表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
2/90

第1章 01話 いきなりの展開

設定などもまだ定まっていないところがあります。

何か冷たいものが顔にかかった。

硬い場所に横たわっていたが意識を戻したオレはゆっくりと目を開けた。


目の前には汚いよだれをたらす地獄の門番、3つの頭を持つケルベロスが大きな口をあけて今にもオレを食べようとしていた。


「っ!!?!」


吃驚したが、どうにか横に転がりケルベロスの噛付きを交わす。すぐさま立ち上がり建物の壁際まで走って逃げた。寝起きでダッシュをするなんて思っても見なかった。

振り返るとこちらに全速力で走ってくるケルベロス、周りを見渡すとドラゴンや骸骨戦士などさまざまな魔物がこちらに向かってきていた。そのすべての魔物から殺気や敵意を感じることができる。このままだと危ない。確実にやられる。


どうしようかと考えてみたものの会社帰りでスーツ姿で通勤用のリュックしか持っていないためどうしようもない。リュックの中身も筆記用具とペットボトルの水ぐらいだ。

そうこうしているうちにケルベロスが目の前まで口をあけて迫ってきた。苦し紛れにケルベロスの正面の顔を渾身の力で殴りつけてやった。


殴りつけたときにケルベロスの顔の骨が砕ける感触が手に伝わってきた。ケルベロスは10m以上吹き飛び痙攣をして立ち上がらない。


やべー。なんかめちゃくちゃ身体能力が上がってる。さっき走ったときもすげースピードで走ったからかなり焦った、

全然息も上がってない。これが、内に秘めたる力なのか神様の力なのかわからないが、とりあえずどうにかできるかも?


その考えが甘かった。


骸骨戦士は剣と盾を持っていたため、盾でうまくパンチを受け流され、剣で腕を切られてしまう。痛いを通り越して熱い。骨は大丈夫だが左腕がしびれてきている。血が出ているのであまり動かせない。

どうにか骸骨戦士を蹴り飛ばしたところに、ドラゴンの尻尾が振り回される。目では尻尾を捉えているが体が付いてこない。かろうじて腕を体の前でクロスし尻尾の衝撃に耐えようとしたが、さすがに重量差が大きかった。尻尾にたたかれ10m以上吹き飛ばされた上、奥にあった階段にたたきつけられた。オレは血を吐き息ができない。ドラゴンがこちらに顔を向け口の中で煙を上げている。


「やっ・・・ばい・・・」


意識が飛びそうな中、ドラゴンの口から炎が出てくることが予想できたため、力を振り絞り体を起こし、叩き付けられた階段を上り奥の扉にどうにか入ることができた。


部屋に入り扉を閉め、その場にへたり込む。さすがに息も切れて満身創痍だ。

その直後にドラゴンが放った炎のブレスが扉にあたったのか、扉が揺れ煙がところどころから出てきていた。


神様の頼みでこの世界に来たのに・・・これはないよ。これって魔族の城の中枢じゃないのか?詰みゲーだな。


自嘲気味に今の状況を分析する。あんなモンスターを相手にしてたら、命がいくつあっても足りない。


こういう物語は、はじめは盗賊とかゴブリンとかスライムとか弱い敵を倒して、いろいろ冒険して強くなってから魔王城に行くんじゃないのかよ。


「はっ・・・ハッハッハッハッ」


いきなり部屋の中から笑い声が聞こえてきた。このパターンは確実に強敵が出てくるパターンだよね。


「我は魔王、人族じんぞくの戦士よ。一人で乗り込んだのはいいが、ここにたどり着くまでにずいぶんやられたようだな。そんな弱い者でも我は容赦しない。ここで終わりにしてやろう "イビルデルスター"」


あ〜魔王出てきちゃったよ。それもなんか強そうな魔法?唱えてるし。もうこれはどうしようもないのかな。


神様は力を授けたって言うけど何もわからんまま終わりそうだ。猫耳も犬耳も見れずに、異次元世界で1時間もせずに終わっちゃうのか・・・元の世界では普通のサラリーマンだった。仕事は辛かったけどそれなりに頑張ってたんだよな。何でこんなことになったんだろう。


目の前には魔王が放った白く輝く炎の塊が迫ってきていた。


「このくそがーーーーーーーー!!!!」


もうやけくそで全身の力をこめて白く輝く炎に向かってこぶしを突き出したが、その瞬間に腹の底から力が手に集中し一気に抜けていく。その勢いで体が吹き飛ばされ入ってきた扉や城の壁まで突き破って飛ばされてしまい、また意識を飛ばすこととなってしまった。




およそ2時間後、意識を戻したときには体の傷や怪我はすっかり治っていた。


「これが、神様の授けてくれた力かな?治癒能力?あとさっきの腹の底から出てきた気のような力はなんだったんだろう・・・。」


そういいながら周りを確認したのだが・・・魔王城がほとんど吹き飛んで入り口の門と一部の塀しか残っていない。あれだけ大量にいた魔物も姿を見ない。ただ瓦礫と化した魔王城から埃や煙が上がり魔王もろとも気配がなくなってしまっていた。


こうして異次元世界の魔王と魔王城は、たった一発の気をこめたパンチで吹き飛んでしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ