第1章 00話 異次元への扉
初めての投稿です。不慣れで読みづらいかもしれません。不定期更新ですが気長に読んでください。
それは一瞬の出来事だった。
仕事の帰り道、終電を降り改札を抜けいつもどおりの帰り道街灯が少ない道を疲れた足取りで歩いていると、少し先の道が歪んでいるように見えた。
ん?疲れてるな。なんか視界が歪んでる。
気にもせずにそのまま進んでいくと歪んだ空間に入った瞬間、目の前が真っ白になった。
どれだけの時間がたったのか。気を失っていたためわからない。まぶたを閉じていても回りが明るいことがわかる。恐る恐る目を開けてみたが、何もない。床も天井も壁も、前も後ろも、すべて白一色の空間に立っていた。
意識がはっきりとしてきたためとりあえず足元を確認してみる。白くてわからないが、足を踏みつけると床の感触がある。
(ミヤノ ユウ殿 意識を戻したか)
いきなり声が聞こえたが、耳から聞こえたというより、直接頭の中に話しかけられているようだ。
「どなたですか?」
(わしは世界を見守るもの。いきなりの召喚悪かったの)
召喚?まぁこんな白い場所にいる時点で何かとんでもないことが起こっているのは間違いないが・・・夢か?
「えーっと。神様・・・ですか?私にどのような御用でしょうか?」
(そうじゃの。数ある神の中で一神として崇められてもいるし、神様ということで間違いはないかの。用というのはミヤノ殿に任せたい仕事がある)
やはり疲れているのだろうか?夢の中で神様とはなしているのか?それにしても仕事?神様からの仕事ってどんなことなんだ?
(このミヤノ殿がいる宇宙もわしの管理下にあるのだが、ほかの次元にある宇宙で厄介ごとが起きてしまっての。次元の綻びが起き、その宇宙ごと消え去ろうとしているのじゃ。それを元に戻すにはわしが手を加えねばならん。その間、今手をかけている宇宙にある世界のバランスが崩れてしまう。せっかく手をかけてきた苦労が水の泡なのじゃ)
・・・
神様とか次元が違う宇宙とか、なんかスケールがでか過ぎてよくわからないが、とりあえず最後まで話しを聞いてみる。
(そこで、その厄介ごとにわしが手をかけている間、お気に入りの世・・・ゴホンッ、手をかけてきた世界のバランスを保ってもらいたいのじゃ)
あ〜あ。言っちゃったよ。お気に入りの世界とか。ごまかしきれてないって。
なんか話し聞いてる分には神様のお気に入りの世界の管理をするって感じか?
モーゼの十戒みたいに海を割ればいいのか?世界の管理なんてスケールがでかすぎる。
「ちょっと待ってください。まず、何で俺なんですか?」
(それはのぉ。力じゃ)
「ちから?」
(うむ。1つはミヤノ殿のいる世界は長い年月と共に、高い次元世界に移行したため、普通に生活しているだけで人々は膨大な力を内に秘めておる。ただ、特殊な星の配置のためその力はほとんど使えない状態で生活しておる。その力は次元の低い世界ではとてつもない力として発揮することができるのじゃ。2つ目はミヤノ殿自身の力じゃ。おぬし昔から霊感や気配を読むことができるじゃろ)
「・・・はい。人よりはそのような力があると思います」
(それじゃ。その力が他の人間より異常に高く、わしの力を授けることができる器であることがおぬしを選んだ理由じゃ)
器って。そんなたいそうな器じゃないんだけどな・・・
「そこまではわかりました。ただ、どうしても私じゃなきゃだめなんですか?」
(それは・・・申し訳ないが受けてもらわなければならん。時間がないのじゃ。この狭間の世界に留まる事もかなりわしの力を使っておる。ミヤノ殿を戻したら当分の間、この狭間の扉を開くことができん。ざっと1000年は難しいの。そんなことしたらお気に入り・・・手をかけている世界が滅んでしまうわい。それはなんとしても回避せねばならん。猫耳や犬耳、ウサ耳やくま耳は守らなければならん!!)
耳フェチなんですね。わかります。なんか神様に親近感が沸いた。ぜひ見てみたい。見せてください。見せなさい!モフモフさせなさい!
「それは守らなければならん!」
(YES 守らなければならん!)
つい理性を失いとっさに口走ってしまった。
なんだか不純な理由であるが力を貸してあげようとは思った。
・・・意外と神様のノリがいいことにも驚いた。
「ところで、どのようなことをすればいいのですか」
(実は次元の狭間ができたときにミヤノ殿が知っているところの「悪魔」や「魔族」が出てきてしまっての。種族間の争いでだいぶ魔族が優勢になってしまっておる。このままだと世界が魔族に制圧されてしまうのじゃ。それは・・・それだけは避けねばならん。ミヤノ殿にはわしの力を授けるゆえ、魔族に制圧されないよう魔王を抑えてほしいのじゃ。後は自由にしてもらってかまわん)
ファンタジー小説にあるような展開だな。まぁ嫌いじゃない。でもグロいのはいやだな。
「それでは次元の狭間を元に戻す間、その世界の魔物や悪魔が世界を制圧しないよう目を光らせて、いざというときには力を使って勢力を削ぐってことですかね?」
(そのとおりじゃ。・・・そろそろわしの力がもたぬゆえ力を授けたら、早速お気に入りの世界に飛んでもらうぞい)
もう吹っ切れてはっきり言っちゃってるよ。まぁそれだけお気に入りの世界なら期待してみますか。
目の前がだんだん眩しく光り始めた。
(次元の・・・修・・復に・・・・500年・・・かかる・・・がんば・・・くれ)
何かとんでもないことをいわれた気がしたが眩しい光が強くなると共にまた意識を失った。