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それって何?  作者: ミーケん
二章
9/15

交差点で

それは誰?

「暇だ」

 ハンドルを握り、無意識下でも運転出来るようになったトラック運転2年目の春のこと。

 高卒でこの仕事に就いたのはいいのだが、時折手紙で届くかつての級友の楽しげな大学生活の一幕を見ると、高2でなんだかってアニメの影響を受けて就職志望と進路届けに書いた俺を呪い殺したくなる。

 しかし、終わったことは仕方がない。諦めよう。そう言い聞かしてこれまでやってきた。

 そして、これからも言い聞かしていくのであろことは想像に難くない。

 して、現在に至るが、一体俺はどこに向かっていたんだっけか。

 多少眠っていたようで気づけば見知らぬ町にいた。

 周囲に見える風景に見覚えはない。とりあえず、大通りに出ようとハンドルを回す。手馴れたもので、大型車のクセのある曲がり方も感覚でどうとでもなるようになっていた。

 しかし、細い路地を抜け、大通りに出るための最後の角でなにかを潰した音を聞いた。

 ふと、反射的に俺はブレーキを止める。

 聞いたことの無い音だった。いや、聞きたくもない音だった。

 そして、直後に響くのは大きな女性の悲鳴。次は車を叩く音。そして、罵倒。どけろ。どけろ。と声が響いている。

 そんな声を最後に俺は嫌になる。この街に来てしまった俺の運命と、この悲劇を運命とかそんなちゃっちいもので片付けようとする俺の身勝手さを。


 彼女の名前は○○○○といいました。

 なに不自由なく過ごし、なに不自由なく高校に進学した彼女でしたが、1つ不幸なことがあり、この世から旅立ってしまいました。

 葬式はとても仰々しく行われ、参列者は300人にも登りました。

 私は葬式において、考えていました。ずっと彼女のことについて。

 なぜなら彼女は私の目の前で死んでしまったのですから。

 彼女は私の目の前でぐちゃぐちゃになりました。もう、あれから3日も経つとかと思うと不思議でたまりません。

 私は彼女が死んだ時からずっと脳裏で彼女が私を責めているんじゃないかと思っているんです。だって、今でも聞こえるのです。

 私の頭の中でずっと彼女の声が響いているんです。

 恨み言を告げる声、そして、それに呼応するように呪いを吐き続ける汚い声が聞こえてくる気がしてならないのです。

 もしも、私が彼女より少し前を歩いていれば、こんなことにはならなかったのに。

 悔やんでも、何も出来ない自分を恨んだ。

 彼女を轢き殺した運転手は早くに出所するようだ。

 あんな、残虐なことを、しておいてなんという態度なのだろうか。

 謝る姿勢もなかった。ただ、文面で謝罪をしただけ。

 あの男を私は許しはしない。私が死んでも彼を地獄に突き落としてやる。

それは女?

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