57話:迷惑!弱小!セイクリッド海賊団!
@悟視点@
「船で陸まで行くだけで、数日掛かるのかよ!?」
「はい。」
チキショーそんなに掛かるとは思わなかった。夏休みがほとんど潰れるじゃないか。
「じゃ、僕は部屋で休んでますので。」
「えっ、俺は?」
「見張りです。」
・・・・・何でぇ!?
「ちょっと待て!何で俺なんだ!?」
「部屋に入るのが一番遅かったからです。」
「でも戦力的に‥」
「敵を見つけたら、バスーカか何かで吹き飛ばしてください。‥ちなみに敵を部屋に侵入させたり、僕が手伝う事になったりしたら、悟さんを海底に沈めて、水圧で潰し殺すのでお忘れなく…」
こ、怖い!!何か言い返そうかと思ったけど部屋に行っちゃったし・・・ってか言い返したら殺されてたかも‥
「ってか海で見張りの必要って有るのかぁ?」
海で危険な事って言えば・・・・・・天候とか?
授業で特星のモンスターについて習った事あるけど、基本はそこまで強くは無いんだよな。
「海‥海‥海賊?」
そういえば、此処やその他の場所で、神聖海賊団が何とかってテレビでやってたな。神聖な海賊団なんて居るのか?
たしか被害にあった船は百以上で、船乗員は気絶してたり眠ってたりして見つかったらしい。
目撃者の話では海賊団は小さな船で五人のメンバーだって。でも全員眠ってたのによく目撃者が居たな。
「とりあえず、真面目に見張りをしとかないとな。下手したら後で殺されるから‥」
〜海上(悟達の船から少し離れたところ)〜
「んっ?あの船は小さくて見張りも一人のようですね〜。次はあの船にしましょうか。」
〜海上(悟達の乗ってる船)〜
「う〜ん、・・・特に怪しい事は無し。‥あっ、小船が一隻発見。」
でも、どうする?小船が一隻だけでこんな沖まで居るのはおかしいな。‥でも普通に迷っただけなら、別に海賊とかじゃないし。
あ〜、でもバスーカで吹き飛ばすように言われたしな。しょうがない‥
「とりあえず発射。」
[ドォン・・・・・バコオォォォン!!]
見事に命中だ。小船に乗ってる人は大丈夫か?
[ヒュゥゥゥ〜・・・バキィン!]
「あっ、落ちてきた。」
見事に頭だけ床に突っ込んでる‥ある意味凄い技だと思うのは俺だけか?
「って大丈夫ですかー?」
とりあえず引き抜いてやるか。
「し、死ぬかと思いましたよ・・・」
大丈夫か?引っこ抜いて出てきた男は、微妙に長髪で青色の髪をしていて、ハワイアンな服を着てる奴だ。身長は羽双と同じくらいで、大学生くらい?
「まったく何でこんな事になったんだか。」
「貴方がバスーカ砲で私の船を破壊したからですよ!」
まぁ、そうなんだけどさ。一応モンスターとか出る海を小船で居たら、普通に怪しいだろ。
「そういえばアンタ名前は?」
[シュキーン]
「フフフ‥良くぞ聞いてくれました!私はある伝説の名家の血筋を持ち、セイクリッド海賊団の船長でもある、ベータ・サイドショットです!」
[ジャジャジャーン]
「・・・・・」
効果音と共に、決めポーズみたいなのを決めるベータサイド。いや、ベータショットだったっけ?
あまりの馬鹿さに思わず沈黙してしまった。
「あまりのショックに声が出ないようですねぇ。まぁ、私のようなオーラの持ち主が、海賊をやってたら当然ですね。」
激しく勘違いだよバカヤロー。マジで海に投げ捨てたい気分だ。
「ってか、セイクリッド海賊団は5人と聞いた事あるけど。仲間は?」
「うぅ、‥実は前に近所の保育園児と全力で遊んで、ボロ負けしてしまって。‥前回の港町で、部下全員が夜逃げしてしまったんですよ・・・・・」
馬鹿な上に弱いよコイツ!そりゃあ部下だってやってられないだろうな。
「だ・け・ど・ですね!私はその後、さっき破壊された小船で、一人悲しく海に出て、釣りから新技の開発まで地味に特訓を繰り返し、生まれ変わったのです!!」
途中に悲しくとか地味にとか本音が混じってるぞー。
「此処で私の昨日のジャンプ特訓の成果をお見せしましょう!」
「あぁ、もう勝手にしてくれ‥」
「必殺・ジャンピングキィーックゥッ!!」
壁にジャンプしてさらに壁を蹴ってこっちにキックをする攻撃か!
[バキィッ!]
「・・・アホだな。」
避けてもいないのに、普通に攻撃を外して船の床に突っ込んだぞ。
反則的な弱さとアホさだ。あだ名でも考えてやるか‥ベー太とか雑魚ベーとか。
「クッ、この私のキックを避けるなんて流石だと言っておきましょう・・・」
「いや俺は別に避けてないし。ってか弱いから雑魚ベーって呼ぶよ。雑魚ベータ。」
「はー?駄目です!!私はとてもとても強いのです!」
ま、ぁ認めようが認めなかろうが、改名に変更はないけどな。
「まぁ、今日はこの位で勘弁してあげますので、私に感謝する事ですね。いたた、こりゃあ捻りましたかねぇ。」
自滅したのによくそんな事が言えるな。
[メキッ・・・メキキッ!]
「「えっ?」」
何か雑魚ベーの蹴ったところから船全体に亀裂が‥このパターンはまさか!
[メキキキキキッ!バッキイィィィィン!!]
「やっぱ船が壊れたぁぁぁ!」
「ぎゃあぁぁ!私にこんな展開は似合いませんよぉぉ!」
「いや、お前にはピッタリだぁぁ‥」
[ドッボオォォン!]
せ、台詞を最後まで言えなかった・・・・・
ってそれより羽双達も船に乗ってたんだった!ヤバイ殺される‥
「あっ、悟さん。」
「へ?」
羽双にジャルスにアミュリーが居た。‥けど、何故か雑魚ベーの乗ってた船に乗ってるな。あの船は壊したはずなのに何で直ってるんだ?
「ブハァ!溺れるかと思いましたよ。んっ、それは私の船じゃありませんか!綺麗に直ってますねぇ。・・・・・じゃなくて、‥貴方達その船を返しなさい!その船は私の愛車!心の友なのですよぉっ!」
「このボロ船が?」
[ガガーン!]
流石の雑魚ベーでも羽双の一言で一気に落ち込んだな。
「ハハッ、私のハートを傷つけるなんてやりますねぇ。良いでしょう!貴方も私の第二の宿敵に‥」
「さて、行きましょう。」
「分かったよー。」
「オッケーです。」
三人は小船で行くのか‥ってちょっと待て。
「俺はどうするんだ!?」
「船を壊したので泳いできてください。」
そんな無茶な!
「ちょ‥」
[ビュゴオォォォォ!]
「早っ!」
何であんなに早いの!?一瞬で見えなくなったぞ!!
「見事に無視されましたねぇ。」
「元はお前のせいだろ!」
「人のせいにするのは良く有りませ‥」
ムカつくから吹き飛ばしてやるか。
「水圧圧縮砲!」
[ドゴオォォン!]
「ホゲフッ!?」
上空に雑魚ベーを打ち上げて‥
「空気圧竜巻砲!」
[ゴオォォォォォォ!]
おぉ〜、見事に飛んでくなぁ。気分が非常によくなる光景だな。
「流石は私の第一の宿敵ですね!しかし今度は私が勝つに決まってますよぉぉぉっ!」
前言というか、ってか前思考撤去だ。非常に気分が悪くなる光景だ。
ってか勘違いも程々にしろよコラー。誰がお前なんかの宿敵だボケが。
「さてと、泳いで北の大陸まで行かないと‥ってか夏の海なのにちょっと寒っ!北の海だからだろうな、きっと。」
「よっしゃ!!そうと決まれば早速行くぜ!!」
「あぁ烈も居たんだっけ。ってか何で水の上に立ってるんだお前。」
「俺の特殊能力は、忘れてるだろうが水上歩行だぞ!」
確かに忘れてたな。ってか過去に使った事有るのかよ?
「ってか海とかなら便利だなその技。」
「波を飛ばないと駄目だけどな!」
それは威張って言う事じゃないぞ。
「とりあえず陸まで泳ぐぞ。」
「オオォッ!!」
返事は良いがマジでうるさい!