恋は盲目
どうも、こちらも出来たので載せます。
今回は少し、というかヒロインに視点をおいた話。
例によって、今回も魔法、又はバトルなしです。
すいません。
ちょっとブラブラしすぎかもしれませんが、
それでもいいのだ第9話!
大河の成敗後。女子達は直ぐに身体測定を再開し、今はもう全ての測定を終えて皆教室に戻っていた。
「たくっ!初日から覗きなんてしやかがって!」
ズカズカと苛立った様子で廊下を歩くのは、先ほど大河を成敗した張本人である小夜月。その隣では友達の愛川が先ほどのことの影響か、恥ずかしそうに下を向いていた。
結論から言うと、先ほどの覗き騒動はそれほど大事にならずに済んだ。
普通なら職員室に連行され、数時間説教を受けた後、最悪停学処分になってもおかしくない事なのだが、元々女子達が保健室で測定する事は決まっていた事ではなく。今回はたまたま測定道具を取りに行くように頼まれた彼女達がついでにそのまま測定をしようと勝手に始めた事なので、冷静に考えてみれば最初から保健室にいた大河が覗こうと思っても覗ける訳でないと女子生徒達は気付いたのだ。因みに、どうして女子生徒達が突然の事態を前にその事に気付けるくらい冷静になれたのかと言うと、大河を成敗した張本人小夜月が原因であった。まず最初にやったのは顔面パンチ。更に立て続けに放たれたボディーへの連続パンチ(13発)と止めのジャパニーズオーシャンスープレックスホールド(分からない人はネットで調べてね)という凶悪極まりない攻撃のコンボを喰らって魂が滅されかかった大河を見た事で、
『小夜月さん…それくらいにしてあげたら?』
『何か、覗くつもりはなかったみたいだし…』
『うん。何て言うか、もう見てられないんだけど…』
という感じに小夜月の大河を懲らしめる姿に引いた女子生徒達から同情を誘え、結果彼女達を落ち着かせる事に繋がったのだった。
そして、騒動の原因である大河だが、小夜月の攻撃を受け続け、後一歩で天に召されそうになっていたが、先ほどの述べた通り女子生徒達が同情してくれ、小夜月を止めてくれたので、取りあえずは、白目を剥いてボロ雑巾のようにぐったりと気絶するだけの比較的軽傷?で終わり。その後は、小夜月がゴミを捨てるように保健室から廊下に投げ捨てられ、出た時には、その姿がなくなっていたので、今はどうしているのかまでは成敗した本人の小夜月自身も分からなかった。だが、移動したところを見る限り死んではいないのだろうと想像だけはついたので、小夜月は特に心配はしなかった。
というより、
「くそっ!みんながいなきゃ、あと10発は叩きこんだのに…」
未だに大河の一件を納得できていなかったので、心配するつもりなど毛頭ないらしい。何にせよ。多く殴られはしたものの、それでも『覗き魔』という不名誉なレッテルを貼られる事はなく。代わりに『なんか、かわいそうな人』くらいの印象で収まる事が出来たのは、引かれるくらい酷く殴った小夜月のおかげである事は確かなので、その事を踏まえれば、大河は少なからず小夜月に感謝するべきかもしれない。
「事故だか何だか知らないけど、許される行為じゃないっつーの!。ねぇ!?、笑美?」
「…………………」
小夜月の声が届いていないのか、愛川は返事もせずにただ視線を下へ向けたままだった。
「(まっ、想像は出来たけど、笑美が惚れた男って…やっぱ、幻滅しちゃうわよね~)」
小夜月と愛川は長い付き合いなので、彼女から大河と夏火の事をよく聞く機会があり。話を聞く上で、小夜月は何となくどちらかが愛川の好きな男なのだろうと想像していた。
だから、正直なところ小夜月は少し楽しみにしていたのだ。一体どんな男がこの自分も認める可愛らしい少女の心を奪ったのか興味があったからだ。
そして、初めて二人に会ったつい先ほど、第一印象は悪いものではなかった。それぞれ好みや印象は違うだろうが、少なくとも小夜月が見立てでは、二人共容姿は悪くなく。
大河は、言動や行動はおかしなところが目立ったが、他人に対して友好的であり、見た目は優しい好青年といった感じで、きっと近所のお年寄りの荷物を持っては感謝され、孫のようにかわいがられている存在なのだろうと印象付けられ、昼のような夏火とのふざけたやり取りはかなり印象に残るものだったが、それでも確かに大河の中には何か惹かれるものがあるのだろう。と、そんな想像が出来た。
対して、夏火の方だが、彼は大河から感じた友好的なものは、正直あまり感じなかった。大河と愛川に対しては違ったが、どこか初対面である自分に対して何か一線を引いている。そんな印象を持った。しかし、態度こそ冷めた感じだったが、夏火は世間一般で言うところの二枚目や美男子等の評価されてもおかしくない容姿であり、大河の影響で、若干その容姿に似合わないはしゃぎっぷりをすることはあるが、それ見た後でも過去に何度か女子に告白されたことがあるに違いないと想像してしまう程だった。
つまり、何が言いたいかと言うと、少なくとも昼に二人に会った時の大河に対して抱いた印象は決して悪いものではなかったのだが、1時間ほどたった今、小夜月が大河に対する印象は、はっきり言って最悪であった。
今の自分の状態がこれなのだから、大河と元々知り合いであり、加えて好いているという現実を考慮すると、きっと愛川の今の心境は複雑なものだろうと容易に想像出来る。
さて、どうやって励まそうか、と小夜月が考えていると、
「朝日ちゃん…」
愛川の方から小夜月に声を掛け、彼女の顔を縋るように見つめてきた。
まだ励ましの言葉が思いついていない小夜月は、なんと言うべきか言葉が見つかっておらず、どうしようかと頭を悩ませたのだが、
「朝日ちゃん…………どうしよう!?私、全然可愛い下着してなかった!!」
「………………はぁ?」
予想外すぎる愛川の言葉に小夜月は妙な声を上げていた。同時に何を言っているか分から
ないという顔になったのだが、そんな小夜月に気付かず愛川は続ける。
「あぁ~どうして、もっと可愛い下着して来なかったんだろ~。大河君も急に出てくるから…あんな普通な下着で、子供っぽいって思われちゃったかな~」
後悔しているようだが下着姿を見られてた事自体はあまり気にしていないらしいので、小夜月の心配している事の一つが取り除かれた。だが同時に、今愛川が言っている事に対し、これは友人として注意すべきなのか、またどうやって、何と言って、注意すればいいのか新たな問題が浮上した為、小夜月は再び頭を悩ませる事になった。
「やっぱり男の子ってフリフリしてるやつの方が好きかな!?でも、普通の白も好きな人もいるって聞いたこともあるし…でも、ん~。いいのかな~」
淡々と語り続ける愛川に最初は説教しようかと思った小夜月であったが、なんか悩んでいるわりに幸せそうだったので説教をするのは止めた。というか、無駄っぽいので諦めた。
とりあえず小夜月は説教の代わりにと、未だ語り続ける愛川に背を向けて、
「どうぞ御ゆっくり…」と、聞こえなくないくらい小声で呟き、彼女を残してその場から立ち去った。
特殊な例なのかもしれないが、恋というモノは時に人を変な方向へと導くものである。
以上です。
今回は比較的短めでしたが、
あまりヒロインの事をよく考えてなかったので、
真面目にちょっと考えてみました。
まぁこの愛川、小夜月コンビは大河、夏火コンビと同じ感じです。
愛川はボケ、小夜月はツッコミポジションとイメージしてたので、
今回の話はそれを現すような展開にしてみました。
結構愛川のキャラは気に入ってます。
特別に天然属性とか、バカな子属性とかある訳じゃないですが、
愛川のキャラは大好きです。
まぁ、精神面では愛川、肉体面では小夜月に自分の好みを出してる感じですかね
…って、あとがきで何言ってるんだろ?俺ww
まぁ、やっぱ好きなキャラで描いた方が感情移入しやすいので、
執筆も進みますしね。
それに、ここはあくまで創作を楽しむ場ですので、
自分の趣味を前面に押し出してもいいですよね。
っと、まあ無理やり納得しておきます。
ではでは、今回はこの辺で、
次回もがんばります。
とりあえず、大した魔法は使いませんが、バトルはもうすぐです。