裏サイト〈椚山シスターズ研究会〉チャットルームより抜粋 その二
漆間太郎『どれくらい好感度が上がれば、女の子はお弁当作ってくれるんすかね?』
恢都『なんですか? 突然。』
メグ☆『ウルるんったら、女の子にお弁当作って欲しいんだ? しょうがないなぁ。アタシが作ってあ・げ・る☆』
漆間太郎『いや、ネカマのは遠慮するっす』
メグ☆『ぶぅー、アタシはネカマじゃないもおん』
漆間太郎『そういうとこ、ネカマっぽいっすよね』
通行人『漆間さん《 ほっといてあげなよ! 本人がネカマじゃないって言ってるんだから! べ、別にアタシがネカマだからかばってあげてるんじゃないんだからね!』
漆間太郎『いや、会長のは百%ネカマっす』
恢都『今日の会長はツンデレなんですね。』
メグ☆『ねぇ、ウルるん。会長のは百%ってことは、アタシのことは何%か女の子かも知れないって思ってくれてるんだぁ?』
漆間太郎『別にそういう意味じゃないっす。言葉の綾っすよ』
恢都『こちらにもツンデレがいましたね。』
恢都『パソコンの前の慌てた顔が目に浮かびます。』
漆間太郎『そんなんじゃないっすからホントに!』
メグ☆『wwwwww』
通行人『独り言《 うぅ、会話に噛みづらいよぉ……。べ、別にツンデレキャラになったことを後悔なんてしてないんだからね!』
漆間太郎『そんなことより、お弁当の話っすよ! どうすれば女の子がお弁当を作ってくれるのかって話っす!』
サスケ『ウィィ、ヤピー! みんなの疑問をスパッと解決! サスケ様の登場だゼ!』
恢都『来ました、うるさい人が……。』
恢都『絶対に途中からしか会話に参加しないのは、ポリシーなんでしょうか?』
漆間太郎『俺の疑問に答えてくれるっすか? マリオ』
サスケ『マリオじゃなくてルイージだっつの。俺はあんなに短足じゃないゼ』
通行人『サスケさん《 べ、別にどっちでもいいなんて思ってないんだからね!』
恢都『会長は早くもキャラ崩壊寸前ですね。』
メグ☆『キャー!! サスケさん、今日もカッコイイ!!』
サスケ『ん? メグちゃんか。会えて嬉しいぜ。ここで君に会えるとは、これも運命のイタズラかな?』
恢都『甘いセリフを言いたかったという意思だけは伝わってきました。』
メグ☆『アタシも嬉しいですぅ! 二人でたくさんおしゃべりしましょうね! いっそのことどこか別のトコいきます?』
サスケ『なかなかナイスな提案だゼ。まったく、ここは男ばっかでむさ苦しいっつの』
通行人『サスケさん《 べ、別に男が好きだから男ばっかり集めてるんじゃないんだからね!』
恢都『そのセリフ、ツンデレバージョンで言うとなんか危ない感じがするのは私だけでしょうか。』
漆間太郎『あの、サスケさんは本当に俺の疑問に答えてくれる気があるっすか?』
サスケ『おおっと。悪かったゼ。ちゃんと答えてやるっつの』
メグ☆『ええ!? これから二人で夜の街を背景にディナーするんじゃなかったのぉ?』
サスケ『悪いな、それはまた今度だゼ。漆間の奴が嫉妬するからよ』
漆間太郎『俺はノーマルなんで、嫉妬はしないっす。とにかく、話進めてもらえるっすか?』
サスケ『了解だゼ。どうすれば女の子がお弁当を作ってくれるかって話だけどな、結論から言うと、そんな彼女はリアルには存在しないゼ!』
漆間太郎『なんでそんな風に言い切れるっすか?』
サスケ『なぜなら、このオレッチですらお弁当をもらったことは数えるほどしかないからだゼ!』
漆間太郎『あ……、そ、すか……』
恢都『数えるほどでも、あったことのほうが驚きです。』
恢都『というかサスケさん、彼女いたんですね。』
メグ☆『ハイトちゃんったら何言ってんの? ここにアタシという彼女がいるじゃない!』
漆間太郎『もう、相手にするのも疲れたっす』
恢都『カイトです。ハイじゃなくてカイ。あと、ちゃん付けはやめてください。』
サスケ『話を戻すゼ? これまで五人の彼女と付き合って来たオレッチですら、お弁当を作ってもらったのは数えるほどしかないんだゼ。これはつまり、手作り弁当なんてのは二次元の世界にのみ存在する幻想、もしくは結婚してからのお楽しみってことの証明になるんだゼ!』
通行人『みんな《 べ、別にわたしは、女の子にお弁当作ってもらったことなんてないんだからね!』
漆間太郎『? そりゃあ、そうっすよね』
恢都『会長は突然何を言っているんですか?』
通行人『…………』
恢都『一つ、いいですか?』
恢都『サスケさんの話を、私なりに分析してみました。』
漆間太郎『分析? 嘘か本当かって話っすか?』
恢都『いいえ。百歩譲って、サスケさんの話が本当だと仮定した上での分析です。』
サスケ『オイオイオイオイお前ら。ちったあオレッチの言うこと信じろっつの』
メグ☆『大丈夫だよサスケ。世界中のみんながサスケのことを信じなくっても、アタシはサスケのことを信じてるから』
通行人『サスケさん《 アタシも、サスケさんのこと信じてるよ。サスケさんは嘘つくような人じゃないって。べ、別にサスケさんの為に言ってあげてるんじゃないんだから、勘違いしないでよね!』
サスケ『会長、いつ言おうかと思ってたが、そのキャラなんかウザイゼ』
通行人『…………』
サスケ『それで、恢都さんの分析の話はどうなったっすか?』
恢都『はい。まず始めに、私は「この日本にお弁当を作ってくれる女性がそんなに少ないはずがない」と考えました。』
恢都『ではなぜサスケさんはお弁当を作ってもらえないのか? その原因はいくつか考えられます。』
恢都『一つは、サスケさんが五人と付き合っていても、付き合った期間が異様に短かったか、あまり親密な関係にならなかった、という場合。』
サスケ『んなことないゼ! 五人とも別れる前まではラブラブだったし、最短でも一週間以上は付き合ってたっつの!』
漆間太郎『一週間は短いんじゃないっすか?』
メグ☆『サスケったら。彼女の前で元カノの話するなんて。もぉ、嫉妬しちゃうゾ☆』
恢都『もう一つ考えられるのは、サスケさんの付き合った相手がみんな、お弁当を作れなかったのではないか、ということです。』
恢都『お弁当を彼氏に食べてもらう、というのは、女性にとってそれなりにプレッシャーがあります。おいしく出来ているか。彼氏の好みに合っているか。不安に押しつぶされそうになりながらも、お弁当を準備します。料理にある程度の自信がある人でないと、到底出来ることではありません。』
恢都『ネット上でわかるように、サスケさんはかなりいい加減な人です。その彼女となる人も、それなりにいい加減でないと、付き合っていられないのではないでしょうか。』
サスケ『わかったぜ。つまりこう言いたいんだな? オレッチと付き合ってくれた女は、全員料理の出来ないがさつな女だったと。だからお弁当を作ってくれなかったわけで、世間一般で考えれば、お弁当を作ってくれる彼女は存在すると』
恢都『平たく言うと、そういうことです。』
サスケ『なるほど。お前んちってどこだ?』
恢都『教えません。』
漆間太郎『ちょっとちょっと! 険悪なムード出さないでくださいよ! 他の人が見たらマジに受け取るでしょ!』
恢都『それより先ほどから会長が喋ってませんが、まさか寝落ちしたんですか?』
通行人『恢都さん《 べ、別にサスケさんの言ったことを気にしてるわけじゃないんだからね……』
漆間太郎『ああ、そういうことっすか』
恢都『これからはキャラ選びに気をつけてください。』
メグ☆『ダイジョブだよツッキー。アタシはそのキャラ結構好きだよ?』
通行人『メグさん《 べ、別に気をつかって欲しいなんて、思ってないんだからね……』
漆間太郎『これはツンデレとかじゃなくて、本音っぽいっすね』
恢都『ご愁傷様です。』
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