始まりの鼓動
何もない白い空間だった。
目の前にはこの空間と対照的な黒髪の少女がいた。
「こんにちは♪」
「あ、はじめまして。」
「『はじめまして』ですか、結構傷つくものですね」
すごく悲しそうな顔をしている。
どこかで会ったのだろうか?
「そうですね、今までに何回もお会いしていますよ」
全く、出てこない。
「ごめん、思い出せないや」
「まあそうですよね。先ほど記憶が消去されていますし」
「消去?」
「消去・・・・です。そうですね、ご自分の名前わかりますか?」
「名前?思い出せないな」
「結構落ち着いていらっしゃるんですね」
「まあな。」
思い出せないものはしょうがないし
「そういうところは、変わっていないんですね。」
「そうなのか?」
「そうですよ。それと、あなたはいつも『ジョン・スミス』と名乗っていましたよ」
明らかに偽名だろそれ。
「で、そちらは?」
「はい、改めまして私は『クオン』と言います。」
すごく罪悪感に苛まれる。
「そうか...ごめん。」
「もう済んだことなので、いいです。それよりも理由についてお話しします。」
「おねがいする。」
「今からあなたは転生します。これは元のあなたの希望です。」
「どんな世界だ?」
「剣と魔法の世界です。文化レベルは地球で言うと、中世ヨーロッパに近いです。文明レベルは勇者が召喚されているので、地球の21世紀くらいですかね。」
「文明レベルがそのくらいなのはありがたいな。」
「それに対して転生先の神が条件を出してきました。」
「神か?」
「はい、神です。それに私も神です。」
この子、頭大丈夫か?
「そ、そうなのか」
「理由ですが。まず、あなたの魂が特別で、今まで転生した分の記憶をすべて保持していたため、その記憶を持ち込まれたくなかったのでしょう。」
「待ってくれ、勇者の召喚など行っているのにか?」
「勇者の記憶などたかが知れていますが。あなたの場合は物が違い過ぎますからね。」
どんな記憶持っていたんだろう?
「そうなのか」
「それでも、少しの記憶とかが残っていますが。」
「そうなのか。」
「それでは現状の確認をしましょうか。」
「どうすればいい?」
「簡単ですよ。声に出してもいいですが、<ステータス>と念じてください。」
「『ステータス』」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
???・??? (?歳?ヶ月)
―スキル―
鑑定
―ギフト―
全能神
―称号―
トラベラー/人神
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「でたぞ。」
「それを私に見せてもいいと思ってください。」
「なんでそんなこと?簡単に見れるんじゃないのか?神だし。」
「一様あなたも神ですので、自分の意思で隠蔽ができてしまうんですよ。」
神だったのか。
「わかった、どうすればいい?」
「思えば、いいです。後はこちらで見ますから。......やはり、影響が出ていますね、相当弱体化しています。」
「そうなのか?<全能神>とかやばそうだろ」
「それは元々はスキルの方に<全知全能ノ神>がありましたからね。」
「そうか、それとギフトと何が違うんだ?」
「ギフトとは才能のことです、そしてスキルは持っている技能のことなんですよ。いまから説明するので、まず<鑑定>と<全能神>を鑑定してください。やり方はステータスと同じです」
「『鑑定』」
――――――――――
鑑定:Ⅰ
魔眼。対象を<鑑定>よりも詳しく調べる。
――――――――――
全能神:Unknown
すべてのスキルに関して取得を容易にし、上達に神補正する。
――――――――――
十分すごいだろ。
「表示されている情報は、スキルとギフトの名前、その横がレベルです。」
「レベルとか、ゲームだな。」
「どの世界にも存在はするんですよ。それと説明量が多いので紙を使いますね。」
「手書きかよ。」
「あ、あじがあっていいだしょ‼」
―――――――――――――
スキル&ギフト紹介♪ ※クオン特性
レベルは6段階だよ!
※鑑定では3段階しか分かない。
高レベルのスキル取得♪
・修練が必要
・低レベルのスキル取得
・高レベルのスキルを習得すると表示されなくなる下位スキルと表示される条件スキルがあるよ。
例:身体強化
下位スキルの<筋力強化>と、条件スキルの<魔力操作>を取得。
↓
基礎の熟練度が規定値に達する。
↓
<身体強化>取得。
↓
<筋力強化>が非表示に、<魔力操作>は表示のまま。
※条件スキルと下位スキルは上位スキルによって変わるよ。
・取得条件は複数存在するよ。
・魔術は2系統取得でそれぞれ魔術師に統合されるよ。
・統合されなくても術、法、導の順でクラスが存在するんだよ。
・<ギフト>は地上では一般的に才能と呼ばれ、スキルの習得を有利にしたりするよ。後から増える事もあるよ。
・条件スキルは、熟練度を調べるためのものだから、取得してなくても上位スキルを獲得することはあるよ。
・スキル&ギフトレベルの表示には神から贈り物<ギフト>と人の認識外の鵜Unknownが存在。
※Unknownは人で言う3段階以外を言うよ。
―――――――――――――
「認識外だと神からの<ギフト>もそうじゃないか?」
「それは神からの物だと多くの人が認識しているからです。」
「そんなものか」
「それと魔物とかのランクも<鑑定>でわからないと、unknoenになります。」
「魔物がいるのか!?」
「居ますよ。人間の活動領域は一万年前には今の倍以上有ったんですけど、魔物のせいで衰退していますし。いまではそこまで気にする必要はございませんけど。」
「それじゃあ、魔物が居るのが認識できるのになぜ?認識できていないんだ。」
「それは格が違うんですよ。魔物のランクは保有魔力量で決まります、それが規格外に多いと、<鑑定>を弾くんです。ある意味神と同じですね。」
「まあ、危険がないならいいか。」
「私がお教えするのは以上でしょうかね」
「クオン・・・色々と、ありがとうな」
「まあ、これからの人生も楽しんでくださいね」
「また、話せるかな?」
「あなたの力なら、いつか会話できますよ。」
「それは良かったよ」
「私も今までのようにたまに、こうやって話してくれたらうれしいです」
「今まで?」
「な、なんでもないです‼」
「残念ですがそろそろ、時間のようですね。」
足の方から光の粒になってる、転生するのだろう。
「そうか残念だ、もっとこうしていたかったのにな」
「私もですよ、念話待っていますね。それと、あなたのステータスは神の鑑定でも弾くので、ある程度は見せても良いと思うこともオススメしますよ。」
「それとまた会える日まで...」
そして唇にほのかな感触を残して俺の意識は途切れた...