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魅惑の果実は危ない香り  作者: デラぽん
3/12

年相応なんだねぇ?

森の中ではないとはいえ、子供(年齢不定)と一緒にいる訳だし魔物も出るかもしれないこの状況でおじさんは寝るわけも行かず徹夜を覚悟したんだけれど…


「流石に二十代みたいにはいかないよねぇ…」


草むらの上で気持ちよさそうに寝ているミレアちゃんを見て欠伸をしながら独り言ちる。

一応神様で今の季節は分からないけれど寒くはないので問題はないのかもしれないけれど、絵面的にちょっと心配なおじさんは愛用のトレンチコートをかけておく。

その横で腰をかけタバコを咥えながら夜空を見上げる。


「ふぅ…星の位置が全然違うねぇ…それに月も見当たらないねぇ…」


勿論、新月という可能性もあるけれど…赤や青の恒星しか見当たらないから恐らく無いんだろうねぇ。


………


「うーん、流石に眠くて豆知識も出てこないねぇ…考え事をしてれば寝なくて済むかと思ったんだけれどねぇ…」


はぁ…おじさん若い頃は結構スタミナあったはずなんだけどなぁ。

海に行ったら小島まで泳いだりとかしてたし、自転車で日本一周旅行もしたりもしたんだよねぇ。

んー、懐かしいねぇ。

確か一周旅行の時、あんまりお金もってなくて寝る時は基本野宿だったんだよねぇ…公園とかにある椅子で朝まで寝てたりしたよねぇ。

翌朝身体がバッキバキだったのは流石に堪えたけれど、有り余る若さで直ぐに治って普通に活動できたりしたしねぇ。


おじさん、これでも若い時は恋人がいたんだよ?モテモテとまではいかなかったけれど、キャンプとか釣りとか一緒に行ったりしていたんだけれどねぇ…


「おーい」

「ん?」


あちゃぁ…おじさんいつの間にか寝ちゃってたんだねぇ…日が完全に登っているよ。


「おーい!」

「あー、ごめんねぇおじさん朝が弱くてそこまで大きい声出さなくても聞こえているから落ち着いてくれると嬉しいんだよねぇ…よっこらせと」


んー、目覚めた後背伸びをついついしてしまうのは何でなんだろうねぇ…目覚めたって感じがしておじさんは好きだけど。


「それで、お嬢さんはどちら様かな?」

「それは私が聞きたいけど…私は冒険者をやっているリーゼロッテ」

「んーなるほど冒険者さんかぁ…おじさんはまぁ玲於奈っていうんだよねぇ…おじさんでも名前でも好きに呼んでくれればいいからねぇ」


とりあえず握手…よろしくねぇ。

しかし、今度は紅蓮みたいに真っ赤な目と肩まで伸びた綺麗な髪だねぇ。

いやぁ、事前に聞いてたとはいえ染めたのとは明らかに違う髪のツヤをしているから本当に不思議だよねぇ?


しかし冒険者さんかぁ、確かに地球とは違って胸当てとか付けてるし目付きが少し鋭いねぇ…この子の元々がキリッとした感じだったのかもしれないけど、それだけにしては…立ち姿を見ても普通の人ではないんだろうねぇ。


「それで…リーゼロッテちゃんはどうしておじさんに話しかけてきたんだい?」

「リゼでいいわ、こんな森の前で何の装備もせず寝転がっている二人組を見たら声を掛けると思うけど?」

「そう言われちゃうと確かにそうだねぇ」


ついつい陽キャラと呼ばれる誰にでも話しかける系の人かと思っちゃったよ。


「そうだねぇ…何でここにいるかと言われると…人里を目指してウロウロしてた結果と言うべきだねぇ」

「…流浪者と言った所かしら」

「そうなんだよねぇ…良ければ街か村の場所教えてくれると嬉しいんだけれどねぇ」


おじさんここに来て一日目だからとは言えないよねぇ…明らかに怪しまれる…いやもう怪しまれているんだけれど、これ以上変な事言ったら面倒そうだからねぇ。


「なら丁度いいわね、私達も今から街に戻る最中なのよ」

「それは好都合だねぇ…私達…?ああ、森の中から見ている二人の事かなぁ」

「「っ!」」

「…気づいていたの?」

「いやいや、おじさんは少しだけ耳がいいだけだよ」


ちょっとしたおじさんの特技…のようなものなんだよぇ。


「んん…レオナ…」

「おや、起こしちゃったねぇ」

「大丈夫…おんぶ…」

「ミレアちゃん寝惚けてるよねぇ?」


そんなことを思いつつもトレンチコートを羽織らせたままおんぶをしてあげる。おじさんは優しいおじさんだからねぇ。別に子供が好きだから甘いというわけじゃないんだよねぇ。

子供には子供用の、大人には大人用の優しさというものがあるんだよねぇ。

そんなことを思っていると森から先程の二人が出てくる。


「いやぁ、ごめんね〜怪しさ満載の人だったから様子見してたんだけどバレちゃってたか〜」

「隠密は結構得意なのに悔しい…」

「おじさんにバレたくないなら心臓止める位しないとダメだからねぇ」

「「「それは無理」」」


あっはっはっ、そうだよねぇ、おじさんもそんな事出来ないからねぇ。いやぁ異世界ならできる人居るんじゃないかなぁって思ったんだけれど、やっぱり無理なんだねぇ。


「とりあえず自己紹介するね〜、シャレムって言います〜シャリーって呼んでください〜、おじさんよろしく〜」

「私はフィオナよろしく…」

「んーよろしくねぇ、シャリーちゃんとフィオちゃん」


今度はセミショートの青空色の髪だねぇ、目も同じ綺麗な色をしているよねぇ。寡黙少女なのかな、あんまり喋らなそうだよねぇ?

シャリーちゃんはベリーショートだけど髪色には安心するよねぇ、茶髪で安心できるってなんだろうねぇ?目の色はちょっと安心できない淡い赤色をしているけど。活発そうだよねぇ。

まぁそれはともかくちゃんと二人にも握手をする。こういう所はしっかりしておかないとねぇ。

おじさんあんまり見た目が宜しくないから、こういう所で悪いおじさんじゃないアピールしておかないと変な誤解されちゃうからねぇ。うんうん。


「それは…髪が…長いせい…」

「いやぁおじさん髪切るのあんまり好きじゃないからねぇ」

「前髪を…後ろに…持っていけば…イケおじ…」

「分かって言ってるよねぇ?」

「もちの…ろん…」

「ん、んん!…それで、貴方身分証とか持ってる?」


露骨な咳払いをして注意を引くリゼちゃん。ミレアちゃんと少し喋りすぎちゃったねぇ。


「いやぁ、この通り身分証どころかお金すら持ってないんだよねぇ…おじさんこの歳で無一文なんだよねぇ…しくしく」

「貴方は働かなくていいの、貴方はそこにいるだけでいいの全部私がしてあげるから」

「束縛系だねぇ…」

「べ、別にレオナのために働いてあげてる訳じゃないんだから、ちょっとお金に余裕が出来たから恵んであげてるだけなんだからね」

「今度はツンデレさんかぁ」

「喋りすぎた…疲れた…」

「よしよしお疲れ様」

「でも…タバコは…あげる…」

「それは助かるんだよねぇ」


タバコを咥えるとミレアちゃんが火をつけてくれる。魔法は便利だねぇ。


「ふぅ…いやぁやっぱりタバコはいいものだねぇ」

「肺癌リスク…無い…タバコ…創った」


おや、そんなものを作ってくれたんだねぇ…おじさんの健康の為に嬉しい限りだねぇ。

あ、因みにだけどタバコの吸殻はちゃーんと、携帯灰皿に入れてるんだよねぇ。

ポイ捨てダメ絶対、マナーは守るためにあるんだよねぇ。


「「「…」」」


おっと、脱線しすぎちゃったねぇ…三人の冷たい視線がおじさんに刺さってるよぉ。


「あっはっはっ、ごめんねぇおじさんついつい脱線しちゃったよ」

「…」

「何か言ってくれないとおじさん寂しいくなっちゃうよねぇ」

「何か…」


とんちが返ってきたよねぇ…ミレアちゃんは優しい子だねぇ、よしよし。


「…話を戻していいかしら?」

「はい、お願いします」

「私の旦那が…すみません…」

「「「えっ?!」」」


おっとその冗談はおじさんがかなり危険なんじゃあないかな?ほら、クール系なフィオちゃんが小声で『ロリコン…?』とか言っちゃってるから。


「ぶい…」

「おじさんに対する世間からの目が冷たくなっちゃうからやめてねぇ…話が進まなくなっちゃうからねぇ」

「なるべく…善処するかも…?」

「そこはしてほしかったかなぁ」


誤解だからねぇ、そんな犯罪者を見るような目はしないでほしいかなぁ。


「ま、まぁそれはいいとして身分証がないと街に入れないけど、どうするの?」

「それは困ったねぇ…」

「冒険者になれば入れる…」

「便利だよね〜」


冒険者かぁ…もうちょっと若ければ剣と魔法で最強に!とか目指したかもしれないけど、歳だからねぇ。


「脳内イメージ…かなり…酷い…」

「おじさんに絵心はなかったねぇ」

「棒を振り回してる棒人間と…謎の生物…」

「その生物は猪をイメージしたんだよねぇ」

「…なるほど…」


まぁおじさんの絵心は今は必要ないからねぇ。


「ああ、冒険者って言っても魔物と戦うだけじゃないわよ?」

「おや、そうなのかい?」

「ええ、確かに冒険者は魔物退治をやる人は多いけれど、薬草の採取とか後あんまり人気はないけれど街の雑用をしたりするわ」

「雑用…例えばゴミ掃除とかかな?」

「それもあるけど他にも店番とか珍しいところだと家の修繕もあったりするわね」

「アルバイトみたいだねぇ…」

「アルバイト?」

「こっちの話だねぇ、しかし家の修繕ってそこまでの技術はないけどいいのかねぇ?」


あんまり下手な修繕すると逆に崩壊したりしちゃいそうなものだけどねぇ。


「まぁ修繕って言っても屋根に木の板打ち付けたりするぐらいよ、孤児院の屋根の修繕とかね」

「なるほどねぇ…」


屋根の修繕費を出すお金が無いから、力仕事が得意な冒険者に低価格でお願いしてるんだねぇ。

いやぁ、世知辛いねぇ…時代的には中世ぐらいなのかもしれないねぇ。


「まぁ、それならおじさんでも出来そうだねぇ」

「じゃあ、早速向かいましょうか?」

「れっつご〜!」


そう言うと街がある方向に向かって歩き出すリゼちゃんとシャリーちゃん二人。

フィオちゃんはおじさんを首を傾げながら見ている。


「…」

「フィオちゃんどうしたのそんな見つめられてもおじさん困っちゃうなぁ」


じーっと無表情で若い女の子に見られるとおじさんドキドキしちゃうよねぇ。


「むぅ…」

「…ミレアちゃん冗談だから頬を引っ張らないで欲しいなぁ」


いててて…おじさんもう若くないから治り良くないんだよねぇ。


「それでどうしたのかなぁ?」

「おじさんの強さが分からない…」

「それはおじさん強くないからねぇ…」

「そう…」


ありゃ、納得してなさそうな顔だねぇ。まぁそれも仕方ないことだけれど…

そうだねぇ。言えることがあるとするなら…

小声でフィオちゃんに少しだけ答えを教える。


「おじさんは弱いけど強いとしかまだ言えないかなぁ」

「詳しく…」

「それは秘密だねぇ…今はまだねぇ」


その時でもないし、無いならないでいい事だからねぇ。


「分かった…」

「あっはっは、そんなに膨れちゃ美人顔が台無しだよ?」

「膨れてない…」

「そっかそっか、じゃあおじさんの勘違いだったねぇ」


なかなか可愛らしいところもあるもんだねぇ、やっぱり冒険者をやっていても年相応なんだねぇ?

言い忘れてました誤字脱字あれば報告をお願いします!

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