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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第2章 28話 おいしいもの

更新遅くなり申し訳ないです。


グングルトの街からモーン村に帰る途中、ゆっくりとした時間が過ぎていく。


「天気がいいのはいいんだけど、もうかなり暑いね」


「もう暑い季節ですからね。もう少ししたら本格的に暑い日々が続きますよ」


馬車の操作をしながらティカとたわいもない話をしている。暑い季節は地球で言う夏に当たる。やはり暑い季節はどこでもおなじでオレとしてはちょっと苦手だ。


「暑い季節の時はみんなどんなふうにして涼しんでるの?」


「ふつうは日陰で休んだり、河原で水浴びして涼みますよ。マテルを使える人は風のマテルで涼しんだり、氷を作り水を冷やして足を冷やしたりします」


暑さを凌ぐ方法はそんなに変わらないな。オレは夏はアイスとかかき氷を食べまくってたな。でもいつも腹を壊してトイレに籠っていた記憶がある。


「かき氷とかアイスって食べないの?」


「かきごおり?ですか?あいす?もわかりませんが、どのようなものでしょうか?」


あれ?こっちの世界ではないのかな?


「ケン、ガイ、かき氷とかアイスとか冷たい食べ物って知らない?」


「聞いたことないわね。氷を食べる種族がいるとは聞いたことあるけど・・・」


「私も知りません。雪が降った時に口に含んだことはありますが、味もなく水と変わりないですよ」


やっぱりそうか。こっちでは冷たい食べ物の文化があまり浸透していないのだろう。雪を食べるのは子供のころしたことあるけど、さすがにおいしいとは感じなかったな。


「そっか、それじゃ後で休憩のときにでもオレの知っている冷たい食べ物を紹介しよう」


「楽しみです。私にも作れるものであれば、村に帰ってからは私がユウ様にお作りしますね」


ティカはますます料理の腕が上がっているから、安心して料理を任せられる。今じゃミミより料理の腕は上になっただろう。


お昼の休憩を取るためにエーテハイムの街に続く街道の休憩場所に馬車を止め、軽い食事をとる。


ティカとミミが食事の用意をしているのを、鱗人族の6人がおろおろとしながら見ている。


「鱗人族の皆さんは今はとりあえずゆっくりしていていいですよ。まだオレ達の生活パターンに慣れてないと思うし、他とはだいぶ違うから少しずつ慣れて行ってくれればいい」


目が見えない子としゃべることが出来ない子がぽかんとしている。


「私たちは・・・奴隷として買われたのですが、何もしないでいいのですか?それとも・・・他に何かやることがあるのでしょうか?」


女性の鱗人族の人が不安そうな顔で訪ねてきた。


「あぁ、勘違いしないで、危険な事とか変なことをしようってことじゃない。本当に村の住人として住んでもらいたいから、今は体力を回復してもらいたいんだ。だから慣れてきたらちゃんと手伝ってもらうよ」


「私は、戦うことしか能がないので力仕事ぐらいしか手伝うことが出来ないのですが、こんな私でもご主人様の村に住まわせてもらえるのでしょうか?」


今度は戦士の鱗人族が話しかけてきた。やはり鱗人族ばかり奴隷として買ったことや、村の住人という奴隷としてはちょっと想像できない理由で買われているので不安なのだろう。


「大丈夫だ。みんなうちの村の住人として自由に生活してもらいたい。まぁ今日の夜にでもしっかりと説明するから今はゆっくり軽食食べて休んでくれ」


「みなさ~ん!簡単なものですが食事が出来ましたよ!」


ナイスなタイミングでティカが声をかけた。


おっ!今日はオレの好きなホットドック風の軽食だ。コッペパンのような長いパンの上に切れ目を入れて、ソーセージを温めたものと野菜をはさんで、タルタルソース風のソースがかかっている食べ物だ。


「今日はオレの好きなパンだね。ありがとう」


「最近作っていなかったので、もうそろそろユウ様が食べたくなるのかと思いまして作ってみました。喜んでもらえてよかったです」


ティカはオレの好みを把握して、同じメニューとならないようにいろいろ工夫をしてくれている。だから飽きが来ないし毎日何が食べられるのかすごく楽しみにしている。


ティカの頭をなでてあげると、ティカはにやにやしながら喜んでいる。


「私もガンパッテ作ってるにゃ。ティカだけずるいにゃ」


ミミがほっぺたを膨らまして拗ねてしまった。そうだよな。ミミも一緒に作ってくれてるのにティカだけ褒めるのは不公平だな。でも・・・あいつの目が怖い


横を見ると鋭い眼光でオレの事を凝視しているクロがいる。おいおいおい!主人に向かって殺気を放つことはないだろう。


ミミに向けて伸ばしかけた手を引っ込めた。


「ミミ、いつもありがとう。ミミとティカがいつも作ってくれる料理は本当においしいよ。これからもおいしい料理をお願いね。クロ、ここはクロが頭をなでて褒めてあげた方がいいんじゃないかな?」


「!!ミッミミミミ、いつも料理を作ってくれてありがががっとう。私からもおれっおれっいを・・・」


噛みまくってるクロがミミの頭に手を伸ばしやさしく頭を撫でる


「うふふっ。嘘にゃ。怒ってないにゃ。それにクロさんに褒めてもらえたから私もうれしいにゃ」


おっ!ミミが素直にクロが撫でたことに対してうれしいと言っている。結構あの二人もいい関係になってきたのかな?


「ふっふぉふぉおおおおおおおお!」


クロがいきなり興奮して奇声を発して街道沿いの森の中に走って行ってしまった。まぁそのうち戻ってくるだろう。


「ミミも大変だな。あんな奴だけど、純粋なだけなんだ。広い心で見守ってやってくれ」


「わかってるにゃ。私もクロさんのことはわかってるつもりにゃ。でももっと積極的ににゃってくれてもいいのににゃ」


ミミもクロのことをよく思っているようだし、いいことだ。うちは自由恋愛だから別に問題ない。


「そうですね。私もユウ様がもっと積極的になってくれれば・・・」


「ん?ティカ何か言った?」


「なんでもないです!」


ティカがほかのメンバーに食事を配りに行ってしまった。みんな丸く輪になって座っているのでそれぞれに手渡ししているようだ。


「ご主人様もクロさんと変わらないわね。鈍感すぎるというか、奥手というか・・・こういう男は女がどきっとすることをするくせに無意識だから、やきもきしちゃうのよね」


「ケンさん、私にはユウ様はわかっているのにわざと線を引いているようにも見えますが」


ガイ・・・こいつは人のことを良く見ている。オレはティカの気持ちには気づいている。うれしいし、俺にとってはもったいないぐらいの美人だ。でもオレは元の世界に戻って・・・いや今は考えないようにしよう


「そうね。ご主人様には何か考えがあるはずよ。じゃなきゃ私の気持ちにこたえてくれないはずがないわ」


「それはない。全力で否定してやるよ」


「恥ずかしがっちゃって、かわいいわ」


頭を殴ってやりたいが、届きそうにないので腹のところを小突いてやる。


そのやり取りを見ていて鱗人族の面々が驚いている。まぁそうだよね。みんな奴隷だと思っているんだから、こんなやり取りしてるのはおかしいだろう。


「それじゃみんなで食べようか、いただきます」


「いただきます」


みんなで食べ始めると鱗人族の面々は手を付けようとしない。


「ユウ様の前では奴隷ではなく同じ一人の人としていてください。だから食事は一緒にとっていいんですよ」


クロが説明をしてくれた。初めは戸惑っていたようだが、子供の二人が食べ物にむさぼりつき、それを機に他の4人もパンにむさぼりついた。


お腹が減っていたのだろう。奴隷は衣食住は確保してもらえるが、食事だって十分もらえるわけじゃないし美味しいものを食べさせてもらえるわけでもない。


「そんなに急がなくてもいっぱいありますからね。好きなだけ食べてください」


ティカがやさしい笑顔で飲み物を配りながら声をかける。


それからはみんなでおいしくいただいた。それじゃ暑さを凌ぐおいしいデザートを作ろうか。


オレは水のマテルと風のマテルで氷を作る。そしてその氷をウィンドカッターで薄く削り木の器に山にしていく。アイスを作ろうかと思ったが、帰ってからモーンのミルクを使って作った方がおいしそうなので今はかき氷を作る。


氷はすぐにできたが、シロップはどうしようか・・・砂糖を水に溶かして少し温め、イチゴのような甘く酸味のある果物を細かく切って砂糖水に入れる。少し味見をしてみたがいい具合に甘さが出ていた。


解けないように冷やしていたかき氷にシロップをかける。シロップも十分冷やしてからかけたので氷はほとんど溶けない。


木製のスプーンを取り出し、かき氷を口に運ぶ。うん、うまい。暑いときにはこれだね。氷の冷たさで甘いシロップもくどく感じずに、果物の甘さと若干の酸味がいいアクセントになっている。


それを見ていた鱗人族の子供達にまずは渡す。


「これは新しいデザートなんだけど、食べてみて」


俺の言葉を聴いて、恐る恐る口に運ぶ二人。しかし次の瞬間、一人は目を見開き、もう一人は手をばたばたさせて驚きを表現した後、一心不乱に食べ始めた。やっぱり子供は甘いものに目がないね。


他のみんなにも順番に配ってあげたが、一口食べた瞬間に目を見開いてがっついていた。


「そんなに急いで食べると頭痛くなるぞ!!」


案の定ティカがこめかみのところを押さえてもだえている。勢い良く食べるとなるんだよね。あれって先に頭を冷たく冷やしてから食べると痛くならないんだよね。


「ユウ様、ひどいです。こんなおいしいものを食べさせておいて、頭が痛くなる事を教えてくれなかったです!」


ティカが八つ当たりしてきた。でも見た目が子供だからかわいらしい。


「ごめん。勢い良く食べると頭が痛くなっちゃうけど、ゆっくり食べれば大丈夫だよ」


かき氷は大成功だ。後で妖魔のみんなに頼んでかき氷機でも作ってもらおうかな。そうすればわざわざマテル使って削らなくてもすぐにみんな作れるし良いかもしれない。


「私も作り方を覚えました。村に帰ったら私も作ってみますね」


ティカが作るときにはいろいろな果物を使ってもっとおいしくなるだろう。楽しみだ。


初めて鱗人族のみんなも笑顔になってくれたし、少し休んだら出発しよう。

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