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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第2章 04話 新たな仲間

次の日、さっそく道具屋に向かう。


「こんにちは。ランさんいますか?」


「お!ユウ、久しぶりだな。マールちゃんを嫁にもらいにでも来たのか?」


「ランさん冗談はやめてくださいよ。今日は綿と布を欲しくて来たんですよ」


「綿は結構在庫あるぞ。寒い時期の前だと布団を作るのにみんな買っていくんだが、今は暑い時期の前だからな。どのぐらい欲しいんだ?」


この世界は四季ではなく暑い時期、寒い時期の二つで分けられている。そして今は、暑い時期の前で春のような陽気だ。


「それでは15人分の布団を作れるぐらいの綿ってありますか?あと布も見繕ってください」


「ずいぶんと多いな、でも大丈夫だろう。布は・・・在庫はなくなるがもうすぐジルさんがくるから、また仕入れてもらおう」


そうか、ジルさんが来るのか。綿は村で作ったとしても布はジルさんが仕入れてきてくれるのかな?うちの村にも回ってきてもらえればいいんだけどな。話をしてみるかな?


「あと、この針と糸もください。そういえば釣り用の針と糸ってありますか?なければ網みたいなものでもいいんですが」


「針は魔物の骨で作ったものならあるぞ。糸はスナイパースパイダーの糸がある。これをつけて全部で800バルだな。」


8万か。高いかどうかはわからないけど布団を買うよりは安いのだろう。スナイパースパイダーの糸はタコ糸みたいな糸だが、この世界では一般的らしい。縫い物にも釣り糸にも使われてかなり丈夫らしい。


お金を払ったら、おまけで焼き菓子をいくつかもらえた。クラッカーのようなお菓子で甘くはなくちょっと小腹が減った時によさそうだ。意外なことにランさんが自分で食べるために作ったのだが多く作りすぎてしまったらしい。小さな袋に入れてもらい、他の買ったものと一緒に少しずつ無限リュックに入れておく。


その後また子供たちのところに行き時間をつぶしてからババルさんの家に向かった。


「おお、来たか。ダンとは話をつけた。まず中に入れ」


家の中に入れてもらい、椅子に座りテラル茶を啜りながら話を聞き始める。


「先日ダンから、村の若い者で畑を手伝いたいといっているのが二人いるため、俺達の弟子として畑についていろいろ教えたいと話があった。若者が畑での野菜の育て方や手を加える方法などを覚えてくれれば、俺達も助かるため二つ返事で了承した」


若い人が早いうちから弟子入りすれば技術の継承もできるし、人手があったほうが作業も楽になるため、願ってもない申し入れだったのだろう。


「そのこともあり、昨日の話をしたときには少し困惑していたようだ。ただ、ダンはまだまだ若い。今のうちから若者を育てれば、俺が居なくても十分やっていけるはずだ。俺は若いときにこの村に転がり込み、土いじりの師匠だった爺さんにいろいろ世話になったが、結局は爺さんの畑を発展させただけで自分の畑ではないんだ」


ババルさんはこの村の出身ではないのか。若いうちにいろいろ苦労があったのかもしれない。


「俺は前から、自分で一から畑を作ってみたいとダンに話していた。奴も畑を作るものとして一度は同じことを考えたことはあると思う。あいつは家族もいるため安定した生活を望むだろうが、俺は一人者だ。これを機会にユウの村に移り住んで、畑を作りたいと思っていると話したところ、いろいろと考えているようではあったが了承してくれたよ」


これは予想以上のこととなった。一時的に来てもらい、いろいろ教えてもらおうと思ったが、うちの村に移り住んでくれるようだ。


「本当によろしいのでしょうか?今まで手をかけてきた畑を手放し、オレ達の村に来てもらっても」


「ああ、オレは決めた。ただ、一人ではさすがに手間がかかる。村の人に手伝いを頼むと思うがいいか?」


「もちろんです。オレも手伝いますし、少しずつ村の住人も増やしますので、その中で弟子を何人か作ってもらってもいいと思います。ババルさん一緒に頑張りましょう!」


村の住人が増えることはうれしいことだ。家はまた土のマテルで作れば問題ないだろう。これからババルさんが家を出る準備をするため、3日後に迎えに来ることとし、一度自分の村に帰ることにした。


「ただいま!」


「おかえりなさいませ、ユウ様」


「おかえりにゃさい」


家に着いた時にはもう日が暮れてしまっていた。オレ達の家に入ると、クロとミミが出迎えてくれた。オレが走ってくる轟音で気づいたらしい。そんなに音が大きかったんだ・・・。


「クロ、変わったことはなかった?」


「はい。整地は順調に進み、家を建てた広場と同じぐらいの範囲は整地できました。今回はミミも手伝ってくれたので大変助かりました。」


2日留守にしたけど、結構頑張ったようだ。ミミもマテルの練習として手伝ってくれたようだ。


「クロもミミも頑張ったんだね。ありがとう。こっちもかなりの収穫があった。ガレム村で畑を管理していた1人がこの村に移り住んで、畑の面倒を見てくれることになったよ。ババルさんっていう人だけど、3日後に迎えに行くことになってる」


「さっそく住人が増えますね。好ましいことです」


「あとこれ、布団用の布と綿それに針と糸ね。多いから分割してリュックに入れてあるんだけど、後で奥さん達に渡してもらえる?そしてこれは子供たちに渡して」


ランさんにもらったクラッカーみたいなものを渡す。本当はジャムとか付けたらうまそうだけど、今はないから仕方ない。後で街で買ってこようかな。


「ありがとうにゃ。これで布団で寝れるにゃ。これは・・・パティにゃ。子供たちに渡すにゃ」


あのクラッカーみたいな食べ物はパティというらしい。この世界ではメジャーなのかな?


ババルさんを迎えに行くまでのあいだ、住むための家の準備と布団作り、それに近くの川で釣りなんかもした。川は人の手が入っていないためかなり魚が多く、1時間ぐらいで10匹近く釣れた。結構な数が釣れたので、その日の晩御飯にみんなの分の魚の串焼きを作ったのだが、魚が大好物なミミに1匹多く焼いてあげたら喜んで抱き付いてきた。


それを見ていたクロが「私も釣りをしてくれば・・・」とよからぬ計画をしているようだった。


村を作るといってもいろいろやることがある。まずは村のレイアウト。今後どのように発展させていくか考えて作らなければ使いずらい村になってしまう。次に生活排水や廃棄物の処理をどうするかだ。ヴァンスさんに聞いたら、街では生活排水は地中の水路が通っており、川に流しているとのことだ。トイレや生ごみなどの廃棄物は一か所に集めてマテル使いによって焼却してから地中に埋めているようだ。


この村でも生活排水をどうするか議論したが、川に流すこととなった。土のマテルで30㎝ぐらいの土管を造り、マテルで掘った溝の中に埋めていった。土管はこの世界では見ないらしく珍しがっていたが、地中に埋まってしまうので村以外の誰かに見られることはないだろう。


村から川の方向には緩やかに勾配がついており、川の方に水を流すには丁度良かったため、工事は1日で完了した。改めてマテルの効率の良さに驚いたところだ。


村の飲み水や生活用水は川から汲んでくるか、水のマテルで出すか2つの方法があるが、ミミやクロはともかくほかの家族は、ことあるごとにマテルで水を出していたら疲れてしまうため、川まで汲みに行っている。でもそれも大変そうなので井戸を掘ってみようと思っている。


みんなも賛成してくれたのでババルさんを迎え入れた後に井戸づくりをしたいと思う。


そんなこんなでばたばたした2日間が過ぎ、ババルさんを迎えに行く朝となった。今日は走って行くことはできないので、馬車を準備し朝から村に向かう。


ガレム村には昼過ぎごろに着いた。馬車で約5時間かかるところを1時間で走ってこれるのだから、改めて自分の超人ぶりにびっくりした。


「ババルさん、迎えに来ましたよ」


「ユウ、オレは準備できている。いくつか馬車に乗りきらないものはユウの馬車に乗せてもらえるか?


「もちろんです。乗せるの手伝いますね」


ババルさんの移住は村のみんなも知っているらしく、昨日盛大に送別会をしてもらったらしい。そして今も村の入り口に村人が集まっている。その中に行商人のジルさんの姿があった。


「こんにちは、ユウ殿。この村からエーテハイムの街に行った時以来です」


「ジルさん!お久しぶりです。行商でこの村に来ていたのですか?」


「そうです。聞きましたよ、ユウ殿が自分で村を作り始めたとか?私としては是非とも一度村に行かせていただきたいと思いまして、旅路をご一緒させていただきたいのですが」


「それはこちらとしても助かります。村ではまだ自給自足できるような状況ではないので、ジルさんが回ってきてくれるのであれば助かります」


「わかりました。それではこれから一緒に村まで行かせてもらいますのでよろしくお願いいたします」


いろいろあって忘れていたが、ジルさんがこの村に来ると聞いてたな。タイミングよく会えてよかった。これで定期的に行商に回ってもらえれば村で足りないものを手に入れやすくなる。


俺とジルさんの会話が終わってから村長が村を代表して挨拶をし始めた。


「ババルよ、お前には村の畑仕事をダンと一緒に一手に引き受けてもらっていた。改めて村長として感謝をする。ユウ殿の村に行っても、この村はこれからもお前の第2の故郷だ。いつでも訪れるがいい」


「ありがとうございます。こんな流れ者のオレを迎え入れてくれたこと感謝しています。みんなもありがとう。今日からはユウの村に行くが、何かあればまた力になる。ダン、わがままを聞いてもらってすまない。この村の畑をよろしく頼む」


「わかった。ババルさんも元気でやれよ」


それから馬車3台でオレ達の村を目指し村を南方向に移動していく。とりあえず街道沿いを移動し、途中で街道を逸れて村に向かうほうが直線で向かうより遠回りになるが、踏み固められた道を進む方がスピードが出せるので短時間になる。


村に着いた時にはすっかり日が落ちて暗くなってしまった。


「ここが俺の作っている村です。今日はもう日が暮れてしまいましたが、私のうちで歓迎会をさせていただきます。簡単な料理しか出せませんが皆さんに紹介します。一度準備した家に荷物を置いて来てください。。ジルさんもババルさんと一緒の家でよろしいですか?」


「もちろんです。泊めさせていただけるならどこでも構いません」


「ではこちらの家を使ってください。ここは今後ババルさんの家として使ってください」


この前帰ってきたときに急造した家は部屋は2つだが、リビング、キッチン、なども付いていて生活するには問題ない。


「こんなに立派な家を貸してくれるのか?!家を作ったら返すが・・・当分はお言葉に甘えさせてもらうぞ」


「いやいや、差し上げます。今後村の畑を見ていただく報酬の一部ということで、受け取ってください」


「こんな立派な家をもらっていいのか・・・これは畑仕事に気合を入れなければな。わかった、ありがたく使わせていただくよ」


後ほど迎えに来ると言って、一度家に帰る。


「ただいま。ババルさんを連れてきたよ。それに行商人のジルさんも一緒だ。準備できてる?」


「お帰りにゃさい。1人増えたのかにゃ?料理は大丈夫にゃ。お皿を増やしとくにゃ」


今日は歓迎会ということでオレ達の家でみんなを招いて食事会をすることになっている。出かける前に女性陣にお願いしておいたのだ。


「じゃあ用意が出来たら呼んでくるね」


それから程なくして、準備が出きたようなのでババルさんとジルさんを迎えに行く。ジルさんが家のことをべた褒めして、しきりにいくらで建ったのか聞いてきたけど、そこは日本人の得意技、「苦笑い」で切り抜けた。


食事会でババルさんの紹介とジルさんを紹介し、村人それぞれが一人ずつ簡単に自己紹介をした。


みんな種族は違うが、これからの村づくりとしては差別なくみんなが同じ人として共同生活できることが理想だと思う。


そんなことを考え、歓迎会の料理に手を付けていった。

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