第3章 13話 買い物
毎度更新が遅くて申し訳ないです。
船旅は順調に進み、リーテカイトという大陸の港町シーブルに到着した。
「やっとのことで着いたな。さすがにちょっと疲れたよ。陸地に上がってもまだ揺れているような気がする」
船に乗っているとふわふわと揺れる感覚が体に染みついてしまい、陸地でもまだ揺れているような気がしてしまうのはなぜなんだろうか。
全員船酔いを克服したので特に問題ないが、船に弱い人にとっては陸地に上がっても揺れているように感じるなんて地獄だろう。
「やはり船旅はゆっくりのんびりしていますね。同じ10日でも長く感じました」
ティカはどちらかと言ったら馬車での旅の方がいいとのことだ。オレもそう感じるな。
「早速ですが、この街で目的のものが売られているか確認しましょう」
クロの提案にみんな頷き、シーブルの街を散策する。港町はどこも一緒なのだろうか?ガルガバルの港町とさほど変わらなかった。
そういえばあの港町の名前ってなんだったっけ?
「クロ、ガルガバル側の港町は何て名前だっけ?この街はシーブルだよね?」
「おや?お話しておりませんでしたでしょうか?この街はシーブルであっております。ガルガバル側の港町はターブルとなります。だいたいの港町は〇〇ブルと付きます」
そうなのか。ターブル、シーブル。ブルっていうのが港町ってことを表しているのだろう。わかりやすいな。
すこし歩くと雑貨屋に着いた。店の中に入るといつもと違う雰囲気にテンションも若干上がる。
「やっぱりガルガバルと違うものが多いにゃ。いろいろ欲しくなっちゃうにゃ」
ミミの目の色が変わった。クロもそれに気づいてちょっと苦笑いをしている。
「ユウ様、こんなにいろいろ調味料や雑貨など見たことないものがいっぱいあります。私もいろいろ買ってよろしいでしょうか?」
「みんなオレから給料として渡してあるお金は自由に使っていいんだよ。別にオレに聞く必要はないんだから、好きに買い物していいよ。クロ、まずは目的のものを買ってくれ。そのあとは少し自由時間としよう」
3人はみんな笑顔で頷き、買い物に取り掛かった。こりゃ当分時間がかかるな。オレも少し街を散策してこよう。
雑貨屋で珍しいものをいくつか買ってから、クロに話をして雑貨屋を出た。
そういえば、モーンにもまた土産を買っていくか。
以前にグングルトの街で干し草を買っていったのだが、あまりお気に召さなかったらしい。
(ユウさん、いつも土産を買ってきてくれてありがとうございます。しかし、この前買ってもらったグングルトの干し草だが・・・ありゃ俺達の好みじゃないな。癖がありすぎた。エーテハイムの物の方がうまい)
「そっか、まぁ育ったのがエーテハイムだから一番好みに合ってるんだろうね。干し草もいくつか種類があったから今度はグングルトでも違うものを買ってみるよ。あぁ、今度は隣の大陸だからまた好みに合わないかもしれないけど試しに買ってくるから食べてみて」
(そりゃ珍しい。モーンは他の大陸にもいるだろうが、他の大陸の干し草を食べることなんてないから楽しみだ)
そんな約束をしていた。
モーンを扱っている店はないか街の人に聞いてみたところ、少し先にあるということなので行ってみた
「すみません。どなたかいらっしゃいますか?」
店というか小屋の中に入ってもだれもいなかったので声をかけてみると奥から恰幅のいいおばさんが出てきた。
「はいはいはい、なんだい?モーンでも買うのかい?」
「いいえ、モーンではなくモーン用の干し草を欲しいのですけど、売ってもらえますか?」
「あぁ、エサを買うんだね。干し草以外にもモーン用の餌があるけど、干し草だけでいいのかい?」
お?!干し草以外の餌ってのは初めてだな。まだ見たことない。
「どんなものか知らないのですが見せてもらっていいですか?」
「知らないって・・・あんた隣の大陸の人かい?そうかそうか、じゃあ知らないはずだ。ちょっと待ってなもってくるから」
おばさんは小屋の奥の方に行き何かをバケツに入れて持ってきた。
「これが固形の餌だよ。正確には魔物用の餌なのよ。うちはモーンしかいないからモーン用の餌としてるけどロッコとかコッカ、クッカもこれを食べるよ」
ほう。これはサファリパークとかで動物用の餌として買うことが出来るエサに似ている。草や栄養価の高いものを細かく切って3cmぐらいの固形の塊に圧縮しているものだそうだ。
うちのモーン達はグルメだからこれを食べるかわからないが、最近はモーン以外も魔物を飼育しているみたいだから需要はあるだろう。
「いいですね。それじゃあ干し草の塊3つと、その餌を大きな袋で10袋ほどもらえますか?」
大きな袋とは30kgの米袋ぐらいのものだ。奥に大量に並んでいるから問題ないだろう。
「いいよ。金額は干し草の塊が1つ30バル、エサの袋は大袋が1つ50バルだよ」
「わかりました」
これは安いのか?エサの袋が1袋5000円だ。犬のエサでも10kg入りで2000円とかしたと思うから安いような安くないような・・・まぁ魔物たちが気に入るならまた買おう。
用意してもらったものを馬車に積むふりをして闇ストレージの中に入れる。馬車に乗ってきてよかった。その場で闇ストレージを展開してたらまたややこしいことになっていたかもしれない。
次に奴隷商のところにいく。今は住人を増やすというより使える人材を引き抜く意味合いが大きい。
この村の奴隷商はあまり大きくないようだが、お客が何人かいるので評判はいいのかもしれない。
「いらっしゃいませ。本日はどのような奴隷をお求めでしょういか?」
痩せた男が話しかけてきた。人族の男だがだいぶ苦労をしているのだろうか?痩せているというよりやつれているようだ。
「体のハンデや病気は気にしないが、若く何か特技があるような奴はいないか?」
「少々お待ちください」
準備するのに時間がかかるのか、椅子とテーブルのある場所に通され召使がお茶を持ってきた。
5分ほどすると店の奥から首と手首、足に鎖をつけられた奴隷が5人連れてこられていた。
「この5人はそれぞれ特技を持ったものであります。左から説明いたします。まず1人目は妖精族の男、年は20で特技はマテル備蓄の石を加工できる特技を持っております。健康ですが少々気が弱く人前を嫌います」
マテル備蓄の石を加工できるのは初めて聞いたな。オレは持っている石に神秘の力を込めて能力を持たせるだけだからどんな加工ができるのか気になる。
「次の岩族の男は年は18、若いですが岩族のため鉱物の知識が豊富です」
岩族・・・本当に体が岩でできているようだ。正確には体に岩が張り付いているような感じだ。初めて見た種族だな。
「オレは隣の大陸から来たので詳しくないのだが、鉱物の知識が豊富なだけなのか?」
「それは失礼いたしました。岩族はこの大陸固有の種族でして、鍛冶をする職人の助手として雇うものが多いです。鉱物を加工する際の加減がうまいと言われています。なんでも鉱物と対話するとか・・・しかし人との会話が苦手でして意思の疎通が難しいです」
鉱物と対話するとは本当だろうか?本当ならズズ達が知っていると思うが・・・まぁ見た目はすごいインパクトがある。
「次は岩族の女で年は17、先ほどの男とは特に関わりありません。岩族の女は石の加工に優れていると言います」
「次は鳥族の女二人で年はどちらも16、鳥族は警戒心が強く周囲の警戒をさせることが多いです。特技はどちらも目がよくふつうの鳥族より警戒範囲が広いです」
・・・ぶっ!思わず吹き出してしまった。体と手足は人なのだが、顔は鳩っぽい。そして指はちゃんとあるのに腕には羽が生えていて空が飛べるらしい。
某巨大掲示板のAAで出てくるジュウシマツのようだ。目が笑っていない。
「お客様は鳥族は初めてですか?隣のガルガバル大陸からであれば当然ですね。あちらの大陸ではほとんど見ないと聞いております。この種族の欠点は気に入らないとこの大陸に戻ってきてしまうのです。奴隷契約で戻らないようにしても無理やり戻ろうとして死んでしまう者もおります。そして良くしゃべるためうるさいということもあります」
「ずいぶんバラエティに富んでいるな。わかった全員でいくらになる?」
「?!全員ですか?一人でも癖がある者たちばかりですが・・・失礼しました。私の立ち入ることではないですね。料金としては5人で1万バルでどうでしょうか?」
100万かよ。まぁ通常の奴隷が20万ぐらいだから妥当なのか?しかし癖のあるやつを持ってきてこれは高い気がする。
「一人2000バルは高くないか?癖がある奴等ばかり在庫処分なのだろう?5人で5000バルでどうだ?」
「お客様それはいくらなんでも・・・それでは5にんで7000バルでどうでしょうか?」
うーん。ちょっと高い気もするんだけど、ここの奴隷は身なりもきちんとしているし、食事もちゃんととっているのか顔色も悪くない。ここはこれで妥協してもいいか。
「わかった。それじゃ7000バルでいいだろ。すぐに契約をして連れていけるのか?」
「はい、この後奴隷契約をしていただき連れて行っていただけます」
オレは金を渡し奴隷契約をちゃちゃっと済ませる。後でオレが解除も再契約もできるので内容はあまり気にしていない。
「お客様は奴隷を買うことに慣れていらっしゃるようだ。作業がスムーズに進みます」
あまりうれしくない褒められ方だな。奴隷を買うことには慣れてきてしまったがそれは褒められることではないと思う。
奴隷たちの鎖を外して馬車に乗り込ませてから集合場所である街の入り口に向かうと、他の3人が待っていた。
「ユウ様、ずいぶん遅かったですね。何か良いものでも見つかったのですか?」
クロがオレを心配して声をかけてきた。
「ごめんごめん、モーンへの土産と奴隷商のところに言ってたら遅くなっちゃったよ」
「奴隷商というと・・・住人が増えるのですか?どのような方でしょう」
ティカがオレの顔を見上げて聞いてくる。なんか・・・この前のことがあるから真正面から見つめられると恥ずかしい。オレもまだまだ子供だな。
「ユウ様が見つけてくる子はみんにゃいいこにゃ。村の仲間にゃ」
3人は興味津々という感じで馬車の後ろに回り馬車の中を覗き込んだ。
「??!!!」
三人とも言葉を失った。中でもミミの反応が大きい。
「とっ?!」
ミミが何かを言おうと口を動かす。
「と?」
「とっ鳥族にゃ!!」
ミミは毛を逆立てクロの後ろに隠れてしまった。
なんだ?なんなんだ?鳥族は見た目がちょっと怖いが、そんなにミミが怖がる理由がわからない。
クロとティカも顔が少し引きつっている。
「なんだよ。どうしたんだ?鳥族ってそんなにやばいのか?」
オレの問いにクロがやれやれという感じで答えてくれた
「ユウ様、鳥族は猫族の天敵なんですよ。ミミが怯えるのはそれが原因です」
猫族の天敵が鳥族?なんだそりゃ。猫は鳥を捕まえるから逆に鳥族が怯えるならわかるけど、何でミミが怯えてるんだ?
するとおもむろに鳥族の二人が立ち上がり馬車の中で両手の羽を広げた状態にし、左右におしりをフリフリしながらミミの方を向いて言い放った。
「子猫ちゃんあ・そ・び・ま・しょ」
「子猫ちゃんあ・そ・び・ま・しょ」
「嫌にゃーーーーーーー!」
何というシンクロ状態!!二人の言葉を聞くとミミは街の方に逃げてしまった。するとクロもミミを追いかけて行ってしまった。
風邪が治ったかと思ったらぶり返して喉と鼻水がすごいことに・・・そこに花粉症が追加されたので鼻を取って洗いたい気分です。




