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静まり返った虚無の中。
連鎖して広がる赤く塗られた記憶。
硝煙と死に際の絶叫が絶え間なく上がる場。
紅い飛沫が飛び散り、エメラルドのような結晶が花を咲かす。
顔を歪める姉。
どれもどれも過去の自分が見て来たのもだ。
パリッ。
唐突に記憶に亀裂が走る。
パリ、パリッと。
硝子の悲痛な悲鳴がこだまする。
一つ、また一つと赤い宝石が喘ぎ消えていく。
パリンパリンパリンパリンパリンパリンパリンパリン。
連なる響きは耳を引き裂き、脳を震わす。
振動は血管の端の端まで揺るがし全身を蝕む。
「ねぇ…さん……っ! 」
一つの記憶が割れるとき、破壊音と共に絞り出した叫び。
届くはずのない声が虚しく響いた。




