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50 VSソードガーディアン!


穂積黒幕説というバカバカしい妄想を2秒で忘れ、戦いに集中するボク。だいたい頭が取れるくらいで壊れるロボットだったら最初から頭いらないじゃんねー。急所はやっぱりあのコチコチ硬そうなお腹だと思うよ!


あそこにドカンだ!


────


・・・地獄の決闘場に奏でられるは、ドクン、ドクンと鳴るボクの鼓動。そしてそれはロボットのエンジン音と重なり全身を駆け抜ける。心が勇み立ち、背筋から震えを感じる。すると、凛とした気持ちになり眼には隙を窺う獣のような集中力が満たされてゆく。


三度間合いを取るヒトとマシンは次なる攻防待ち望んでいた。



・・・頭が吹き飛んだとはいえ、ガーディアンの凄まじい攻撃力には以前変わりがない。だけどこれまでの敵と比べると明らかに動きがトロイことが致命的。つまり相手の動きを見てしっかり対応すれば「魔獣格闘技」の使い手となったボクに倒せない相手ではない。


と思うよ・・・



束の間の睨み合いを破ったのはやはりガーディアンだった。突然左手の手甲がギギギッと動き、ボクへと向いたのだ!


来るぞ!またミサイルか!?


その刹那!


シュパンッ!!


軽い音と共にミサイルは放たれ、雲の筋を引き一直線にボクへ向かってきた!


「ミサイルッ!!」


ボクは体内に蓄積された気力を解き放つかのように叫び、自分の中のスイッチをカチリと切り替えた。それはパイルバンカーをシールド変形させる合図でもあり、同時に迫り来るミサイルを回避するため空へと駆け昇った。


過ぎ去るミサイルの雲の筋はまるで、これを辿ればガーディアンへ辿り着くと示す道標のよう。

でも、そんなものは自分が作り出した幻想に過ぎず、実戦はもっと冷たく無機質なものである事を背後から迫る殺気が告げていた。


「先輩!ホーミングミサイルです!」


・・・え?


それに視線を向けると、ゴォォォー!と近づいてくるミサイルが目に入った。でも、速度はそれほど速くない。


なるほどそういう事か。


この手のミサイル攻略は結構出尽くしているからね。


早速ボクは、追ってくるミサイルを地上にぶつけるためにロボット脚への魔力供給を断ち自由落下、地上に降り立った。


ほいよ!これで安心!


スタッと着地し、爆発に巻き込まれまいと距離を取りると、何と!地面へ直滑降したミサイルは激突ギリギリでクンッ!と曲がりボクにせまるではないか!


しつこいナ・・・


それならば!ボクは追ってくるミサイルを迎撃するために水弾を放った!


数発の水弾が迎撃の任を受け、ミサイルに襲いかかる!


ミサイルはそんな水弾を確認するや否や、無駄のない動きで華麗に回避し追撃を続けた!!


えーーーー!!!そんなのズルくない?!!


一体どうすりゃいいのさ!?


こりゃ地獄の鬼ごっこ再来だよ・・・


─────


穂積はとてつもない精密さで追尾するミサイルを観察していた。


あれは何を根拠に追尾しているのだろうか。体温か?それともマナに反応しているのか?いずれにせよ精密すぎる。まるで事前に動きを察知しているかのようだ。


その精密動作は精霊弾をもってしても真似ることは出来ないだろう。加えて、速度もロボット脚を装備した先輩だからこそ逃げ切れているかもしれないが、普通に考えたらかなりの速度と持久力だ。


全くチートミサイルだ・・・


心の中で悪態を付きながらミサイル観察をしていても何も分からない。そこで彼は視点を改め観察対象をミサイルからガーディアンに移した。そしてこの冷静かつ柔軟な思考が穂積の最も得意とする事であった。


頭部のないガーディアンは、アイドリングの振動で小刻みに揺れ動くことはあっても、この絶好の機会を活かそうと何か行動する気配はない。


それが何か不自然に穂積には思えた。


加えて、ミサイルの発射口である左手甲の一部がチカチカと緑の点滅を繰り返している・・・


超精密誘導に加えこの勝機に何も行動を起こさない。そして点滅信号。


信号・・・


なるほどリモコン式か・・・


であれば、先輩が吹っ飛ばされる前にやれる事がある!


穂積は覚悟を決め矢筒から1本矢を取り出しカタパルトで狙いを定めた!


つまんだ矢にありったけの魔力を込めると同時に願いも込めた。


無属性・・・つまり、純粋なエネルギーであり、それは・・・体内エネルギー!


つまり、新たに宿った魔力とカロリーの融合をマナに願えばいい。


すると穂積は手に温かみを感じ取り、それは光となった。その光は矢に伝わると、穂積はこれが属性付与である事を本能的に理解した。


頼む、成功してくれ!!


そして、細い目をさらに細くして狙いを定め、銀の矢を放った!


届け!!


────


キラリと輝く矢が放たれるのがボクの視界に入った。


ん?アレは穂積の矢だな!でも残念だけどパイルバンカークラスじゃないと通らないからね。悪いけど意味無いと思うよ。


何で考えてるボクを追い越した矢はガーディアンの手甲に当たるとカツンッ!軽い音を残してそれっきり・・・


な?言った通りだろ?







ボカンッ!!


矢が爆発した!!


なにぃぃぃーーー!!


あいつ爆弾なんて持ち歩いていたのか!??

なんて危ないヤツなんだ!これはもうテロか中二病じゃあないか!


ボクが突然の爆発にビックリしていると、さらにビックリする事が背後で起こった!


ボッガァッッーーン!!


さっきの爆発でミサイルはコントロールを失い墜落、爆発したのであった!


必死の逃亡生活に二つの爆発。しかもそのうち一発は背後から。

爆風をモロに受けバランスをくずしズッコケそうになったけど、直感が今しかないと告げていた。


この隙を活かせと告げている。次なる一手で敵の野望を打ち砕けと告げている!!


分かった!やってやろうじやないかっ!!


ボクは自らを奮い立たせ、パイルバンカーの射程に入るため突撃した!!


「おりぁーーー!」


ガーディアンは果敢に向かってくる敵に対して横薙ぎの一閃を繰り出す!!


轟音を響かせ迫り来る恐怖の一撃は、大剣を地面と垂直にして振り切っており、それはもはや壁のようだった。


死線を!越えるっ!


「うぉぉぉりゃゃゃーーー」


身をギリギリまで低くしスライディングをすると、大剣の一撃がボクの髪に触れチリチリと音がする。ゾッとするような悪寒と轟音がボクの身体を恐怖で支配しようと襲いかかって来るけれど・・・その先に活路が見えた!!


懐に飛び込み、視界が捉えたのは左腕の関節部。「ここを狙え!」とでも言っているかのようにキラリと光っている様な錯覚を覚えた。


「うんみゃゃーーー!!!」


変な声がでちゃったけどボクのパイルバンカーは解き放たれ轟音を轟かせた!!


ドッゴーーン!!!


真下から押し上げるようにして撃ち出されたパイルバンカーはガーディアンの肘を吹き飛ばし、左腕が空高く舞い上がる!


ボクはすぐさま離脱すると、すぐそばにガシャンと落ちる左腕に内心ビクッとながらも、びしぃ!と決めた!


プシュー・・・ガコン!


ドームに響くパイルバンカーの再装填音が決めのポーズに花を添える。


結構いい感じじゃない?


────


頭と左手を無くし、節々からブシュブシュと蒸気が吹き出している、ガーディアン。どうやら相当ダメージを負っているようだ。


これはもう詰んだよね?後は大剣さえ注意しておけば攻略できそうなんだけど、まだ隠し玉はあるかも知れない。これまでの敵は追い詰められてから、死に物狂いで反撃してきたからね!


例えばコウモリ魔獣の合体でしょ、あと、カニさんの一撃をとか・・・あっ・・ボクもそれでダカンに勝ったんだよね・・・


ボクはちょっと感傷的な気持ちになりそうだったので、それをかき消すつもりであえて穂積に声を掛けた。


「穂積!大丈夫っ!?」


「大丈夫でーす。でも、魔力を無いから逃げるので精一杯です・・・あと先輩!まだ何かありそうですから気を付けてくださーい」


おっけー・・・


やっぱり穂積もまだあると踏んでいるか。それにしても、さっきの魔法の矢は何だったんだろう?カッコイイにも程があるよナ。


穂積のくせにカッコイイとは生意気だナ・・・


───そして、この時の黒い嫉妬心がその後の二人の運命を大きく変えるということは・・



当然なかった・・・



さぁてとっ!もう一度仕掛けさせてもらうよ。


ボクは慌てることなく、パイルバンカーで有効打を与えていけばいい。それだけでそのうち壊れるはず!


ボクは一歩づつ慎重に歩みを進めるとカシャン・・カシャン・・とロボット脚の歩行音だけが辺りに響いた。


それでも迂闊に間合いには入らない。間合いに入るということは、激突するって事だから。ボクとガーディアンの体格差を比べてみれば死ぬ覚悟がいる。だから、安易には入れない。


ブゥンッ!


突然ガーディアンの足元に落ちている頭部がモニター画面のようにパッと光を灯し音声アナウンスを流した。


「ロゼ・メトリア・・・無差別殺戮モード移行への緊急要請を受諾しました。CUZ・・・ダメージ超過・・・CUZ・・・任務達成能力の低下・・・ピピッ・・・ロゼ・メトリア・・・承認・・・

非戦闘員は直ちに避難してください・・・ピピッ・・・・ソードガーディアン・・・起動準備・・・ピピッ・・起動・・・」


ん?なに言ってるんだ?


避難?ソードガーディアン?・・・起動?何のこと?


ガーディアンの頭部モニターから流れる一方的な機械アナウンスをボクはうまく聞き取れなかった。だけど何か不吉な事が自動的に決定されゾワゾワと背後から忍び寄る感覚を覚えたんだ。


そして次の瞬間、それが現実となったのであった!



ブシュゥゥゥゥーーー!!


バッコォォンッ!!


ガーディアンの背中から生えている2本のパイプから蒸気が吹き出すと、腹部と脚の装甲が弾け飛とんだ!そして剥き出しになったそこには緑色のマナ結晶が現れた!


さらに右手の大剣がまるで輪切りにでもあったかのように緑色の光の模様が現れた!


ブモォォォォーーン!!!


不味い、やっぱりあった!第二形態!


装甲を剥がして弱点むき出しにするなんて、きっと背水の陣仕様だね。


それにあの大剣。緑の筋が入って何だかヤバそう。


獣のような雄叫びを挙げるソードガーディアン。それは産声であり、戦闘再開の合図でもあった。


装甲が無くなったことで軽量化されたソードガーディアンは、ダラりと鞭のように枝垂れたん大剣を振り上げなから、ボクに急接近した。


「不味い!アレは蛇腹剣だ!先輩っ!!!避けてぇぇー!!」


と穂積が叫ぶ!!


じゃばらけん?ボクは何だかよく分からないけど咄嗟に横に飛んだ!!


その直後!


ズドドドォォォン!!


一直線に伸びる大剣!

緑の光の筋で繋がれた大剣が衝撃波を帯びながらジャバラのように伸びて襲いかかった!

床はズタズタに砕け 、破片がボクの頬をカスリ、つーと血が流れる。


なっ!!


言葉を失いタラりと冷や汗が流れる。


それでもソードガーディアンの攻撃は止まらない。伸びきった大剣を振り上げると、ガチャガチャと寸分の狂いもなく縮みガシャンと元に戻り、すぐさま横薙ぎの一閃を放った!!


ズドォォォン!


左側面から襲い掛かる蛇腹の大剣を跳躍して躱すもその衝撃波でバランスを崩すボク・・・


おっとっと!危ないな。


って、おい!こんなの聞いてないぞ!!


つづくよ!

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