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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第4章 01話 見直し

第4章に突入です。

ここは生まれ育ち慣れ親しんだ地球という星ではない。


ある日、神様らしき存在にお願いされてまったく知らない世界へ飛ばされた。


自分と容姿が似ている人族じんぞくという種族が居るが、人族以外の種族も多く魔物も居る世界。マテルという魔法を使うことが出来、人並みはずれた能力で走ったり飛び跳ねたり出来る世界。


そんな異世界に飛ばされてからいろいろ大変なことがあった。


ただそんなことより、今オレが大変な状況になっていることの方が重大である。


ここはオレの部屋でオレはベッドの上で寝ていたはずだ。


いや、今も上半身を起こした状態でベッドの上に居るのだが、俺の隣には小さな幼女がオレに抱きついて寝ている。そしてその様子を俺を起こしに来たティカが見つけてた。


「ティカ・・・違うんだ。俺は何も知らない」


プルプルと怒りなのか悲しみなのかわからない感情で肩を震わせたティカが、こちらを涙目でじっと見ている。


「ティカ?!ティカさん?おっオレは何もしていないって!!この子が勝手に入ってきて」


「そんな言い訳は聞きたくありません!」


「ひぃっ?!」


怖かった。


ただ、ひたすら怖かった。


魔物を倒し、魔族を倒し、魔王を倒したオレが恐怖に怯えて身動きが取れない。


ズリッ


ズリッ


ティカが鬼の形相で足を引きずりながらこちらに近づいてくる。


「あっ!わっ、わわっ!」


オレはもう言葉にならない。


このままでは命が危ない!


ズリッ


ズリッ


「ちょっ!てぃ、ティカさん!!そんな顔でこっちにこないでくれ!!怖すぎる」


「何を言っているのですか?ユウ様。私はいつもと変わらない笑顔ですよ」


その笑顔が怖いんだって!!とは口が裂けてもいえない。


「これは、オレが寝てたらこの子が勝手に入って・・・ん?!!」


俺の近くまで来たティカがとった行動は、俺の顔を両手で包み込んでオレの唇に自分の唇を重ねることだった。


「私だってまだ一緒に寝ていただいたことがないのに・・・この子に先を越されてしまったため大人気なく嫉妬してしまいました。おはようございますユウ様。さぁ、さっさと起きてください」


「おっ、おう」


死を覚悟するぐらいの恐怖だったが、ティカはやさしく対応してくれた。まったく・・・ティカには勝てそうにはないな。


そんなリア充なやり取りをしていると、隣に居る小さな女の子が目を覚ました。


「パパ?・・・ママ?」


オレとティカの顔を交互に見ながらパパ、ママと声を掛けてくる。


・・・かわいい。年齢は5歳ぐらい。この前グングルトの奴隷商のところからつれてきたお茶入れをしていた人族の女の子だがまだ親離れできていなく、一緒に来た新しい住人より俺に懐いてしまったためオレの家で預かることにした。


とりあえず、オレとティカで面倒を見てやることとなったのだがパパ、ママと呼ぶようになってしまったのだ。


「おはよう、ルルナ。もう朝だぞ。それにオレのベッドに入ってきちゃだめだろ?」


「んー?なんでー?」


「なんでって・・・なんでだろう?ティカなんでだ?」


「そっ、そこで私に振らないでください。・・・ルルナ、ユウ様はお疲れになっているのでゆっくり休みたかったんですよ。・・・私も一緒に寝たいのにずるいです」


最後のころは声が小さく、オレには聞こえなかった。


「じゃあ、じゃあ、ルルナはパパとママと一緒に寝たい。今日はここで一緒に寝よ!!」


名案が浮かんだ!!ってな顔つきで小さな体で手をぶんぶんと振りながら元気いっぱいに話し始める。


「パパがこっちで、ママがこっち、ルルナは真ん中で寝るの。夜は寒いけどみんなで寝れば寒くないよ」


新しい村の住人を連れてきてからもう1週間が経つ。だんだん風が寒くなってきて冬らしくなってきたため、人肌恋しくてルルナはオレのところに入ってきてしまったのだろう。


「それはいい考えですね。では今夜からは私も一緒にこちらで寝させていただきますね」


ティカがルルナの案に乗っかってきた。


「ちょっそれは!!・・・まぁいいか。みんなで寝るか」


そういってから俺はベッドから出て着替え始める。それを見てルルナも自分の部屋えと着替えに帰っていった。


「ユウ様、わがまま言ってすみません。私もユウ様と一緒に居たいと思い・・・」


「わかってるよ。今まであまりかまってやれなかったし、恋人になったとはいえ一緒に過ごす時間が少なかったしね。これからは一緒に居る時間もなるべくとるよ」


そういって抱き寄せ唇を重ねた。


-----


朝ごはんは一日の始まりだ。


着替えてリビングに出ると、クロとミミがお揃いのエプロンをして台所に立っていた。


「すみません、途中でお願いしてしまって。ユウ様が起きていらっしゃったのでまた交代いたします」


「いいにゃ。今日はクロさんと私で用意するにゃ。ところで、ずいぶんと遅かったけど何してたにゃ?」


ミミはニヤニヤしながらティカに質問攻めをする。ティカも「何もしてません!!」って言いながら顔を真っ赤にしているので、何かあったことはバレバレなんだが・・・。


「ニャハハ、ティカはかわいいにゃ。すぐ顔が真っ赤ににゃるにゃ。まぁルルナが居てあまりイチャイチャできにゃいにゃら、私達もルルナの面倒見るにゃ」


「そんなっ!イチャイチャなんてしてません!。でもいつも面倒を見られるとは限らないのでお願いすることもあると思います。そのときはよろしくお願いいたします」


ティカとミミのやり取りをしているところにテーブルの準備を終えたクロが入っていった。


「ティカさん、私とミミもルルナは娘のように思っていますので気にしないでください。今から子育ての予行練習だと思えば楽しいものです」


「もうっ!クロさんってば!気が早いにゃ」


なんか勝手にキャッキャウフフな状態になったのだが、リビングで一人ぽつんと座っている俺はどうすればいいのだろうか?


クロとミミもいつの間にか正式に付き合うこととなっていた。それがきっかけなのだろうけど、ずいぶんとクロも強くなり、ポンコツにならなくなった。


「そういえばクロ、そろそろこことは別に家を建ててあげるよ。部屋は違うとはいえ一緒の家だと気を使うだろ?二人になりたいときもあるだろうし。ちょうどうちの裏手なら手ごろのな広さがあるからいいんじゃないか?」


うちの裏手は裏庭のようにしようかと思ってずいぶん広い土地を空けてある。そのまま進めば川に出るのだが、家を1軒建てても問題ない広さはある。


「ありがたいお話です。さすがに私達が居てはユウ様もキャッキャウフフできないでしょうから」


クロがニッコリと笑っている。こいつ、むかつくな。まぁお互いにメリットが多いということで家を建てることとしよう。


「それじゃ今日作っちまうか。間取りはどうする?」


「ユウ様の家より小さくていいのですが、同じような間取りにしていただけると助かります」


「了解、じゃあ部屋の数は少なくするけどキッチンや風呂とかは同じにするよ」


朝食を食べてから家の裏手から出る。裏庭としているが、洗濯を干す場所があるぐらいであとはただの空き地だ。


家を建てる場所をクロと相談しながら決め、洗濯を干す場所はうちと共有で使うことにした。


ついでに裏庭に作っていた井戸はそのままにして水の供給としては試しにタンク式に変更することにした。


村では各家の近くに井戸を作って、その中にマテル石を入れている。工房に居る細工師に加工してもらえば一定の量より少なくなったら水を出すように出来るので神秘の力のチャージさえしていれば枯渇することはまず無い。


でもよくよく考えると井戸から汲み上げて水瓶まで運んでいくのが面倒臭い。


今まではみんなクロ、ミミ、ティカに任せていたのであまり気にしていなかったのだが、最近手伝いをしたときに面倒臭さに気づいた。


それが普通と思っている人にとっては何の疑問もなく、むしろこれだけ水を豊富に使用できるという点で満足している部分が大きい。


でもオレにとっては不満だったのだ。水は蛇口を捻ったら出てくるような便利な物ができないかと考え、マンションなどでよく見られるタンク式にしてみることにした。


うちとクロのところでうまくいったら、村の中に普及させていくつもりだ。整備隊が出来たので構造を説明すればタンクを設置し各家に配管を通してくれるだろう。


タンクの大きさはとりあえず5m×5mとして、土のマテルで石を加工して作る。石の厚さも30cmと分厚くしてちょっとやそっとでは壊れないようにしておく。


高さは家の2階でも水が使えるように屋根より高い位置に決め、マテルで四本の柱を地面からにょきにょきと生やす。


マテルを使うとこんなこともなんてこと無いのが助かる。ファンタジーの世界だから出来る力技だ。


配管も石で作っていく。塩ビパイプなんてないし鉄を加工するとコストが馬鹿にならないので石のパイプをマテルでつくり、うちの屋根までつなげる。ところどころ邪魔にならない位置に柱を取り付け配管を支える。


家の中で水が必要な箇所に配管を伸ばしていたときに、蛇口が無いことに気が付いた。


「ちょっと加工場に行ってくる」


クロに加工場に行くことを伝え、ズズ達のところに行くことにした。


せっかく配管を伸ばしても蛇口が無ければ垂れ流しになってしまうので、作ってもらうために説明をしにいくのだ。


「こんにちは。おーい、ズズいるか?」


「ん?なんだユウ殿、なんか面白い物を作る案でも持ってきたか?」


最近ズズはニルニア鉱石を使った武器や防具を作っているが、飽きてきたのか何か面白い物はないかと俺に聞いてくる。


「今日は面白い案を持ってきたよ。蛇口といって水を出したり止めたりできる物なんだ。まぁ酒樽の注ぎ口みたいなものだ」


「ほぅ、それは簡単な構造ではないのか?簡単なものならオレじゃなく弟子に作らせる」


「うーん。錆に強い素材で作ってもらいたいんだけど・・・。簡単かどうかはわからないからまず構造を説明するよ」


オレはズズに蛇口の構造を教える。この世界にはゴムはあるのでパッキンは問題ないだろう。パッキンが無いと水漏れするので重要になる。


蛇口のほかにもバルブをいくつか作ってもらうことにした。


各分岐点の後にバルブを入れて修理するときに水を止められるようにしたいのだ。もちろんタンクから出す配管のところにも取り付ける予定だ。


そして最大の特徴はお湯を出したいので、マテル石を取り付けてそこを通すルートと、水のまま通すルートを作り、耐熱加工もしてほしいと話す。


簡単な絵を書きて説明すると、ズズはすぐに理解して考え始めた。


「これは簡単そうに見えてかなり高度な技術が必要だ。水を通すだけのものなら問題ないが、マテル石を置いてお湯にするとなると耐熱処置が必要だ。わかった1日待ってくれ、その間にオレが仕上げる」


1日という速さに驚いたが、とりあえず試作品を作るってことらしいので問題ない旨を伝えて加工場を出た。


裏庭に戻ると、クロが周りの草をかぜのマテルを使いうまく刈っていた。


「お帰りなさいませ。お考えになっている案はうまくいきそうなのですか?」


「ズズは1日待ってくれって言ってたけど、あの分なら大丈夫そうだな。とりあえず、家と広場に出る通路を整備してしまおう」


オレとクロは手分けをして工事を始めた。いつの間にか話を聞きつけた整備隊の隊長が勉強のためと言いつつ手伝いをしに来てくれたので作業はスムーズに進んだ。


夕方までには家の細部まで手を加えて、俺の家の横から広場に出る道もきれいに整備し、各水場への配管も済んだ。


井戸があるので急いでタンクに水をためる必要は無い。明日ズズの作った蛇口の具合を見てマテル石の設置をすればいいだろう。


-----


次の日、朝からズズのところに行ってみるとズズは寝ずに試行錯誤していたらしく、いまだに「うーん」と考えているようだった。


「おはよう、ずっと考えてくれていたのか?」


「おっともう朝か?なんだか見た目が気に食わなくてな」


ズズの話だと物はできたのだが、見た目がよくないとのことだ。試しに水を通してみたが、ちゃんと水とお湯の切り替えも出来、蛇口としては問題ないらしい。


「初めだから見た目は仕方ないよ。とりあえず形になったことでもすごいさ。今後少しずつ改良していけばいいよ」


「納得はいかないが仕方ない。とりあえず5つ作ってある。バルブというものも10個は作った。まだ必要なら弟子に教えながら作るがどうだ?」


「そうだね。これから普及させるからとりあえず続けて作っていってくれ。蛇口は100個、バルブは200個ぐらい作ってもらって足りなければまた注文するよ」


蛇口自体は少し大きめだけど別に問題ない範疇だと思う。向上心が高いのはいいことだ。今はこの蛇口で十分事足りるのでうちとクロの家にに設置することにしてみた。


まずは蛇口から。マテル石は魔物狩りをしている狩人チームがよく手に入れて商店に売っているので格安で購入することが出来るが、俺は手持ちの物がいくつもあるのでそれを使うことにした。


マテル石はさっき加工場に行ったときに加工職人に水が触れたら力を発揮するように調整してもらっているので、石が壊れない程度に神秘の力を込める。


石はビー玉ぐらいのものなのですぐに神秘の力がいっぱいになった。そして蓋を閉めてキッチンの水を使う場所まで引いた配管に取り付ける。取り付け口は大きさを決めていたのでぴったりサイズだ。


後は同じ要領で他の箇所とクロの家の中にも取り付けた。


次にバルブの取り付けだ。何箇所か取り付けておいてひとつずつ開放していけば水漏れなんかの確認も出来る。マテルを使った取り付けのため、時間もかからず各取り付け予定位置に取付けられた。


最後にテニスボールぐらいのマテル石をタンク中央上部に作った台座に取り付ける。


このマテル石は空気に触れたら水を放出する加工をしてある。井戸と同じで水位が下がり、マテル石が空気に触れたら水が少なくなったと認識して水を追加するのだ。


水が満たされてマテル石が水の中に浸かれば水の放出が止まる。


タンクの上から神秘の力を込めるとマテル石から水が溢れ出した。めいいっぱい神秘の力を込めてタンクの蓋を閉める。蓋も石でできているためかなり重く、ちょっとやそっとでは持ち上がらない。これはいたずら防止やタンク内に落ちてしまうのを防止するためにわざと重くしてある。


水が満たされたようだが、空気抜き用の穴以外からは特に水漏れは無いようだ。空気を抜く穴をマテルを使い塞いでから、俺の家の方に行っている配管のバルブを開ける。


・・・


第一段階はクリアのようだ。


次に家の中に入る手前のバルブを開ける。


・・・


問題なし。


家の中でキッチンに待機しているティカに合図を出し蛇口を開けてもらう。


少し様子を見ていたが、ティカが頭の上で手を丸くして問題ないことを伝えてくれた。


クロに問題ないことを話して、いったん家の中に入る。


「ティカ、水は問題なく出る?」


「はい、勢いが強いですがこのレバーを調節すれば出る量を調整できるので問題ありません。これはとても便利ですね。レバーを右にずらすと暖かいお湯が出てくるのでこれから寒い時期は助かります」


温水も問題なく出ているようだ。


今回作ってもらった蛇口は、レバーが1つ付いていて、縦に持ち上げると水の出る量を調節でき、一番下まで下げると水が止まる。


一番右に回すと熱いお湯が出て、左に回すことで水とお湯の量を調節でき温度調節ができる物となっている。


地球での一般的な家庭にある水とお湯を出す蛇口を参考にしているのでほぼ同じ機構だ。


「よし!これで寒いときに温かいお湯も使えるし、煮炊きするとき水ではなくお湯でやれば時間も短縮できる。気に入ってもらえたなら村でみんな使えるようにしよう」


「それは良い考えですね。この方法は画期的でございます。住人も喜ぶとおもいます。早速部下にこの機構を説明します。何人か連れてきてもよろしいでしょうか?」


今日も来ていた整備隊の隊長が蛇口を見て驚いていたが、住人のためになることなのでやる気満々になってくれている。


「いいよ。よく見て取り付け方法を覚えてね。蛇口とバルブはズズが作ってくれるから好きに使っていいよ。無くなったらズズに言って追加で作ってもらってね」


村のインフラ整備ということで取り付けは村の予算から出すことにしているので必要なら作ってもらって問題ない。予算を管理しているクロにも話をしてあるから大丈夫だろう。


クロの家の方にも水を通しちゃんとお湯と水が出ることを確認して引越しを始める。


引越しといってもクロとミミが部屋に置いていた物を運ぶだけだし、オレとクロの闇ストレージを使ったため何度も往復せずに済んだため夕方までには片付いた。


「ふぅ、これでクロとミミの家が完成だな。細かい調整はクロにお願いするけど、俺が手を加えたほうがいいところは遠慮なく言ってくれよ」


「何から何までありがとうございます」


「ユウ様、ありがとにゃ。でも私もクロさんもユウ様の従者にゃ。これからもおうちには毎日行くにゃ」


そんなに気にしないでもいいのだが、ミミとクロはオレの従者だということで毎日食事や身の回りの世話をしに来てくれるという。ティカだけだと大変だろうからうれしいが、クロ達も自分の家を持ったことでそちらの維持も必要になる。ちゃんと休みのときは自分達のことをさせよう。


水の供給についての革命的な方法を導入したことで、数日後今まで以上に移住希望者が殺到するのであった。

村の生活向上を考えていろいろ試しているユウですが、今の時点で周辺の町の中でも一番の生活水準になっていることに気付いていません。少しでも日本の生活に近づけたいようです。

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