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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第3章 12話 刺身

日が登り辺りが明るくなったころ、クロとミミが起きてきた。


「おはようございます。ん?ユウ様も火の番をしていてくれたのですか?」


「そうだよ。帰ってきたのが朝方だったからそのままティカと火の番をしていたよ」


ミミがティカのことを見てニヤニヤしている。


「ティカはにゃんでそんなに顔が赤いのかにゃ?ムフフ」


「べっ別になんでもありません!日が当たって暑いのです!やめっ、やめてください!じろじろ見ないでください!」


ミミがティカの顔を覗き込みながらまたニヤニヤしている。


「じゃあ、ユウ様はどうかにゃ?ティカとにゃにかあったかにゃ?ムフフ」


こいつ・・・気づいてやがる。まぁティカがもじもじして恥ずかしがっているからバレバレなんだが・・・


「ミミ、あまりティカをいじめるなよ。別にどうってことない。オレとティカが正式に恋人同士になっただけだ」


それを聞いて。二人は対照的な反応をした。


ミミは納得したようにうなづいていたが、クロは「なにっ?!」って言ってから完全にフリーズした。何となくモノトーン色になったように思える


「別に今までと何も変わらないよ。ティカと一緒に過ごすことは多くなるだろうけど、クロもミミも大切な家族だと思っているから変に態度を変える気もない」


「まずはおめでとうにゃ。これからはちゃんとティカをかわいがってあげてにゃ」


そういってティカとミミは手を取り合って何やら話をし始めた。


「クロ、クロ!!大丈夫か?戻ってこーい!」


「ぶわっ?!ここは・・・あれ?ユウ様どうなさいましたか?私は・・・なぜこんなところに立っているのでしょうか?」


やばい、クロが軽い記憶障害を起こしている。そんなにショックだったのか?いずれはこうなったと思うが・・・。


ん?それとも先を越されたことがショックなのか?


「さっきも言ったが、ティカが恋人になった。お前も男らしくミミに話をしたらどうだ?ミミは待っていると思うぞ」


「わっ私は・・・はぁ。わかりました。私も言う機会があれば話をしてみます」


それからみんなで朝食を食べてから出発した。


昼近くなり港町が見えてきた。みんなと話し合い昼の軽食は後で食べることにして、まずは港町に行くことにした。


港町はやはり周りを石を積み重ねた壁で囲まれているが、海に面しているところは特に何も無いようだ。


街の入り口の門で入門税?を取られたが、一人10バルだったので特に文句も言わず4人分支払った。


街の中に入るとやはり海の近くの街だと感じる。魚を干していたり、漁に使う網を手直ししていたりと想像していた通りの街並みだった。


海の近くなので鉄製品は錆びやすいだろうが、どのように対策しているのだろうか?


「クロ、海の近くだと鉄が錆びやすいだろ?錆びないようにする方法とかあるのか?」


「錆び止めなら専用の薬剤があります。剣の手入れなどに使用しているあの薬剤ですよ」


あぁあれか。魔物をやっつけたときや廃墟の探索した後にクロに渡されて剣に塗っていた薬剤がある。完全に忘れていた。何で出来ているかはわからないが錆び止めだということは思い出した。


街の人に話を聞くと、隣の大陸に行くための船は街の奥にある船着場から出ているとのことだった。オレ達は街を見学しながら船着場に向かった。


「ナミ、この街にも来ることがあるかもしれないから場所を覚えておいてくれ」


「・・・」


反応がない、ただの屍のようだ。


「ナミ!聞いているのか?」


「もうあんたなんか知らない!!私のティカちゃんと・・・もう!」


「そんなに怒るなよ。ティカの気持ちも知っていただろ?ティカも、そしてオレだってこれからもナミのことをちゃんと大切にするよ」


「・・・わかったわよ。ちゃんと覚えたから大丈夫よ。・・・ただちょっと寂しい気持ちになっただけよ・・・私はいつまでも一人だから・・・」


「ん?最後聞き取れ無かったけど何?」


「もういいわよ!!」


ティカが不思議そうに会話を聞いていたがオレとナミの会話が終わったのを見て、ナミと話をしているようだ。


この街はグングルトの街ほど大きくはないがそれなりに広いため、船着場までは結構時間がかかるので途中で見つけた食堂に入り軽く昼食を食べた。


魚を挟んだパンを頼んだが、サーモンみたいな魚の身が塩漬けされていて結構おいしかった。


船着場には木製の大きな船が停泊していた。さすが港町、漁師の船もいっぱいあり魚を揚げている船もある。


「すみません、隣の大陸に行きたいのですが連絡船はいつ出港ですか?」


「もう少ししたら今日の船が出るよ」


丁度良かった。隣の大陸までは10日ぐらいかかるらしいので早めに出たかったのだ。後で聞いたら今日を逃したら5日ぐらいは船が来なかったらしい。危なかった。


乗船料は一人500バル。5万と考えるとちょっと高いが、10日もかかるし船はマテル使い達が水のマテルで船の周りの海流を操って動かすらしい。オレとしては帆船にして風のマテルを使ったほうが効率がいいように思うが・・・


4人分の費用を払い、船に乗り込むとさほど時間もたたずに船が出港したためオレは甲板で海風を感じていた。


「海はひろいな大きいな!!って大声で言いたくなるな」


「??ユウ様の世界では海を見るとそのように言うのが風習なのですか?」


ティカがオレの隣に寄り添い不思議そうに質問してきた。


「いや、子供たちが歌う海の歌なんだけど久々に思い出してね。そういえば海には魔物もいるの?」


「はい、凶暴な魔物がいますが、水のマテルで船の底を守っているので襲われることはないと言われています」


そうか、だから風のマテルではなく水のマテルで動かしているのか。船の周りの海流を操作して魔物が近づけないようにもしているのだろう。


海風は地球と同じくべたべたしている。海の後は風呂の入りたくなるよなぁ。昨日は入れなかったし船を降りたら絶対に風呂に入ろう。


船旅は順調に進んで行った。ただ、意外にもミミが船酔いをしていた。クロが介抱しているが慣れるまではちょっと辛そうだった。


船には30人ほどの人が乗り込んでいた。船員もあわせると50人ぐらいになるだろう。


船の中では、暇つぶしに将棋やチェスのようなこちらの世界のボードゲームをやる人たちや、歌を歌う人、寝ている人などいろいろいた。


食事は自分たちで用意するか船の食糧を購入するかになるが、オレ達は食料を大量に持っているので自分たちで調理をした。


夜は屋根がある大部屋にそれぞれ布団や毛皮を敷いて雑魚寝だ。揺れに慣れれば別に気にせず寝ることが出来る。


それでも10日は長い。オレは闇ストレージから釣り道具を出して船から遠くに手作りのルアーを投げる。船の近くは水のマテルにより変な海流が出来ているので魚がいないからだ。


トローリングのような形で船の左後方で竿を立てていると、30分ぐらいして当たりが来た。かなり引きが強いがオレが神秘の力を竿や糸に流しているので切れることはない。


「なんかものすごく大物がかかったらしいんだが・・・揚げても大丈夫だろうか?」


「えっと、食べられる魚なら皆さんに振る舞ってもいいのではないでしょうか?」


こちらの世界では魚は火を通して食べるのが普通みたいなので、刺身は食べていない。久々に刺身で魚を食べたい。


魚がバテるまで引いたり、緩めたり駆け引きをしていると、だいぶ弱ってきたので糸を手で手繰り寄せる。船の近くまで来たがそのままでは揚げられないのでマテルハンドを出して魚を船の甲板に揚げた。


「兄ちゃんとんだ大物を上げたな!こりゃ近年稀にみる大物のシャグだな」


漁師のおっちゃんがオレの獲物をみて目を見開いて驚いている。


この魚は見た目はカジキマグロのような角がついているが、丸々と太ったクロマグロのような魚だ。ただサメのような鋭い刃がついているので普通の糸で釣りをしていたら切られて逃げられてしまうだろう。


名前はシャグっていうんだな。見た目はマグロだから刺身で食えるだろうか?試してみよう。


オレは釣竿を片づけて船員に解体するから台を用意してもらうようにお願いした。すると食堂のテーブルを持ってきてくれたのでその台の上で解体をしようと思う。


「クロ、ミミ、ティカみんな手伝ってくれ。オレが切るから魚の身を台に並べておいて」


「承知しました」


シャグはまだ生きていて暴れているので手にマテルを集中させ、硬化させた手で頭を叩き静かにさせた。


台の上に乗せてからマテルを手に集めてナイフ状にして魚の頭の部分に刃を当てると、骨も気にならずにサクッと切れた。


危うくテーブルまで切ってしまいそうになったのでテーブルに当たる瞬間にマテルを解除したが、解除しなかったら船の甲板も危なかったかもしれない。気を付けよう。


マグロの解体ショウは見たことあったが、やったことはないのでだいたいで切ったのだが、どうにかなった。やはりマグロに似た赤身でトロもちゃんとあった。


オレは船員に魚醤がないか聞くとあるらしいので分けてもらい、魚の身を1口サイズに切って、魚醤を付けて食べてみた。


・・・うん、うまい。まんまマグロだな。


生で食べているのを見てみんな驚いていたが、一部の漁師は生で食べるらしくオレの近くに来たので進めたら一緒に食べ始めた。


「こりゃうまい。オレ達でもシャグはなかなかお目にかかれない高級魚だ。捕っても売ってしまうので自分で食べるのは久々だ」


うまいという言葉を聞くとみんな興味がわいたようで恐る恐る手を出して食べ始めるが、一切れ食べると手が止まらなくなりどんどん刺身が消化されていく。


船員も交代で食べに来ていたのでなんだかんだで半分はなくなってしまった。まぁ50人もいれば食べる量も相当だ。


残りの半分はオレが貰い、ある程度の大きさのサクに切り見えないところで闇ストレージに保存する。


「シャグを生で食べたのは初めてにゃ。でもすごくおいしいにゃ。病み付きににゃりそうにゃ」


「私は長く生きておりますが、このように食べるのは初めてでした。勉強になります」


「シャグの身を生で食べるのは初めてでしたが大変おいしいです。でも別のお料理も作れますので後で少し分けてください」


3人とも刺身には満足した様だ。ティカの料理も楽しみだし釣りをしてよかった。


あと3日程度で新しい大陸に到着する。次の大陸はリーテカイトという大陸だ。船旅は楽しいがちょっと飽きたので早くリーテカイトの大陸に着いてほしいものだ。


また新たな暇つぶしを考えながら船旅は続いた。

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