるが厚めになっており関節部分の硬さが出てしまうが、ちょっとした刃物ならば通さない程度の防御力を持つ。

 

 ナタは見様見真似でなんとか河原で砥石っぽい石を探して研いで使ってはいるがこれはあくまで自分の心を『武器を持っている』という安心感を得るためなのが大きい。


 そんな探索者としては下から二番目の『三人前』としての認定を受けているグローワは神域の浅い部分の探索を主とする人物だ。


 年齢は20代後半、探索者として10年以上神域に行く熟練者と言えるがそれは浅い部分以外に決して行かない故の安全をとり続けた結果とも言える。


 周囲になんと言われようと自分の命が一番大事なものだ。それはいくら魅力的な金額を積まれたとしても決して覆らない彼の価値観である。


 だから稼ぎは自分の体調を万全に整えるために使ってきたし、少ない稼ぎから探索するための道具には同じくらいの気を使っている。


 稼ぐための方法は神域での植物の採取が主となるため大仰な武器は要らないし動きにくくなり行動のたびに音がなってしまう金属の防具は必要ない。モンスターを見つけた時もまずは逃げることが最優先だから殺すための攻撃力は必要ない。


(なんでこうなった!俺はいつも通りの行動しかしていない!)


 そう、いつも通りのことだ。


 二日に一度の探索の休み明け。皮の服にガタがきていないかの確認や盾を裏打ちし補強する作業に1日を使ってしまったため休めという感覚はないが、探索をし金を稼がなければ狭いながらも自宅を維持できなくなり将来は野垂れ死だ。


 目標とする貯蓄額は後2年ほど同じ稼ぎを維持できれば達成もできる。達成できれば協会へ上納金を納め教官に就くことができる。


 新人の教官なら危険な場所へ行くことはないし、神域に潜れない年齢になれば後方での事務作業員としての仕事に就くこともできる。


 自分の様な流民の子では街にコネもないので働くことはできないし自分の体を使う以外での金の稼ぎ方を知らない、ならば自分の持っている資産である体を使い最大限の生存を目指した結果が探索者を取りまとめている協会への職員として働くこと目標とした。


 一つの場所で毎回採取を行うとそこでは採れなくなり別の場所を探す必要が出てくるという余計な危険を発生させてしまう。なので自分が採取する場所は決して誰にも教えないし、誰かがその場所を利用しない様にバレないように簡易的だが隠したりもした。


 そんな場所を15箇所ほど作り一回の探索で3つ回ることで二日分の食事代にできる。余った分は貯蓄に回し、たまにはの贅沢な食事に回すことができる。


(危険を限りなく失くしてきた。自分の力ではどうにもできない事柄には関わらない事を心情としてきた。なのになんで俺は中層のモンスターに追われなきゃならんのだ!)


 大事に手入れをしてきたナタはモンスターを目視した瞬間投げ捨ててきた。鉄製の武器の紛失は懐具合にも精神的にも多大な被害ではあるが、自分の命以上の価値はナタにはない。


 追ってくるのは中層の壁と言われるスケルトンソルジャー、スケルトンアーチャー、スケルトンメイジの3体。物理的な攻撃は効きにくいため倒すのであれば魔術を用いた対処を行うか武器に魔術を付与をさせる必要がある。


 壁と言われるのはその魔術的な準備を出来るかどうかになってくる。


 武器に魔術の付与をするためには付与が可能な武器の準備、付与をする魔術師への払う貯蓄をする必要がある。魔術師がいる集団なら倒すために複数の魔術を効率よく使用する為の技術身につけておかなければならない。


 その備えをできた探索者がより深い神域へと足を運ぶことを許される。そしてその備えをできないものは浅瀬となるか、浅瀬すらなれないものは物言わぬ死者となるだけだ。


 グローワは用意は出来たがそれを維持できない者であった。所属をしていた集団は何人かは死に何人かは諦めと共に故郷へと帰った。しかし帰る場所がない者もいた、その一人がグローワである。


 他の集団に入りそして行方不明となった者を見た。別の神域へと行き協会職員として生きていく事にした者とも話をした。自分と同じように浅瀬となったが食っていくことができずに姿を消した者も知った。


 だからこそ安全を優先し危険は避けてきたと言うのに!


 盾を背につけ、周囲への注意は最低限に走り逃げる、その後ろを人の形を象った骨が武器を持ち殺意を纏って追ってくる。カタカタと骨が軋む音で見らずとも互い距離をなんとなく把握することができているが、音は付かず離れずのまま後ろをついてきている。


 ここから出口までは距離がある。出口まで体力が持つかどうかは賭けになる、体力が持つとしても先ほどのように矢を射かけられたらまた運よく避けれるのだろうか。


(女神様!どうかどうか助けてください!)


 祈りが通じたのだろうか、走った先に見えた人影はこの最悪な状況を解決するに知りうる限りでもっとも相応しい人物のものであった。


拝読ありがとうございます。

Twitter始めました、某何某@tensei _syoukan

進捗をぼちぼち報告します。

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