第4章 05話 修行
アップが遅くなり申し訳ありません。
久々のアップです。今回は3話アップします。
廃墟を出るまでの間、出会う敵はすべてオレが対処した。
正直遠回りをしているような気もしたが、ピンポイントで敵がいる場所に連れていかれては戦い、また敵を探しては戦い。そんなことを3日以上続けていた。
そして休憩するときには必ずオレが料理を振る舞っている。テューはオレの作る料理が好きらしくいつも腹いっぱいうまそうに食べてはすぐに寝るというパターンを繰り返していた。
食料は闇ストレージにいっぱい入っているし、料理道具も用意しておいたから全く問題なかった。
一度転移でモーン村まで帰ろうとしてみたが、この廃墟の壁は神秘の力をマテルとして体から放出すると吸収してしまうらしい。最初に戦った光るトラ(ソーンタイガー)は廃墟の壁よりも吸収する力が強いため先に取り込まれてしまったのだが、ソーンタイガーが居なかったとしても廃墟の壁自体が吸収してしまい発動しないのだ。
一応マテルを発動することはできるのだが吸収されてしまいすぐに消えてしまうか、威力がかなり落ちてしまう。だから土のマテルで弾丸を飛ばすことや部屋を作ることはできるのはできる。ただ、すぐに吸収されてしまうので威力が落ちたり、効果が出る範囲が限定されてしまうのだ。
テューに聞いたところ、廃墟を出れば使えるらしい。村を出てからもう結構日にちが経っているので一度連絡に戻りたいが、まだもう少しかかりそうだ。
あと5階層ぐらいで地上に出る。このぐらいになると敵も弱くなるのでわざわざ敵を探して戦いに行くこともなくなったが、馬鹿みたいに広いため一つ上の階層に行くだけでも1時間はかかる。それも身体強化しダッシュした状態でだ。
以前オレが走って移動したとき1時間で数十キロ走れたが、今は1時間に100キロは走っているのではないだろうか?車で言えば高速道路を走っているスピードで生身の人が走るので本当に爆走していることになる。
テューは道を知っているようなので後ろについてひたすら進み、休みを取りながらやっとのことで地上に出ることが出来た。
日の光がまぶしい。久方ぶりに日の光に当たったので体がほぐされていく気がする。この前は身体強化を解除したところ体に力が入らなくなり全身筋肉痛になったが、何度も筋肉痛→回復→筋肉痛→回復と続けていたため一回り体ががっしりとした。
筋肉は運動すると繊維が切れる。切れた筋肉を回復する際に周りを覆うように筋肉がつくため強化される。そのサイクルをひたすら続けた結果、前より強靭な体を手に入れたのだ。
そのため廃墟から出て身体強化を解除したところ特に筋肉痛もふらつきもなくなった。テューは短期間で神秘の力での強化が体に順応したことを驚いていたがまだまだ子供と同じだと言われた。
子供に子供と同じと言われるとなんかむなしいが・・・。
「着いてこい、街に案内する」
テューはすたすたと歩いて行ったのでそのあとを追いかけて15分ぐらい森の中を歩いた。すると大きな街が見えてきた。
「あそこがスフィラ。オレが住んでいる街。クリオステラでは一番大きい街」
ん?クリオステラ?・・・たしかこの世界にある大陸の一つだよな。オレがいたところはガンガバルで、海で渡って行った先の大陸はリーテカイトだったのでこれで3つ目の大陸だ。意外だったのは廃墟は街の外の森の中にあった。廃墟までの道や周辺は整備されていたが街の外にあることが気になった。
「テュー、あのスフィラという街は昔からあるのか?廃墟が街の外にあるのは意外だったんだが」
「廃墟は200年ぐらい前にできた。スフィラは1000年以上前からある」
やはりそうか。エーテハイムは廃墟が出来てその周りに街が出来たようなものだ。しかしこっちはスフィラがあってそのあとに廃墟が出来たので離れているのだろう。
「廃墟は狩人ぐらいしか入らない。普通の人は用がない」
狩人というと探索者とはまた違う気がするが、一般人なら入らないというのは同じようだ。もう夕方だからなのか廃墟の周辺には人がいないし、今も街に向かう道に人影がない。廃墟はあまり入る人がいないのだろうか?
「街の入り口に門番がいる。お前は何もしゃべらないでいい」
そういわれうなづくと、そのままスフィラの街の門まで来た。
「テュー、そいつは誰だ?見たことない奴だ。それに人族なんて久々に見た」
「こいつシシル様のお告げによって助けた。だから翼長のところに連れていく」
テューが門番に事情を説明すると門番は目を見開きオレをじろじろと見てきた。
「こいつが・・・そうか、わかった。通っていい」
スフィラの街は街の周りを5mぐらいの真っ白な石壁で囲ってあり門は3か所、基本的には翼人が中心なのだが他の種族も多少は住んでいるらしい。
人口は5万人ぐらいの大きな街だ。そして特徴は街の一番奥は大きな山のがけとなっており、その下に城が建っているのだ。城と言っても洋風の石造りの城で映画などで出てくる中世の王様が住んでいたようなものでかなり大きい。
街並みも石造りの家が中心で切り出した石を重ねて外壁を作り屋根を木で作っている。本当に中世のヨーロッパというような街だ。
そして驚いたのは翼人の見た目だ。みんなテューと同じく背は低く高い人でも150cm程度でみな小学生ぐらいの見た目なのだ。ただ、ひげが生えていたり女性らしい体つきをしていたりと背が小さいがちゃんと成人している大人のようだ。
ちなみにテューももう成人しており、人で言えば25ぐらいなのだそうだ。背は低めだが珍しくないらしい。
服装は普通のRPGの初期装備のような「ぬののふく」を着ており門番や兵士のような武器を持った人だけ白い皮鎧を着ていた。ってことはテューも兵士か何かだろうか?
街の大通りを歩いて進んでいたが途中で手を挙げて馬車を止め、その馬車に乗って先に向かう。これはタクシーみたいなもので、街が広すぎるので馬車が巡回して人を乗せて行ってくれるシステムらしい。1回1バルでどこまで行っても料金は同じらしい。100円で乗れるワンコインバスと考えればいいだろう。
馬車に揺られ20分程度進むと城の前まで来ることが出来た。近くに来るとその大きさがさらに際立つ。白一色で統一さえた外壁は神々しく。羽の生えた翼人が天使のように見えなくもない。
「いくぞ」
テューに続いて城の中に入ると入り口にいた兵士が敬礼をする。テューって結構えらい奴?
そのまま城の中に進みテンプレ的な赤い絨毯を進むと大きな扉の前まで来た。
「シシル様のお告げにより助けた男を連れてきた。翼長に話がしたい」
「少々お待ちください」
扉の前にいた兵士に話をすると左に続いている廊下を走って行ってしまった。たぶん別な扉から翼長に話を通しに行ったのだろう。
1分もたたず兵士が戻ってきて中に入ることを了承してくれた。
大きな扉が開き中の様子が見えてきたが・・・だいぶ離れたところに小さな人が一人座っている。横には何人か兵士がついているが・・・遠すぎて顔も見えない。
めちゃくちゃ広くすごい城だが、これじゃただ広いだけで機能的じゃないな。
翼長の顔が確認できる場所に着くまで50mぐらい歩いた。この城を設計した奴は少し馬鹿なのではないかと思ってしまうほどだ。
「よく帰ったテューよ。そしてそなたがシシル様のお告げに言われていたものか?」
「翼長、シシル様のお告げで聞いたところにこいつはいた。間違いない」
「客人よ、シシル様よりお告げを受けテューを向かわせた。シシル様からのお告げとはいえ人を助けるためにお告げを聞いたことは今までない。さぞ恩恵を受けているであろう。何もないところだがゆるりとされよ」
翼長はやはり背が小さく140cmぐらいか?座っているからわからないが決して高くはない。そして白いひげを生やし、貫録のあるオーラを纏った人だった。
「このたびはテュー殿に助けていただきありがとうございました。シシル様にはいくつか使命を与えられておりその半ばで命を落とすところでした。感謝しております」
「よいよい、シシル様のお告げは我らにとって絶対。意味のないことではお告げはよこさぬ。我々は客人としてそなたを迎える。部屋を用意させるので少し待たれよ」
「ありがとうございます」
とりあえずこれで堅苦しい挨拶は終わるだろう。部屋に行ったら一度モーン村に帰っておこう。
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部屋の用意が終わってからテューと別れてメイドの翼人に案内されて城の中を歩く。城が無駄に広いので15分ぐらい歩いただろうか。一人では迷子になりそうだ。
「すみません。あまりにも広いので一人では迷子になりそうなんですが・・・」
「ウフフ、初めて来られる方はみなさんそうおっしゃいますよ。無駄に広いですよね。でも大丈夫です。部屋の付近には私が待機しております。不在の時は部屋にあるマテル石に神秘の力を込めていただければ私に伝わりますのですぐにお伺いします」
部屋の付近に待機してくれているのはありがたいが、メイドさんがトイレに行きたくなったりのどが渇いたときはどうするのだろうか?別に如何でも良い事を考えながら歩いていると部屋についた。
「ユウ様、こちらがお部屋になります。夕食までは時間がありますのでゆっくりとされてください。湯浴みをするのであれば部屋の備え付けの桶にお湯を入れますので私をお呼びください」
「何から何までありがとうございます。ちょっと疲れたので一眠りします。一応私が寝ている間は誰も入れないでください」
「承知いたしました。ユウ様からお声がかかるまでは誰もお通ししないように致します」
部屋の中は10畳ぐらいの広間にテーブルとイスが置かれており、部屋の端にキングサイズのベッドが置かれていた。床は高級そうなモコモコ絨毯が敷かれ、照明はシャンデリア風にあしらったマテル石の照明になっている。やっぱりどの世界でも高級感を求めるとこのような形にたどり着くんだな。
そんな関心をしながら部屋の中を確認する。一応神秘の力を展開して誰か隠れていないか確認したが、ドアから少し離れた所にメイドさんがいるだけで天井や地下には誰も潜んでいないようだ。
とりあえず荷物を下ろして闇ストレージからいつも持ち歩いている寝具セットを取り出す。そしてベッドの布団の中に枕や毛布を仕込んで俺が寝ているように見立て、頭の部分は冬に使う魔物の毛皮の帽子を置いて髪の毛の代用とする。黒い毛だからぱっと見はわからないだろう。
偽装工作をしてから光のマテルで転移をする。すると一瞬で見慣れたリビングに戻ることが出来た。まぁいつもと同じなのだが、転移が出来ない状態でずいぶん閉じ込められていたのでさすがに安心感が押し寄せた。
「お帰りなさいませユウ様。!?ユウ様!!服がぼろぼろで所々に血が!!クロさん!ユウ様が!!ユウ様が!!!!」
真っ先にオレに気づいたティカがオレの身なりを見てパニックになっている。
「ティカ!だっ大丈夫だって。ちょっと大変なことになったけどとりあえず問題ないよ」
「!!ユウ様っ、その傷は・・・ん?傷は無いようですね。もうすでに治療をしたのですか?」
ティカの取り乱しように驚いたクロがすぐさま現れて俺の体をチェックしている。男に触られるのはあまり良い気がしないが仕方ない。
「まぁとりあえずみんな落ち着いて!俺は無事だしまたちょっと戻らないといけないから、お茶でも飲みながら話するよ」
その後はミミとナミも出てきてお茶の用意をしてもらいみんなでテーブルに集まった。ちなみにルルナは今日は犬族のカイルさんのところに行っているらしい。双子のフーとリンのコンビと仲がいいらしく今日はお泊りしに行くようだ。ちょっと離れている間にずいぶんいろいろあったようだ。
「まずは何から話したらいいか・・・とりあえずエーテハイムの廃墟でちょっと修行をしようと思ってどんどん階層を進んで行ったんだが50階層ぐらいでやばいやつにぶち当たっちゃってね」
「ちょ?!ちょっと待ってください。50階層ですか?今まで私達が一緒でもそこまで深くまでは潜りませんでしたが、なぜいきなりそこまで深くに?」
「いや、別に無理しようとしていったわけじゃないんだけど、本気で進んでいったらそこらの階層までさくさく進めちゃったんだよね。そこでゼリーみたいなマテルが一切効かない変な魔物?に出くわしちゃって、逃げようにも逃げられなくなってね」
「ゼリーのようなマテルの効かない・・・若いころ私にいろいろと教育してくれた闇族の執事に聞いたことがあります。水でもなく、皮膚でもない半透明の悪魔が廃墟に巣を食うことがあり、そいつはマテルが一切効かず、マテルを吸って成長し見つかったら最後命は無いと思えと」
あー、やっぱりいたのね。昔からそういうのがレアな魔物として発生していたのだろう。でも一つの場所からあまり動かないからそこまで行かなければ見ることは無い。そして見つかったら最後、捕食されてしまうので逃げることも出来ないか。
「そう、それだね。そいつに見つかってマテルを放ちまくってたらめちゃくちゃでかくなっちゃてね。逃げられなくなっちゃったんだよ。それで足と手をやられて、どうにか隙を突いて下の階に逃げようとしたら足を掴まれて仕方なく自分の足ごと燃やして命からがら逃げ出したんだよ」
「自分の足を?!」
ティカが驚いてすぐに椅子から降り俺の脚を確認する。
「いや!!大丈夫だから、もう治ったから大丈夫。少しまだ動きが鈍いけどもうほとんど大丈夫だよ」
「それにしてもそんな魔物からよく逃げ切れたもんじゃ。さらに下の階に行ったら魔物に食われるのが落ちじゃないのか?」
ナミの行っていることはもっともだが、俺は悪運が強かったのだろう。
「それが運よく魔物がいなかったから、壁を土のマテルでこじ開けて小さなスペースを作って閉じこもり廃墟の通路から隔離したんだ。そして神様に助けを求めたら助っ人をよこしてくれたんだ」
「ユウ様は前にも神様とはにゃしをしていて驚いたけど、神様にそんにゃに気軽に頼めるにのがすごいニャ」
気軽にってわけじゃないけど必死だったからな。
「神様が呼んでくれた助っ人は翼人族だった。今は翼人族の町スフィラで客として迎え入れてもらっている」
「ちょっ、ちょっと待て!翼人族じゃと?翼人族といったらクリオステラの大陸にしかおらず、他の人種ともあまり交流を持たないことで有名じゃ」
ん?確かにテューがお告げがあったから仕方なく助けるって感じで言っていたがあれは本当だったんだな。でもみんな優しいし人当たりもいいからナミが言っている様には思わなかったな。
「そうなのか。なんかみんなフレンドリーでいい人だぞ。とりあえず、その助けてくれた翼人族のテューって奴がいろいろ面倒見てくれて、傷も直してくれたんだ」
「そうでしたか。でもそこまで瀕死の傷をほとんどわからないほど直してしまうということは相当神秘の力の使い方に長けているのですね」
「まぁ恥ずかしながらオレの神秘の力の使い方は子供以下だって言われたよ。翼人族は本当に神秘の力の使い方に長けていて、マテルとしてではなく自分の全身に流して身体能力を一気に跳ね上げる使い方が多いみたい。オレも指導を受けようと思っているからちょっとあっちに滞在することになるかな」
オレが子供以下という評価を受けたことにみんな愕然としてるようだ。まぁそうだよな。なんだかんだでオレもこっちの大陸だと規格外扱いだからな。
「でっ、でもそんなにすぐに戻られてしまうのですか?私も少しは一緒に過ごしたいと思い・・・ます」
最後のあたりは声が小さくて聞き取れなかったが、ティカはさびしいようだ。
「今は客として部屋で寝ていることになってるんだ。またすぐに帰ってくるからもう少し待っててくれ」
どうにかみんなを説得してオレはまた転移を使いスフィラの部屋に戻った。
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スフィラに戻ったら丁度夜ご飯を食べるぐらいの時間になってしまっていた。
モーン村でお茶を飲みすぎたのかトイレに行きたくなったので渡されていたマテル石に神秘の力を込めてメイドさんを呼んでみる。
「あー、すみません。あのーメイドさんいらっしゃいますか?」
トントン
すぐにドアを叩く音がしたのでドアまで行き開けるとメイドさんが立っていた。
「何でこざいま・・・クスッ。ユウ様、もしかしてマテル石に話しかけていましたか?」
ん?マテル石には話しかけるものじゃないのか?石にフーフーと息を吹きかけていたのをみてメイドさんが笑っている。
「これってもしかして神秘の力を流すだけでいいの?」
「はい、それは神秘の力を流すと私の持っている神秘の力が振動して呼ばれていることがわかるのです。ウフフ、すみません。こちらの大陸ではあまり間違える人はいないと思いますので」
これは恥ずかしいな。でもこれで一つ勉強になった。
「それで、どのような御用時がありましたか?」
「あぁ、ちょっとトイレに行きたいのですがどこにありますか?」
「それではもうすぐ夕食ですのでトイレに行きながらそのまま夕食に向かわれますか?」
「はい、そうしていただければありがたいです」
トイレはいわゆるぼっとん式だった。田舎のじいちゃんの家にぼっとん便所があったためそこまで驚きはしなかったが、モーン村ではほとんど水洗式に変えてしまったのでこっちの世界の常識を忘れていた。
夕食は翼長とテューと3人での食事となった。
「あまり豪華なものは用意できないが遠慮なく食べてくだされ。よければユウ殿の住んでいるところの話でも聞けますかな?」
「寝床から食事まで用意していただきありがとうございます。私の話でよければ喜んでお話いたします」
そこからは翼長やテューが興味があるとの事だった食事や魔物の種類、生活環境などの話をし、おおむね満足してもらえたようだ。
「ユウ殿の話を聞いているとまだまだ他の大陸との差があるようだ。私共は神秘の力の研究を熱心に進めたため神秘の力の扱いには長けているがその他の生活につながる技術が未熟だ。出来れば少しでもそのような技術を伝授してもらえないだろうか?」
「私はいいですよ。そこまで革新的な技術はありませんが、今の技術を工夫して快適にするものはあります。その代わりに私に神秘の力の使い方を教えていただけませんでしょうか?」
「それはありがたい。テュー、ユウ殿に神秘の力について指導をしてあげなさい。一人前と認められるぐらいまで指導を続けるのじゃ」
「わかった。ユウ、俺が教える」
そんなこんなで俺はテューから神秘の力について指導を受けることになった。あんなことをさせられるとも知らずに・・・
いろいろと私生活でばたばたしておりなかなかアップできずもうしわけないです。
感想を書いていただいている方に返信も出来ずに申し訳ないです。とりあえず物語りを書くことを優先して後でまとめて修正・返信させていただきます。
こつこつ書いてアップしていきますのでよろしくお願いいたします。




