第2章 06話 運命?
新たなキャラが!
バルバリーが連れてきた奴隷には息をのんだ。ほとんどの奴隷が正常な状態ではない。
まずオーク族の3人だが、2名は女性、1名は男性で、女性1名と男性1名はかなり衰弱している。なんか咳とかもしてるしソリアさんの症状に似ている。
そしてもう1名の女性は足を怪我しているようで引きずって歩いている。ん?なんか誰かに似ている。オーク族は基本的に同じ感じに見えるのだが・・・あぁ、マールさんに似てるかも。
次に兎族だが、1名は女性、1名は男性だが、もう1名はよくわからない。少し観察し、辛うじて胸の膨らみで女性だと分かったが、他の二人は170cmぐらいあるのに、150cmぐらいで背が小さく、髪の毛がかなり伸びていて腰のあたりまである。
そのせいで、顔も見えず兎族の特徴である耳もペタンとして元気がなさそうだ。
最後に猫族、1名は女性、1名は男性だが女性のほうが男性のほうを抱きかかえるようにして二人で怯えている。姉弟かな?
まだ各種族の年齢を見分けることが出来ないので男性と女性で表現したが、まだだいぶ若いように見える。
「今、この店にいるオーク、兎、猫の奴隷はこれだけだ。しかしそれぞれ問題を抱えてる。オークは2名が原因不明の病気で衰弱している。もう1名は怪我が治らず歩くのが困難だ」
原因不明の病気ってやっぱりソリアさんの病気に似てるな。これは治せるかもしれない。それに足の怪我が治ってないなら治療のマテルで治せば問題ないな。
「兎族は2名は特に問題なく元気だが、1名は強力な奴隷契約のためか言葉を発することが出来ない。それに髪を切ろうとすると暴れる。何か特殊な奴隷の条件を科せられてる可能性があるが、どういう内容かは本人が喋らないためわからん」
なんか見た目もちょっと怖い。テレビから出てきてめちゃくちゃ見つめてくる、さ〇子みたいな感じだな。これはホラーだ。
ちょっと気になることを言ってたな。
「強力な奴隷契約とはなんですか?」
「お前は知らないのか?ん?ちょっと待て、そこの人族貴族から買っていった猫族の奴隷は、あの指輪で解放したんじゃないのか?」
「解放してもらったにゃ。ユウ様はマティウスにゃみの神秘の力を持ってるにゃ。いまでもご主人様にゃ」
「マティウス並か・・・。お前ならと思ったがやはりそうか。それならわからないか?奴隷は契約を解除するには契約を施した本人か、主人、もしくは契約者を凌駕する神秘の力の持ち主が行わなければできない」
そうなのか!あの指輪に神秘の力流して呪文?みたいなのを言えば簡単にできるんだと思ってたよ。
「その猫族の娘は強力な力で奴隷の契約がされていて、私のところでは解除できなくてね。だれが掛けたか、元の主人が誰なのかわからない奴隷はそのまま売られるが、前の契約の条件により新しい主人の命令を聞かない場合がある。それで私も困っていたのだ。お前ならと思って指輪を渡したのだが正解だったようだな」
神秘の力の量により、前の契約を上書きするようだ。ただ同じではなく圧倒的に量が多くなければできないらしい。
「その兎族はマティウス並みの力を持った者が契約を行ったようだ。うちでも相当力があるやつを雇い解除を試みたが全く歯が立たなかった。お前ならなんとかなるかもしれないな。うちとしては買い取ってもらえればそれでいい」
なんか売れ残りを押し付けられてる感じがあるが・・・もしかしたら拾い物かもしれないけど、勇気がいるな。
「最後の猫族は姉弟だ。ただ、前の主人に相当ひどいことをやられていたらしい。人族に対して相当恐怖心を抱いている。お前が主人ならいずれは心を開くかもしれんが問題は多いだろう」
正直どうしていいかわからない。病気に怪我、呪縛にトラウマ問題だらけだな。村に連れて行っても問題起こされたらいやだがどうしたものかね。
「ユウ様、猫族の二人は私が面倒見るにゃ。同じ思いをしたから気持ちはわかるにゃ」
ミミも相当人族の貴族に痛い目にあわされていたと思う。ミミはやさしいから任せれば大丈夫かな。
オークと兎の問題ある人はオレがどうにかできるか試して、どうにもならないときは解決方法を探してみよう。
「わかった。それでは全員購入するとしたらいくらになりますか?」
「全員?!問題ばかりなのに大丈夫か?お前が何とかできるならいいが・・・前の家の権利書のこともあるから安くしてやる。普通なら8人で2万バルはするが・・・1万3千バルでいいだろう」
130万か。今いくらあったかな・・・げっ!!銀貨7枚と小銭しかない。70万じゃ半分足りないな。どうしようかな。宝石をまた売ってくるかな。
「なんじゃ、現金が足りないのか?前の様に価値のあるものと交換でもいいぞ」
うーん。宝石以外にもあるが、バルバリーにとって何が価値のあるものなのかわからない。いくつか見せてみるか。
「それではこちらの品のうち、交換していただけるものをえらんでください」
無限リュックを入れたダミーのバックからいくつか取り出して並べていく。1つ目は前にジルさんに売った小さな宝石をいくつか、次にガレム村で寄付したマテル備蓄の石の小さいもの、骸骨戦士のローブとミスリルの剣セット。全部拾いものだが今までの周りの反応では価値のあるものだと思う。
「まっままて!まてまてまて!なんじゃこの品ぞろえは。行商人と言っていたが、どこぞの大商人の息子なのか?宝石や武器などはたまに目にするが、このマテル備蓄の石だ!なぜおまえがこんなもの持ってる。いや、詮索はよそう。ただ、これ1つでどれだけの価値があるかわかっているのか?」
(ユウ様!マテル備蓄の石はあの大きさのものでも金貨50枚以上で取引される代物です。さすがにこれと交換では損をしてしまいます)
そうなのか?あまり使い道がわからないし、どんなものかもわからないからそのまま放置していたんだけどな。
クロに詳しく聞くと、このマテル備蓄の石は名前はマテル備蓄となっているが、正確には神秘の力備蓄の石だ。例えば燃え続けるようにしたい場合は火をイメージした神秘の力を注ぎ込むため、神秘の力というよりマテルの効果を備蓄するという意味でマテル備蓄と呼ばれるらしい。前にガレム村に寄付したのはこの倍はあり、こぶしぐらいの大きさだったから金貨100枚の価値があったのか?!そりゃVIP待遇になるわ。納得した。
「そのマテル備蓄の石であれば差額の分を現金でいただければ問題ありませんが、それでもよろしいですか?」
「さすがにそれだけの金をすぐに用意はできない。その宝石と武器の両方と交換ではどうか?」
(宝石は前回、宝石商に売った時の金額で1つ銀貨1000バル、今7つあるので7000バル、他は今の街の相場だとローブは3000バル、剣は5000バル合計1万5千バルになります。こちらが損をしてしまいます)
「全部渡すのは結構ですが、少しこちらが損をしてしまいそうですね。いくつか宝石を減らして丁度良いかと思います」
「まったく調子に乗りおって、こちらが先に割引してやっているだろうが!少しぐらい大目に見ろ!」
「それでは差額に見合うものをいただければ文句はありませんが」
「ちょっとまて・・・宝石は宝石商が最近仕入れが難しいと・・・それなりに売れそうか・・・わかった。それならもう1人売れ残りの奴隷がいる。そいつならつけてやろう。待っていろ」
なんか値切ろうとしたのに売れ残りを押し付けられてしまいそうだ。失敗した。
「クロごめん。なんか交渉失敗した。売れ残りを押し付けられそう」
「今回購入した奴隷に1名増えてもあまり変わりはありません。みんな問題はありますが、どうにかしましょう」
なんか頼もしいが、地味に嫌味を言われてないか?まぁそのぐらい言いたいこと言ってくれたほうがいいかな。俺のせいでもあるし仕方ない。
バルバリーが奴隷を1名連れて出てきた。?!なんじゃありゃまさかと思うが、ケンタウロス!すげー!馬の体に人間の上半身が生えてる。アニメでしか見たことないよ。
「この馬人族は、本来気性の荒い戦士なんだが、こいつは臆病で使い物にならずに売られたのだ。その後買い取り主がおらず、もう3年になる。こいつならつけてやる、それで手を打ってくれ」
臆病で使い物にならない?なんか理由があるのか?でも初めて見た。あまり数が多くない種族なのかな?なんかかっこいいし村に来てもらうかね。
「わかりました。それで手を打ちましょう。それでは全員契約をしていただいて、すぐに馬車に乗せていきます」
「契約は自分でできるだろうが・・・まぁいい少し待っていろ。馬車は外にあるんだな?契約が終わったものから載せていけ」
それから契約を終えたものから馬車に乗せる。ケンタウロスは乗れないので馬車についてくるように言うと、怯えてはいたがうなづいたのでついてくるだろう。
街を出る前に武器屋により、まだまだ豊富な魔物の武器や防具を売り、金貨3枚分の資金を調達しておく。これで370万強の資金となった。
それから食料などを大量に買い込んで、モーンを引き取り街を出た。帰りは人数が多いことと、モーンが一緒なのでかなりゆっくりだ。
1日目の夜、野営の準備をしていると兎族の2人と猫族の2人が手伝いを申し出てくれた。猫族はミミに任せ、兎族はクロに任せて野営の準備と夜飯の準備を始めた。
食事の準備ができる間に体調が悪いものや強い契約に縛られているものを解放しようと思う。
「大丈夫、怯えないで。みんなこれからオレの村の住人になってもらうんだ。元気になってもらいたいから少し治療するよ」
具合が悪いオークの二人から見ていく。両手をつかんでソリアさんにしたように、神秘の力で相手の神秘の力を見ていく。やはり濁っているな。神秘の力の色は土色だ。ただ黒が混ざって濁っている。
ずっと神秘の力の流れを辿っていくと、やはりソリアさんと同じ黒い塊があった。それを包み込んで取り出す。それと同時にオレの神秘の力を流し込んで濁りを消す。少し顔が赤くもじもじしている。やっぱりみんな同じ反応するな。
もう一人も黒い塊を取り除くと二人とも別人のように顔色がよくなった。
「こんなに気分がよくなったのは村を出る前以来です。ありがとうございます」
「私もです。なんてお礼を言ったらよいか・・・。奴隷として精一杯働かせていただきます」
「いや、そんなにかしこまらないでいよ。元気になってよかった。後でみんな奴隷から解放するよ。そうしたうえで、オレの村に住んでもらいたいんだ。オーク族のおじさんが一人いるんだけど畑を作るのに手伝ってもらいたいんだ。いいかな?」
オーク族の3人は顔を見合わせ、信じられないという顔で口を開けている。やっぱり奴隷解放することはかなり珍しいのだろう。
「私は足が悪いので、畑仕事はできません。ご主人様の身の回りのことをできる限り頑張りますので、どうか村に住まわせてください」
忘れてた。見た目で二人は重症だったけど、もう一人は足が悪いだけだから元気だと思ってた。神秘の力を手に集め、怪我をしている足を触り傷を治癒する。
「あんなに痛かったのに痛みが・・・あら?!あららら?!痛くない!まったく痛くないわ!あははは!痛くない!ご主人様はすごい人です!もう痛くないです」
「今治療したから、これで畑仕事もできるでしょ?どうかな?みんなで村を作るのを手伝ってもらえないかな?」
「もちろん喜んで協力させていただきます。土いじりなら私たちは土のマテルを少し使えますので役に立てると思います」
マテル使いならかなり作業量もアップするだろう。あとはうまい飯でも食えば体力もすぐ戻るだろう。よかった。これでババルさんにも顔向けできるな。
指輪をつけて3人の奴隷契約を解除する。もしそこで逃げ出すならそれまでだ。行きたくないのなら無理に連れてかない。逃げる者追わずだ。
3人は感動して泣いて喜んでいる。こういうところを見ると、やっぱり奴隷としてじゃなくて住人として村に連れて行きたいね。
次にケンタウロスか・・・あまりしゃべらないし、怯えているから何か嫌な目にでもあったのだろうか?
「君はなんでそんなに怯えてるんだい?何かひどいことされたとか?奴隷解除をしてあげるから、うちの村に来て住人になってもらいたいんだけど、いいかな?」
ケンタウロスは目を点にしている。そして凄い勢いですぐ近くまで近づいて力強くうなづいている。住人になることは了承してくれたようだ。
奴隷の契約を解除すると、ケンタウロスはそこらじゅうを走り回って、うれしさを表現している。でも・・・走り方がおかしい。なんか内股っぽい走り方だ。
「ご主人さま!サイコー!奴隷の解除をしてくれるなんてもう夢のようだわ。もう好きにして!村にでもどこにでも連れて行って!何でもしちゃう!」
やばい・・・こいつおねぇだ。この世界でもいるのかよ!っていうかこれだから奴隷の契約であまりしゃべらないようにしたり、男に近づかないような条件にしてあったから、怯えてるように見えたんじゃないか?なんかやばそうなやつだな。見た目が美術の彫刻みたいなのにおねぇって・・・まじ歪みねぇな。
「もう私ずっとついて行っちゃうんだから。もう離れない。いつでも後ろからついていくからね」
「マジやめろ。ストーカーじゃねぇかよ。怖いって。ちょっちょっと近づくな。気持ち悪い」
「そんなぁせっかく自由になったのに。それもご主人様に自由にしてもらったのよ!ゴシュジンサマ」
そんな呼び方嫌だ。語尾にハートついてないか?ひたすら気持ち悪い。
「こら!ユウ様が嫌がっているじゃないか!離れないか!」
ナイスクロ!さすができる奴だ。そのまま引き離してくれ。
「あら。こっちもいいオトコ。お兄さんはご主人様の執事ね。私も執事になりたい。手取り足取り教えて!!」
クロも押されてる!?そんな・・・なんて強敵が現れたんだ。
「シャー!!ユウ様とクロさんに近寄っちゃだめにゃ!」
お!猫の威嚇!ミミがしてるの初めて見た。でもいいぞ!助けてくれ!
「なに?猫娘の分際で100年早いわ!!」
げ!!ケンタウロスがドスの利いた低い声で怒鳴ったら、ミミがシュンとなってしまった。強すぎる奴は強すぎるぞ!
「ミミ!おまえ・・・なんてことを!あんなに怯えてしまってかわいそうに・・・ここで排除する!」
なんかクロがキレちゃった。一瞬で移動してケンタウロスを倒して、間接技を決めてる。このままだと本当にケンタウロスを排除しそうだから止めなければ!
「そこまでーーーーー!!!お前らいい加減にしろ!ケンタウロス、オレの村に住みたいなら男に襲い掛かるな!それが嫌ならこの場で追放だ。クロ、もうそろそろ離してやれ」
オレの怒声に一瞬静かになり、猫族の姉弟が頭を抱えてしゃがんでしまった。ミミが急いで駆け寄り諭している。
「すみませんでした。頭に血が上ってしまいました」
「3年以上男との会話もできなかったから、冷静さを欠いたわ。ごめんなさい」
やっと落ち着いた。なんかどっと疲れたが、残りの猫族二人と兎族二人をさくっと解放し、最後にさ〇子ちゃんが残った。
「とりあえず、オレの村の住人になることは了承してくれるかな?」
頭を上下に動かし了承の意思を伝えてくる。これで解放できればいいがどうだろうか?
指輪に力を込め奴隷解放の言葉を口にするが、特に変化がない。ありゃ?だめなのか?さ〇子ちゃんは肩を落とし落ち込んでしまっているようだ。
「ちょっと待ってね。力をもっと上げるから驚かないでね」
指輪にどんどん力を込めていく。白だった色が赤く光り今にも指輪がはじけ飛んでしまいそうだ。その状態で解放の言葉を口にしてみる。すると目を刺すように明るい光があたりを満たしたため、顔を背けた。
「ぁ・・・なんて・・・こと・・・わたくしの・・・契約を解いて・・・くださるなんて・・・」
その後声を上げてわんわん泣き始めたさ〇子ちゃんは泣き疲れてそのまま眠ってしまった。
これで全員奴隷解放できたし、住人にもなってもらえるようだからよかった。ケンタウロス・・・奴には気を付けなければ。
その日の晩御飯は寝てしまったさ〇子ちゃん以外全員で食べたが、みんないい笑顔で、豪華ではない御飯だがいつもよりおいしく感じた。




