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種明かしその2と逃げろ

どうも!出来たので載せます!


長い事かかりましたが、

今回はちょっと長めで、この話における魔法の設定の一部を説明します。

問題としては、使っている例えがどれだけ皆さんに伝わるのかという事と、

自分の解釈があっているのかいう事です。

まっ、気にしても仕方ない!


そんなこんなで、今年最後だ!!

17話!!




「受け止められた理由?」


知りたかったはずの答えだというのに森田は首を傾げた。


「何だ?これは知りたくないのか?」

「いや、まぁ気になるけど予想はついてたから…魔法を使ったんでしょ?」

「ハズレじゃないけど当たってもいないな。じゃあ、コイツが魔法陣を組み立てるのを見たのか?」

「あっ、そういえば…」


先ほどの大河の戦いを思い出した森田はすんなりと自分の予想の間違いを認め、


「じゃあ、どうやって…」


何気なくそう呟きながら大河の方へと視線を移した。特に意識してやった行為ではなかったのだが、大河はその行為が自分に答えを振ってると思い込んだらしい。大河は僅かに間を置いて、彼らしくふざけた調子で口を開いた。


「え~っと………そうだな、剣に俺の魂が込められていたから。じゃダメか?」

「いや、ダメか?って…僕に聞かれても…」


大河の投げやりな返しに森田が困惑していると、本来正確な情報を与えるべきポジションの大河の相方夏火が頭をかいた。


「はぁ~さっきの言った事といい…あながち間違ってねえからツッコミ辛いんだよなー」

「えぇっ!?今ので間違ってなかったの!?」


思いがけない肯定発言に森田が十八番となりつつあるツッコミを決め、夏火のその肯定発言に気を良くした大河は急に得意げな顔になった。


「ヘッ……あぁ、そうさッ!。剣っていうのは、それに掛けた魂の重さで…!」

「魔力を使ったんだよ」

「……あれ~竜く~ん。俺喋ってるんだけど~」


明言っぽい台詞を遮られ大河は涙ながらに非難したのだが、夏火は一切気にせず続ける。


「森田、お前魔力がどんなモノか知ってるか?」

「えっ?。…魔法を使う為に必要な力の源…かな?」

「あぁ正解だ。…じゃあその魔力はどっから来るんだ?」

「どこって…色々説があるよね?まぁ、僕の学校では魔力は精神エネルギーからくるものだって聞いたけど…」

「そうだな…じゃあ、その精神エネルギーはどっから来るんだ?」

「えっ?それは、やっぱり心から…とか?」


取りあえず答えるだけ答えてみただけの回答であるのは言うまでもなかったので、夏火はその回答を無視しまったく別の結論を導き出した。


「そう、お前の言う通り分からないって事だ」


自身の心情を言い当てられギクッ、と肩を震わせる森田を夏火は見逃さなかったが、別に分からない事を責めたりバカにしたりするつもりは全くないので気にせず続ける。


「色々研究されて説は色々変わるからな。最近では魔力の元は単純に体力、スタミナだっていう説が有力になりつつあるな。まだまだ謎に包まれてる事には変わりないけど…」

「スタミナ?」

「あぁ、ニュースで見た事ないか?数年くらい前だったか…魔力を生み出していると思われる細胞が発見されたんだ。まだまだ研究段階らしいがそれを調べた結果、人間の体力を元に魔力を生み出してる事が判明したんだ」

「あ~確かに聞いた事あるかも…でも本当だったんだ。あんまりテレビでさわがなかったから、特に成果がでなかったのかと…」

「情報源はテレビだけじゃないんだぞ。今じゃ日本でもその細胞を研究してる機関は結構あるみたいだからな。まっ、おかげで色々新しい技術が生まれる反面、非人道的な新しい魔力の出し方も発見されたらしいけど」

「新しい魔力?」

「どっかのイカれた科学者が『命』を魔力に変える方法を発見したらしい」

「いっ、命!?」


『命』というワードに森田はブルッ体を震わした。


「普通の魔力の何十倍の力を出せるって話だ。使う奴の気はしれないけどな…」


夏火はもう少し説明しようかとも思ったが、夏火の話に怯えている森田を見て途中で急きょ話を切り上げた。


「まぁ何だ。つまり魔力ってモノは、これと言った特定のモノから生まれる訳じゃないんだよ…さっき大河が言った魂だって関係しているかもしれない。その昔、魔導師でも魔術師でも彫刻師でもない普通の刀匠が魂を込めて作った言われる刀を科学者が調べてみたら極僅かな量だけど、その刀に魔力が宿っていたっていう記録があるくらいだからな…」

「あっ、へ~…そうなんだ…じゃあ本当に魂って存在するのかな…」

「元を辿れば魔力ってモノに位置づけられるんだろうけどな。結局の所は分かってないんだ。だから、特別な力を元にして生み出しているとすれば、大河の言った覇気とか魂も大まかに分類しちまえば魔力ってモノになるかもしれない。だから、あながち間違ってないって言ったんだよ」

「なるほど……って、それとさっきの大河君の戦いは何か関係あるの?」


と、森田は一通り納得したが決してそれで全てを納得出来た訳でなかった。


「ん…?。だけど、さっき言ったよな?「魔力を使ったんだ」って…」


夏火は2回言うのが面倒臭いのかどこか冷たく返した。何だったら「ここまで言えば分かるでしょ」とでも言いたそうな顔を浮かべていた。


「いや、それが分かんないだって…魔力なんて魔法に使う以外しか使い道が…」


森田が納得できないのも無理はなかった。攻撃を受け止めるのに「魔法を使ったんだ」とでも言ってくれれば直ぐに納得できたのだが、「魔力を使った」と言われても「魔力」が魔法を使う事以外の使い道に心当たりのない森田にとっては夏火の言葉の真意が見えてこなかったのだ。しかし、今まで一番分かりやすく説明してくれた夏火の説明で分からないとなると、森田にこれ以上のタネの理解は出来そうにないので森田の取れる選択は諦めるという選択しかなかった。だが、意外にも直ぐに森田でも分かる答えは出てきた。しかももっと意外な事にその答えを用意してくれたのは夏火でなく大河の方だった。


「え~っと、つまりだ!魔力なんて魔法の元でしかないなんて思われてるけど、実際には違んだよ。もっと別の使い方もあるんだ。自分で言っといてなんだけど魔力はさっきの言った『覇気』よりも性質でいうと、NARUT○の『チャクラ』に近いって事だ!」

「いや、分かりづれーよ」

「えっ、ダメ?。…じゃあ、HUNTE○×HUNTE○の『オーラ』とか?」

「なんでマンガ設定限定で説明すんだよ!?何かこだわりでもあんのか!?」


分かったいた事だったが、このまま大河に任せてもあまり変化がないのは明らかなので夏火はもっと分かり易い例えはないかと考えた。ただし、今回はもうその必要はなくなった。


「え~っと、それはつまり…魔力はBleac○でいうところの『霊圧』じゃないって言いたいの?」

「おぉおッ!見ろ竜!!伝わったぞ!!そう!その通り!それが正解だ!」

「嘘ォォン!!」


森田の反応に大河は満足そうに笑いだしたが夏火は凄いショックを受けたような顔を浮かべ叫んだ。今更だが大河は何かを表現する時によくマンガを例えに使う事が多いが大体の人間には伝わらない。だが、それは相手がマンガを知らなかった時だけであり森田は今日は披露される機会がなかったが、実は大河の例えはある程度伝わる程のマンガ好きであった。それと、薄々感づいている人もいるだろうが夏火も大河程ではないがマンガ好きである。つまり今この場には大河のやり方で伝わらない人はいないので、大河は惜しみなくその力を発揮する事が出来るのだった。


「B○EACHの中の『霊圧』は力の源ではあるが、それ自体に何の攻撃力も防御力もない。あれは『霊圧』を別のモノに変える事で攻撃力や防御力があるモノにして意味があるんだ。対してNARUT○『チャクラ』は力の源であることには違いないが『チャクラ』そのモノが力の塊でもあるから、身に纏うだけでも十分な攻撃力にも防御力にもなる。さっきも言ったが俺達の魔力はこの『チャクラ』の性質に似てる」


元ネタを知らなければ何を言っているか全く分からないだろうが、この場にいるのは、大河、夏火、森田達のみで、しかも3人共元ネタを知っていて何を言っているのか理解出来ているので誰もツッコミに回る者がいないので大河は気にせず最後まで説明を続けた。

特殊な説明だったかもしれないが効果は絶大で現に森田は大河が先ほどやった事の大まかな想像がつくまでに至った。(因みに分からなかった人はネットで調べてね)


「じゃあ…もしかして、さっきは魔力を刀に集めて斧を受け止めたの?」

「あぁそうだ。『まとい』って呼ばれる技術でな。ただ魔力を体に、まぁ今回は腕に纏うだけだったけど、それだけで純粋に肉体の力や防御力が強化されるんだ。力の増加、それに『冬水』の刀も加わればあんな斧でも受け止められるさ」


と、森田の回答にマルをくれたのは分かりやすい(?)説明をし大河でなく夏火であったが、正直森田にとっては大河よりも夏火が合っている判断してくれた方が信用出来るので森田は自分が理解出来ていると自信を持てた。


「でも…そんな使い方…まったく知らなかった」

「まぁ、ちゃんと習うのはここ『魔法高専』でも3年の時らしいからな。でも、そこまで珍しいモノでもねえぞ。一年でも俺らの他にも使える奴はいると思うし、『退魔師』クラスの戦闘力を持つ魔術師達は、皆『コレ』を使えるらしいし」

「逆を言えば、知らない奴は3年でも使えない奴はいるらしいぜ。ほら、あの高橋って先輩も使うどころか大河が何をしてるか分かってなかったろ?」

「そういえば…」


森田は先ほどの戦いでの高橋の姿を頭に思い浮かべた。確かに高橋は何故あんなにも簡単に大河の斧を受け止められているのか分かっていない様子で『纏』等という技術を知っているように見えなかった。そういった事を踏まえ一連の出来事を整理してみると『纏』という技術を知らない森田であってもその存在を信じるには十分な根拠に感じられた。ならば森田の抱えていた疑問は見事に解消されたかに思えるが、その疑問が解消されたらされたで新たな疑問も生まれてきた。二年生でも知らなかった魔力を纏うという技術を使えるなんて、この二人は一体何者なのだろうか。という疑問だ。

今度は彼らの自身について追及してみようかと森田は思ったのだが、


「さぁて、まぁ積もる話はもう終わりにしようぜ。そ・れ・よ・り・も」


不意に大河が森田が尋ねる前に口を開くと倒れる先輩達のポケットを漁りだしたので今はそっちに意識が集中してしまった。


「………何してんの?」

「えっ?いや~経験値と報酬を少々貰おうと…」

「いや、貰おうとじゃないよ!それはまずいって!!」

「そうだ止めとけ…これ以上妙な恨み買うのはごめんだ」

「何言ってんだよ~。戦った相手から金を巻き上げる!。コレ、勝者の特権だろ。『龍が○く』の○生さんだって戦って勝った相手から金巻き上げるだろ?」


また大河の知っている人にしか伝わらないネタが飛び出したようだが、今回は森田では何が元ネタか分からないのでツッコミは夏火に任せる事にした。だが、どういう訳か夏火は直ぐにツッコまず顎に手を当てると斜め下を向いた状態になり何かを考え始めた。


「………………う~ん」

「えぇッ!?論破されたの!!?」


まさかの事態に森田は驚愕していると夏火は直ぐに顔を上げた。


「いや、やっぱり違う!桐○さんは自分から金を求めた事はない!負けた相手が勝手に出してくるだけだ!○生さんは悪くない!!」

「それ何のフォロー?」


何故かは知らないが今までの態度とは一変し、もの凄く熱い表情で夏火が語たり出すので森田は勝手にその話題の中心人物を夏火が好きなのであろうと想像をした。


「いやいや、ボコした相手から金を貰った時点で結局はカツアゲと同じだろ~」


そう言うと大河は先輩達のポケット漁りを再開し財布を見つけると中身を確認する。


「え~っと…一枚、二枚…二千円か…チッ、シケてんな!」


舌打ち交じりで財布から金を取り出すと大河は徐に財布を投げ捨てる。もうその姿は先ほど戦いを仕掛けられた被害者の姿とは明らかに違っていた。


「もうどっちが悪人か分かんないよ」

「バカ、世の中に完全な善人なんていねえんだよ。もしいたら、そいつは自分を正義の味方だって勘違いしてるだけだよ」


ムッ、と森田は反論出来なかった。いつもふざけてる分たまにまともな事を言いうと尤もな事に聞こえてしまうのだから、まったくもってこういう人間はずるい。と極普通の一般人森田は思う。


「まぁ、固い事言うな。お前だって経験値貰ってんだから」

「えぇっ!?僕、経験値貰ってたの!?見てただけなんだけど!」

「いや、ちゃんと貰ってたって、ほら、『ポケモ○』だって、戦わないで次の奴にバトン渡しても、そいつが勝てば経験値くれるだろ?」

「いや関係ないよッ!!」


森田の的を射た意見にも耳も向けず大河は財布漁りを続ける。そして、倒した先輩達全員から財布を抜き取ると入っていた金の合計を計算し始めた。


「え~っと、これで1万と…後100円と500円が3千円分…全部で1万3千円と小銭が少々か。よし、森田は見てただけだから1割の千三百円…は、ちょっとキリが悪いから少しおまけで2千円だ」


計算を終えた大河は言葉通りに2千円を森田に手渡す。という訳ではなく無理やり森田の手に握りこませた。


「いや…これ貰ったら僕完全に目撃者から共犯者になるよね!?」

「良かったじゃねえか…レベルが上がったぞ」

「何のレベル上がってんの!?」

「ティロリ!ティロリ!ティロリ!森田のレベルが上がった…」

「いや、今のマッ○のポテトが揚がった時の音だよね!?」

「森田の力が5上がった。素早さが3上がった。楽して金を儲ける方法を学んだ為、働く気が20下がった。働いたら負けだと思うようになった。新しいジョブチェンジ欄にニートとヒモが追加されたました」

「何か僕、とんでもない事になってない!?」

「お金を手に入れたので、少しお母さんに送った。だけど、このまま使わずに貯め込んどくと、お母さんが勝手に訳の分かんない変なぬいぐるみを買ったりするので、早めに銀行から下ろした方がいいよ」

「しないよそんな事ッ!!僕の母さん何だと思ってるの!?」


次々に繰り出される大河のボケに森田は迷う事なく見事なツッコミを決めていく。

因みにその姿を見た夏火が真面目に「コイツやるな」という視線を送っているのだが森田がそれに気付くことはなかった。


「さて…他に使えそうな物は…」

「もう、やってることがただ追い剥ぎだよ」


再び先輩方のポケットを漁る大河に森田は疲れた感じにツッコミを入れる。


「もう、ほっといていいぞ。あまり構いすぎると調子に乗るから」

「あぁ…そうなの…」


夏火のアドバイスを受け森田はこれ以上意識を大河に割くのを止め、代わりに少し離れた所で大河を見守る夏火へ方を見てみた。


「んっ、どうした?」


森田の視線に気付き夏火は何気なく尋ねる。


「えっ!?いや、その…さっき言おうと思ったんだけど、ホントに凄いね二人共」

「何がだよ?」

「さっきの戦い方…『纏』の事もそうだけど、凄い慣れてる感じだったから…もしかして何かやってたの?」

「ん~…まぁ一様な…魔法剣術を少々…」


夏火の回答に森田は驚く事はなく寧ろやっぱりなと納得していた。

『魔法剣術』とは、魔法と剣術を混ぜた戦闘方法の一種で銃や魔法の遠距離魔法が主流となる現代でも『退魔師』やそれ以外にも軍隊や警察などで近接戦闘術として根強い支持者がいる戦闘術の一つである。


「へ~そうなんだ…」


決して珍しいモノではないのだがこれまでの人生においてやった事のある武術と言えるものは柔道(学校の体育の授業でのみ)しかない森田にとっては尊敬の眼差しを向けるに十分値する経歴だった。


「あっ、そういえば大河君がさっき言ってたね夏火何とか流って…んっ、あれ、夏火?」


と、ただ大河が先ほど口走った一言を言っただけなのだが唐突に何かが森田の脳裏に引っ掛かった。一体何が原因なのかは、既に森田自身も分かっていたので別に口に出して夏火に尋ねる事はせず夏火へ教えて下さいと分かりやすい視線を送る。


「んっ?あぁ…想像通りだと思うぞ。『夏火一砕流』は俺と大河が使う剣道の流派で俺ん家の道場で教えてるもんだ」

「あっ、やっぱり…でも夏火君の家でってことは……もしかして夏火君って、道場の跡取り息子?」


森田の問いに夏火は、直ぐには答える事はせずに少し間を置いた。


「……いや、俺は『夏火一砕流』を継がねえよ」

「えっ、道場の家の子なのに?」

「……俺には『夏火一砕流』を継ぐ資格がねえんだ」


そう言いながらどこか寂しそうな顔を夏火が浮かべたのだが、一瞬変わっただけで直ぐ元の表情に戻ったので森田がその表情に気付く事はなかった。


「………『夏火一砕流』ってのはな。代々豪剣の使い手が受け継いでいく流派なんだ」

「んっ、何?ごう…けん?」

「簡単に言うと、速さや技、あるいは防御に頼らずに力だけで振るう攻撃的な剣の事だ」

「あっ、何か聞いた事あるような気がする」

「あぁその程度の認識だろう。マンガとかでも使われるけど、実際には武術の技の性質を表す際に使われたりしてるからな。そして、『夏火一砕流』は豪剣の技を主とした流派で豪剣の才能がない俺じゃ完璧に使いこなせねえんだ」

「でも、それでもちゃんと道場の家の子なんでしょ?何か複雑な事情でもあるの?」

「あ~。……俺は、父さんの本当の子じゃないぞ」

「…………エェッ!?」


複雑な事情は想像していたのだが、あまりに軽く言うものだから森田の反応は少し遅れた。


「俺は生まれ直ぐに親に捨てられたらしくてな。まぁ、孤児ってやつだ」

「えっと、あの、え~っと…」


本欄ならシリアス過ぎる空気のはずなのだが、動揺を隠しきれず口をパクパクとさせる森田の姿を前に夏火はたまらずプッ、と口から空気を噴出してしまった。


「そんな慌てんなって、別に俺は父さんと血が繋がってないって事も捨て子だって事も気にしてねえから…」

「あっ、うん。ゴメン…」


笑って告げる夏火に森田は心から安堵した。ただこのまま下手に黙ってしまうと気まずくなりそうだったので話を区切らず一気に進める事にした。


「じゃあ…やっぱり、そういうのが理由で流派を継がないの?」

「んっ?いや、別にそれは何の関係もねえよ」

「え…?。でも、さっき…」

「今のはお前が俺を道場の子って思い込んでたから、一様説明しとこうと思っただけだ。俺が流派を継ぐ資格がないって言ったのはもっと別の理由だ」

「別の?」

「まぁ、強いて言うなら…あいつが原因だな」


そう言いながら夏火が指さす方へ森田は視線を移す。その先にいたのは、倒した先輩達のポケットを今も尚漁っている大河であった。


「アイツを見ちまうと、自分にどれだけ才能がないか思い知らされるんだ」

「大河君…が?」


キョトンとよく分かっていなさそうに尋ねる森田に夏火は思わず笑みを溢した。


「へっ…、まぁあんな奴だから想像できないだろうけど、あいつは『百年に一人の豪剣の使い手』。って言われるくらいの剣士なんだぜ」

「えっ、そうなの!!?」


森田は普通に驚いた様子で返していたが実のところは「えっあれで!?」と、言いそうになっていたのは森田だけの秘密である。だが、夏火は森田の表情からその秘密を何となく察したのだろう、その顔は僅かに笑っているようだった。


「まぁ驚くのも無理はねえけどな…でも、さっきも見ただろ?あいつの力をよ。さっきの斧を受け止められたの『纏』肉体強化も大きいけど、半分近くはあいつの腕力のおかげだ。仮に俺が俺が同じように『纏』を使っても、俺の『纏』じゃ真正面からあの斧とやり合う

のは無理だ。純粋なぶつかり合いじゃ押し負けちまう」

「あれ、無理なの?『纏』を使えれば出来るって、さっき…」

「それぞれ得意な型があるんだよ。まっ、得意不得意を差し引いてもあいつの腕力は規格外って事には変わりないけどな」


そこまで言うと夏火は言うべき事を言いきったかのように喋らなくなってしまった。森田の心情からすれば、先ほど尋ねた流派を継げない理由の答えとしては完全に納得させるものではなかったが夏火が一体何を伝えたいのかは理解出来ていた。つまり、自分よりも大河の方が流派を継ぐのに相応しいので自分に継ぐ事は出来ないという事なのだろう。かなり自分で勝手に導いた答えだが、夏火の方もそれ以上説明してこない以上は、森田はそれで納得するしかなく、それ以上問い詰める気にもならないので森田は無理やりでも納得するしかなかった。


「……大河君とは長いみたいだね?」


急に森田は話題を変え大河の話をふってみたが、何か意味があった訳ではない。

ただほんの少しとはいえ大河の話題になったので流れ的に不自然でなかったからだった。

「んっ?。まぁそれなりだな……俺が父さんに養子に迎えられる前からの付き合いだ」

「そうなんだ。それじゃ長そうだね…」

「腐れ縁だ。ただの…。まっ、長過ぎてあんな奴でも兄弟みたいになっちまってるけど」

「……ふ~ん、それは…大変そうだ」


と、森田はありきたりで平凡な感想返した。だが、それも大河がもしも兄弟だった場合の生活をシュミレーションし、その結果大変そうだがそれでも楽しそうだという結論に至ってのものなので、断じて投げやりで適当な返しではなかった。尤も、楽しそうだと想像出来たとはいえ、自分がそうなりたいと思う事がないのは否定出来ない事実だったが。


「大変だよ。色々面倒事に巻き込まれてな…まっ段々慣れてきちまったけど」


うんざりとした表情で夏火が返し、それが会話の区切りとなった。まだ聞きたい事もあるがこれ以上深く尋ねれば込み入った事を聞く事になりそうだったので森田は特に何かを尋ねる気になれず。夏火は夏火で特に森田に聞きたい事がある訳でもないので会話をふるつもりもなかった。その為、二人の間に何の会話がないまま大河の追い剥ぎ行為を黙って見守るという無意味な時間が続き、聞こえてくる唯一の人の声は大河が先輩方のポケットを漁りながらの言う「あっ、これ貰い!」などの独り言だけという状態となってしまった。

もしもそんな時間が長く続けば、会話のない二人の空気が気まずくなるのは目に見えていたが、幸運にも気まずさを感じる前に会話のネタになる出来事があった。


「おい!体育館裏から何か聞こえてきぞ!」

「喧嘩か!?一年が二年に絡まれてるって話は本当だったのか!!?」


数からいって複数人。誰かが近づいて来る足音と声が聞こえてきた。

この状況でここに来るとしたら恐らく教師達であろう。どういう風に伝えられたのかまでは分からないが、恐らく一年が二年に襲われてるとでも聞いたのだろう。聞こえてくるその足音は急いでいるように聞こえた。


「先生達かな?」

「今頃来ても遅いッつーの!」

「あぁ…そうだ…な…」


遅い救世主達の登場に笑っていたが三人だが、夏火だけは途中で何か怖い物でも見たように顔が青ざめだした。


「どうした?」


異変に気付いた大河が何気なく尋ねると夏火は何も言わずにただクルッと体の方向を変え、全速力その場からで走り出した。


「ちょっ、竜!?」

「いいからさっさと逃げろ!!」

「ちょっと、夏火君!どうしたの!?」

「落ち着いて、その大河バカ見てみろ!!」


夏火の指示通り森田は、落ち着いて大河を見る。そして、夏火の言いたい事を理解した。今の大河の手には、先輩達から奪い取ったキーホルダーやブレスレットといった様々戦利品を手一杯に握りられており。その場で一連の騒動を見ていた森田でも、その悪人にしか見えない盗人のような姿になっている事に対し、正当な理由を説明しろと言われても、とても出来そうになかった。更にこのまま行けば、自分の手に持っている2千円についても説明しなければならなくなるのだろうから、もうどうしようもない。

つまりこのまま教師達に出くわせば、一体どうなるのか…。

事態の深刻さを悟った森田は、大河を置いて無言で走り出した。わりと全力で、


「おっ、おい!ちょっと待てよ!」

「うっせえよ!!それ置いてけ!!」

「えぇ!?せっかく色々手に入れたのに!!」

「フッザケンナ!!喧嘩だけでもどうしようもねえってのに更には窃盗まで加わったら、俺達停学どころじゃ済まねえだろがッ!!」

「ていうか!僕全然関係ないよねぇぇぇ!!?」


森田の叫びを最後に彼らはその場を後にした。

そして、急いだ甲斐あってか教師達がついた頃には三人姿はどこにもなく。倒れていた不良達の怪我も原因不明のままこの事件は片づけられた。こうして、三人のドタバタ続きの入学初日は何一つ汚点を残さずに終わりを告げた。






以上です。

いや~ノリで始めたこれも、まぁ一先ずここでひと段落って感じです。

予定では、もう2,3話やってるつもりだったんですが、

現実がアレなもんで…

まぁとりあえず今年中に一章?とでも言うのか…終わらせられてよかったです。


さて、今回の話についてですが…え~、とりあえず謝っておきます。

すいません!

でも、もう開きなおってるので、言いますけど、

この話、ずっとこんな感じですよ!

いろんなマンガからネタを貰ってやっていく。

これがこの話の本質です。

だから、これから先もマンガのネタから引っ張ってくることめっちゃあります。

ついていけない方もいるかもしれませんが、もう謝っておきます。すいません!

今回の話についてあとがきしろって言われても、

もう知らなかったら頑張ってください。

それだけです…。


まぁ、真面目な?話をしますと、

この話の中で、魔力というものの設定はHUNTE○のオーラですかね。

あれがかなりヒントとなりました。

まぁ、それだけではないんですが、今はこのくらいの説明だけにしておきます。

それと、どうでもいいですが、『竜が如○』ネタは、

最近までやってたからです。それだけです。


さて、これ以上話してもグダグダになりそうなので、

とりあえずあとがきの方はこの辺で

誤字脱字に気づかれましたら、どうぞご指摘お願います。


また、今の話でいい感じに区切りがつきましたので、

暫くはこっちに力を入れず『万事屋幻想殺し』に力を入れていくと思います。

多分、たまにこっちも書くと思いますが…。


さて、2012年もあと1日!

来年もいい年になる事を願って、

皆さん。

良いお年を!!

では、来年もよろしくお願いします!





因みに自分が好きな『竜が如○』キャラは真島の兄さんです。

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