第3章 02話 拡張
更新が遅くなりすみません。
少しずつ書き溜めてアップしているのでなかなかスピードが出ません。
「クロ、村を広げたいんだけど川に沿って広げたほうがいいかな?それとも森の入り口側に広げたほうがいいかな?」
新しく宿屋兼食堂を開きたいという人が村の住人になるかもしれないので少し村を広げようと考えたが、どんな風に拡張するかクロに相談してみる。
「そうですね。森の入り口側のスペースはまだ拡張せずに川沿いに広げてみては?森のトンネルは行商人たちに好評みたいですよ」
え?!そうなの。全然そういう話は聞いたことなかったな。
「行商人に好評?なんでだろ?」
「なんでも暑い時には日差しを遮り、寒い時には雪を遮るためモーン村に来たという実感が湧くそうです」
なんかよくわからないが村のシンボルの一つになってるのかな。
「そっか、じゃあ今回は川沿いに広げていこうか。あと畑は必要であれば面積を広げるけど、なるべく住宅がある側を広げていこう」
そうと決まったら、まずは周辺の土地を確認しに行く。今回も兎族と猫族の狩人コンビ2組に案内をお願いして俺とクロが一緒に回ることにした。
川をずっと上流に向かうと湖があるが、そこまではまだまだ距離がある。とりあえず今回は100m×100mぐらい村の面積を広げるだけにしておこう。
現在村の周りを囲んでいる土壁に沿って川の上流側に向かい、そこから100m四方の範囲を詳しく調べていく。
「ここらは村に近いため魔物もあまり出ません。出たとしてもロッコやコッカぐらいですので、村の大人なら問題なく対処できますよ」
兎族のナジが説明をしてくれる。
「そっか。木は生えているけど他に何か珍しいものとか気になるものとかある?」
「木のほかには岩が多いにゃ。大きい岩がところどころにあるので動かす必要があるにゃ」
猫族のユシカが教えてくれた。
周りを見ると大きな岩がいくつか目についた。試しにマテルハンドで大きな石を持ち上げてみたが結構重い。高さは1.5mぐらいだが、長さが2mぐらいあり、マテルハンドでは持ち上げることが出来たがかなり力を使う。
オレはそのまま力任せに川の方にぶん投げると、川で大きな水しぶきが上がった。
「ユウ様さすがに川の中に投げるのは・・・やり過ぎではないでしょうか?」
俺だって川の中に投げようとしたんじゃないんだけど・・・
「なんか投げる瞬間マテルハンドが滑って変に力が抜けたんだよ。一応川の様子を見に行こう」
河原に移動すると投げた岩が4つに割れて川の中に転がっていた。
「ん?!なんか岩が割れて中が光ってない?」
「えっ?!あれは・・・赤く光る石って?!まさかニルニア鉱石じゃないですか?」
オレが割れた岩の断面に赤く光るものを見つけると、兎族のアルニが驚きながら割れた岩を見ている。
「ニルニア鉱石?!ユウ様、少々お待ちください。確認をしてきます」
クロが川の中の岩のところにジャンプして行ってしまった。にるにあ?なんだその聞いたことのない名前。
「お待たせいたしました。確かにこれはニルニア鉱石。まさかこんなところで目にするとは。ユウ様これはニルニア鉱石と言って、武器や防具に使われる鉄より丈夫で高価なものです。これで作られた武器や防具は高値で取引されますが、量が少なく滅多に市場に出てきません」
ということは、レアメタルってことか。
「それじゃあ、そのニルニア鉱石を集めて武器を作れば高値で売れるってことでしょ?それなら村で加工して売ればみんなの収入も多くなるんじゃない?」
「確かにそうですが、ここらにニルニア鉱石があると分かると他の街や村からも人が集まる可能性があります。今のうちにここらの分布を調べたほうがよいかとおもいます」
そうか、高値で売れるものがあれば人が集まる。人が集まれば問題も多くなる。俺のものだと主張するものも出てくるだろうから今のうちに分布の多い場所はこちらで管理できる方が良いかもしれない。
それから数日の間、狩人コンビ2組とクロとオレで周辺を調べたが、川の上流側に湖の手前まで岩が転がっておりその岩にニルニア鉱石が含まれているようだ。
地下の資源についても何箇所か穴を掘り出てきた岩を割って確かめてみたところ、地下にも分布が広がっていた。発掘量は結構ありそうだし、手掘りだからかなり長い年月産業として確立するかもしれない。
そんなことを考えているとパッとひらめいた。
「そうか、だから土族の人達がここに住んでいたんだな。それならな納得が行く」
「そうですね。ズズ達に話を聞けば何かわかるかもしれませんね」
それから村に戻り、ズズたちに話をしてみた。
「・・・気づいたか。そう、この地にはニルニア鉱石があるため土族は住みついたと聞いた。俺達も土族の師匠からニルニア鉱石を加工する技術を伝授された」
「ニルニア鉱石は村から湖までの間にだいぶ分布しているみたいだけど、それを取ってきたらズズたちが加工してくれる?」
「それはいいが、加工するにはちゃんとした工房が必要になる。それを建ててもらってもいいか?それに人手も必要になる」
「わかった。ちょっと考えてみるよ。決まったらまた相談に来る」
それから、家に戻りクロ、ミミ、ティカ、オレで緊急会議を始めた。まずはミミとティカに事情を説明してどのように展開していくかを決める。
「どうせにゃら湖の近くまで土の壁を作ってしまうのはどうかにゃ?」
「確かにその方法であればニルニア鉱石を安全に採掘することが出来ますね」
ミミとクロは分布している周辺をすべて囲んでしまい、その中で安全にニルニア鉱石を採掘する案のようだ。
「でもそれではユウ様が土の壁を作るのに苦労をいたします。必要なところから採掘していくのはどうでしょうか?」
ティカはオレの事を心配してくれているようだ。確かにあの距離をすべて土の壁で囲うとしたら1週間作業になるな。でもあの強度の壁を作れるのは俺ぐらいだし・・・仕方ないな。
「ティカ、心配ありがとう。実際にやるとなれば時間は少しかかるけどできなくはないよ。でもそれだとこの村でニルニア鉱石を独占してしまうことになると思うんだ」
3人はオレの話しに耳を傾ける。
「人は欲深い生き物だから、良いものがあればそれを欲しがって嫌がらせされないか?」
「確かに、人族だけでなく他の種族も噂を聞きつけて村に来るかもしれませんので、些細なことから争いごとが起こることもあると思います。子供たちもいますのであまり人が多くなると怖いですね」
ティカは村の治安が悪くならないか不安なようだ。
「まずは土の壁で囲いを作り、当分の間は村の住人で採掘と加工をして、採掘場や加工場をちゃんと整備出来てから販売を始めるのはどうでしょうか?」
クロの提案が一番無難かな。さらに安全策をとるなら村での販売はしないで、街に行って売る方がいいだろうな。
「それじゃ、クロの意見で行こう。街の住人も増やす方向で考えるよ。みんなに説明してから手の空いている人に手伝ってもらって採掘場と加工場を作って行こう。オレは土の壁を作るよ」
その日の夜に住人のみんなを呼んで、ニルニア鉱石が村の周辺にあること、今後加工場や採掘場を作ること、発掘のために住人を増やすことなどを話しした。
妖魔のみんなはニルニア鉱石を加工することとなるので真剣な顔で話を聞いていた。やはり鉄を加工するより難しく力仕事となるため、ズズ・ホツ・シナの3人で頑張るようだ。
畑については今のところ十分なスペースがあるためまだ拡張は必要ないとのことだったが、モーンの小屋を広げておいてほしいと要望が出た。モーンも子供が出来たため広くしてほしいとのことだ。
加工場は妖魔、採掘場は手の空いている男手で準備していくこととなったが、やはり人員が足りないという話が出た。
通常採掘作業は奴隷を使い採掘作業をさせる代わりに食事を与えるだけのようだが、ここではちゃんと仕事としてお願いをする。でもきつい仕事のため請け負ってくれる人がいるだろうか。
また、採掘量はかなり長い間心配は要らないが、いずれ枯渇するだろう。そのときは人員をどうしたら良いかも考えていかなければならない。心配事は多いが妖魔の話では地下にもかなり広がっているから数十年は掘っても大丈夫な量はあるだろうと言っていたのでその間に考えることとしよう。
それからオレは、予定より多い10日かけて村の周りの壁を湖まで伸ばした。当初1週間の予定だったが壁と造っている途中に加工場で使う炉を作ったりモーンの小屋を延長したりしていたため完了までに時間がかかった。
「とりあえず壁の設置は終わったよ。他のみんなはどんな感じ?」
「お疲れ様でしたユウ様。こちらも工事に取り掛かる準備はだいたいできましたが、村では手に入らないものは一度街に行って買ってくる必要がありますね」
さすがに村の中ですべて完結はしないな。一度エーテハイムに行って買い物をしてくる必要がある。あとミルアン様がグングルトの街に別荘を用意してくれたようだから確認にもいかなくちゃならない。
「それじゃあ、一度エーテハイムの街に行こうか。竜の涙の力で飛べば一瞬だから必要なものがあればみんなに聞いて買ってくるようにしよう。妖魔のみんなは一緒に来るかな?」
「妖魔は人前に出ることを嫌いますが、ニルニア鉱石の加工に必要なものは私達にはわからないので来てもらうよう話をします」
「そっか、それじゃ妖魔は行ける人は連れて行ってあげるようにして、それとオレはエーテハイムに着いたら一度グングルトに行ってくる。一人で行けばそんなにかからずに着くだろうからミルアン様が用意してくれた家を見てくるよ」
「わかりました。では明日の朝出発ということで皆に話を聞いてきます」
オレはティカにお願いするために家に戻った。
家の中に入るとティカが台所で料理を作っているところだった。
「あっ!お帰りなさいませユウ様。今日もお疲れ様でした。何かすぐ食べられるものを作りますか?」
「ただいま、食事はみんなと食べるから今は大丈夫だよ。急で申し訳ないんだけど明日からまたエーテハイムの街に行きたいから、竜の涙の力で移動をお願いしていいかな?」
「もちろん大丈夫です。買い物であれば女性達の要望も聞く必要がありますね。さっそく確認してきます」
ティカも買い物だと分かったようだ。これでとりあえず大丈夫だが、一応念を入れて冒険に出るときの持ち物を用意しておこう。
この世界に来てから、オークの村やエーテハイム・グングルトの街に行ったが、他の街にも行ってみたいな。今回はいけないかもしれないけど少し余裕が出たら旅に出てみるかな。
旅の準備をしているが、装備するものはそのままだし、着るものも寒くなってきたので上に羽織るものぐらいだ。食べ物は定期的に闇ストレージに入れているからあまり気にしないでも大丈夫だろう。
最近闇ストレージに慣れてしまって、まったく無限リュックを使用していない。無限リュックはもっぱらティカの持ち物となっている。女性は持ち物が多いのでこれがあるとだいぶ助かると言われたので預けてある。
マテルについては、また少し独自のマテルを開発したので今回のエーテハイムからグングルトへ移動するときに役に立つだろう。
あと準備するものは・・・お金かな。一応金庫として家に地下室を作って置いている。しかし3分の1ぐらいはオレが闇ストレージで持っており、その中からクロに必要経費を多目に渡している。
闇ストレージに入れておけばほかの人は絶対にとれないからね。安心だし重くない。
一通り準備が終わったころ、オレの部屋の扉をノックする音がした。
「ユウ様、よろしいでしょうか?」
「入ってもいいよ」
クロが部屋の中に入ってきた。
「ユウ様、妖魔達は男性3名が今回ついて来るとのことです。買い物をする時に自分の目で見て買いたいとのことです」
「そっか、それじゃあ妖魔の3人とオレ達4人で7人だね。ティカは竜の涙を使った移動をしてくれるっていうから、明日の朝出発しよう」
「承知しました。準備を始めます」
オレは準備が終わったので一度外に出て、モーン小屋に移動する。
「みんな、また俺たちはちょっと留守にするからおとなしく待ってるんだよ」
(モーン!ユウさん今度はどこに行くんだい?)
「今回もエーテハイムの街だよ。後グングルトにも行ってくる」
(この前買って来てくれたエーテハイムの干し草また頼むよ・・・)
モーンもかわいいものだ。前回街に行ったときに干し草買ってきたんだが、お気に召したらしい。
「いいよ。また買ってくるね。やっぱりここの干し草と違うの?」
(そうだね。ここのは飽きずに食べられるがパンチがない。エーテハイムはちょっと癖があるがパンチがあってたまに食べたくなるいい味なんだ)
「それじゃあ、今回はグングルトの物とエーテハイムの物を買ってくるよ。他にもなんか珍しいものあったらそれも買ってくるよ」
(モモモーーン!!)
モーンはうれしがってみんなで飛び跳ねていた。ちょっと異様な光景だな。嬉しそうだしちゃんと忘れないように買ってこないとな。
モーンとの会話を楽しんだ後、次の日の予定を立てながらゆっくりと家路についた。




