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7 ボクとおでん屋のおばあちゃんとおじいちゃん


時空を超え、どこか遠い銀河の彼方で起こった事件は、トイレですやすや眠るおバカさんには知るよしもなかった。


ドンドンッ!


その音は、時空を超えて衝撃が響き渡る・・・わけではなく、誰かが必死にトイレのドアを叩いてる音だった。


ボクは夢見心地でその音を聞き、むくりと起き上がった。何かあごがじんじんするけど・・・まぁいいや。


「・・・おや?ここはどこかな?」


ドンドンドンッ!


寝たぼけた頭に響くドンドン音。

また聞こえるよ・・・なんだろね・・・


・・・・あぁ、そう言えばナギサとトイレにいたっけ。


ドンドンドンドンッ!


「誰かぁ!いませんか!開けますよ!」


扉の向こうから声が聞こえる!


ヤバい!トイレじゃん!


どのくらい居たのか分からないけど、取り敢えず出なきゃっ!


ボクは慌てて「開」のボタンを押した。すると自動ドアが扉がウィーンと開き、夕日の赤い光がトイレに差し込しこんだ。


薄暗くなった外ではちょっとした人集りが出来ていた。みんな心配そうな顔をしてボクを眺めている。その中の一人のおじさんががボクはに声を掛けてきた。


「おい坊主、そんな所で何をしてんだ?寝てたのか?」


「えっ?坊主?ボクのこと?」


「坊主以外に誰がいる?」


えー!ボクに向かって坊主とは失礼だな!でも今はそれどころじゃ無いよね。トイレ立てこもり事件の真犯人だからね、ボクは。


「すみません、すみません。実は寝不足気味で、ついウトウトしてました」


ボクの苦しい言い訳に対して、オジさんは納得するようすはなかったが、臭いトイレで寝る変なヤツとは関わり合いたくなかったのか、あっさり引き下がっさた。


「あんまり人騒がせな事すんなよ。それと、ちょっと臭うぞ・・・」


そしてオジさんの最後のその一言で、ボクは何かとても大事な事を思い出した!


・・・そうだった!おしっ・・・汗!!かいたんだった!


「あっ・・・それでは失礼します!ご迷惑、おかけしました!」


ボクは逃げるように、そそくさと駆け出した。


空では機械仕掛けの目玉はギョロギョロしているし、お空はヒビだらけ。やっぱり夢じゃなかったんだ!でも今は一刻も早く家に帰ることが先決だ。ボクの一大事だからね!


ボクの自宅はここから歩いて10分くらいの閑静な住宅街にある、こじんまりとした二階建てアパートの二階の端っこ。


カンカンカンと音を立て階段を駆け上がり、自宅へ戻ると、兎にも角にもシャワーを浴びた。汗いっぱいかいたからね!汗いっぱい!


─── スッキリタイム ───


シャワーを浴びて、すっかりきれいさっぱりしたボクは、鏡の前で体のあちこちを確認してみたけど特に変化はない。そこでそっとステータスと念じてみる。


名前 ٩(๑•ㅂ•)۶

Lv1

職業 パートタイム

力・・・・8

敏捷・・・12

守備・・・7

知力・・・5

体力・・・10

魔力・・・6


HP・・・101

MP・・・10


スキル

認識阻害 (小)

ギフト


魔法

未確認


称号

■ ■ ■ ■ ■♪

マナに祝福されしもの



でた!やっぱり出た!


やっぱり夢じゃなかったんだ!

それからマップに切り替わるように念じてみる・・・

するとマップに切り替わりミナモが印した目印が示された。

目的の場所は街の駅前商店街。この街には大きなショッピングモールがあるんだけと、商店街も対抗心をもやしてるせいか、なかなかどうして、健闘しているんだよね。ボクはそこで時々おでんの練り物を買うんだ。手作りはやっぱり違うんだよ!歯応えもあるし味もしっかりあって、お出汁がよく出る。


地図はそんなおでん屋さんのすぐ近くの古い雑居ビルを示していた。


これはラッキーだな!鑑定士さんにはおでんをお土産にしよう!ふふっ、きっと喜ぶぞぉ!


・・・それにしてもこれは便利だよ!これでもうマップアプリを開く時にイライラしたりしないね!これだけで充分だよ!


だからと言って、それが世界を救うための何の解決になるのだろうか。おバカさんは事の重大さを理解していなかった・・・


そもそも真っ裸で何をしているんだ!さっさと服を着なさい!


びくっ!


なになに?急に声が聞こえたような気がしてびっくりした!

ボク慌てて胸を隠しながら、お空の目玉の様にギョロギョロした。

・・・そう言えばナギサの言っていた時空の干渉の影響あるかも。時空を越えて覗きなんてなんて事だっ!


「全く油断も隙もないなー」


ボクはそう言いながら有名な黄色いくまさんのパジャマに着替えた。


とにかく明日はおでん屋さんを目指そう。


話はそれからだ!


ボクは夕食を済ませ寝る支度をした。流石に何だか疲れたよ。


それからお布団に入り電気を消した。


ふふっ、この瞬間だたまらないんだよなぁ・・


・・・・・・


・・・天井を見上げながらあの星空を思い出す。ミナモ、早く来てくれるかな。何か妹が出来た見たいでボクはうれしいよ。かわいいしね!

・・・それと、ナギサ!あのまま帰っちゃうなんてさ、全く薄情だよね。一体どこに行ったんだろ。時間が無いっていってたけど。

・・・でもナギサには謝らないとね、苦労して集めたグチョグチョグリーンスライム無駄にしちゃったからね。


・・・まぁ、いいや。


それじゃあ、お休みなさい。



翌朝





・・・・世界が終わっていた。













ということは無く、できるだけ早い時間に起きて、朝食を簡単に済ませたボクは、おでんの練り物屋さんに向かった。

なんて言ったって、冒険の初日だからね。気合い入れないと!それに紅しょうが入りの練り物は人気ですぐに売り切れになっちゃうからね!


「いってきまーす!」誰もいないけどね。


────


外に出ると、何かおかしな事にボクは気付いた。街はいつもと同じようなんだけど、ときどき、モヤモヤとした影とすれ違う。例えば電信柱の影かと思ったら、太陽と関係のない方へ延びていたり、陽炎かと思ったらウロウロしてどこかへ行ってしまったりする。ボクは何だか怖いから、なるべく避けるけど、普通の人たちにはどうやら見えなようで踏みつけたり、ぶつかったりしている。その度にモヤモヤは霧散して消える。


「変なのっ!」


お空には機械仕掛けの目玉と亀裂、地上にはモヤモヤ影。


・・・そしてボクの中には1万匹のグチョグチョグリーンスライムが!


・・・昨日までは考えられなかった。


世界はたった1日あれば十分変わってしまうこと、そして、一度変わったモノは元に戻らないことも何となく理解してしまう。


だとしても!おでんの味は変わらない!


ボクはそう祈った。


────


商店街のおでん屋さんは昭和で時間が止まっているかのようなレトロ調な雰囲気を醸し出し、ショーケースには練り物がきちんと並んでいた。その隣ですぐ食べられるようにグツグツ煮込んだおでんもある。

奥ではおじいちゃんが巨大な練り物をちぎり分けている。


ボクがグツグツ煮えるおでんをジット見ていると、声を掛けられた。


「今食べてく?練り物だけ?どっち?あっこれ、まだだからね。昔はこーゆー店いっぱいあったんだけとねぇ。ずいぶん減っちまったよ」


いつものおばあちゃんだ!すごい早口でお客さんを追い出す勢いで畳み掛けてくるんだ。


「今日は銀杏入もあるよっ!ばくだんも作りたてだよっ!」


と、おじいちゃんも奥から顔出し、合いの手を入れる。


ボクを置いてきぼりにして、二人はどんどん

話し出す。というかお互いが一方的に話しているだけで、噛み合ってない。初めて来た時、ボクはタジタジしていたけど、今は知っている。


これがヤツらのやり方なのだ!!


お客をタジタジさせ、ときどき隙を狙ったかのように注文を聞いてくる。そのペースは絶妙でいつの間にか沢山注文をしてしまうのだー!それからおばあちゃんは慣れた手つきでパチパチとそろばんを弾く。比喩ではなくホンモノのそろばんのことね。


そんなわけで・・・


・・・またしても完敗してしまった。いっぱい買っちゃったよ。でも美味しいからいいのさ!


「毎度ねっ!」そう言っておばあちゃんはボクを見る。


ボクも笑顔で手を振り、自宅へ急ぐ。


・・・・違うだろ!帰っちゃダメなんだ!危ない危ない。おばあちゃんとの攻防戦の余韻でうっかり忘れるとこだった。


────


ビニール袋に入ったアツアツのおでんを片手に、ボクは雑居ビルに向かう。おでん屋さんに向かう時に既に通り過ぎていたから迷わないよ。古ぼけて年季の入った雑居ビルだ。エレベーターはない。


・・・間違いない。ここだ。見上げると雑居ビルの上に、空から下に伸びた亀裂がある。恐らく中を貫通しているのだろう。


実はこの下に伸びた亀裂はそう珍しいものではなかった。遠目に見てもいくつか確認できたので、この雑居ビルが何か特別ということでもないらしい。まぁ、特別古臭いけど。


ボクは建物に入った。いくつか何かの事務所は入っている様だが、階段や廊下は静まり返っている。階段を上がり4階に差し掛かった時、亀裂が見えた。ごく普通の壁に亀裂が入っていたのだ。


ミナモの言っていた場所は多分ここだ!直感がそう言ってる。


ボクは亀裂をじっと見ながら、おでんの袋から牛スジを取り出し、モグモグ食べた。


うん!これこれ!トロトロに柔らかく煮込んである!牛スジはちょっと高いことがたまに傷。


・・・もちろん食いしん坊なわけじゃないよ!ボクには作戦があるんだからね!


それからボクは食べ終わった串をポイッと亀裂に投げ入れた!


ほれ!喰らうが良い、世界の敵め!


・・・・・・


投げた串はしばらくすると、亀裂からポイッと投げ返され、戻ってきた。どうやら向こう側の繋がっているらしい。


ボクは念のため、もう一度投げ入れてみた。


ボクがまじまじと亀裂を見ていると、今度は串の変わりに、何かが物凄い勢いで飛び出してボクの額にすこーん!と当たった。


「いっ、痛ひ・・・」ちょっと涙目になる。


コロンと落ちたものを拾ってみると、何かのネジだった。


・・・どうやら壁の向こう側には人がいるらしい。そして怒ってるかも・・・


大変だ!謝りにいかないとっ!


ボクは意を決して亀裂に入り、人類史上で初の時空を越えるという偉業を成した!


・・・・おでんと共に。


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