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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第2章 30話 久々の味

次の日、野営場所から出発しエーテハイムの待ちに向けて順調に歩みを進めた。


昨日の奴隷解放や風呂などのイベントがあったせいか、鱗人族のみんなとも少しずつ打ち解けることができている。


「クロ、今日はエーテハイムの街に着くと思うけどこの人数で宿に泊まると目立ちすぎる。闇族の住処を使わせてもらいたいんだけどいい?」


「問題ありません。少しほこりをかぶっていると思われますので、まず掃除をさせていただきます」


それから街に入り、そそくさと廃墟に向かう。馬車1、ケンタウロス2という組み合わせだが、馬車の中には鱗人族6、それにクロ、ミミの8人、俺とティカも合わせると12人構成となる。


ただでさえ目立つ馬人族の2名を連れているのにこれ以上目立って、また面倒くさいことになるのはごめんだ。


もう夕方違くなっていたため、廃墟の周りには人が少ない。その中に見知った顔を見つけた。


「おお!おおおおおお!待ってたよ兄貴!あんたがいなくなっちゃったからオレも困っていたんだよ」


前に廃墟探索したときにいろいろと買ってもらっていた商人だ。


「お久しぶりですね。あのとき行商人をしているので長くはいられないって言ったとおもいますが?」


「そう、そうなんだけど、あんたが持ってきてくれる戦利品は滅多なことじゃ手に入れられない品が多かったから客が殺到してよ。次手に入ったら譲ってくれって言われているんだよ」


品が珍しかった分、客の金払いが良かったから断りきれなくて請け負ってきたのだろう。自業自得だがそれなりにいい値段で買い取ってもらっていたからまぁ何日か潜ってまた売ってやろう。


「わかった。これから私たちは廃墟に入るので数日後に出てきたときにはまたあなたに売りますよ。今回も何度も潜るわけじゃないのであてにしないでくださいね」


「そっか、俺としては専属であんたと契約したいぐらいだが、あんたにもいろいろ事情があるだろう。出てきたときにはちゃんと俺に声かけてくれよ」


やっと話が終わった。廃墟に入ろうと進んでいったときに後ろでさっきの商人が、馬人族のことを見て驚いたようだ。さっきあれだけ話していて近くにいるのに目に入らなかったのだろう。


変に言い広められないように口止めしておけばよかったか?まぁ長居するわけでもないのでいざとなれば闇族の住処から竜の涙でモーン村に逃げてしまおう。


廃墟の入り口にいる馬の世話をしてくれる人に馬車を預ける。1日銀コイン1枚だから結構な値段だが、餌をやったり盗まれたりしないように見ていてくれるから仕方ないだろう。


とりあえず5日分払い、もし遅くなったら後で支払うことをいい全員で廃墟の中に向かう。


廃墟の中に入ると真っ暗なのでクロ以外はあまり周りが見えないだろう。ラルが光のマテルを使おうとしたので制止し、オレの暗視ゴーグルマテルを使用する。


「今みんなにマテルを使って暗闇でも目が見えるようにした。オレのオリジナルだからあまり他人に言いふらさないようにしてくれ」


「ユウ様はマテュリスではありませんが、それを凌駕するほどの才能を持っていらっしゃる。他にもいろいろなマテルを使われるが、それについても他人に話をしないように」


クロがフォローをしてくれた。いきなり目が見えるようになったのでみんな戸惑っていたが、クロの説明を聞いてとりあえず納得したようだ。


「ご主人様がいろいろマテルを使いこなす人というのはわかっていたけど、こんなマテルまで使えるのは知らなかったわ。ほんとびっくりしたわよ」


ケンも大概のことには慣れたようだが、今回は予想外だったようだ。


それじゃ進むぞ。


廃墟を少し進み、周りに俺たち以外いないことを神秘の力を展開し確認してから、秘密の通路へと進む。


通路への扉をしっかりと閉じ、階段を下りていくと闇族の住処についた。


「こんなところにこんな立派な屋敷があったとは。私は何度かこの廃墟にも入りましたが、気づきませんでした」


ワグが驚いている。無理もない、普通は通路の入り口さえ見つけられないからな。


「ここはクロの住んでいた家なんだ。クロは闇族で廃墟を作りその中に住処を作るみたいなんだけど、俺がここを見つけて訪ねた時に力を試されて、俺が勝ったから従者として力を貸してくれているんだ」


「ユウ様は今までのどのご主人様より強く、そして意外性に富んでおります。仕えていて飽きることがありません。ではみなさん、まずは掃除から始めます。水を出しますので拭き掃除からお願いします」


それから1時間掃除をし、一時的に生活するには十分きれいになった。


最後の仕上げとして、建物の外に土のマテルで小屋3つ作り、3つの風呂を用意した。これが有ると無いとではみんなのモチベーションが全然違うだろう。


「掃除お疲れ様、今日はもう夜だから、みんなで食事を作ってご飯食べて風呂に入ってゆっくり休もう」


館の中では光のマテル道具が取り付けられているため暗視ゴーグルマテルを解除している。やはり明かりがあった方がオレは好きだな。


今日の料理は闇族の住処に慣れているクロ、そしてオレが担当することになった。いつも女性陣が作ってくれているからたまには男の料理もいいだろう。


クロは魚料理をするようだ。闇ストレージから魚を取り出している。おれは・・・パンを作る小麦粉もどきを使いパン生地を作る。そして生地を伸ばしその上にトマトのような野菜やベーコン、その他もろもろを載せて、土のマテルで作った窯で焼く。


そう、ピザを作っているのだ。オレはトマト好きだがこの世界ではサラダかパンにはさんでしか食べないようなので、トマトケチャップとかもなかった。


それに嘆いたオレが、夜に少しずつ研究しケチャップに近いものを作るまでにはさほど時間はかからなかった。そして、この世界にはチーズがあったためこれならピザを作れる!!と思い今日に至る。


クロと一緒に台所に立つのは久々だが、相手に合わせて動きを読んで動くのは戦闘時と似ている。タイミングがずれるとお互いに動きが止まってしまうが、スムーズに作業が進む。


ピザを石釜に入れて焼き具合を確認し、焦げ目が付いていいぐらいになったところで取り出す。人数が多いためこの他にも数枚焼き上げる。


ピザは焼き立てがおいしいため、クロの料理の仕上がり具合にあわせて焼いていたので焼き終わるころには丁度クロも料理を完了していた。


「夜飯ができたぞ!みんな集まれ!」


オレがリビングに向かいながら大声で声をかけると、元気なエクとピリュが一番乗りでリビングに来た。


「うわーおいしそうなにおい!」


「うぉーおいそー」


ピリュは声が出せるようになってから積極的に話をするようになり、少しずつだが言葉になってきた。


その後みんなぞろぞろと集まり始め、みんな集まったところで食べ始めた。


「ユウ様この料理は何というものでしょうか?すごくおいしいです。ププカをこのように使う料理は初めてです」


ププカとはこの世界のトマトのような実のことだ。色や見た目もトマトのため同じものと考えて良いだろう。それにチーズはこの正解ではジームと呼ばれている


「それはピザといって、ププカで作ったソースとモーンのミルクで作ったジームで作るんだけどおいしいでしょ」


「はい、とてもおいしいですし、お腹もいっぱいになります。載せる具によって味も変わるのでいろいろとアレンジできるのもいいですね」


ティカは、早速ピザの特徴を掴んだようだ。今日はベーコントマトがメインだけど、いろいろ合わせ方次第でバリエーションは豊富だ。


「こっちのお魚もおいしいにゃ。クロさんの味付けは私は好きにゃ」


「喜んでもらえたようで何よりです。ミミの好みは大体把握しております。また作ってあげましょう」


クロはミミにおだてられて気をよくしている。ミミはなぜかニヤニヤしているが・・・はっ!!これはミミの罠では?おだててクロが料理を自分から作るように仕向けている?ミミ・・・なんて怖い子。


「ユウ様は何でもできるのですね。尊敬いたします」


ガイが感心しながら俺に話しかけてきた。


「いや、そんなことないよ。なんでも興味を持ってやってみたくなる性格なんだよ」


「ご主人様は弱点は世間知らずなところぐらいじゃない?でもそんなところがかわいいんだけどね」


おいケン!そういう展開はやめろ・・・あぁやっぱりラルがドン引きしてる。そしてティカがほっぺを膨らませてる。


「お前にかわいいといわれても嬉しくもなんともないよ。っていうか気持ち悪いからやめろ」


ケンはニヤニヤしながら酒に手を伸ばして後はオレに丸投げのようだ。


「ティカ、あいつの言うことをいつも真に受けないでくれ。冗談だ。オレはあんなおっさん興味ないぞ」


「それはわかっているのですが、胸の奥がチクチク痛いんです」


やきもち・・・なのか?あんなおっさんにやきもち焼くのか。無意識なんだろうな。


「ティカはユウ様を独り占めしたいのにゃ。でもあまり束縛すると嫌われちゃうにゃ。泳がせておいてもちゃんと手綱を握っておけば大丈夫にゃ」


ミミ、なんか恋愛マスター的な発言。これまでのクロとのやり取りを見ていると相当な上級者と見た。


「泳がせて・・・手綱を握って・・・」


ティカがぶつぶつといっているが気にしないでおこう。気にしたら負けな気がする。


食事を終えて今夜も風呂に入る。


「ユウ様、モーン村では皆さんこのような生活をしているのですか?」


湯船に浸かっているとワグが質問してきた。


「そうだね。風呂は毎日入ってるな。食事はそれぞれ食べてるからわからないけど、定期的にみんなで宴会みたいにして食事してるからあんまり変わらないかな」


「村ではユウ様がみなに家を造ってくださるが、鱗人族のみなをどのように分ればいいですか」


クロが村での家についてワグに聞く


「そんなに手厚く・・・ありがたい限りです。もしよろしいなら、今日と同じように私とムータで1軒、ラル、ニュイ、エク、ピリュで1軒、2軒いただければ問題ないと思います」


「はいよ。村に行ったら2軒作るから内装は後で希望を言ってね。それから明日から廃墟の中を探索するから一緒に来てもらえる?」


「はい、私は戦うことの方が役に立つと思います。ぜひお供させてください」


やっぱり風呂はいいね。裸の付き合いだと緊張も解けて会話とかも普段より弾む気がする。


明日は久々の魔物狩りだからゆっくり休もう。


-----


次の日朝ごはんを取ってから廃墟探索に向かう。今回のメンバーはオレとクロ、ミミ、ティカ、ケン、ガイ、ワグだ。他にもニュイやムータも付いてきたいといっていたが、今日は待機とさせた。


闇族の住処を出て廃墟を進んでいく。5階ぐらいまでは特に問題もなくさくさく進んでいく。ワグ、ケン、ガイはやはり戦闘に特化しており、そこらの人族戦士よりかなり強い。


クロ、ミミに比べると力でねじ伏せているところがあるが、それはそれで重要な力となる。連携などを練習すれば2つのパーティーに分けても良いかもしれない。


ティカは力がないため後方からのマテルでの支援となるが、俺が使えるマテルをいくつか教えたため使っていくうちに慣れてきたらしく、使うタイミングもよくなった。


今日は10階まで進んで引き返すことにした。昼過ぎぐらいの時間だろうが、帰りの時間と品物を売る時間を考えると肩慣らしとしてもちょうど良いだろう。


ワグは他のメンバーの能力の高さに驚き、自分の能力の低さを悲観していたが一緒に戦い成長して行こうと元気付けて、今はやる気を出してくれている。


一度廃墟から出て商人のところに行く。


「お!兄さん今日はもう上がりかい?丁度客も少なくなってきたところだ。今日のメインイベントと行こうか」


「今日はこの袋2つ分だけだ。久々だからまだそこまで深く探索していないんだ」


「それでもぱっと見ただけでいいものが多いよ。傷が少なく質がいいものが多いから驚きだね。どうやったらこんなに綺麗に残して魔物を倒せるのか聞きたいぐらいだよ」


それから商人は目を輝かせながら品定めをしていき、今日の成果は銀コイン50枚となった。初日で50万とはいい稼ぎだとおもう。


「明日からは深く探索するチームと今日と同じぐらいを探索するチームに分けるから俺かこの馬人族のケンが売りに来る。馬人族のことはあまり他言して欲しくない。またよろしく頼むよ」


「そういえば馬人族なんて珍しい人を連れているんだね。まぁ儲けさせてもらえるなら俺はだれにも何もいわないよ。頑張ってくれよ」


今日は久々に戦ったから、連携の確認が中心になっちゃったけどいい運動になった。明日からは若手も連れて行っていいかな。


闇族の住処に帰りラルたちが用意してくれたご飯を食い、風呂に入り明日に備えてゆっくり体を休めた。

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