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魅惑の果実は危ない香り  作者: デラぽん
8/12

真性のドジっ娘なんだねぇ…

騒がしくも楽しい朝食を終えたおじさんは、朝食の際は隣の椅子に座って食べていたのにも関わらず食事が終わったらすぐおじさんの後ろにくっついてくるコアラさんを苦笑いしながら見届けて支度を始める。


とはいえおじさんはお財布も携帯もなんにも持ってないんだけどねぇ。


おじさんのトレンチコートに関してはミレアちゃんが大体羽織ってるし…背丈が完全にあってないから大変微笑ましいんだけど…その状態で歩かれるとコートに宜しくないんだよねぇ。


まあ気に入ってくれてるならいいのかな?基本おじさんの後ろにくっついてるから裾がボロボロになる訳でもないし。


まあそういう訳でおじさんに支度する事は殆ど無く五分ぐらいしか必要じゃなかったんだよねぇ。


おじさんがそろそろ出るというとリゼちゃん達は玄関先まで見送りに来た。

いやはや、おじさん一人暮らしが長いから見送りってのもなかなか新鮮だねぇ。


「それじゃおじさん達は行くねぇ」

「また会いましょう」

「おじさん元気でね〜」

「今度料理教えて…ばいばい…」


三者三様なお別れの言葉を聞き家を出る、そしてその足で冒険者ギルドに向かう。


「あっ…しまったねぇ」


おじさんも多少は浮かれてたのかな、依頼の受け方を事前に聞き忘れてたんだよねぇ…これは受付の人に聞くしかないねぇ。


あと他にも必要な事があるならちゃんと聞いておかないとねぇ。

『無知は恥じることではない、恥じるべきは無知を無知のままにしておくことだ』ってまさにその通りだと思うし、いい格言だよねぇ。


最近の子はちゃんと出来てるのかねぇ?聞くのは恥ずかしいことって考えてる節があるしねぇ。


まあ確かに答えに関していえばちゃんと考えないといけないけど、ルールとかに関しては聞かなきゃ分からないからねぇ。


例えば報連相、社会人なら知っている人が大半だと思うけど、もちろんそれを知らない人も一定数いる。


それを『報連相ってなんですか?』聞くことは悪いことじゃあない略されてて、初めて聞いてそれを文字のように漢字で表記される訳でもないのに言葉だけで理解しろという方が難しいと思うからねぇ。


ただし何故報告をしなければならないのか?何故連絡しなければならないのか?何故相談しなければならないのか?に関しては考えさえすれば分かることなのにそれを他人に聞くのは思考を放棄してるよね?って事だねぇ。


だけどこれも間違えちゃいけないのは、本人はそうだと思っても周囲は違うと思っているかもしれないということ。

それが例え本やデータにそれが答えだと載っていたとしても、その認識が本当に正しいのかと周囲との齟齬を質する為に問うのが質問であり聞くという事だとおじさんは思っているんだよねぇ。


「何言ってるか…分からない…」

「あはは、ミレアちゃんには難しかったかなぁ?」

「ミレアは…子供じゃない…大人…」

「じゃあおじさんにコートを返して自分で歩こうねぇ?」

「スキンシップが…好きなだけ…だから大人…離れる事は…ない…」

「随分と大胆なスキンシップだねぇ…それに離れる気は無いって断言されちゃったよ…」


確固たる意思を背中からひしひしと感じるねぇ…おじさんの背中はゴツゴツしててあんまり居心地は良くないと思うんだけどなぁ。


おっと、そんなことをしている間に冒険者ギルドに着いたねぇ。


タイミングがいい事に暇そうにしてる受付嬢さんもいる事だし、早速さっきの考えをミレアちゃんの為にも実践してみようかねぇ。


「すいません、ここのルール教えてもらえますかね?」

「…」

「もしもーし?」

「…」


あ、あれ?これは…


「寝てる…」

「だよねぇ…」


業務中の居眠りって凄いなぁ、おじさんビックリだよ…確か受付嬢ってその会社…ギルドだけど言っていいのかな?


うーん…


ま、まあそれはともかくお客や他企業の方が来た時によく見せる為基いい印象を持ってもらう為に設置される人達だよねぇ?


まあ説明とかもするけど、こういった目的もあったはず…それが寝てるって大丈夫なのかなぁ?


そんなことを思っていると受付のさんの後ろから厳ついオーラのある人が歩いてくる。

というか凄いなぁ…こんなにガタイが良くて骨格もしっかりしている人を地球で見た事がないねぇ。


やっぱり戦う事が多いこの世界ではそういう風に身体が進化していったのかな?筋肉の付き方が地球のそれとは一線を画しているねぇ。


おっと、おじさん細マッチョだから羨ましくてついつい観察してしまったねぇ。


「ゴラァ!オメエまた寝てんのか!さっさと起きやがれ!」


ガンッ!


「うぎぁ!?」

「うわぁ…」


今頭から鳴っちゃいけない様な鈍い音がしたよ…おじさんは絶対このゴリマッチョさんには逆らわないねぇ。


「ギ、ギルマスぅ…なんですかぁ?どうせ私の所になんて誰も来やしませんよぉ…書類はめちゃくちゃにするし…すぐコケるし…どうせ私なんて…ふ、ふふ」


おっとこの受付嬢さんはドジっ娘さんなんだねぇ、自分で言ったのに何故かダークサイドに落ちそうになってるよ…

背後から薄暗い気配が出ちゃってるよ。

おじさん話を聞く相手を間違えちゃったかなぁ?


「お、おう…とりあえず落ち着けネメア…オメエに客が来てんぞ」

「お客…?ふ、ふふ…どうせ私にお客ってアレでしょ?私の身体目当てなんでしょ…?知ってますよ…私何度路地裏に連れ込まれそうになったと思ってるんですか…?ふふふ…どうせ私は身体がいいだけの女ですよ…娼婦でもないのに…うふふふふふ」

「えぇー…」


やばいよ…こんなに強烈な性格の娘初めて見たよ…いや、確かに黒髪ロングな美人さんで身体付きもなかなかいい物をお持ちだとは思うけど…おじさんはそこまで節操なしでは無いかなぁ…

とりあえず、後ろで引いてるギルマスと呼ばれた人は諦めたらしい。

いやこれ以上何か言っても勝手にダークサイドに堕ちていくのは誰の目からも明らかだしねぇ…


「あー…ネ、ネメアちゃん?おじさんはただここのルールが聞きたかっただけなんだけど…?」

「ふふふ…へ?そうなんですか?なんだぁ〜それならもっと早くに言ってくださいよぉ〜」

「オメエが勝手に堕ちただけだろうが…」


やれやれと首を振るギルマスさん。

おじさんもギルマスさんの言う通りだと激しく同意かなぁ。

まぁそんなことをしていたらいつまで経っても進みそうに…


「あ、それによく見たら後ろに幼女くっつけてますね!なるほどロリコンさんですか!」

「グハッ…!」


おじさんは酷く傷ついたんだよねぇ…別にロリコンじゃないんだよ…ミレアちゃんが背中から離れないだけなんだよねぇ…


「オメエ初対面の相手になんてこと言ってやがんだ馬鹿!」

「うぎゃ!だ、だってそんな背中に幼女くっつけてる人なんて冒険者で見た事ないですよ!」

「ははは…」


そうだよねぇ…おじさんもその言い分は非常に良くわかるんだよねぇ。

逆にそんな人見たら明らかに幼女好きの変態さんにしか見えないよねぇ。


「いいじゃねえか別に…んな事気にすんな。そんなこと言ったら周囲にAランク『女傑』共3人をたぶらせながら来た奴がいたって話しじゃねぇか?」


あれぇ…おじさん凄く嫌な予感がするんだよねぇ…


「あ〜そういえばリーゼロッテさん達と馴れ馴れしく喋ってるおっさんが居たって話は聞きましたねぇ…あの人達ギルドでも男女共に人気高いのによくやりますよねぇ?まあ私は寝てたので見てませんが…うぎゃ!」


やっぱりそうだったかぁ…いや確かにリゼちゃん達は確かに女傑と言われても納得の美人集団だけど…やばいこれは…一緒の家に泊まったなんて言えばおじさんは死ぬんじゃないのかな…まあ言わなければ大丈夫だよねぇ?

それにしてもネメアさんはあんなに殴られて大丈夫なのかな?


そんな心配を他所にギルマスさんはドスの効いた声で無慈悲な宣言をする。


「おい…辞職させんぞ」

「や、やだなぁ…冗談ばっかり〜わ、私ここで働けなくなったら本気で娼婦になるしかないんですから…いやホントやめてください」

「じゃあしっかりやれや」

「うぅ、わかりましたよぉ…えー、おじさんは…うぎゃ!「あん?」…ひぃぃ…ご、ご主人様はどのようなご要件でしょうか!?」


ご主人様って…おじさんは呼び方なんて気にしないけどねぇ…


「あー…おじさんは玲緒奈っていうんだよねぇ、よろしく」

「ぷふっ…レオナって女みた…「(ギロリッ)」…ひょわ!?レオナ様のお名前は大変素敵です!よろしくお願いしますぅ!!」

「あ、うん…そ、それでルールについて聞きたいんだけど…大丈夫かな?」

「だ、大丈夫です…レオナ様」

「…おじさんって呼んでも気にしないんからね…もしくは玲緒菜さんでも」

「ありがとうございます…レオナさん」


いやぁ、ギルマスさんの威圧が凄すぎて地震でも起きてるんじゃないかってぐらいネメアちゃんが震えちゃってるからねぇ…流石に見てられないかなって。


「えっと…ルールの説明でしたっけ…何を聞きたいんですか?」

「んーギルド内での決まり事と依頼の受け方、その契約方法それと放棄した場合のデメリットかなぁ?」

「なるほど、わかりました」


そういうとカウンターの下から表紙に『ギルドに関する全て』と書かれたかなり分厚い本を取り出すネメアちゃん、いやぁ本当に分厚いねぇ…ハリーな魔法使いの本の三倍ぐらいあるんじゃないかなぁ?


それを手馴れた手つきで捲りながら説明を始めた。


「えーと…まずギルド内での決まりは『ギルド内での争いを禁ず』と『受付嬢への暴行、暴力を禁ず』と『権力を使っての横暴を禁ず』で…あれ?『受付嬢の失敗は暖かい目で見守る』…?こんなのありましたっけ?」

『ゴホッゴホッ…!』

「あ、うん…まあ書いてあるんだから元からあったんだろうねぇ」

「うーん…」


これは…そういう事だよね?


首を傾げているネメアちゃんと周囲で聞いてしまって咳き込む冒険者達を他所に小声でギルマスに話しかける。


「あの…」

「ああ…俺が『1年前』に付け加えた」

「やっぱりですか…因みにネメアちゃんは何年程…?」

「…今年で6年目の22だ」

「…お疲れ様です」


6年も働いてたんだねぇ…今まで耐えてるギルマスさんも凄いけど、きっとネメア真性のドジっ娘なんだねぇ…

ドジっ娘っていいですよね!

リアルでやられると嫌ですが…()


因みに本日も三話更新です。

思った以上にやる気に満ちていましてねぇ…うーむ

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