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29 ボクと穂積の風雲金平糖城 ~激闘編~


よく戦隊ものとかで最後にロボットが変身合体!とかあるでしょ?

視聴者は「何でその時攻撃しないんだよー」とか「まぁお約束だからね」と二つの意見に別れると思うんだ。


でもね現実は違うよ。よく考えてみて。手強い相手がさらにパワーアップするんだよ!そりゃあもう、あえて汚い言葉を使うけど、おしっこチビるよ。チビりながら攻撃なんて出来るかな?ムリだよね。それが出来たらある意味怖いけどね。

因みにボクはそんなはしたない事は経験ないけど、穂積が見たら間違いなくちびってたね。感謝しろよナ。ちびりマン。まぁそんな感じ。


・・・おもらしのご経験はございませんか?


─────


変身合体したコウモリ魔獣は微動だにせず、ジッとボク達のいる金平糖城を睨んでいた。さながら「出て来いやっ!」と言っているように。


望むところだ!オラァ!


「穂積!行ってくるよ。わざとじゃないけとボク達が巣を荒らして、しかも自分たちが生き残る為にコウモリ魔獣を焼き払ったからね。今度はアイツの土俵に立たなきゃいけない気がするよ」


「・・・了解しました。僕も隙を見て援護します」


「おっけー。それで行こう。」


短く会話を切上げたボクはコウモリ魔獣がまっている城外へで、対決するとこになった。


────


2匹が対峙する円形の広場は、さながら闘技場の様な雰囲気をかもしだし、加えて焼き払ったコウモリ魔獣やどこかに可燃性の鉱物でもあるのか、至る所に火炎が広がり照明の役割をしていた。


ホワイトガソリンや焼け焦げたコウモリ魔獣の臭いがここを戦場である事を再認識させられる。


ボクは距離を置きシールドを構えると、コウモリ魔獣を観察した。体を羽でマントのように覆っている、いわゆるコウモリの構えだ。マントの中には何を隠しているか全く検討がつかない。


ボクは接近戦しか出来ないから、突っ込むくらいしか作戦はないけど・・・アイツたぶん飛ぶんだろうなぁ、それに超音波とか。まぁお約束だよネ。問題はシールドでガード出来るかだね。


ボクは深く息を吸込み・・・さてと・・


「おりゃーー!!!」


ロボット脚に魔力を込めるとブシューと蒸気が噴き出し、疾風迅雷の如くボクはコウモリ魔獣の顔面めがけて爆走した。

何を隠してるか知らないけれど、ボクに出来ることは近づいて叩く。それだけだからね!


コウモリ魔獣はロボット脚の駆動音をガシャンガシャンと立てながら宙を駆け接近するボクを見ても微動だにしない。が、奴から放たれる殺気が何かを企んでいる事は分かった。


さぁ行くよ!


まずは・・・蹴っ飛ばす!


ロボット脚のスピードを乗せた顔面へ最短距離ダッシュからの前蹴りは、コウモリ魔獣にはどうやらお見通しのようで、後方へヒラリと飛び躱された。そして空振りした体勢のボクに、右手の鋭い爪で襲い掛かって来た。


コウモリ魔獣の身体は全体的に黒っぽいけど、この右手だけは違った。引っ掻かれただけでヤバそうな毒々しい深緑色をし、自信満々で振り下ろされる爪の攻撃は、ボクに必殺の一撃だと思わせるには十分だった。


まぁね・・・ボクもこの蹴りで片づくなんて思っていなかったよ。


右手を振りかざし襲い掛かって来たコウモリ魔獣に、そのまま足の裏を突き出しブシューと蒸気を噴射させた!


「ギャーッ!」


噴射された高圧の蒸気は顔面を捉え、たまらず悲鳴をあげるコウモリ魔獣。そしてボクはその反動でスタッと地上に降り間合いを取った。


先手の有効打を取ったボクは上空に退避したコウモリ魔獣を見上げると、さっきまでのクールなドラキュラの雰囲気を捨て去り、落ち着きなくギャーギャー暴れ回る完全な魔獣と化していた。しかし、その速さたるや否や圧倒的でさらに暗さも相まって、時々目で追えなくなってしまうくらいだ。


不味いなぁ・・・ヘタに怒らせてしまかもしれない。しかも空中戦はロボット脚に慣れてない今はちょっと無理。まして、あの速さには絶対追いつけない。


これは奴のターンだな・・・ボクはシールドを頭上へ構え上空からの攻撃を警戒した。


─────


コウモリ魔獣ことユニオンバットは不意の一撃で片目を焼かれてしまったが、耳さえ無事なら問題ない。目は飾りに過ぎないのだ!とはいえ、もはや油断することなく痛みが引くまで上空へ逃れ、隙を伺い一撃離脱戦へと作戦を変えた。


─────


穂積は体長2メートル近くあるコウモリ魔獣の反則的なスピードに疑問があった。確かにマナという正体不明の力を借りれば可能かもしれないが、それにしても不釣り合いだ。

・・・恐らくコウモリ魔獣は防御力無視の超スピード特化の魔獣だ。


「先輩!敵はスピード特化です!防御は紙です!スピード勝負に付き合わず、どしっり構えて迎撃して下さい!」


─────


ボクはシールドを構えジリジリと壁際に移動してる時、穂積からアトバイスをもらった。


・・・なるほどね。マントの中身は空っぽという訳だ。だからあの毒々しい爪の攻撃を当てにいきたいんだな。

だけど動きが速すぎて、こっちからの攻撃は当たりそうも無いね。まず、パイルバンカーは無理。シールドをといた途端に殺られそう。蹴りは・・・これも難しいね。穂積の援護は?カタパルト?カニさんの目を外すくらいだからね、推して知るべしってことかな。


つまり恒例のジリ貧だ!


コウモリ魔獣は上空を八の字でぐるぐると旋回しながら距離を詰めてきた。


・・・来る!


そう思ったと同時にコウモリ魔獣は一直線にボクの頭上目がけて急降下した!

ボクはとっさにシールドを真上に構え、その場てしゃがんだ。別に怖いからしゃがんだんじゃないよ!突っ立ていると、「お腹がお留守だよ、ぼこー!」って一発貰うのを警戒して被弾の面積を減らしたのさ。


バチィィン!!


案の定、コウモリ魔獣はボクのカメさん防御に阻まれシールドに弾かれた。その間にお城の近くの壁際に何とか張り付くことに成功し、さらに被弾面を減らした。


一旦上空へ離脱したコウモリ魔獣は、ボクが逃げの一手と思ったのか、すぐさま急降下し襲い掛かって来た。


バチィン!!バチィン!!


コウモリ魔獣の一撃離脱攻撃は、その度にシールドに弾かれると、だんだんとイラついてきたのか、何度も何度もムキになって引っ掻いてきた。冷静さを失っているのか、どうも攻撃が雑に感じがする。


それでも攻撃を受ける度に、ボクはいつか被弾するんじゃないかと思うと、だんだんと怖くなって来た。


キシャー!!と鳴きながらしつこく襲い掛かって来るコウモリ魔獣とシールド越しに目が合った。片目になったその目は真っ赤に充血しており、全ての恨みを込めたような鬼気迫る威圧感がある。


きっとボクがパニックになってガードを緩めるのを待ってるんだ。コウモリ魔獣の作戦は正解だよ。結構ボクの精神も限界なんだ。


全くなんて事だ!これじゃボクはカメさん改めジリ貧の待ちガイルじゃないか!


待ちガイル・・・待ちガイル・・・あっそうか!!


上手いこと言ったな!なんて思ったけど、本当に妙案が浮かんだよ!流石に回転キックは出来ないけどアレなら出来そう!!


────


実際、そのチャンスは直ぐに来た。なんて言ったってボク、今ボコボコに殴られてるからね。

ただしタイミングはとても重要だ!1回しかチャンスは無いからね・・・


コウモリ魔獣は例によって一撃離脱攻撃を仕掛けたその時!!


「おりゃーー!!!」


反対にボクがそのまま立ち上がりドンッとシールドバッシュを仕掛けた!!


「ギャァァァッーーー!!」


コウモリ魔獣もまさかカウンターを受けると思っていなかった様で、まともにボクの体当たりを喰らってしまい、そのまま地面を転がるように距離を置いた。


ボクの体重を乗せたシールドバッシュなんて大した威力は無いって?全くその通り。これは単にタイミングを合わせただけ。


本命は頼れるボクのコンペイトウ魔法!!


シールド越しに鋭くしたタケノコみたいなコンペイトウをいくつか生成して見たのさ。

流石に胴体には刺さらなかったけど、コウモリマントには大穴を開けれたよ!


マントがボロボロになり、飛べなくなったコウモリ魔獣はボクから逃げるように後ずさった。今が好機!ボクは止めの一撃を決めるべく一気に追撃した。


・・・とはいえ、ボクって良い感じの時に調子に乗って軽はずみな行動を取っちゃうんだよね。


これからは肝に銘じておくよ。


帰るまでが遠足!油断は禁物!


────


追撃をかけ、一気に距離を詰めて寄ろうとしたその時!!のたうち回っていたコウモリ魔獣は首だけをクルっとこちらに向けると、口をパカッと開け・・・・


「ピィィィィイ!!!!」


超音波攻撃を仕掛けてきた!!


ピィィーーーーーーーーーーーン!!!!!!


「え?」


突然何も聴こえなくなった・・・・

頭の中でピィィーーーーンという音だけが鳴り響き、耳と鼻から血がツーと流れ出た。


ヤバい!なんか食らった!意味が分からない!!


うぅぅ・・・頭割れそう!!苦しいよぅ・・・


反射的にシールドで防いだ事と距離が離れていたことが不幸中の幸いだったようで、致命打には至らなかったが、頭の中で鳴り響く超高音の響きの為か足に力が入らない!


それでも頭を押さえながら立ち上がろうともがいていると、穂積が視界に入った。穂積は指を差し必死に何かを叫んでいるけど、全く聴こえない!


アイツ何をギャーギャー騒いでいるんだ?



コウモリ魔獣もダメージと魔力消費から来る倦怠感の為か立ち上がれそうになかった。


かくして、2匹はミミズの如く地面をのたうち回って、ドロ試合を展開するのであった。


続く・・・

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