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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第3章 10話 悪だくみ

昼間はニルニア鉱石の加工場・発掘場の準備をし、空いている時間や夜の寝るまでの時間に祭りの準備をする。


そんな忙しい日々をすごしていたが、もうそろそろ隣の大陸に行きニルニア鉱石を加工するときに必要な薬剤とやらを買いにいく方がいいとクロから進言があり旅の準備をしている。


今回買い付けに行き竜の涙のナミに場所を覚えてもらえば、次からはすぐにいけるため時間を短縮できる。


購入する量が多ければどこかの商人に輸入させることもできるのだが、今はまだ必要な量が少ないので自分たちで調達するほうが安上がりになるだろう。


「この前話をした通り、今日暗くなってから出発する予定だけど大丈夫か?」


「はい、私たちは準備できております」


やべぇ。準備できていないのは俺だけか。


「そっ、そっか。じゃあ予定通り日が落ちたら移動をしよう。ナミよろしくな」


「わかったわよ。ティカちゃんにもお願いされているし仕方ないわね。マテルで移動してあげるわよ」


ナミはやっぱりツンデレ系なんだよな。別に嫌いじゃないがいつもこうだとたまに面倒くさくなるときもある。


-----


なんだかんだで準備も終わり、出発の時間となった。村が何人か見送りに来てくれたようだ。


「それじゃ、少しの間留守にするから後のことを頼んだよ。一応3日に1回は誰かが戻ってくるようにするから、何かあった場合はそのときまで持ちこたえてくれ」


「はいよ。ユウ様の留守中は俺達に任せてくれ」


ヴァンスさんならみんなにうまく指示を出してくれるだろう。俺としても安心だ。


まずはグングルトの別荘に移動して、そこからは馬車で移動の予定だ。事前に行商人を通じてグングルトのミルアン様宛に手紙を出している。


今回は夜に別荘に着き一泊して次の日に出発という予定で連絡をしており、翌朝に家を管理してくれているメイドや執事が来てくれることとなっている。


ナミの力で移動をするが、念には念を入れて光のマテルで光学迷彩を施す。ヴァンスさん達が驚いて周りをきょろきょろ見ているが、まだオレ達は目の前にいる。ちゃんとマテルは効いているようだ。


そのあとナミが強烈な光を放ちまぶしさに目を閉じたが、目を開けるとグングルトの別荘の前にいた。


馬車を納屋に置いてきてから家の中に入り、久しぶりに来た別荘の中を少し見て回る。別に何も変わっていないのだが、なんとなく見て回ってからリビングでくつろいだ。


翌朝、オレが起きるころにはハウスキーパーの執事やメイドが朝食を作って準備していてくれていた。


「おはよう。みんな久しぶりだね。この前村に来て祭りの準備をした時以来か」


そう、祭りの準備として料理をいろいろ考えているときにティカの提案でハウスキーパーの人たちも呼んで料理を覚えてもらい屋台を手伝ってもらうのも面白いということになり、一度村に来てもらっている。


「おはようございます、ユウ様。先日はいろいろとおいしい料理を教えていただきありがとうございます。今日はその時に教えてもらった料理で朝食を作ってみました」


おお!?おおおお?!これはまたなんと!テーブルの上には久々に見る和食らしきものが並べられていた。


味噌があることを知った俺は、ティカやハウスキーバーの人たちに味噌汁や浅漬けなど簡単な和食のメニューも教えていた。


ずっとこっちの料理を食べてきて慣れたので別に文句もないのたが、やはり日本食も食べたいと思っていたのでこれはうれしい。


「オレの教えた料理をもう作れるようになったのか?やっぱり本職はすごいな」


「今朝はティカ様にもお力をお貸ししていただき作ってみました。ギリがこのように使えるとは思いもしませんでした。私たちも味見をしましたがこれはおいしいです」


これは期待できそうだ。ご飯がないので麦飯だがそれでも十分和食を味わうことはできる。シンプルに麦飯、味噌汁、魚の塩焼き、浅漬けこれだけで十分だ。


まずは味噌汁から・・・うん、うまい。こっちの味噌は初めから出汁が効いているので味噌をお湯に溶かすだけで味のいい味噌汁になる。こちらでは主に肉を焼いたり野菜を焼くときに使う調味料として使われているようだ。


次に麦飯。麦飯はこちらの世界では一般的に普及しているが、パンの方が人気がありあまり目にしてなかっただけのようだ。鍋で炊くのでおこげも付いていて香ばしくこれもおいしい。


焼き魚はいつも食べているので特に問題なしだが、浅漬けはなぜなかったのか不思議だ。野菜は生でサラダにするか焼いたりスープにしたりすることはあるようだが、漬物にするという文化がなかったようだ。


塩漬けの肉などはあるが野菜を塩漬けにすることはなかったらしい。不思議だ。


軽く塩につけて揉んだ野菜をさっと塩気を取り皿に盛りつけただけのものだが、味は・・・うん丁度いい感じだ。


「全部おいしいよ。オレの知っている料理とほぼ一緒だ。ありがとう。みんなも一緒に食べよう」


そういうとティカも他のみんなも嬉しそうに手を取って喜んでいた。


みんなもオレと同じように箸で食べようとしてたがやはりそれは難しいようなのでフォークで食べるように言った。


「ユウ様が器用なわけがわかりました。私達はこの2つの棒ではうまく食べ物を掴めませんが、ユウ様は自分の手の様に使われていますね。すごいです」


ティカは感心しているようだ。さすがにこの世界では箸を使っている人は見たことない。なのでこの前和食を教えたときに箸についても教えたのだが、棒だけでうまくつかめるのか?と疑われていてちょっと悔しかったので自分で箸を何膳か作っておいたのだ。


久々に使ったがやはり体に染みついているのですぐに使えた。こういうちょっとしたことでも日本を思い出す。まぁいい思い出って感じだな。


みんな日本食はお気に召したようで残さず食べきっていた。オレはご飯粒を残さないように食べるよう小さなころからばあちゃんに言い聞かされていたから、茶碗に粒が残らないようにきれいに取って食べていたが、それだけでもまた感心された。


日本人ならみんな普通にできるだろうが、箸に慣れていない者からすれば精密な作業に見えるらしい。


食事を終えて少し休憩をしてから次の街へ出発する。


「少しの間しかいられなかったけどありがとう。帰りは寄らずに帰ってしまうかもしれないから、いつものようにここを使っていてくれて構わないよ」


「わかりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ」


お見送りをしてもらいまずは別荘を出る。そしてその足でそのまま街を抜けて、港町がある方へ歩みを進める。


ここから港町までは馬車で2日ってところらしい。オレが爆走して行けば1日でいけるのだが、あまり急いでいるわけでもないのでみなでゆっくり行こうと思う。


1日目の移動は特に問題もなく野営場所を見つけて準備を始めた。薪を拾っていると遠くに波の音が聞こえる。もう海に近く、あとは海岸沿いの道を進んで港町に行くことになるらしい。


火を起こし鍋で夜飯を作り始めると、遠くから何人か人が来るのが分かった。一応神秘の力を展開してオレ達の周りに魔物や人が近づくと分かるようにしていたのだが、そのレーダーに引っかかったようだ。


人数としては・・・4人。人の気配だ。


「クロ、ミミ、ティカ誰かがこっちに近づいてくる。特に危険はないだろうけど一応警戒しておいてくれ」


「承知しました」


それから1時間ぐらいして、オレ達が野営をしている場所にガラガラと音を立てながら馬車に乗った人が姿を現した。


「おや?!先客が居ましたか。私は行商人のダンツ、こいつは息子のエブ、あとの二人は護衛のバッシュとユーバです。今夜はここでご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」


行商人か。野営をしていると一緒になることは多い。自分たちだけより他の人と一緒にいるほうが安全ということもあるので、持ちつ持たれつでだいたい同じ場所で野営をすることとなる。


オレ達としては風呂に入れなくなるのがちょっと辛いのだが、こういう時はあとでお湯で濡らした布で体を拭いて済ませることにしている。


「私達は村の買い付けで隣の大陸に行く予定です。私はユウ、こちらは従者のクロ、ミミ、ティカです。ここは広いのでスペースがあります。どうぞお使いください」


今までも馬車で移動しているとこういうことはあった。お互いに夜の見張りを交代でやることぐらいで、食事や野営の準備などはそれぞれで行う。


オレ達が食事をしているとダンツが話しかけてきた。


「ユウ殿、私たちも食事に混ぜていただいてもよろしいかな?このロッコ肉をお分けいたしましょう」


オレ達はスープを作ってパンと一緒に食べていたが、肉を分けてくれるようだ。まぁスープはいっぱいあるし分けてやってもいいだろう。


「いいですよ。私たちのスープでよければお分けいたします」


「それはありがたい。私達は男ばかりのため食事も大雑把な物ばかりでね。匂いに誘われてついお声をかけてしまいました」


オレ達の食べているスープはミミとティカが作ったからうまいことは間違いない。それに野菜も肉もふんだんに使っているからボリュームも満点だ。


せっかくなので肉も切って焼いておく。これはオレが担当したが、焼けた肉を口にしたとたんに行商人達は皆目を見開いてかぶりついていた。そんなにうまかったのか?


「いやー驚きました。私たちがいつも食べている肉がこんなにもおいしくなるとは。ユウ殿は料理の才能もお持ちのようだ」


「わたしが肉料理が好きでいろいろ試した結果、この食べ方が一番好きなだけですよ。お気に召してもらえてよかったです」


飯がうまければそれだけで幸せを感じるものだ。みんなにこにこしながら飯を食っていた。


「ユウ殿はどのような品を?私は宝石やアクセサリーを生業としていましてね。盗賊に襲われることもあるのでいつもこの二人に護衛を頼み4人で行商をしております」


ダンツのおっさんは見た目は少しふくよかな一般的なおっさんだがアクセサリーを作ってるのか。意外だな。


「私は村の村長もしておりまして、村で必要となる物の買い出しを兼ねていろいろなところに行き、街づくりを勉強をさせていただいております」


「ほぅ。それは立派な事ですな。私どもが村に行っても問題なければいずれお伺いさせていただいても?」


「そうですね。村には雑貨屋があるのでそこに卸していただくなら問題ないです。ただ、辺境の荒野近くですので魔物には注意してください」


そう話すと、行商人の目つきが変わった。


「辺境の荒野・・・最近行商人の中で噂となっています。いろいろな種族が争いもせず力を合わせて生活している村があると。そしてその村は豊かで皆生き生きしていると」


そんなうわさが出ているのか。まぁ噂と言っても事実なんだがな。


「ユウ様の村は種族の違いによる差別なく、住人が一生懸命働いて手を取り合って生活をしております。裕福ではありませんが、争い事がないため皆幸せと思っております」


クロが説明をしてくれた。まぁ言っていることは間違っていない。


「・・・しかし、あなたも私も人族がこうやって汗水たらして働いているのに、他の種族が村の中でぬくぬくと生活をしているのは許せませんな」


なんかこいつは人族貴族と同じ匂いがするな。よく見ると護衛も人族だ。人族以外の種族を差別している系統の輩かもしれない。


そういえばオレとクロは人族と見た目がほとんど変わらないが、ミミとティカを見る目が厳しい気がする。


「ユウ様は人族だろうが他の種族だろうが一生懸命努力する人は平等に見てくださいます」


ティカがオレを庇ってくれている。まぁこんなこと言われてもなんとも思わないが。


「おっと、失礼。あなたがその村の村長でしたね。まぁ人それぞれ考えがあります。いいのではないでしょうかね」


なんかあからさまに機嫌が悪くなったな。そのまま席を立ち自分たちの馬車の方へ行ってしまった。


オレとしてもああいう輩は好きじゃないの距離を置いてもらった方が面倒くさくなくていい。


しかしそのあと、オレは神秘の力を展開して警戒していたところ、あいつらが話をしている内容が聞こえてしまう。


(何てことだ。あんな汚い生き物の作ったものを食ってしまった。体中にじんましんが出来てしまう)


(あの男も食えない奴だ。何も持っていないかもしれないな。親父どうする?)


(別にどうもしない。あの男二人は始末して、女は奴隷商にでも売ればいい。馬車ごと奪えば何か売れるものが少しはあるだろう。お前たちいいな)


(わかった。女の方は・・・売る前にオレ達で痛めつけてもいいだろ?)


(好きにしろオレは人族以外の他種族が大嫌いなんだ。死んだら価値が無くなるから、死なないようにほどほどにしろ)


あぁ・・・やっぱりね。さっき怪しいと思ったんだよ。やっぱりこの世界の人族はろくな奴がいないな。ヴァンスさん達が本当に稀なのかもしれない。


たぶん寝静まった頃、火の番がオレの時あたりに襲撃するのかな。普通は主人より従者が強いからオレが夜中に火の番をしておけば襲ってくるだろう。


(クロ、あいつらはクソ野郎だ。寝込みを襲ってオレとクロを殺し、ミミとティカを奴隷に売り払う算段らしい)


そう聞くとクロが勢いよく立ちあがった。しかしオレが手で制しオレの前に座らせた。


(まてクロ、怒ることはわかるが今襲ってはただの暴力事件になってしまう。たぶんオレが番をしていれば襲ってくるだろう。最初にクロが番をして、そのあと俺が火の番をする。今回は俺に任せてくれ)


(・・・わかりました。しかし、それ相応の罰を与えてください)


オレは不気味な笑みを浮かべた。クロは少々引きつっていたが、オレが相当悪いことを考えていると察したらしい。


さぁ!楽しくなってきた。最近魔物とも戦ってなかったからマテルも使ってないんだよな。新しいマテルを使ってみるかな。


オレは意気揚々と馬車に向かい交代時間が来るまで寝付けずにどのように罰を与えるか考えるのであった。

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