教科書販売に行く前に
どうも!お遅くなりましたが、できたので載せます。
さすがに万事屋幻想殺しと同時執筆はきついと思う今日この頃を送っています。
というより、一番きついのは現実の方ですけど…
って、このまま続けると大して面白くないブログみたいになりそうなので、
さっさと行きます!第7話!!
森田と分かれた二人は教室に向かう為、『第三棟』の二階廊下を歩いていた。
「いや~良いこと言ったな~俺…」
「いや、言ったの俺だろ。せめて俺、「達」ってつけろ」
笑顔の大河の隣で夏火がやれやれと言った感じに溜息をつく。そして、先ほど森田に返し忘れ、今も大河の手にあるジ○ンプを見る。
「ていうか…それどうすんだ?」
「んっ?あぁ、そうだな。まぁ次会った時に返すよ」
「次会った時って…どんだけあいつと縁があると思ってるんだよ?」
「大丈夫だって、返せるよ。卒業式までに」
「いや毎週発売するジ○ンプを何5年後に返そうとしてんだよ!?」
「じゃあ、いざとなったら分割で返すよ」
「どうやって、ジ○ンプを分割すんだよ!?引きちぎって返す気か!!?」
夏火は見事にツッコンだが、何故か大河は余裕の表情を浮かべだした。
「ふっふっふ。俺が何も考えてないと思ったら大間違いだぞ~どうせほら、これから身体測定だろ?森田とはその時に同じ場所に集まるんだから、そこで返すなり、後で会う約束すればいいんだよ」
「いや、あいつE組って言ってたろ?俺達A組はB,Cと一緒に測定するけど、D,E組とは別のはずだぞ。俺達は先に教科書販売に行って、その間にD,Eクラスは俺達より先に測定するって書いてあったからな…」
「……………………竜ッ!?」
「なに新鮮に驚いてんだよ!?」
驚いた様子の大河にそれ以上に驚いた様子で夏火はツッコんだ
「ったく、ちょっとは後先考えろ。そうすれば、さっきみたいな事にはならないぞ」
「んだよ。まだ、説教を途中で押し付けた事怒ってんのか」
「説教言うな………面倒事を巻き込まれたのも腹が立つけど、一番腹立つのは、自分が思ってない事を口にした事だ。自分で言っておきながら若干後悔してるぞ」
「何でだ?いい事言ったのに…」
「俺が言うべき事じゃないからだよ。「笑われようとバカにされようとも、自分の我を貫き通す」。確かに俺もそう思うけど。俺はそんな事は面倒でやんない人間だからな。森田の生き方だって、平穏に生きる上では間違ってないとさえ思ってる。そんな俺が言っていい事じゃないんだよ。お前の漫画の主人公みたいなバカな考えはな…」
「言い方が酷いな~!。バカじゃなくて、純粋って言うんだぞ。俺みたいのは」
「…こういう言葉知ってるか?バカと純粋は紙一重」
「んっ?。知らないな…何かのマンガの台詞か?」
「いいや、お前を見て、今作った」
バシッ。と答えを聞くなり大河が夏火の横から軽く膝蹴りをお見舞いした。昼休みが終わるから急いで戻ろうとしていたはずなのだが、二人の様子を見る限り、それなりに余裕があるのだろう。慌てる必要はないといった感じに二人のそんなやり取りは暫らく続き。
そして、その余裕の態度通りに昼休みが終わる少し前には教室へと戻っていた。
「別に慌てる必要なかったな。時間通り…だよな?」
携帯で時間を確認していた大河が教室に入ると、急に夏火に尋ねてきた。
予定された時間前に教室に入ったというのに、教室内には、ほとんど人がおらず数人の男子生徒しかいなかったからだ。
「間違いなく時間通りだぞ。ただ、周りの気が少し早いだけだ」
夏火は教室にいる男子生徒達を見ながら、そう言い切った。
今一度大河が教室にいる生徒達を見回してみると、みなそれぞれ自分の机に高く積み上げられた本を一枚の紙と交互に見ながら、本一冊一冊の名前を確認していた。
「あれ、教科書販売って昼休みが終わってからだろ。もうやってんのか?」
その作業が何を意味しているか分かった大河は、教室に男子生徒がいない理由を悟って、もう一度、夏火に尋ねる。
「あぁ、予定では昼休みが終わってからってなってたけど、実際には昼休みの途中位くらいから売り始めたんだろ。別にそこまで時間重視の行事じゃないしな」
「なんだよ、だったらさっさと買い物済ませちまえば、良かったんじゃねえか…」
「まぁ、例え早く買い物が終わっても、直ぐに出来るとは限らねえぞ。D,Eが先にやるっていうのもそうだが、最初は測定器具のほとんどを女子に回しちまうからな。男子の身体測定は中々進まねえんだ」
「何で女子に測定器回すんだよ。男女平等だろ!?」
「女子は全学年を今日中に測定するから、予定通りに終わらせるには測定器が男子の倍必要なんだよ」
不満たらたらの大河に夏火はつまらなさそうに言った。
「女子は除き防止の為に透視魔法除けの結界を張った場所でやらないといけないからな。面倒だから、女子だけはクラスや学年関係なく測定やるんだよ。教師陣もほぼ総参加の付きっきりでな」
「ん…?。何で先生達がわざわざ付きっきりになるんだよ。結界系の魔法は、張るのは面倒だけど一度張っちまえば、込められた魔力が切れるまで発動してるもんだろ?」
「それじゃ、防げねえ魔法もあるんだよ。確かに外からは見られないけど、ある奴は見た目を魔法で変えて侵入しようとした奴がいたらしいからな」
「あぁ、その手があったか!」
若干感心したような様子の大河を、まさかやらないだろうな?。と夏火が心配したが、その方法が無駄な事は分かっていたので、直ぐにその心配は取り払われた。
「まぁ、その方法は魔法によっちゃ、透視魔法で見分けられるんだけどな」
「な~んだ。そうなのか。んっ、でも、魔法によっちゃって事は、魔法にもよらない魔法もあるってことだよな?」
がっかりしたと思えば、何やら、いつもと違って頭の働く大河に本当に過ちを犯さないかと心配になってきたので夏火は下手の事を考える前に諦めさせようと説明を続けた。
「あぁ、『肉体変化』なら、相当高度な透視魔法で見られない限り、見破られることは、まずない」
「『肉体変化』?。何だそれ、うまいのか?。………って言いたけど、あれ?何か聞いた事あるぞ…」
無意識に反芻していた言葉に大河は不思議そうな顔を浮かべ、それを見ていた夏火は、何故か呆れた顔になった。
「そりゃそうだろ。お前、小三の時に、急に「ゴム人間になりたい!」とか言いだして、その魔法で体をゴムに変えて酷い目にあったろ?」
「あぁ、思い出した!そうだ!確かに、失敗してゴキブ○ダッシュする前の『刃○』みたいなったんだ」
「お~分かりやすいって思っちまった俺、ちょっと病んでるかな」
冷静に自分をそう評価すると、経験上このままでは大河に話の方向を変えられてしまいそうだったので。急いで話を元に戻した。
「透視魔法ってのは一般に相手を透かしてみる力だからな。単純な視覚の誤魔化すだけの魔法なら見破れるけど、『肉体変化』は、体そのものを自分とは別の物に変化させる魔法だから、それで女に変化しちまえば、普通の透視魔法じゃ見破るのは難しい。なんつっても、体そのものは女なんだからな。それを見破るとなると、また別の魔法が必要だ」
「ほ~なるほど。でもよ、そんな魔法使える学生いんのか?」
「まぁ、お前が昔やった。ゴムとかは、体とは全く別の物だったら、全身を変化させるのは相当難しいけど、ベースが人間の体で、それを人間の体に変えるんだったら、難易度はグッと下がる。1年には流石にいないだろうけど、2年…いや3年の中にだったらいるかもしれないな。まっ、実際にいるから、教師陣は、わざわざ部屋の入り口に『強制解除魔法』なんて高度な魔法を発動させて待機してんだろうけどな」
「強制解除?『マジックキャンセラー』ってやつか?」
「あぁ、日本式で言ったけど、実際にはキャンセラーか、マジックキャンセラーって名前
の方が一般的だな」
「でもアレって、国とか企業の要人の警護の時にも使われる超高度な魔法じゃねえか。何で、わざわざそんなもんを学校の、それも女子の身体測定に…」
「大方PTAとかがうるさいんじゃねえか?それに最初から不可能って事を知らしめておけば、犯罪を起こそうって輩もいなくなるだろう?生徒だけじゃなくて、教師とかも…」
「は~なるほど、そういえばこの世は、聖職者も犯罪を犯す「世も末」の世界だったな」
もの凄い世の中に対して諦めたような発言だったが、本気でない事は分かっているので、それに対して夏火は何かを言う事はなかった。
「にしても、やけに詳しいな竜…はっ、まさか、お前も下調べをしてたんだな?」
「とりあえず一番気になるのは「お前も」って言葉だけど、それはあえて無視しよう。
それと、これは全校生徒に知らされてる事だぞ。プリントも出てたしな」
「いやいや、誤魔化すなって~。だって俺、そんなの見た事も聞いた事もないぞ~」
「あぁ、知らねえだろうな。何故ならお前、そのプリント一回見て捨てたからな!!」
少し声が大きくなったのは、覗き準備者の疑いを掛けられた事と先ほどの弁当の一件を思い出しイラッとしたからなのだが、大河の方はいつもの事だと、慣れた様子で意識はせず窓際の一番後ろに置かれた自分の席を向かった。
「何にせよ、まだ終わらないってことだろ。はぁ、ジ○ンプとの再会はまだ先か…」
「困難なくして、快楽は得られず。やるべき事をまずやれ」
自分の席にも戻ってもよかったが、特に必要もない行為だったので夏火は実行には至らずとりあえず大河の席へと付いて行く事にした。
「やるべき事?」
「ほんの数分前に行こうとしてた、アレだよ…」
「…あぁ」
夏火が視線で示した先にいる、山のような教科書を一心不乱に確認する男子生徒を見て、大河は納得した声を漏らした。そして、席に着くと机の横に掛けてあった鞄を机の上に乗せ、中をあさって一枚の封筒を取り出した。教科書販売で買う教科書の引換ともなる注文書とその分の代金が入った封筒である。
「やれやれ、あんな無駄に量の多い教科書をわざわざ買いに行かなきゃならないとは…」
と、封筒をパタパタとうちわのように揺らしながら、大河がため息混じりに呟いた。山のように積み上げられた教科書を取りに行くだけでも気が滅入るというのに、更にその後、その山のような教科書の数をしっかり確認しなければならないところを見せられたのだから、無理もないだろう。
「無駄かどうかは、分かんねえけど…普通の学校とは違うんだから、これくらいは当然なんだろ?魔法教科だけでなく普通五教科も勉強すんだからな」
諭すように夏火が大河の肩をポンッと叩く。その直後、急に大河は、ハッ、と何か思いついたような顔を受かべて、何故かそのすぐ後に笑みを浮かべだした。
「なぁ竜。……ジャンケンで買った方が二人分買いに行くってのはどうだ?」
「一人で…あの量をか?」
夏火は改めてクラスメイトの机に積み上げられた教科書を見つめた。
積み上がれた教科書の中には魔法関連の教科書だけでない。『魔法専門学校』の卒業生には、普通高校卒業と同程度の学力も必須となっているので、魔法以外の普通教科の教科書や辞書も用意される。その為、魔法関連の教科書も合わされば、その量は自然と、とんでもないものになってしまうのだ。因みに、彼らの教室にある机の大きさは6号、高さで言うと76cm程で、大河と夏火の身長は、169cm(中学時)あるが、机に積み上げられた教科書達は、プラス76cmというハンデにより、二人の身長を悠々と超えて180cm以上にまで達していた。
つまり、教科書達は目測であるが、1m近く積み上げられている事になる。そこから推測される重さも、出来れば考えたくはない。とは言え、今の夏火にはそれを運ばなくていいという選択肢が出ている訳で、
「(どうするか…負けたら自分の身長よりも高く積んだ本を運ばないといけないという。マンガで天然系女子生徒がやる無茶っぷりを発揮しなきゃいけなくなるが…)」
だが、それは負けた場合のみである。数学的には違うかもしれないが所詮ジャンケンなどその時の運しだい。勝つか負けるかの2択のみ。2分の1のギャンブルと思ってやれば、それほど悪い賭けとは思わない。そう判断した夏火は、
「……よし!。やってやろうじゃねぇか!」
「よしゃ!恨みっこなしだ!」
互いの了解を確認後、自分の手を考えるための数秒の静寂。
そして、
「いくぜ!」
「おう!」
「「ジャンケン!ポンッ!!」」
楽を出来るか出来ないか。互いの命運を賭けた壮大なジャンケン。
結果は、大河『グー』で夏火『チョキ』。
よって、
「よっしゃあぁぁ!」
「くそっ…俺かよ…」
負けた夏火は、力なく膝をついた。
「はっはっはっ!天は我に味方した!!」
「クソッ!!天は我を見限ったか!」
よく分からないノリの会話をした後。夏火は大河から教科書代の入った封筒を手渡され、渋々教室を出て行く。大河の方はと言うと満面の笑みで夏火に手を振っていた。
その笑顔があまりに忌々しいのは、錯覚ではないだろう。
「じゃあ、時間掛かりそうだから~俺は、そうだな…保健室で寝てるわ~」
肩を落とす夏火に大河はさらに腹立たしいことを告げる。
「入学式で散々寝たくせに、まだ寝るのか?」
嫌味らしい嫌味が思いつかなかったので、夏火は思ったことを取りあえず口に出した。
もちろん、この程度の言葉で大河の表情が変わる訳もなく、大河は相変わらずの笑顔で夏火を見送っていた。
以上です。
いや~相変わらず、先に進みませんね~
って書いてるのは自分ですが…
素人の作品なので、そこまで期待のまなざしは向けられてないことは
分かってますが、何の準備もなく話を一気に進めて戦いに持ってく勇気は、
さすがに自分にはないです。
まだまだ、しばらくはギャグを混ぜつつのこんな話が続きます。
とりあえず、今回は自分が考えている魔法の一つ、いや二つを出しました。
『強制解除魔法』と『肉体変化』。
まぁ珍しくない魔法の設定ですが、いずれのこの魔法は出てきます。
特に『肉体変化』はいろいろやりたい事があるんで、
結構この物語出て来る予定です。
ではでは、後がきはこの辺で、
次回は、ラノベらしい展開を一つ…
それと、よく魔法はいつ使うのか、っていうお便りが来るんですが、
はっきり言っときます。
結構先です!!
すいません!!!