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肥える主人と痩せる我
好きなものを食べてきた
使う食材は偏っていた
レシピを見て
新しい料理を次々と作るものの
食材は一緒
ということは
摂れる栄養素もほぼ同じだ
調理方法で失われる栄養が多少変わるだけ
好きなものを好きなだけ
好きな時間に食べられる日は皆無になり
大変困った
以前の食生活はもう終わったのだ
このままでは何も食べられないではないか
ここだ
ここが境目だ
変わらなければ食べられない
今日は何を食べられるか
スーパーのチラシを見て直感を信じる
実際手に取って見る
食べてみてダメなことを知る
当初、直感は当てにならなかった
食べたいという欲求と
食べられたらいいなという願望が
判断を鈍らせた
おそらく
されど日々は続く
何か口にしないと
どんどん吐き気がやってくる
容赦ない
試し続けた
続けるにつれ
次第に直感が外れなくなってきた
己が食べられないものを
主人に食べてもらっていたので
主人は少しずつ肥えていった
我は痩せていった