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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第4章 08話 冬祭り②

今回は1話のみアップです。

祭りの2日目。


昨夜の夜に行われた一発芸大会は飛び入り参加も20人ぐらいおり、全部で50人ぐらいの参加となったが優勝したのは意外な特技を披露したオーク族のマーラさんだった。


一発芸といっても各自得意な特技を披露していき、中には計算やマテルの早業なんかもあり村以外の人には大好評だったが、村の中では他にも近いことが出来る人がいるので優勝には至らなかった。


ではマーラさんは何をしたのかというと、意外や意外透き通るようなきれいな声でこの世界の歌を歌いあげていた。


いうなれば、某外国のオーディション番組で優勝したポール○ッツさんやスー○ン・ボイルさんの様に、見た目ではそこまで歌がうまそうに見えないのだが、歌ったらびっくりするぐらいきれいな声で迫力のある声で歌いあげていた。


これにはオレ達村の住人も住人以外もあっけにとられ、一瞬開いた口が塞がらなくなったが静寂の後に地面が震えるほどの歓声が沸きあがった。やっぱりどの世界でもギャップによる意外性が人の心をつかむのだろう。


オレもクロも文句なしで優勝をマーラさんに決めた。これなら劇場とか作って定期的にコンサートとか開いてもお客が来るかもしれないね。


そういう職業はこの世界ではないから人が増えたし娯楽も必要だな。ちょっと考えよう。


今日も朝から準備を進めているが正直体が重い。昨日の疲れもあるだろうが、これからまた昨日の忙しさになるのかと思うとちょっと気が重いこともある。


こんなときは顔でも洗って気を引き締めよう。ついでに修行のために神秘の力を体に巡らす。力の加減とかが難しくなるので仕事のときは切っているのだが、体の中に巡らせると体が軽くなり普段以上にすばやく動けるためうまく使えば効率はいいのだ。


「それでは今日も頑張ろう、今日は昨日のお客の具合を考えて遅い朝(10時)まではオレとティカは休むよ。そして昼はみんなで対応、遅い昼(15時)からクロとミミとナミは休んでいいよ」


「承知しました」


-----


休憩時間一人で街を散策していたところ、ミルアン様に会った。


「おお、久しいなユウ殿。このような祭りを開催できるほどに村が発展したのは喜ばしいことだの」


「お久しぶりですミルアン様。ミルアン様のところの執事やメイドたちも頑張っているようですよ。まだ初めての事なのであまり催し物がないですが人が集まってくれたのでよかったです」


ミルアン様はお付の人数人と妖精族のオルミさんを連れて屋台を見て回っていたようだ。


「うちの街には娯楽が少ない。みなそういうことに餓えているのだ。エーテハイムの街も祭りのときは大盛況になるが、こちらの祭りも負けず劣らずだな」


「楽しんでいただけていればうれしいですね。今度エーテハイムの祭りにも是非お伺いさせていただきます」


ミルアン様と世間話をして、うちの店の商品を2つずつおごろうとしたらお金を渡された。


「ここでおごってもらっては祭りの楽しみが減ってしまう。自ら欲しいものを購入するのも楽しみの一つですよ」


まぁ買い物は楽しみの一つだろう。うちの商品を全部買ってもさほどの金額にはならないが買うことで満足するって人もいる。


いつもと違うタイプの服だけど、思い切って買って満足してしまいクローゼットの肥やしになってしまう人も多い。ミルアン様も買うことが好きなタイプなのかもしれない。


「このたこ焼きという食べ物は不思議な形をしてますね。味もいいですし、お腹にもたまるのでうちの者にも作らせたいですね」


「ぜひ作ってみてください。後でレシピを渡しておきますよ」


あとでミルアン様のところの執事かメイドにレシピと専用の鉄板を送っておこう。


「それではゆっくり見てまわってくださいね」


ミルアン様と別れるとオレは一通り街を周り10時には屋台に戻った。


-----


祭り2日目の屋台予想以上の大盛況となり昨日用意した食材が15時までに売切れてしまった。昨日買って行った人がリピーターとなり、昨日食べていた人を見て気になった人が新たな客となり、休む間もなく焼いて売ってを続けていたら売切れてしまった。


「いやぁ、驚くほどのお客さんでしたね。次村に来たときに食べられないか?と質問されることも多かったですね」


クロがやっと片づけを終えオレの所に来たが、村で食べられるようにか。食堂のブーリさんにレシピを教えて提供してもらう方がいいかな。


「お疲れ様。いやぁ本当に予想外の盛況ぶりだったね。俺は接客業は向いてないわ。レシピをブーリさんに教えて食堂で提供してもらうのが一番いいかと思うな」


「私も同感です。接客業は大変ということがわかりました」


「私は楽しかったですよ。大変ですがその分いろいろな人ともかかわることが出来ましたし、勉強にもなりました」


ティカも戻ってきたようだ。


「私はもういいニャ。疲れたにゃ」


ミミもお疲れのようだ。


「ふむ、大変だが人との触れ合いがありこれはこれでいいのぉ」


ナミはそれなりに楽しめたようだ。


「私はパパとママのお手伝い好きだよ」


ルルナはえらいなぁ。意外と接客業に向いているかもしれない。奴隷商のところで小間使いとしてお茶出しなどもしていたので慣れているのだろう。


「みんな疲れてるだろうけど、最後の閉会式を始めるから中央広場に集まってね」


中央広場には関係者がみんな集まっていた。一般の人が参加しても問題ないので、かなりの人が集まってる。みんな何をやるのかわからずに野次馬として集まっているのだろう


冬なので17時過ぎぐらいでもうすでに暗くなっている。周りにはいくつか光のマテルを浮かべて広場の明かりを確保しているが、時間としては丁度いいぐらいだろう。


「お集まりのみなさん、2日間行ったモーン村初めての冬まつりですがただ今を持って終了といたします。本日中には屋台も店じまいと清掃をしてください。盛大に行えたことを感謝します。また次の機会にもお越しくださいますようよろしくお願いいたします」


わーっと歓声が上がり、オレが花火の代わりに火のマテルを空に打ち上げると村の住人の中でマテルを使えるものが同じく一斉に空に向けて火のマテルを打ち上げた。


本当は夏に花火大会として祭りをしようと考えていたが、今回も試しにみんなで打ち上げ花火・・・打ち上げマテルを行ってみたのである。


バーン、バーンとマテルが爆発し、キラキラと火の粉が舞っている。一応火事にならないように風のマテルで風向きを調整しているが、打ち上げた高さがかなり高いので心配いらないようだ。


オレは連続していくつか打ち上げると、光のマテルと併用して破裂した後にチカチカと点滅させる小技を混ぜてみた。すると他の住人も負けるものかといろいろな工夫をして打ち上げてきた。


これは打ち上げマテル競技会みたいな形で審査すると楽しいかも。一般の投票なんかも入れていろいろな人の打ち上げマテルを見る祭りっていうのもいいね。よし、夏はそうしよう。


上空の花火を見て子供たちはキャッキャとはしゃぎ、大人たちは酒の肴にし、カップルは二人の距離を縮めている。


丁度近くにいたミルアン様が驚いて空を見上げていたが、いずれ子供のような笑顔で空を見上げていた。


この光景を見ただけでも今回の祭りは成功したと思える。


「ユウ殿、本当にお主は興味深いお方だ。今までもいろいろと驚かされるアイデアをお持ちであったがこのマテルの演出はこの村でしか見ることが出来ないであろう。本当に・・・美しい」


ミルアン様の言葉を聞いて満足した俺は、最後に30cmぐらいのマテルの玉を打ち上げた。それを合図に住人はマテルを打ち上げるのをやめる。


上空に打ち上げられたマテルの玉はその勢いを失い落ち始める直前にドーンという腹に響く音を鳴らし破裂した。


そして無数の光の玉がキラキラと光の尻尾をなびきながら地上に向けて落ちていく。


オレが花火の中で一番好きな柳のような花火だ。無数の光が地上近くまで尾をなびかせて落ちていく姿は皆口を開けて空を見上げた状態で動きを止める。


一つ、また一つと光の玉が消えていく。そして最後の光の玉が消えて静寂が訪れた次の瞬間、ワーッと大歓声が巻き起こった。


これで冬まつりは終わった。この世界ではこういう娯楽が少ないらしいのでもう少し人々に楽しみを提供できるように考えてみよう。


中央広場に集まっていた人々がそれぞれちりぢりになっていく。ある人は屋台の片づけ。ある人は今日泊まるホテルに。ある人は余韻冷めやらぬなか酒場も兼務している食堂に。


そんな中ティカがオレの隣に来た。


「ユウ様、先ほどの光のマテルはとてもロマンチックで綺麗でした。今度は一緒に見てみたいです」


ティカは少し顔を赤らめ上目づかいでオレに言ってくる。


「そうだね。ティカと一緒にゆっくりと二人で見たいね。今度はそうできるようにしよう」


そのままティカの手をつかみ、二人で家まで歩いていく。少し肌寒くなったためかティカの手は冷たくなっていたので、手をつないだままオレの上着のポケットに入れる。こうすれば手は暖かいし離れることもない。


一瞬俺の方を驚いた顔をして見たティカだが、嬉しそうにニッコリと笑い体をくっつけてきた。


その様子を見ていた近くのカップルがひそひそと話をしてオレ達と同じように手をつなぎ彼氏の上着のポケットに手を入れる。


それがなぜかこの世界の若者の中で流行出し、カップルの冬の定番スタイルとして定着したらしいのだがそれはまた別の話。


-----


冬まつりが終わり数日が経ち寒さが厳しくなってきたある日、朝起きて街の中を歩いていると何か冷たいものが頬に当たった。


ふと上を見上げるとちらほら雪が降り始めていた。この土地では冬は雪が降り50㎝は積もると聞いた。不思議なのは辺境の荒野では雪も降るがほとんど積もらないらしい。降る量は一緒のようだが、辺境の荒野の砂は熱を持っているらしく雪が溶けやすいのだそうだ。


まさにファンタジーな世界。モーン村は辺境の荒野のすぐ横だが積もるのだそうだ。砂の質が違うのかな?それとも他に何か秘密があったりして。


そういえば雪が50cmも積もるなら雪かきもしないといけないだろう。マテルがあるからそんなに大変そうじゃないけどそこらも何か対策を考えておいた方がいいかな。


幹線道路にはマテル石を埋め込んで水を常時流すのもいいかも。でもあんまりびしゃびしゃなのは嫌だな。排水は川に流れていくから特に気にしないでもいいかもしれないけど皮の靴が水を吸って重くなりそうだ。撥水加工はされているけどなんか気持ち的に濡らしたくない。


逆に幹線道路には最果ての荒野の砂を固めて埋めたらどうか?微妙に熱を持っているなら勝手に溶けて流れていきそうだ。よし、その案で行こう。


街の整備隊にこの案を伝えたところ、すぐに理解したらしくさっそく辺境の荒野に砂を採取しに行ったようだ。


今は案を伝えるとみんなが動いてくれるからオレとしてはだいぶ楽だ。いずれは家の屋根も同じ方法で作れば雪かきが必要ないかもしれないな。そこらも整備隊に任せよう。


冬は魔物の動きは鈍くなりあまり狩りもできなくなるのでとりあえず今備蓄している肉でやりくりしていくことになるな。まぁこの村の住人は異常なほど肉が好きだから各家で相当量の肉を備蓄しているだろう。心配する必要はないかな。


一通り村の中を見て回ったら家に戻りティカ達に話をしてテューのところに移動をする。


実は何度かテューのところとこっちを行き来していたところ、テューに転移のマテルを見られてしまった。でも特に驚くこともせず「そんなマテル、あるのか」とさらっと言われただけだったので、気にせず使うようにしている。


翼長のハンさんにも事情を話したら条件付きで好きに行き来していいと言われた。


条件としては勝手に知らない人を連れてこないこと、転移で移動するのはハンさん達の用意してくれた客間だけにすること。スフィラの街で有用な技術を提供すること、この3つだ。


冬まつりのことも話をして参加しないか聞いてみたが、他の種族とのかかわりを絶ってきていたためいきなり翼人が現れると無駄な軋轢を生むため遠慮すると断られてしまった。


そのため屋台の出し物をまとめて用意し、お土産としてハンさんに渡したところ、珍しそうに一つ一つ眺めて味を確かめ、レシピを調理人に教えて行ってほしいと言われた。そして教えてから数日でスフィラの街にも粉物の文化や新しいお菓子が根付いたのだ。


余りのスピードに驚いたが、やはり閉塞的な文化だったため新しいものをどん欲に取り入れようとしているようだ。それにしてもハンさんやテューはここ3日は粉物しか食っていないようだ。偏り過ぎだって。


思わず呆れてしまったが、オレが教えられるものは簡単な物なのですぐに一般にも浸透したようだ。


「ユウ殿の知識によってこのスフィラの街も少しずつ良い生活に向かっておる。食べ物に関しても今まであのような料理は考えもつかなかった。感謝している」


「俺も感謝する。あれはうまい」


「それはこちらも感謝しております。命を助けていただき、修行まで面倒見てもらっているのでこのぐらいであれば協力しますよ」


修行の方は前より少し進んだ。体の中に神秘の力を巡らせることに慣れてきたため少しずつ動きの制御ができるようになってきた。細かい作業もだんだん対応できる時間が長くなっている。その状態でテューと模擬戦をしてみると前は3秒でやられていたが今は10秒ぐらいは持つようになった。


10秒というと短いように思えるが、2回は相手の攻撃を躱している。それだけ早さに慣れてきたのだ。俺にとっては大きな進歩だ。そう、そう思わなければやってられない。


テューの強さが異常なのか、オレが弱いだけなのか。いや・・・両方なのだろう。


俺の修業はまだまだ続いていく。目標はテューと本気で模擬戦を行い1本取ることだ!


かなり更新ペースが落ちてしまっているので申し訳ないですが時間を見つけて書いていますので気長に待っていてもらえればと思います。

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