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勇者

プロット修正が大きく響いている。でも2日更新はやめません。書く癖つけないとまたかなり間を空けそうで……


新章入ると言ってましたが、先にロゼッタサイドやります。


今回はかなり短いです。

 レンヤからの忠告を受けたロゼッタとイリスが活動拠点をイクリード王国へと移して早数か月。冒険者としてある程度の経験を積んだことが自信へと繋がったロゼッタは、冒険者界隈では実力者として名を馳せるようになっていた。また、その影ではイリスという優秀なサポーターも躍動していた


 そんなある日、依頼を終えた二人が冒険者ギルドへと戻ると掲示板の周りに人だかりが出来ているのに気付く。流石にあの中にイリスを行かせるわけにはいかないので、ロゼッタが突入していく。


 しばらくして戻って来たロゼッタの目はこれでもかと輝いていた。


「勇者だ……勇者召喚だ!」

「はい?」

「勇者召喚だ! 生きていて本当に良かった!!」

「……そうだね」


 誰もが聞いたことある英雄譚。その始まりとなった勇者召喚が行われるとなれば興奮するのも無理はないが、鼻息を荒くしている目の前の少女はいささか度が過ぎているような気がしなくもない。


 ロゼッタに落ち着くよう話しかけながら、イリスは一人の友の姿を思い浮かべていた。


 ――――シルフィ、迷惑かけてごめんよ。


 イリスが視線をやった先、人もだいぶ少なくなった掲示板に貼られた勇者召喚の報の下には『シルフィーナ=ヴェンダル』と書かれていた。


※※※


 嬉しい知らせが飛び込んだからか、絶好調のロゼッタはダンジョンを快調なペースで進んでいた。


「もうすぐ目的の魔物がいる階層だね。準備はいい?」

「ああ、すぐにでも――ん?」

「どうしたの?」

「いや、ダンジョンに来るにはあまりにも軽装すぎると思ってな」


 ロゼッタの視線を追うと、向かいから歩いてくる女の姿が目に入る。武器らしきものを身に着けておらず、胸当てや籠手といった防具もない。散歩に来ているのではないかと思うほどに普通の服装で悠々と歩いていた。


 流石に気になるとイリスは声をかけた。


「あのー、すいません」

「おや、私に何か?」

「そのような格好でダンジョンに潜っているのが気になって……」

「そうですか……」


 女は何か考えるように顎に指を添えると、ふとイリスの後ろにいたロゼッタを見やる。いや、正確にはロゼッタが手にしている真紅の槍を、だ。


「ほほう……選ばれし者、ですか」

「? どうしました?」

「いえ、何も。それよりこれを見て下さい」


 女が胸の前に両手を出し、ゆっくりと手を叩いた。すると、それを見ていたイリスとロゼッタの目から光が消え――――


「…………あれ? ボク達って今まで何してたっけ?」

「…………思いだせん。依頼をこなすためにダンジョンを進んでいたとしか……」

「うーん、なにか引っかかるなあ……」


 二人とも首を傾げるも、とりあえずはと足を動かし始める。結局、思いだすことは無かった。



※※※



「完璧に、までとはいきませんか。あの男での実験も失敗でしたし、調整が必要そうですねぇ」


 二人が去ったダンジョン内通路で女は一人、そう呟いた。


「少しずつ、少しずつ舞台は整いつつあります」


 女は自身の背をそっと撫でる。服に隠されたその部分、女の肌に残された深い傷跡。


「さあ遊びましょう? レンヤ様」


 侍女服へといつの間にか姿を変えた女は、不敵な笑みを浮かべていた。


ロゼッタが実は怪しい人物と会っていたよという話。名前は出ていませんが謎の女が誰か分かってる人もいるのでは?


次回更新は明後日(11日)17時更新予定。


追記

更新は一日延期でお願いします。お願いします……

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