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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第3章 18話 苦戦

遅くなりましたが2話アップのうちの1話目です。

少々戦いを表現するシーンがありますので苦手な方は気を付けてください。

昨夜はゆっくりと休みを取り英気を養えたので、今日も張り切って探索を再開しよう。


神化ナミに頼み28階に移動する。


「そうえいばナミ、神化したことでどのぐらい神秘の力の総量が増えたんだ?」


「そうね、前の私の量からすると3倍ぐらいになったわよ。だから転移ならそんな苦にならなくなったわ」


3倍とはすごいな。もともとの神秘の力の量も相当あったはずだから人を超越する存在ってのもうなづける。


オレがそんな風に感心していると、ナミにまだオレの方が上だと指摘された。自分ではあまり実感ないんだけど、今までマテルを使ってた時に神秘の力が不足したと感じることはなかったから量は多いのだろう。


自分たちの周辺にいる魔物を神秘の力を展開して確認してみたが、昨日倒したアイスマンはいないようだ。


廃墟の中での魔物の発生はよく理解されていない。時間がたつと廃墟の中の神秘の力が集まり、「魔素」という魔物の元となる物質に変わるとか言われているが、それもよくわからないらしい。


時間がたつとランダムに発生するとのことだが、不思議なことに発生する範囲はある程度決められていて空気中にある神秘の力の純度?によりその階で発生する魔物が決まるようだ。


なので、アイスマンがいきなり1階に出るということはないのだ。ゲームの様にうまくできている。


周辺にはアイスマンのような強い敵もいないのでそのまま下の階に降りる階段を探して歩みを進める。


順調に階を進めてきたが、34階に降りると少し空気が変わった。なんというか、重い。


「ユウ様、何か気配が変わりました。体がだるいです」


ティカが不安そうにオレの服の裾をつかみながら話しかけてきた。


「そうだな、なんかちょっと重苦しい空気になった。みんな気を付けて進もう。魔物が強かったら無理せずオレの後ろに下がってね」


神秘の力で周り魔物を確認しながら歩みを進めていたのだが、いきなり半透明の浮遊する魔物?が姿を現した。神秘の力を展開していたが察知できなかったようだ。


「なんかこいつら普通の魔物と違うみたいだから気を付けるんだ」


ケンとガイが弓で浮遊する半透明の奴らに先制攻撃を入れる。しかし弓はすり抜けて行ってしまった。特にダメージも与えられていないようだ。


「ごしゅじんさま、弓がすり抜けたわ!!ゴースト系の魔物みたい」


ゴースト系の魔物か。この系統の魔物はマテルしか通じないから物理攻撃は無意味になってしまう。


「ゴースト系の魔物なら物理攻撃は効かないだろうから、マテル攻撃に変えよう。・・・ん?ちょっと待ってなんか聞こえる」


マテルの攻撃に切り替えようと話をしていると、何やらひそひそ声が聞こえてきた。


「さむい・・・さむいよ・・・」

「はらがへった・・・」

「辛い・・・もういやだ・・・」


なんか気が滅入ることばかり口にしているようだ。


「なぜかわからないけどゴーストの声が聞こえるから話を聞いてみるよ」


「?!ゴーストの声が聞こえるのですか?私達には姿がやっとうっすら見えるぐらいで声など聞こえないのですが・・・」


クロが驚いている。ん?みんなの顔を見たが皆同じく驚いているので俺だけしか聞こえないようだ。


・・・もしかして、これって翻訳機能のVer1.22があるからなのだろうか?それとも地球にいたころから霊感が強かったからだろうか?どちらにしろ話が出来れば無駄な戦闘は避けられるかもしれない。


オレはみんなに待機してもらうように話をして、ゴーストのいる部屋の真ん中に歩いていく。薄暗い部屋の中に4体のゴーストが浮遊している。部屋は20m四方ぐらいあるが、その部屋の中を時折飛び回り、中心部にまた戻ってくる動きを交互に繰り返している。


部屋に中心に近づくとオレに気付いたゴーストが驚いて動きを止めた。


「久々の食糧がきたぞ!!辛い・・・もうこんな辛い生活はいやだ・・・消えてしまいたい」


なんかオレのことを食料扱いしているが、コメントがいちいち暗い。うれしいのか悲しいのか複雑な奴だ。


「ちょっとまて、お前たちはゴーストなんだろ?なにかこの世に未練があってここに残っているのか?」


「?!我らの声が聞こえるのか!!食事にしようかと思ったが少し待とう、しかし・・・それすら辛い」


「辛いのはわかったが、なんでここにいるんだ?」


「我らはこの廃墟で命を落とした。未練はあったがそのまま消える運命だったのだが・・・寒い」


「そう、我らは消える運命だった。しかしあいつが・・・あいつが憎い」


話を聞くと、廃墟で命を落としたものの中でもある程度強いものはこの先にいる何者かに魂をこの部屋に固定されて、消えることもできずにただここを通る探索者や魔物を襲う事しかできないのだそうだ。


しかも、下手に階層が高いことから魔物や探索者が少なく餓えに苦しみながらひたすらここで待機するだけのため、できることなら消えてしまいたいそうだ。


「そうか、それは辛いだろう。ちなみにそのあいつというのはどんな奴なんだ?」


「あいつは・・・暗い、暗くて強い・・・」

「寒くて・・・冷たい・・・」


うーん。よくわからない。ただ強いらしいので、ここはちょっとオレだけ行ってどんな奴か見てくるか。


一度みんなの元に戻り事情を話すとついて来ると言っていたのだが、ここは説得をして待っていてもらうことにした。ただし、危ないと思ったらすぐに戻ってみんなで脱出することとしている。


ゴーストがいた広間を抜けてその先を進むと左右に分かれた道に出た。ここは勘で右側を進むと階段が出てきたので降りていく。


30階に近づくにつれて一層と空気が重くなる。体にまとわりつくような湿った空気と嫌な匂いが漂ってきた。30階のフロアは300m四方の広さのワンフロアとなっているようだ。


「ん?久々にここに来るものがいると思ったらこんな小物だったか」


闇の中から声が聞こえる。暗視ゴーグルマテルを使用しているが暗闇しか見えない。ゴーストが言っていた暗いという表現があっているな。


「せっかっく来た客人に姿を見せていただくことはできないですか?」


「客人?姿を見せる?クククッ、笑わせてくれる。まぁよい、我も暇を持て余していたのだ。少々楽しませてくれるならば許そう」


そういうと黒い奴がマテルを放ってきた。神秘の力を展開していたためすぐに反応することが出来避けられたが、今までいた場所一帯が凍っていた。


「客人にいきなり攻撃とは随分な歓迎だな。それならも手加減なしで行かせてもらおう」


オレも黒い奴に向けて炎のマテルを放つ。アイスマンをやったのと同じく爆発を抑えたタイプのマテルだ。


「?!瞬時に上級マテルだと!!!」


黒い奴は驚いたように声を発し、オレのマテル攻撃を避けた。炎のマテルは黒い奴がいたところに着弾し炎を上げたため部屋の中がだいぶ明るくなった。


そして抑えたと言ってもだいぶ強い爆風により黒い奴の周りに漂っていた煙のようなものが吹き飛ばされ姿を現した。


死神


見た目はオレが知っているものですぐに思いつくのは死神だ。骸骨が大きな首狩り鎌を持ち、黒いフードがついた魔導士のローブを羽織っている。


「死神がこんなところで何をしてるんだ?冥界で仕事が見つからないからこんなところでニート生活か?」


「むむっ?!我の姿が見えているのか?・・・?!いっ、いつの間に闇の衣が消えているのだ!!」


なんかすごくドジな死神だな。自分の闇の衣?とやらが吹き飛ばされてことにも気づいていなかったらしい。


「くっ、くくくくっ!愉快だ。実に愉快、ここ数百年ここまでくるのは魔物以外になかったが、久々に来た奴がこれほどの奴なら我も手加減せずに済む」


なんか・・・本気にさせてしまったようだ。


一瞬、死神がぶれて見えた。するとオレの左側にいきなり気配を感じたので咄嗟に左腕に神秘の力を集め、硬化をして右側に飛び避ける。


刹那、死神の鎌がオレの左腕を刈り取ろうと振り下ろされ、左腕に歯が食い込む。


「?!つっぅぅ、マジかよ!」


神秘の力で硬化した左腕だが、死神の鎌が食い込み刃が骨のところで止まったようだ。切り落とされなかっただけでもよかったが、激痛が左腕を襲う。


鎌の刃を腕から引き抜き距離を取り神秘の力で左腕を回復させる。かなり血が出たがまだ体調が悪くなるほどではない。


「ほほぅ、我の鎌を受けても腕を切り落とせないとは、よほど良い鎧を着ている」


ん?マテルで強化したのはわからなかったらしい。


こっちもやられてばかりでは癪に障る。一瞬で距離を詰めると両手に神秘の力を集めマテルソードを作り切りつける。


死神もオレの一撃を予想し避けて距離を取ったがオレのマテルソードは力の量で長さを変えられるので切る瞬間に5mぐらいの長さに伸ばしたため死神の右腕を切り落とすことに成功した。


「なんだと?!その光る剣は長さが伸びるのか?油断をした。まぁよい、腕はすぐに治せる」


死神は切られた腕を前に出すと切り落とした腕先が引き寄せられ元の姿に戻る。お互いに回復できるようなので時間がかかりそうだな。


「一つ聞きたい。前の階層にいたゴーストはなぜ解放してやらない。あいつらが居なければ少しはここを訪れるものも増えたのではないか?」


「ふんっ、ここに来るのは会話もできない魔物ばかり、いくら暇をしているとはいえ魔物ばかりが来るのは面倒くさいのだ。ゴーストを配置することで篩にもかけられ、強いものだけがここを訪れるようになるのだ」


まぁわからないでもない。でも同じ魔物なら襲われないのではないだろうか?


それから何度もお互いの攻撃を受けたり、弾いたりして1時間ぐらいしたところでさすがに嫌気がさしてきた。


いろいろなマテルを試してきたが、ふと光のマテルを使ってみたいと思った。攻撃と言えば火、土、風、水を使っていたが、闇に対して光が有効だよな?


まずは暗視ゴーグルマテルを解除して、サングラスのマテルに切り替える。うおっ!?暗闇でサングラスだから全く見えない。


次に光のマテルで太陽のような明るい光の玉を作り部屋の真ん中に浮かべてみた。


「うっめっ、目がーー!目がーーーー!」


骸骨なのに目があるのだろうか?それに空を飛ぶ城に出てきたムス○のような叫びだな。


長い間光を浴びなかったせいで目が光に弱くなっているようだ。


この機会を逃すと面倒くさくなるので一気に畳みかける。まずはマテルソードでバラバラにする。まだこれでは死なないことはわかっているので、火のマテルで各部位を焼く。


光のマテルで弱っていたせいか、意外とあっけなくやっつけることが出来た。


しかしまだ不安があるのでこんがり焼けた骨を土のマテルで石臼を作りすりつぶす。これでさすがに復活はしないだろう。


すると、部屋の真ん中に宝箱が現れた。


なにがでるかな、なにがでるかな?昔聞いたことがある歌を口ずさみながら宝箱のところに行き開けてみる。


中には黄色い宝石がついた指輪とかなり古い金貨、そして鎧や兜、錆び付いた剣が出てきた。金貨は見たことないものだから武器、防具と一緒にとりあえず闇ストレージに全部入れておく。


指輪は大きかったが、試しに人差し指に着けてみると指のサイズピッタリになった。何か特殊なマテルがかかっているのだろう。


効果がよくわからないと思っていたが、神秘の力を通すとどんどん吸い込まれていく。そしてマテルを使うときに指輪を意識すると神秘の力を指輪から取り出せるので、神秘の力を蓄えることが出来るようだ。


マテル備蓄の石と違うところは


マテル備蓄の石・・・1種類のマテルを使う力しか蓄積できない


備蓄の指輪・・・神秘の力を備蓄するため、任意のマテルに力を使える。


これは結構使える。オレが力を込めて他の誰かに使わせればマテル攻撃の力を底上げできる。


そして最後に死神が持っていた鎌をもってみんなの元へ戻る。


「ユウ様!!ご無事でしたか!!私は心配で心配で・・・」


ティカが目に涙をいっぱい浮かべて、オレの胸をポカポカと叩く。


「ごめん。思った以上に相手がしぶとくて時間かかっちゃったよ。ゴーストの姿が見えないけどどうした?」


「ちょっと前に解放されたっていってどこかに行っちゃったにゃ」


ミミが状況を説明してくれた。


「それで、どんな奴がいたのですか?」


ガイがオレのたたかった相手に興味があるようだ。


「うーん。呼び名はわからないけど、オレの世界では死神って呼ばれていたやつがいたよ。この大きな鎌を持った骸骨なんだけど、死んだ人の魂をここに縛り付けていたみたい」


「・・・それは黒い霧に包まれていませんでしたが?」


クロが真剣な顔をして聞いてきた。


「そう、初めは黒い霧に覆われていたけど、炎のマテルを放ったら爆風で霧が晴れて骸骨が出てきたよ。結構しぶとかったけど光のマテルで弱ったからどうにか勝てたよ」


「ユウ様、それは我々闇族の中では伝説と言われている「闇の主」です。長いこと人の手が入っていない廃墟に住みつく悪魔の一種で出会ったら命がないと一族では恐れられていました」


「そっ、そうなんだ。とりあえず退治したから大丈夫だよ」


珍しくクロが怯えていたので安心させるために退治した旨を話した。


だめだ、クロとティカそしてなぜかナミが怖がってるみたいだから、とりあえず目標の35階に着いたし拠点に戻ることにしよう。

強い敵が出てきましたが、弱点がありました。やはりたまには太陽に当たらなければいけませんね。

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