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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第3章 21話 大規模工事

2話up分の2話目です。

「私達が村の大臣ですか?勤まるでしょうか?」


夕飯を食べながら俺の考えをみんなに話す。ティカが役割を果たせるか不安そうに聞いてくる。


オレの考えというのは、この村を今後大々的に拡張すること。そうなると村を治める要領では手に余るため、重要と考える分野を4つに分け、それぞれの大臣としてみんなに治めてもらうということだ。


今のオレの考えとしては警備、経理、教育、生産の4つに絞っている。必要であれば増やすけど、4つの中のどこかに所属するのであればさらにリーダーを任命して対応に当たってもらうつもりだ。


クロは経理、執事としての長年の経験を生かせると思う。


ミミは警備、猫族は周囲の変化に敏感だし、夜でも目が見えるから警備には最適だと思う。


ティカは教育、元貴族ということである程度の教育は受けているし、やさしい見た目から子供たちにも人気がある。教え方もうまいので教師を育てるという意味でもいいと思う。


最後に生産はナミ、意外かもしれないがナミは神化(じんか)してからものを食べられるようになったり、自分で何かを作ることが出来るようになり、生産方面に興味が行っている。


勿論食べることも大好きなのでいろいろとアイデアを出してくれるだろう。


オレは全体の統括として村長を継続する。各大臣はリーダーを任命し、リーダーは人材を募り各仕事を進めてもらう。


誰もやってたことないんだから失敗を恐れずにやってみるしかない!


「大丈夫だと思うよ。だってオレも村長なんてやったことないし、みんなで手探りでやっていくしかないと思うんだよね」


「私はいいにゃ。警備隊を組んで巡回したり、門の番をしたりする人員を集めたにゃ。お給金はどうするにゃ?」


給料については予め他の街の警備員や士官の相場を聞いている。だいたい1週間で銀コイン5~10枚のようだ。5日で5万~10万か、1月4週20日だとすると20万~40万、まぁこんなものだろう。活躍した人にはもう少し色をつければいい。


一応オレの知識だけではなくみんなに聞いてみたが、こんな出来たばかりの村でそれだけもらえれば高給取りになるそうだ。


実はオレのもともとの資金とは別に村でお金が動き始めてからの税金徴収で得た金額だけでも結構な額になっている。ニルニア鉱石で作る武器や防具が今後売れればさらに増えるだろう。


オレの資金自体も一人じゃ使い切れないから村の運営費に入れてしまってもいいが、どうしようもなくなってからにしてほしいとクロに言われた。


クロとしては自分の手腕を発揮するいい機会だと思っているようだ。頼もしい限りだな。


みんなある程度ビジョンが見えたようなので運用してみて変えていけばいい。


-----


それから2週間かけて村の壁をかなり広大に広げた。さらに2週間かけてきれいに整地し、1週間で区画して商業地区、住宅地区、畜産・農業地区、工業地区として区分けした。


まぁ区分けといっても道の石畳に含まれる成分を調整して分けただけだ。自分が今どこにいるのかわかりやすくするためにそうしたのだが、カラフルになりすぎたかと思う。でも住人には綺麗だからそのままにしてくれといわれたので直してはいない。


住居としては前は30家族ぐらい住めるように長屋を作っていたが今は300家族ぐらい住めるぐらいに拡張した。とりあえず長屋を多く作り、戸建ては数軒だけにしてお金がある人から希望が多ければつくるということにした。


といってもオレのマテルで作るとお金がかからずにすぐできてしまうし、安すぎるとみんな戸建てを建てて土地が足りなくなるので最低でも金コイン5枚(500万)ぐらいは必要とした。とりあえず住む人は決まっていないが今10戸ぐらいは家が建っている。


村への移住条件としては、犯罪歴がないこと、大金(金コイン10枚以上)を所有していないこと、貴族ではないこと、他種族との生活にストレスを感じないこと等だ。


区画整理をする前から村の周りには30~50家族ぐらい野宿をしており、最終的には25家族が村に受け入れられた。何人かは犯罪組織に身をおいているような輩だったので気絶させてナミの力でエーテハイムまで転送し警備隊に差し出したりもした。


何故わかったかというと、ミルアン様に村の拡張を報告しに行ったとき真実を見極めることのできる神官を派遣してくれるということになっていたからだ。その代わり神官が住む教会のような建物を作ってほしいといわれている。


まぁどの世界にも宗教らしきものはあり、自分の力を伸ばしたい若手が名乗りを上げたのだそうだが、本人はやる気満々で犯罪歴もなかったので一応了承した。へんなことをし始めたら送り返すことも約束している。


しかしうちの村に住めなかった理由で一番多かったのは他種族との生活にストレスを感じる人が多いことだ。面接には大臣の面々、あとズズにも出席してもらった。悪いとは思うがズズ達を見るといやな顔をするやつが多いのだ。


「オレはこの村が好きだから変なやつがくるのがいやだ。だから手伝うんだ」


ズズは村のためならいいといってくれ住人の選別を手伝ってくれていた。


やはり種族の差別が深刻だな。おれ一人でどうこうできるものではないが、せめてこの村だけはそういう差別がなくなってほしい。


やっと面接も終わり住人の受け入れがひと段落してきたところでまたニルニア鉱石の武器・防具を売りにいく準備をする。


今回は村がばたばたしているのでオレとクロとナミで行くことにした。


いつものように廃墟の中に移動し今日は20階以降のところで魔物を倒しいろいろと拾っていく。ニルニア武器だけ持っていくと怪しまれるので少しカモフラージュにするために集めているようなものだ。


闇ストレージの中にもアイテムがいくつかあるのでそれと合わせて麻袋3つ分とニルニア武器剣2本と盾2つを用意した。これは前のものより少し品質を落とした普及版のものを持ってきてみたのだ。


廃墟から出るといつもの商人が俺の顔を見てニコニコしながら手を振る。


「兄ちゃんたちはいつの間に廃墟に入ったんだ?まぁいいや。それで今日の具合はどうなんだ?」


「今日は少なめだが、希望のニルニア武器は手に入ったぞ。いつもの商人たちはくるのか?」


「ああ、ちょっと待っててくれ」


そういうといつも一緒に鑑定している商人2人を呼びに行った。


「クロ、ニルニア武器を村で売ったらまずいかな?。質の良い商品は特定の商人に売ることにして普及版だけ村で売ることにすれば、変な貴族とか来ないでよさそうだと思うんだよね。それに毎回こっちに売りに来るのは面倒くさいしね」


「確かに手間はかかりますが・・・何ればれてしまうことならはじめから大々的にやることを前提に対策を練っていけば大丈夫かもしれませんね」


そんな話をしているといつもの2人を連れて帰ってきた。


いつも通り野次馬がちらほらいるがきにせず手に入れたものを出していく。まぁこの前と同じだからあまり歓声は上がらない。


「この剣と盾は前のものより質が落ちるな。でも一般的な武器よりかなりいいものだから金額は1セット金貨3枚ってところかな」


そんなことで全部鑑定してもらい今回は金貨8枚となった。そしてオレは行商人としてうちの村に来てもらえないか勧誘してみることにした。


「今までこっちまで来ていたのだが、うちの村でも武器や防具その他にもいろいろ作っているんだ。あんた達と何回か取引して信用できると思っている。うちの村に取引に来ないか?損はさせないと思う」


「なんだなんだ、兄ちゃんはかなりのお得意さんだしそういわれるとうれしいが・・・正直この廃墟の前で仕事していてもあまり実入りがいいわけじゃない。兄ちゃん達の持ってきてくれたものを売って少し余裕は出てきたんだ。新しい事をはじめるなら今しかないが不安がないわけじゃない。二人はどうする?」


「私は店が小さく売り上げもまずまずだがさらに高みを目指せるならやってみたいと思います」


「私もだ」


商人3人は小規模な商人だ。売れ行きとしてはまずまずだが、中規模商人や大規模商人にはまだまだ程遠い。俺とのやり取りで少しは実入りがよくなったのでさらにステップアップをしたいとも考えているようだ。


大商人の方が安心して商品を渡せるが、その分販売先が多く間に合わなくなる可能性もある。


この3人であれば販路はこれからさらに増えるだろうが、その間にこっちも生産体制が整ってくるのでお互いに成長できると思う。


それに相手が1人の大商人だと、独占しているといわれて他の商人に目を付けられそうだが、3人を通して他の商人や貴族に販売させれば少しは影響が分散するだろう。


3人は大商人にも目を付けられるかもしれないが、そこはうまく立ち回ってもらうしかない。このぐらいやりこなせなければ大商人にはなれないだろう。


などと勝手に考えていると話がまとまったようだ。


「わかった。どんな品があるかはわからないが一度村に行かせてもらうよ。場所は辺境の荒野近くの新しいモーン村だろ?商人の間では噂になっているから場所はわかるさ」


やっぱりうちの村のことは噂になっているんだな。このところ村に来る商人が多いわけだ。


そしてオレ達は村に帰るためにナミに転移の準備をしてもらう。


「ナミ、前から聞こうと思ってたんだけど転移のマテルってどうやってるんだ?」


「なに?転移のマテルまで使おうって思ってるの?ムリムリ、これ特殊マテルだから私しか使えないんじゃない?後は神様ぐらいかな。一応属性としては光のマテルなんだけど、今いる場所と転移した居場所の2点を光のマテルを発生させて点をつなぐ感じ?うまく説明できないけどそんな感じなのよ」


そう言うとナミが転移を開始する。いつもの通り強い光に目を閉じるといつの間にか村の家の中にいた。


俺のイメージとしてはホワイトホールのように考えている。ブラックホールに入るとホワイトホールに出てくる説などがあるが、まだ真相は明らかにされていない。しかし点と点を結ぶという意味では似た構造のように思える。


俺は試しに光のマテルを展開し、ビー玉ぐらいの小さな光の玉に神秘の力を思いっきり込めていく。そしてもう1箇所さっきまでいた闇族の住処を思い浮かべ、そちらにも光の玉を作るイメージをする。


光が徐々に大きくなり目を開けていられないぐらいにまで光ると目の前は見たことのない森の中だった。


どこだここ?


とりあえず転移は発動したみたいだけど神秘の力を結構使うし知らない場所に飛んだ。転移先のイメージがはっきりしないとかなり危険だな。土の中とか水の中とかに出たときは命を落とす可能性もある。


神秘の力を展開してみると周りには多少の魔物はいるが人はいないようなので転移の練習をしてみよう。周囲を見ると大きな木が1本あったのでその近くに移動することにした。


まずは木の近くで周りのイメージを固める。次に100Mぐらい離れてから光のマテルを発動させる。


光が強くなり目をつぶると大きな木の近くだが、目的の場所より30M横にずれていた。


その後何度か練習し、やっとコツをつかめてきた。今までは行きたい場所の周囲を含めて自分が見ている風景を考えていた。いうなれば自分の目で見ているような形で頭の中にイメージしていたのだ。


しかしずれが大きいため自分がその場所に立っている写真を見ているように第三者視点に変えてみたところうまくいった。誤差もほとんどなく、考えていたところに移動ができる。


10回は練習したがさすがに体がだるくなった。神秘の力がかなり使われているようだ。ナミでも5回やったらすっからかんだといっていたのでかなりの量の神秘の力を使うことはわかっていたが、自分でやってみるとその大変さがわかる。


使えるようになったのはいいが疲れた。帰りたいところだがもう少し練習してなれてから帰ろう。


それからさらに10回程度練習した。光がかなり強いので光の玉の周りを土で覆ってみたり服をかけて覆ってみたところはじめはまぶしくなかったがやはり最後はまぶしくて目を開けていられなかった。


ただ単に先に転移して物がなくなるのでまぶしくなるようだ。どうにかならないかな。今日はこれぐらいでいいだろう。クタクタだしとりあえず帰ろう。


モーン村の自分の家のリビングにいるイメージをして転移をする。


部屋に転移して目を開けるとみんなが驚いた顔でこちらを見ていた。


「ユウ様!!!今までどこにいらっしゃったのですか!みな心配していました」


ティカが涙目で俺のところに駆け寄り、胸をポカポカとたたく。


「ごめんごめん、転移の方法を聞いたから練習してた。その甲斐あって一応できるようになったよ」


「ちょっと待ちなさいよ!なによ出来るようになったって。そんな何回かやったらできるとかそんなもんじゃないはずよ!」


ナミがオレの発言に噛みついてくる。確かに難しいとは思うが、神秘の力の量と光のマテルの制御が出来ればできなくはない。小さなビー玉ぐらいの大きさの光の玉を作るのはそれこそマテュリスでも出来るかわからないレベルでありかなり難しいことは確かだ。


「そりゃオレだって苦労したさ。制御が難しいからまだナミほどスムーズにはいかないし多数の人を転移するのはまだやってないからこれから練習する必要があるよ」


「それでも・・・もういいわよ・・・私の存在意義が薄らいだ気がするわ・・・」


ナミが肩を落として自分の部屋に入って行ってしまった。


転移が使えるからナミが必要と考えているわけじゃないが、オレが使えるようになるとナミを頼る機会は少なくなるのは確かだ。ナミにしてみれば自分が必要とされていないと思ってしまったのだろう。


「ティカ、今俺が声をかけてもあいつは聞いてくれないと思うから、申し訳ないけどフォロー頼めるか?」


「はい、ナミちゃんは私にとっては大切な家族です。ユウ様のことだってほんとはちゃんとわかってくれていますよ」


ティカはそのままナミの部屋のドアをノックし、中に入って行った。


「ユウ様、そんなに気にすることないにゃ。ニャミはわかってるにゃ。みんなに必要としてほしいっていう気持ちはみんにゃあるけど、ニャミは竜のにゃみだだったころから常に人に必要とされていたから寂しさを感じただけにゃ」


猫族の女性は総じて「な」が「にゃ」になってしまう癖がある。だからナミのことも「ニャミ」になっちゃうし「竜の涙」も「竜のにゃみだ」になってしまう。わかってはいるのだがその緊張感のない語尾がオレを少し楽にしてくれた。


「ありがとうミミ。ナミが落ち着いたらオレもちゃんと話をするよ。クロ、悪いんだけど、明日の朝ちょっと転移のテストに付き合ってくれない?一人だけでしか試してないから複数人数での転移を試しておきたい」


「わかりました。ナミが起きてくる前にささっと練習してしまいましょう」


クロと約束をしてからオレはあまりに疲れていたため食事もさっととっただけで風呂に入りさっさと寝てしまった。


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早く寝たおかげで朝は日が出る前に目が覚め、部屋から出るとクロが丁度朝食の準備をしてくれているところだった。


「クロおはよう。こんな朝早くから悪い。オレも手伝うよ」


「おはようございますユウ様。気にしないでください、座っていてくださればすぐに用意いたします」


食事をとってから外に出て、周りに人がいないことを確認して転移の練習を開始する。


まずは簡単に家の前から広場への転移だ。自分とクロが広場にいることを想像してマテルを試行する。


若干位置がずれたがおおよそイメージした位置で転移できている。それから何度か転移を繰り返したところ、人数が増えても転移の方法自体は一人の時と変わらないようだ。


ただ、転移するときに一緒に移動する対象をしっかり認識しているかどうかが重要なようだ。転移先に複数人数いることをイメージしなくても、今いる時点で何人いるか認識していれば一緒に転移できる。


これでナミだけに負担をかけさせることはない。普段はナミにお願いしたとしても、一人での移動や緊急時にはオレも使えるのはかなり使い勝手はいい。


「クロありがとう。やっとコツがつかめたからもう大丈夫だ。家に戻ろう」


家の中に入るとナミがテーブルに座っていた。ティカとミミは食事の準備をしているようだ。オレ達は食べたと伝えてあるので女性陣の食事を準備しているらしい。


「ナミおはよう。昨日は悪かった。オレはナミのこともすごく頼りにしている。ただ、いつもオレのわがままでいろいろなところに転移してもらっているから大変だろうと思ったんだ。オレが使えるようになればナミにも少しは楽させてやれるかと思ってのことなんだ」


「・・・わかってるわよ。私だって伊達に年取ってないわよ。でも今まで私以外でできる人が身近にいなかったから頼りにされることがうれしかったのよ。あんたの気持ちも分からないでもないから、もうお互いに水に流しましょう」


「そういってもらえるとうれしいよ。これからもよろしくな。頼りにしてるぞ」


「なっ、なによ改まって。あんた達はまだまだ知識が乏しいひよっこなんだから、私がいないと危なっかしくて見ていられないのよ。仕方ないから頼りにされてあげるわよ」


小さな子供がわたわたしながら恥ずかしがっている様子は微笑ましい。少しでも大人っぽく見せようとして背伸びをしているようだが、それが子供っぽく見えてしまう。


オレはナミの頭をわしゃわしゃと撫でてやり、そのまま食事をとる様子を見ながらお茶を飲んでいた。


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街の整備やリーダーの選出などを進めて5日ほど経った時、エーテハイムの廃墟の前にいた商人たちが村を訪れた。


「おお!!兄ちゃんやっと着いたぞ!やっぱりエーテハイムの街からは5日ぐらいはかかるな。さっき門番に聞いたが、兄ちゃんはこの村の村長なんだってな」


「よくわが村、モーン村においでくださいました。いろいろとご相談はありますが、まずは旅の疲れを癒してください。馬車はあちらで預かります。宿はそちら、食事などはその隣に店を連ねています」


オレは商人3人組を宿に案内する。村の宿屋と商店、食堂は区画整備の時に商店街の方に移動している。こういう店は固まってあった方が使う人は便利だからだ。この作りは行商人たちには結構好評なようで、鉄の武器や防具を売る店も商店街にあるため、いろいろなところに足を運ばないで完結するのが良いと言われている。


これはオレの思惑通りだ。卸売りの店を置くことで商店街以外に出歩く必要がなくなるのだ。よそ者が住宅地を出入りするのもあまりいい気がしないし、加工場に足を運ばせないためもある。それに加工場の地区に行くにはまた別の門を設けており、門番に専用の木札を見せなければ中に入ることが出来ない。


専用の木札とはオレが作ったものだ。木札の中に小さなマテル備蓄の石が組み込まれており、神秘の力を流すと木札にモーンのマスコットが浮き上がる。


木札を偽造したとしても分かるようにこのような構造としたのだ。元からいる村の住人なら、ほとんど全員が神秘の力を込めてモーンマークを浮かびあがらせることが出来るので門番はすぐに見分けをつけられるのだ。


「今までは兄ちゃんって呼んでいたけど、さすがに恐れ多いな。これからはユウ殿と呼ばせてもらうよ。俺の事はバブルと呼んでくれ」


「私のことはトネルコと呼んでください」


「私はグッテルと申します」


ん?2番目の奴なんかすごい大商人になりそうだけど、微妙に違うのが惜しい。バブルも景気がよさそうだけど、いずれ弾けちゃわないように気を付けてほしい。


宿屋に着いたので後は店の店員に任せよう。


「それでは皆さまは明日お話をさせていただきたいため、中央広場の先にある私のうちにいらっしゃってください。お時間はだいたい遅い朝(10時)ぐらいに来ていただければと思います」


「わかりました。今日は村の店を少し見させてもらいます」


-----


次の日、約束の時間通りに3人の商人がオレの家を訪れた。


「おはようございます。本日はよろしくお願いいたします」


「こちらこそ呼びつけてしまい申し訳ない。重要なお話のためあまり周りに人がいるのはよくないので・・・。さぁ中に入ってください」


3人家の中に迎い入れる。テーブルに座るように促すとすかさずクロがお茶とお茶請けをそれぞれの前に並べた。


「どうぞ召し上がってください。今日のお茶請けはホットケーキというお菓子です。隣のシロップをかけて食べてください」


3人はめずらしそうにホットケーキを見ていたが、オレが食べるのを見て恐る恐る真似をして食べ始めた。


「??!!なんだこの甘い汁は。それにこのふわふわしているものもうまい」


「甘い味がこのふわふわとよく合います」


「こんなものが世の中にあったなんて知らなかった」


3人とも気に入ってくれたようだ。前日に試しで作ってみたところ結構うまくいったのだ。特に女性陣は気に入ったようで、一人3枚もホットケーキを食べて夕食が食べられなくなったほどだ。


「今日のお話はこのホットケーキではなく武器と防具についてです」


「昨日卸売の店を見させていただきましたが、どれも質がよく値段も安い、これなら買い手がいくらでもいますよ」


「3人はそれぞれ販路が異なるため、競合することもないと思います」


やはり予想通り3人の販路は競合していない。それでなければ商人が普段から仲良くするはずがないのだ。商売敵に弱みを握られることもあるので商人は基本1人仕事だ。横のパイプをつなぐことはあるが、それは販路が競合しない競争相手ではない商人とだけだ。


「それはよかった。しかし、私が今回話をする内容は皆さんに秘密にしていただく必要があります。そのために信用がおけるかどうか何度か取引をさせていただきました」


3人は息を飲む。オレの真剣な顔と口調に緊張が増しているようだ。


「実は、この村ではニルニア鉱石が取れます」


この言葉を聞いただけで商人の一人はお茶をこぼしそうになった。


「そして今まで私が売っていた武器や防具はこの村で作ったものです。後は言わずともわかりますね」


事の大きさに気付いたのか三人は若干顔が青ざめている。


「まさか、そのニルニア鉱石でできた武器を俺達に売ってほしいというわけか?」


「はい、そのまさかです。いずれこの村で低品質の武器は売り出しますが、高品質の武器はあなた方を通して販売したいと思っております」


「ちょっ、ちょっと待ってくれ。俺達としては願ったり叶ったりだが、オレ達なんかでいいのか?」


そりゃ心配にもなるだろう。廃墟の前で小さな買い取り屋をしていた商人がいきなり大物物件を扱う中規模商人レベルにステップアップするのだから。


「私はいいと思っています。3人とも信用に値しますし、販路も持っている。お金はいただきますが希望があれば村に家を建てることもできます」


3人は固まった。家族がいるものもいるので借家ではなく自分の家が持てるというだけでメリットが大きいのだ。


「・・・分かった。ぜひやらせてくれ。口が裂けてもこの村で入手したとは言わねぇ。そこは商人の腕の見せ所だな」


他の二人も頷いて了承してくれた。これで武器の販路は確保できたな。


行商をするため、他の行ったことない街や村を回って売り歩くためこの村への足がつく可能性は少ないだろう。とりあえず安心できるかな?


それから行商の条件などを話し合い、お互いに納得がいく内容となったため握手をしてこの場は解散となった。


ちゃんと木札をそれぞれに渡しておいたので、明日には工場に方に行ってズズたちと会ってもらうように言っている。ズズたちにも話をしているし、クロも立ち会ってくれるというので問題ないだろう。


行商人たちがもう少し増えたら、ニルニア武器を店頭に並べてみよう。


ホットケーキの残りを口に運びながら一息つくのであった。

だいぶ村も大きくなりました。人口増加で今後どうなるか?

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