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ぶじ産めるだろうか  作者: 我
臨月 10ヶ月
84/84

分娩室 出産

分娩室に入り

台に座る


陣痛の痛みに耐え

息を吸って吐き

力を抜く


だが、次第に

力を抜けなくなってきた


「力の抜き方がわかりません」

「そうですね」

(ううう。どうすればいいんだっけ)


「目を開けてください」

閉じたつもりはなくても

閉じていたり

「私を見てください」

声をかけられ

やっと焦点があう


目は開いているのに

天井が見えるはずなのに

なにも見えていない


(あれ?もしかして気を失ってた?)

妙にふわふわする


前駆陣痛で

2日間、ほぼ寝ていない

お産が体力勝負と言われる所以は

ここかもしれぬ


助産師さんの

「いきんで」

のタイミングに合わせず

いきむと、胎児の頭に圧がかかり

危険

というのは雑誌で読んで勉強していた


ひたすら

力を抜く

酸素を送る


これだけを考える

「ううう。出ちゃう」

「はい。いいですよ。好きにしてください」


意味がよくわからず

陣痛が来ても

いきむのを我慢する


「もう、我慢できません」

「えっ。いいんですよもう我慢しなくて。いきんでいいんです」

(なんと。いいのか!)


(いきみたい!)

と強く感じるときがくる

波がやってくる


それに合わせ

ぐーっと力を入れる


すっと遠のく

力を抜く


「うん。ちゃんと力抜けてるから

赤ちゃん全然苦しくなさそうですよ」

この言葉のなんと嬉しかったことか


「がんばって。がんばって。産まれてきて」

祈る


我のつわり中

親身になりアドバイスをくれた

友2人と

おさななじみの顔が浮かぶ

(がんばる!!)


今だ!

ぐぐっといきむ


「はい。今からお産にしますよ。もういきまなくても産まれてくるから大丈夫」

(え?今まではお産じゃなかったの??)

大混乱


足の台がぐいーんとあがり

開く

次々と人が集まってくる

(えっ、どこにこれだけの人がいたのだ)


ううう。いたいいたいいたい


すっ

助産師さんの手の上に

赤子がいた


(えええ。本当にいた)

産まれてきた赤子を見て

びっくりたまげた


「わぁあああ。すごい。すごい。ありがとうございます」

看護師さんが赤子の世話をしてくれる


「性別はどっちですか」

「女の子ですよ」


「麻酔打ちますね」

女性医師のアドバイスのもと

男性医師が傷口を縫合している


(!?この男性は一体?)

(あ、指導しながら縫うのですね)


新人さんなのか?

事前説明を受けていなかったので戸惑ったが

真剣に縫ってくれている


(ああ……会陰マッサージ

ちゃんと続けたが

切られてしまったのだな

全く気がつかなかった……)

とがっかりしたので

聞いてみた


「いつ切ったのですか?」

「いえ。切っていません。自然に切れたのですよ」

「そうでしたか」


「促進剤を追加して、追加して、陣痛の間隔が規則正しくなったのは

12時頃だと思ったので

3時間半で産まれましたね。超安産です」

(なんだって。あれで安産なのか!)


傷口の処置をしてもらい


看護師さんが

我の胸を揉んだ

「あ、よかった。出てますね」


血や胎脂をぬぐわれた赤子が

抱えられ

我の胸に口を寄せた

初乳がちゃんと出た


「2時間、出血の具合を見るので

このままここで横になっていてもらいます。ご主人呼びますね」


主人が来た

「ありがとう」


主人は優しい表情だ


体重を測ったりした後

看護師さんは

胎児と主人と我を3人にしてくれた


「おお。すごいねえ。こんなに小さいのにちゃんと爪がある」

「ねー」


濃い時間だった

当日は何がなにやらわからず

(なにがあったんだっけ?)

とぼーっとしていた


翌日、こんなことがあったなあ

と思い出すことが出来た


ぶじ、産むことが出来ました


胎児の体重は2700グラムでした


アドバイスくださった方

見守ってくださった方

どうもありがとうございました


これから育児

張り切ります


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