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知らない世界で街づくり  作者: 星野 シラセ
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第1章 09話 予想の斜め上

ちょっとだけ猫耳登場

行商人のジルさんに待ってもらうように告げて、すぐに全速力で争いの現場に急行したがこれがまずかった。


人ならざるスピードで砂埃を上げて近づいてくるものがあれば、誰でも身の危険を感じるだろう。盗賊も兵士も武器を構えてこちらを見ている。何人かの盗賊がマテルを使い攻撃してきたが左右によけてかわし、とりあえず傷ついた兵士のところに向かった。


「ストーップ!待って待って。けが人を治療をするからその間兵士の人は盗賊が攻撃をしてこないように牽制してて!」


結構な勢いで命令したため、びっくりしていた兵士だが内容を理解したらしく剣を盗賊に向けて構え、けが人を守るように立ち位置を変えていた。


フィアのマテルを食らって、やけどをしているようだ。それに倒れて頭でも打ったのか気を失っている。神秘の力で包み込み治癒のマテルを施行する。面倒くさかったので倒れていた兵士全員をいっぺんに治療したのだが、盗賊たちがざわめき始めた。


「いきなり来たおめぇさんはだれなんだ?なんかマテルを使ったようだが・・・、俺たち側に付く気はないか?その気がないなら持ち物すべて置いていけば命は助けてやるぞ」


「それはこっちのセリフだ。今立ち去るなら見逃すが、このまま手を出してくるならそれ相当の報いを受けてもらうぞ」


「けっ、立ち去るわけないだろ!やっちまえ!」


そういうといきなり盗賊の3人がマテルをオレに向けて放ち、他の3人は弓矢を放ってきた。ほかの盗賊は剣や斧、槍などを構えてこちらに向かってくる。


マテルは当たっても問題なさそうだが、せっかく治した人がまた怪我してしまう。手を前にだし、壁をイメージして神秘の力を放つと土が盛り上がり壁が出来上がる。まぁ出来があまりよくないのでそんなに強度はないだろうが今は十分だろう。


弓矢はとっさに避けたが3本のうちの1本が足に刺さってしまった。マジ痛い。すぐに引き抜きフィアの魔法を放つ。通常より神秘の力を多めにこめているので光輝く野球ボールぐらいの球体が盗賊に向かって飛んでゆく。結構なスピードで飛んで行き、盗賊のいるところの手前で地面にぶつかり、はじけて周りの盗賊に当たった。


何人かの盗賊が被害を受けたようで、倒れて痛みに顔をゆがめている。通常のフィアのマテルであれば火がついてやけどをするぐらいなのだが、オレの放ったフィアのマテルは超高温のため当たると防具も溶かして大やけどを負う。まともにくらってしまえば瀕死の重傷となるが、戦線を離脱させるにはこのぐらいやらないとあとで後ろから攻撃されたら、たまったもんじゃない。


矢が刺さったところはすぐに傷が閉じて治癒していく。特にマテルかけてるわけでもないのだが・・・なんか超人体質になっちゃったな。


次にマテル使いをどうにかしたい。マテル使いの後ろに猛スピードで移動し、手刀で首のあたりを叩き気を失わせた。漫画とかドラマでよく見るけど本当に気を失うんだな。ある意味脳震盪みたいなものだろう。


次に風のマテルで残っている盗賊を吹き飛ばす。そして倒れているところに周辺を泥沼化し捕える。


この前と同じで芸がないっていわれそうだが、確実に捕まえる方法としては結構いい方法だ。しかし今回は、はまらず逃げ出した盗賊もいる。そんな君たちには新しいマテルの実験台となってもらおう。


水のマテルで盗賊の足元に水を敷き、雷のマテルで電気ショックを与える。電気の加減がわからないのでかなり弱めに放ったが、水の効果もあり一発でしびれて身動きが取れなくなったようだ。周りを見渡したが盗賊は全員死んではいないが、戦闘をできる状態ではなくなった。


「助かりました。私たちはエーテハイムの町を統治しております人族貴族サースティ様の私兵であり、私は兵長のヴァンスと申します。他国のマティウス様でしょうか?」


「私は行商人のユウと申します。マテルについては・・・その内密にしていただきたいのですが・・・。あまり表舞台に出たくないので・・・」


「・・・わかりました。しかしよくこの人数を殺さずに捕えることができましたな。われわれの仲間も助けていただき感謝しております」


ヴァンスさんはナイスミドルな感じだが、引き締まっていていかにも兵士って感じのきびきびした人だ。他の兵士もヴァンスさんの命令を的確に実行しているので相当統率の取れた兵士なのだろう。


盗賊の処分は兵士に任せて立ち去ろうとしたときに、いかにも高級そうな馬車の扉が開き中から人が出てきた。


やばい!こういう展開って完全にフラグ回収しちゃう感じ?サースティさん?の娘とかが出てきて命を助けられたとか何とか言われて、お礼だといい家に呼ばれて食事を取る・・・みたいな展開が王道だよな。


ただ予想は斜め右上の方向に裏切られる。現実は厳しいようだ。馬車から降りてきたのは小太りのふてぶてしいガキだった。まぁ二十歳前ぐらいだろうがオレからしたらただのボンボンの坊ちゃんだな。


「ヴァンス!盗賊どもは邪魔だからこの場で処分してしまえ。私は早く家に帰りたい。ん?お前が盗賊を倒したのか?よくやったこれをやるからとっとと立ち去れ」


そういうと金貨のようなコインを投げてきた。これはたぶん10000バル=100万 の金貨だろう。なんだかこの世界の人族貴族はろくなやつがいないようだ。助けた甲斐がないな。本当は金には困っていないが、いらないというとまたなんかいちゃもんつけられそうなので、ここは金が目当てだと思わせたほうがいいだろう。


「わかった。こっちはもらうもんもらえれば文句はない。ただ、盗賊をここで処分するならオレに譲ってくれ。町で売れば金になる。そっちだって時間を食わずに町までいけるんだ、悪い話じゃないだろう」


「ふん。金が目当てか。好きにしろ。ヴァンスさっさと出発しろ」


「わかりました。ユウ殿本当に助かった。もし困ったことがあれば、私が個人的に協力をしよう。アライル様は相手への気配りが苦手なので気分を害されたであろう。私が代わりに謝罪をする」


ヴァンスさんはできた人だ。オレだったら、いくら雇い主だからといってもあんなやつの命を守るために自分の命を張ることはできない。


「こちらこそありがとうございました。なんかいろいろと気を使わせてしまったようですが、気にしていないのでいいですよ。また機会がありましたらお会いしましょう」



馬車と馬に乗った兵士が町に向かっていくのを見送り、盗賊をまとめるためまずはジルさんを呼びに行った。


事情を話すと盗賊を連れて行くための準備を手伝ってくれるとのことなので、ジルさんと村からもう一台の馬車を操作していた人にも手伝ってもらい盗賊に腕輪をして馬車にどうにか乗せた。


腕輪はジルさんがいくつか持っていたものを売ってもらった。馬車の5人はジルさんの所有となっているが、この10人はオレの所有となるため、町で奴隷商人に売ってみようと思う。腕輪をしているため意気消沈し暴れることもなく馬車に乗り込んでいった。


そういえば、移動中は奴隷といえどもちゃんとご飯や水、トイレ休憩だってする。奴隷でも衣食住を与えなければ、大きな町では罪に問われることがある。そのためにも早く街に行かなければ食料が底をついてしまう可能性がある。急ごう。


それから数日街道沿いに進むと町の壁が見えてきた。普通は城がありそうだが、この世界では王様はいるが大陸に1名ずつ、他には各種族の貴族が町を

治めているらしい。エーテハイムは人族貴族のサースティさんが治めているとのことだ。


街に入る門のところで中に入るための料金を支払う。通常は1人10バルだが、奴隷は1名につき3バル取られる。オレは自分の10バルと奴隷10人の30バルで40バルを支払った。これは税金として町の収入になる。


街に入り真っ先に奴隷商人の店に向けて進んでいった。ジルさんも村で買い取った兵士を奴隷商人に売るようだ。


街には南北をつなぐ大きな街道が通っている。ジルさんの話では東側は貴族や富裕層のいる地域、西側は一般や貧困層がいる地域となっているらしい。奴隷商人の店は西側だが、大きな通りに面しているためすぐに着いた。


「こんにちは。バンバリーさんいるかい?行商人のジルだと伝えてもらえればわかるだろう」


ジルさんが見せの手伝いをしている女の子に声をかけた。ん?耳?あれって猫耳だよね。なんか尻尾もある。顔はほとんど人と同じだが、ねこひげが生えている。


うぉーーーー!これが本当の猫むすめ!ゲゲゲとかいうやつにも出てきてたがこれは本当に猫むすめだ!実際に目の前で見ると耳とか尻尾とかむちゃくちゃ触りたい。犬とか猫、動物全般大好きなオレはふわふわの毛並みを見ると無性に触りたくなってしまう。


「うちの手伝いをなめ回すように見ないでくれるか。ジルさんご無沙汰だ。今日はどんな用事だ?」


猫むすめを見すぎていたようだ。猫むすめもちょっと困ったような顔をしている。


「こっちのは行商人のユウさん、ユウさん、この人はこの町で一番でかい奴隷商のバンバリーさんだ。今日は私たちの奴隷を買い取ってもらいたくて参りました」


「そうか。それでは早速見せてもらおうか。」


外に出て行くと奴隷をつれて店の中に入っていく。まずはジルさんの5人だ。


「うん。特に怪我はないようだな。歳もあまり行っていない。力仕事もできそうだ。これなら1人2400バルってとこだな」


「わかりました。5人で1万2千バルでお願いします」


「次にこっちの10人を見させてもらうよ。こっちは少しやせてるな。でも怪我もなくまだ働けそうだな。1人2000バルってところだな。こっちの兄ちゃんは初めての取引だからサービスして10人で2万1千バルで買い取ろう」


「異論はないです。その金額でお願い致します」


無事盗賊を引き渡してから、ジルさんとオーク人の人に別れを告げて拠点となる宿屋を探す。こういうときファンタジー系のラノベだとギルドという職業斡旋所に行きいろいろな情報を聞いて宿屋のお勧めを聞くのだが、この世界でもギルドがあるのだろうか?


通りを歩いていると見たことのない看板が出ている。丸いボールのような絵が書かれている。何の店かわからんが・・・興味を持ったため中に入ってみた。


「いらっしゃい。何か御用かね?」


「あーえっと、田舎から出てきたもので珍しくて中に入ったのですが・・・ここは何のお店ですか?」


「ここはマテル道具の店だよ。オーブの絵がかかれた看板はマテル道具の店だ。それに神秘の力の測定もやってるぞ」


おお!マテル道具か!どんなものがあるかわからないが生活に便利なものがあれば買いたい。そういえば、町で神秘の力の測定をしてもらえって言われたな。やってみるかな?


「そうなんですか。わかりました。神秘の力の測定はおいくらですか?」


「測定自体は10バルだ、潜在能力の測定も含めると20バルとなる」


「ではただの測定だけお願いします」


「はいよ。そこのカウンターにあるオーブに両手で手をつけな」


言われたとおりに手をオーブにつける。するとオーブが光り始め、だんだん色が変わってきた。


黒→黄色→緑→紫→赤→青→白 と変わっていったのだが、店主の様子がおかしい。持っていたパイプのようなものを落としてしまった。


「おっおい・・・あんちゃんはマティウスなのか?こんなに色が変わったのは見たことない」


やばい。なんかやばい。このままいたらいろいろ質問されそうだから宿のことを聞いてお店を出よう。


「すみませんが、この町でお勧めの宿はありますか?あまり高くなくて料理がおいしいところがいいのですが」


「・・・・あ?なに?宿?・・・宿ね、それはらこの先の道を左に曲がり少しいったところにある「カイの宿」がお勧めだ」


「ありがとうございます。お金ここにおいておきますね。それではまたきます」


なんか行きづらくなってしまったが、ほとぼりが冷めたころにまた行ってみよう。とりあえず宿屋に行き長旅の疲れを癒そう。


カイの宿はすぐ見つかったため、部屋が空いているか聞いたところ、空いているとのことだった。1泊50バルで朝飯つき、夜飯は別料金なので、都度支払いとなるらしい。とらえず7日分を払い部屋に向かった。


明日からは町の散策と今後について考えよう。


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