82話:解決法は簡単です
@悟視点@
前回いろいろあって敵の本拠地に連れてこられた俺達。クライマックスの予感!でも早くボスを潰さないと特星から不老不死の効果が消えて大変な事になるかもしれない。
この基地の中は全体的に機械的だ。
「ところでこの基地に他の人は居ないんですか?」
羽双がそう聞いてみる。ちなみに此処は立回県の地下にある基地のようだ。
「あぁ。此処に居るのは私と私の雇い主の二人だ。」
「お前雇われてるのか!雇い主ってどんな奴だ!?」
オイオイ、敵がそう簡単に教えるわけ…
「実際あった事はないが声の高さからして小学生くらいだ。恐らく女の子だろう。」
「教えたっ!?」
「あんた達を基地の適当な場所まで案内しろっていうのが仕事の内容だからな。じゃ、私はそろそろ帰るぞ。」
「じゃあ皆、また後でねー!」
[グチャッ!]
自然に雇われた奴に着いて行って逃げようとしたロミャを羽双が容赦なく踏み潰す。
「羽双‥此処は地球だぞ。」
「ロミャさんはギャグキャラ的な生物ですので大丈夫です。」
確かに紙のようにペラッペラになっただけで平気そうだ。
「あっ、ちょっと待て。」
「私に何か用があるのか?」
雇われた奴を呼び止める。聞きたい事が有ってな。
「宝石が盗まれた場所の防犯カメラに魅異みたいなのが映ってたんだが、宝石を盗んだのもその雇い主か?」
「いや、宝石を盗んだのは私だ。逃げる時には機械にのみ効果のある幻影を使ったから、防犯カメラにその何とかってのが映ってたんだろう。」
それだけ言って雇われた奴は帰っていった。
「さて!雰囲気が出てきたな!!」
「何でお前はそんなに元気なんだよ?」
「元々だぜ!!」
まぁ正直烈の性格がどうだろうが知った事じゃないがな。‥まぁ静かな烈は想像できないが。
「とりあえず敵の場所を探すか。」
「…僕は此処で待ってます。」
「えっ、何で!?まさかアタイ達をおいて逃げようと!」
[ズガァァァン!!]
復活した途端に何かを言うロミャに踵落としをお見舞いする羽双。オーイ、生きてるかー?
踵落としがヒットした瞬間に大きく地面が揺れたんだが。
「理由ですが増援が来る可能性がありますし面倒ですし不老不死の宝石を捜す役も必要でしょうから。」
「なるほど。それじゃあ任せたぞ。」
「「残って良い!?」」
「お前達は駄目だ。行くぞ!」
無理矢理ロミャと烈を連れて行く。面倒がるのは羽双もなんだが‥この二人の場合は敵が来たら倒さずに逃げ回りそうだし宝石を見つけたら盗んでいきそうだからな。
「‥と走ってきたのは良いんだが何処だ此処?」
「俺は行きたくないぞ!!」
「お腹減ったよ!!」
何処かと聞くが無視しやがった‥まぁこの二人が知ってる事はないだろうけどな。
「やっぱり適当に歩き回るだけじゃ無理か?」
「悟!そんなネガティブ思考は捨てろ!!いまさら帰ることも出来ないんだし今は前に進むことを考えろぉっ!!!」
「いちいち響くから叫ぶな。」
「まだまだ道は続いてる!ならばやる事は一つ!前に進むことだぜ!!」
「烈って良い事言うキャラだっけ?」
「それ以前に良い事なのかコレ?」
ただの単純思考だと俺は予測しよう。
〔お前もあのテンションで行けば?〕
出てくるなり何を言い出すんだ?
〔ヒートアップすればお前もあんな感じだろ。〕
ヒートアップ中の事は思い出したくないんだが。
〔今は冷静を装ってるお前だが、ヒートアップの時がお前の本性が出てるとき‥〕
それはない。
〔たまにはいろいろ叫ばないとストレス溜まるぞ?〕
お前もその原因のうちの一つだろ。
〔イエイ!だがここはヒートアップしないと抜けられないぞ。)
でもヒートアップなんて楽しくないと無理だし。
〔全てはやろうと思えば必ず出来るぞ!ここを抜けようと思えば良いだけだ!〕
そうか?‥そうだよな!やろうと思えばできないことなんて無いんだな!
〔あぁその通りだ!(フッ、単純だなツッコミ役。)〕
「おい烈!こんな壁ないと思えば通り越せると思わないか!?」
「あぁ俺もそう思うぜ!!」
「この程度の壁は破壊するぞ!!」
「おおおぉぉぉぉっ!!」
今ならこんな壁もただの薄っぺらの紙に思える!!この程度の壁なら壊せる!!
「「壊れろおおぉぉぉ!!」」
[カァ〜ン!!]
「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」」
「大丈夫?」
俺達のダブルパンチによって、ヒビの入る効果音が響き渡る。(そう俺には聞こえた)
ロミャが心配そうに見ているがそれよりも痛い!だがまだ俺達で破れないと決まったわけじゃない!
「今のは準備運動だ!なぁ烈!」
「その通りだ!今の俺達に破れない壁はないかもしれないぜ!!」
無いかも知れないじゃない!ないんだ!この壁はその破れない壁の第一歩に過ぎない!
「「うおぉぉぉぉぉ!!」」
[ガァン!]
「「ぐぎゃああぁぁぁぁ!!」」
次は頭からの突進でいってみたが無理だったか!地球だから頭にコブが出来た!
「あ、扉だ。こんなものを見つけるなんて!」
「なかなか硬い扉だがこの程度ならまだ大丈夫だ!!」
「流石は悟だ!良い事言うぜ!!」
「ちょっと覗いてもアタイは悪くないよね。」
よし!次こそ多分この壁を壊せる!!
「あ、誰か居る。あれがもしかして黒幕かなぁ?」
「「必殺・壁破りキィィィック!!」」
[ガァ〜ン!]
「「やっぱ無理ぃぃぃぃ!!」」
「ねぇ!扉があって中に人が居るよ!」
「確かに扉から入れば楽だ!だがロミャ、わざわざ扉を用意しているなんておかしいと思わないか!?これは罠に決まっている!!」
たとえば落とし穴があったりするかもしれないだろ!いや、落とし穴以外にも床がペンキ塗りたてだったりとか壁に落書きがしてあったりとか蚊が潜んでたりとか恐ろしい罠があるに違いない!!
〔(ヒートアップしてる時は知能が低下するとかの噂があるんだよな。まぁ、俺の知能はいつでも最高だがツッコミ役の場合低下してるな。)〕
「アタイが見たところトラップはなさそうだけど。」
「甘いっ!!初心者が見た程度で曖昧な判断をすると死に繋がるぞ!!」
「悟の言うとおりだ!!」
〔(どっちかというとロミャはトラップを操れるから初心者じゃないぞ。あー、何故か俺がツッコミ役みたいになってる気がする。)〕
「全然破れそうにないが俺達の実力ならいつかは破れる!!」
「その通りだぜ!だが悟!手が非常に痛い!!」
「しょうがない、こうなったら扉から突入だ!!」
だが扉は何処だ!?
「此処だよ此処!アタイの目の前!」
「「なるほど確かに扉だな!」」
だが小人サイズの扉じゃないか!これじゃあ俺達は入れないぞ!
「此処でアタイの必殺トラップを使えば完璧!その名も壁抜けトラップ!向こうに繋がる隙間とかがあればそこから壁をすり抜ける事が出来るんだよ!」
「「最初から使えよ!」」
結局扉はいらないじゃないか!
[ツルーン]
「ほらね!アタイの能力を甘く見てもらっちゃ困るよ!これさえあれば銀行強盗なんか楽勝だからね!じゃ、アタイはポケットで寝てるから。」
「すり抜けるときの効果音がおかしかったぞ!!」
烈、お前がツッコミをやると不自然だ!ってか寝るなロミャ!
「あれ、もう来たんだ?」
「お前誰だ!?ってか悟!あいつの持ってるものを見ろ!」
「おっ、宝石じゃないか!」
って事は黒幕はアイツか!確かに小学生くらいだし女子だな!
「おい!今すぐその手に持ってる宝石を渡せ!」
「ヤダ!これは面白い事に使えそうだから絶対に渡さないよ!」
面白い事だと!?
「面白い事ってなんだ!?」
「知らない人には教えないよ!」
「悟!こういう場合、自分達なら何に使うかを考えるんだ!俺なら漫画を買いまくって高級料理店の常連になるぜ!」
「なるほど!俺ならタイムカプセルに埋める!」
「私はそんな使い方しないよ!もっと‥こう、凄い事をするの!」
凄い事?そんな事企んでも多分、一人のチート的なキャラによって砕かれるぞ!
「まぁお前みたいな悪者はこの悟ンジャーブラックと!」
「烈火のジャージブラザーによって成敗してやるぜ!!」
〔(勝手に悟ンジャーブラックのキャラを使うなよ。あと烈火のジャージブラザーって何だ?俺の予想では悟ンジャーブラックの仲間だな。)〕
「そうはいかないよ!特技・響きの音!」
[キィィィィィィィィィン!!]
ぎゃあぁ!耳に響く音が!
「これはキツイぞ!!」
「ZZZZzzzz‥」
流石の烈も耳を塞いでるな。ロミャはポケットで寝てないで起きろっ!!
「私の特殊能力は音を操る事!それを応用して音速の攻撃を繰り出す事も出来る優れものなんだよ!」
何で皆はこんな良い特殊能力ばかりなんだ!?俺なんか武器が限られるんだぞ!まぁ銃は元々使い慣れてるが。
「特技・ミニ超音波だよ!」
「何も起こってないぜ!!失敗だな!!」
「いや!油断するな烈!多分、超音波とか言って石を投げてくる気だ!」
「だからそんな事しないって。超音波は人間には聞こえないの!」
「それなら意味はないっ!烈、石でも投げて攻撃だ!」
「おぉっ!!…って動けないぞ!!」
うそぉん!?って本当に動けないぞ!
「不法侵入したんだから覚悟してね。」
「ってヤバイ!誰かヘルプミー!烈は別に良いから俺だけ助けてくれ!地球で音速攻撃なんか喰らったらシャレにならないぞ!」
「フッフッフッ!困ってるようですねぇ。」
「って誰!?」
あの小学生は誰だか知らないようだがこの喋りは間違いない!ここまで俺たちを助けに来たのは…
「女子小学生や宿敵の居る所に私あり!天才、強力、カッコいい、三大要素を持つ私の名はぁぁぁっ…全ての可愛い小学生を愛す者・雑魚ベーですよぉぉぉぉっ!!」
「「おぉぉぉぉっ!!」」
こんなにこいつが登場して喜ばしい事なんかあっただろうか?いや、上半身裸の変態の登場を喜んだ事なんかないはずだ。
…どうでも良いが何故か雑魚ベーはボロボロだ。半ズボンがところどころ破れて海パンが見えている。
その姿でそこら辺を歩いてたのかよ?
「雑魚ベー、その姿はどうしたんだ?ってか雨双とアミュリーはどうしたんだ?」
「この基地の入り口で羽双さんに敵と間違われて、軽くやられましてねぇ。二人は気絶したので私だけが来たんですよぉっ!」
羽双の軽くは恐ろしいけどな。
「それなら何で私の基地の場所が分かったの?」
「それは貴方の愛の力で此処まで引き寄せられたからですよぉっ!」
敵の質問に答える雑魚ベー。雑魚ベーなら確かに半径数キロ以内にいる女子小学生の場所とか分かるかもな。
あと烈が途中から空気並みに喋ってないのは喋りだすタイミングが分かってないからだろう。
「それにしても小学校に居た女の子は親切でしたねぇ。その子にこの場所も教えてもらったんですよぉっ。」
「小学校?女の子?それはありえないよ。」
「俺もそう思うぞ。」
相手と意見が一致。だってこの立回県には俺たち以外に人は居ないんだぞ。それに学校なんかない筈だし相手の仕業にも思えない。
そういえば烈とロミャもデパートに行ったとか言ってたが何か関係が有るのか?
羽双も焼き鳥を持ってたが…羽双の場合は時間を操って海越えでもしたんだろう。
「そんな筈はありません!アミュリーさんと雨双さんも一緒でしたからねぇ!」
「まぁ…いいや。それよりお兄さんも私と戦うの?」
「のぉっはぁぁぁっ!お兄さんって言われちゃいましたよぉぉぉっ!!もう数百回お願いします!できれば次はお兄ちゃんって言ってくださいねぇ!!」
とりあえず落ち着け。仮にも敵なんだから…
「お兄ちゃん♪」
[ドゴオォォォォォン!!]
「何で爆発?…あっ、もしかして爆破オチ!?」
相手が何か言ってるけど全然違うと思う。ってか意味分からん。
ってか爆発した本人が居ないし。人間爆弾雑魚ベーの行方はいかに!?ってところか?
「あぁぁ、もうこの世に未練はありませんよぉ〜♪」
あっ、居たか。ってか未練がなくてもお前が来たら天国も地獄も困るだろ。こいつなら小学生であれば神様や閻魔様の孫だろうが関係なしに飛び掛るだろうからな。
この状態の雑魚ベーを復活させるなら…
「雑魚ベー、お前が死んだらアミュリーと羽双はどうするんだ?」
「ハッ、そうでした!私はあの二人のためにも負けられないのですよぉっ!しかし女の子に手をだすのも正直心が痛みますねぇ。」
俺はお前の行動に頭が痛むよ。いや本当に。
「どうやったらその宝石を返してくれますか?」
「うぅーん、じゃあ私と一緒に悟ンジャーの歌を歌ってくれたらいいよ。」
最初っから俺達にそれを言ってくれよ!
「しかしこの小説の作者は歌詞とか作れませんから‥」
「じゃあ歌ってるシーンをカットしたら?」
「それは良いアイディアですねぇ。それじゃあカットしますよぉっ。」
〜作者の都合によりカットされました〜
「いやぁ、歌うついでに踊ってしまいましたねぇ。」
「ありがとう。じゃあこれはあげるね。」
とりあえずは無事解決か?何か出番を取られた感がするんだが。
[ゴゴゴゴゴゴゴゴォッ!!]
流石にこのパターンにも慣れてきたぞ。恐らく崩壊寸前だな。
「大変ですよぉっ!皆さん早く逃げないと手遅れに‥」
[ガシャアアァァァァァン!!]
「ぐえぇぇぇ!」
「って手遅れだああぁぁぁぁぁ!!」
ってあれ?無事だ。
「まったく‥」
「羽双!」
周りの時間が止まってるって事はお前が助けてくれたのか!
「もう少し先の事を考えて行動してもらえませんか?」
「「「言い返す言葉もありません‥」」」
相手と雑魚ベーと俺が正座させられる。脱出してからにしてほしい。
「そういえば羽双、此処に小学校なんてないよな?」
「えぇ。」
「そんな筈はありません!私とアミュリーさんと雨双さんの三人で確かに行きましたよぉっ!何なら二人に聞いたらどうですか?」
「やっぱり……あぁ、あと二人共寝てますよ。」
「本当ですか!?よぉぉっしっ!寝顔を見に行きますよぉっ!!」
で、とりあえずその後に俺が宝石を学校に届けて事件は無事に解決した。
あの犯人の女の子は本部の人に怒られてたな。雑魚ベーも付き添いで一緒に。
まぁ無事に終わって良かった。…そういえば誰か足りないような。
〜そのあと〜
「っどはぁっ!何とか生き埋めにならずにすんだ!チクショー、羽双め俺が埋もれた後に時間を止めやがって!しかもその後すぐに動かすから生き埋めになるとこだったじゃねぇか!!悟も俺の事を忘れやがってー!!」
〜その他〜
「あれ〜、羽双から私のところに来るなんて珍しいね〜。」
「とりあえず釈放されて良かったですね。…ところで立回県のデパートや小学校、あれは魅異さんの仕業でしょう?」
「よく分かったね〜。どうして〜?」
「いえ、一時的に作り出しすぐ消したりできる人なんてあまり居ませんからね。」
「流石〜。」
「普通に教えれば良いでしょうに。」
「雰囲気作りだよ~。現地での聞き込みは冒険の醍醐味だからね〜。」